ガン=カタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
リベリオン > ガン=カタ

ガン=カタ (Gun Kata) とは、2002年製作のアメリカ映画リベリオン』(原題: "Equilibrium")の劇中に登場する架空近接格闘術

概要[編集]

名前の意味は「ガン()」と日本武術の「カタ()」の組み合わせ。劇中では主に二挺拳銃を使用し、超近接戦闘に持ち込む事で、多数の敵を短時間で倒す戦闘技法として描写される。考案したのは『リベリオン』の監督であるカート・ウィマーと、殺陣を担当したジム・ヴィッカース。日本語字幕では「銃の形」に「ガン=カタ」とルビが振られている。

ガン=カタは、銃口をそらすため銃を捌くカンフーの様な素早い格闘に加え、非常に接近した状態での銃撃戦を行わせることで、単純な撃ち合いで終わっていた従来のガンアクションに「敵の眼前に姿を晒しつつ体術と銃撃を組み合わせて戦う」という新たなアクション表現の手法を開拓し、本作の代名詞とも言える存在となった。また、このSF的設定は従来の銃撃戦における「なぜか主人公だけ弾が当たらない」現象に対するエクスキューズにもなっている。

劇中での設定[編集]

ガン=カタは、都市国家リブリアのテトラグラマトン党に所属する「グラマトン・クラリック(以下クラリック)」と呼ばれる特殊捜査官が使用する戦闘術である。第三次世界大戦までの戦闘データの統計に基き、常に敵の死角に回ることで銃弾を回避しつつ、最小の攻撃で最大の成果を得るという合理的な概念に立脚している。

基本的にはクラリック・ガン(クラリック専用銃。詳細は後述)二挺拳銃での、至近距離における銃撃戦を想定しているが、日本刀に類似した刀[1]や、クラリック・ガンを用いた格闘戦も行う。熟練した「第1級クラリック」であれば、クラリック・ガンをハンマーのように扱う打撃のみで、アサルトライフルを装備した複数の一般兵を一人で倒す事も可能である、という設定になっている。

ガン=カタはマスターすれば、飛躍的に戦闘力が上がる事とされているが、基礎の動きをマスターするだけでも攻撃力[2]は少なくとも120%上昇、一撃必殺の技量も63%上昇[3]する。さらに習熟した「第1級クラリック」になれば、その戦闘能力は計り知れないものになるという。

ガン=カタ使いは多数の敵が持つ銃の向きを一瞬で判断し、その銃弾の軌道を予測しつつ攻撃を行うため、物陰に隠れず積極的に敵に接近する。この設定のため、メキシカン・スタンドオフでもアクションが停止しないという、それまでに例を見ないアクションシーンが生まれた。また序盤に登場した型稽古残心に類似した動作など、東洋武術を思わせる要素が散見される[4]

クラリック・ガン[5]
クラリックが使用する架空[6]マシンピストル。セミオート/フルオートでの射撃が可能で[7]マガジンの底には、打撃用の小さな突起が出るギミックが装備されている[8]。銃口下にも突起があるが劇中では利用しなかった。正面から(つまり、撃たれた人間の視点から)見た発射炎は、テトラグラマトン党のシンボルマークを模った形状[9]に見える。マガジンは通常のマガジンと、起き上がり小法師の様にマガジンを直立させる半球状のグリップエンドがついた、エクステンドマガジンがある。銃はクラリック一人ずつに支給され、マガジンの底には使用者の名前が刻まれている。
クラリックはクラリック・ガンを上着の下、或いは両袖の中に忍ばせて携行し、必要時には袖口から手の内へ飛び出させる[10]器具を併用する。この器具には、クラリックガンへ予備のマガジンを再装填するスピードローダーの様な機能もある。
このように多数の機能を持つ銃に合わせ、フロップも複数種類が制作されているため、アングルによっては銃に違いが見られる。またベレッタM92をベースにしたのは、排莢の方向を変えやすいからだという[11]

備考[編集]

2006年には、考案者のウィマー監督[12]による『ウルトラヴァイオレット』が公開され、ガン=カタが再び登場した。本作では主演が女性という事もあり、監督が『リベリオン』の解説にて発言していた、バレエ等の踊りの要素を加え、より流れるような動きを目指した、新たなガン=カタ"Gun Kata 2.0"が使われた。この作品では従来のガン=カタや直剣によるガン=カタの他に、敵と敵との間をすり抜けるように動く事で同士討ちさせ、敵を全滅させる「徒手空拳」でのガン=カタ[13]も披露されている。

オマージュ[編集]

アクションの斬新さからオマージュとも言える、拳銃を用いての超接近戦描写(互いの拳銃を素手で捌き合いながら撃ち合う、アクロバティックな動きで多数の敵を一掃する、など)を採用するアクション映画が多く撮影された。また、映画だけでなく他メディアの作品にもアクション表現として登場している。

『リベリオン』が公開されてから、その影響をスタッフが公式に認めた作品を以下に示す。

映画[編集]

THE ULTIMATE VERSUS -アルティメット・ヴァーサス-
主人公が2列に並んだ敵を、二丁拳銃を使ったアクロバティックな動きで一斉に倒す。本作の監督や制作スタッフ、出演者がコメンタリーでのシーン解説時に「ガン=カタ」と発言している。
デス・トランス
主人公の銃を使ったアクションが、「ガン=カタを参考にしたものである」と『THE ULTIMATE VERSUS -アルティメット・ヴァーサス-』でも同様にアクション監督を務めた坂口拓によって語られている。

ゲーム[編集]

.hack//G.U.
設定画において、主人公が二丁拳銃を装備した際、「ガン=カタっぽく」と書かれている。
ファンタシースターオンライン2
「レンジャー」クラスレベル30から転職可能な派生職の「ガンナー」クラスが、二丁拳銃ならぬ二丁マシンガンでガンカタ的な動きやスキルが可能となっている。
永い後日談のネクロニカ
TRPG。判定に対し妨害をかけながら、同時に射撃攻撃を行う「銃型」というスキルが存在する。

アニメーション[編集]

マジンカイザーSKL
マジンカイザーSKLの二丁拳銃アクションという要素は、明確にガンカタのイメージを提示した上でデザインされている(書籍『魔神大戦21』より)。

小説[編集]

緋弾のアリア

脚注[編集]

  1. ^ プレストンが逆手持ちなのは、座頭市の影響だと、コメンタリーで監督が発言している
  2. ^ 打撃力ではなく攻撃の能率
  3. ^ 日本語版DVDの字幕と吹き替えでは、「~攻撃力が少なくとも120%増加し、その半分程度しか上昇しなくても充分脅威と~」と、あたかも基礎の習得成功時で攻撃力が120%増加するのに対して、うまく習得できず攻撃力が63%(120%の半分程度)しか増加しなくとも、と解釈しているような訳になっている。また「防御面では63%上昇」という「difference」の誤聴に端を発する誤訳も散見される
  4. ^ オーディオコメンタリーでは、中国と日本の武術の要素を取り入れたと発言している
  5. ^ 制作側はこの名称では呼んでおらず、正式名称も決めていないため、「改造したM92」など複数の呼び名がある
  6. ^ プロップガンのベースはベレッタM92で、大型のスタビライザーを追加し、薬莢の排出方向を真上に変更するなどしている。またガン=カタの性質上、顔と非常に近い距離の発砲となるため「ノンガン」と呼ばれる電気着火式のプロップで撮影されたシーンが多い
  7. ^ 劇中で切り替えるシーンがあるが、これは切り替えシーン専用のプロップで、他のシーンにはレバーがないフロップが使用されている
  8. ^ このシーン専用のプロップにて撮影された。
  9. ^ 炎の形状はVFX処理による
  10. ^ 通常の衣装には入らないので、銃が飛び出すシーンだけ僅かに袖が広がった上着を着ている
  11. ^ オーディオコメンタリーより
  12. ^ 同作には、ジム・ヴィッカースは参加していない。
  13. ^ コメンタリーでは「ノータッチ・ガンカタ」と表現されている

関連項目[編集]