ROCK AND ROLL HERO
『ROCK AND ROLL HERO』 | ||||
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桑田佳祐 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
2001年 - 2002年7月 VICTOR STUDIO 401st & 301st | |||
ジャンル |
ロック[1] ハードロック[1] グラムロック[2] ファンク[2] サイケデリック・ミュージック[2] ブルース[3] フォークロック[2] ミクスチャー・ロック[4] デジタルロック[4] 小学唱歌(文部省唱歌)[2] クラシック・ロック[2] | |||
時間 | ||||
レーベル | タイシタレーベル | |||
プロデュース |
桑田佳祐 THE BALDING COMPANY | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
桑田佳祐 アルバム 年表 | ||||
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『ROCK AND ROLL HERO』収録のシングル | ||||
ミュージックビデオ(Full ver.) | ||||
「ROCK AND ROLL HERO」 - YouTube 「東京」 - YouTube |
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ミュージックビデオ(Short ver.) | ||||
「ROCK AND ROLL HERO」 - YouTube 「東京」 - YouTube |
『ROCK AND ROLL HERO』(ロック・アンド・ロール・ヒーロー)は、桑田佳祐の3枚目のオリジナル・アルバムでもあり、本作に収録されている2曲目の楽曲名でもある。2002年9月22日にCDで発売。発売元はタイシタレーベル。
レコード盤は同年10月10日に発売され、2016年2月26日にはダウンロード配信、2019年12月20日にはストリーミング配信を開始した[6][7]。
背景
2001年に再びソロ活動を開始させ、制作された作品[8]。
同年にボブ・ディランがアルバム『ラヴ・アンド・セフト』でグラミー賞を受賞した事と、それを受けて『地下室 (ザ・ベースメント・テープス)』(1975年発売)などを聴き始め、次第にディランとザ・バンドのような関係を意識するようになり、後述するバックバンドを従えてのスタイルでの制作をすることを考え始め、それを斎藤誠に相談をしたことがこのアルバムの制作のきっかけの一つとして挙げられている[9]。
録音
サポートメンバーには「THE BALDING COMPANY(ザ・ボールディング・カンパニー)」というバンド名がつけられ、斎藤誠、角田俊介、片山敦夫、小田原豊、河村智康などが参加した[10]。これはビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーをもじったもので、「ボールディング」の部分は斎藤がスキンヘッドであることにかけている[9]。
レコーディングはスタジオで全員と車座になり、近距離でコミュニケーションをとるスタイルで行った[1]。桑田は「こんなやり方はサザンのファースト(『熱い胸さわぎ』)以来だ」と語っている[1]。
当初からライブでの再現を考え、ダビングなどは最低限にとどめている[1]。
音楽性
「バンドによる生音」をコンセプトに作られており、前年の「波乗りジョニー」や「白い恋人達」といったヒットシングルは収録されず、作風は1960年代から1970年代の洋楽ロックが中心である。これについては前年の二曲がヒットした事の嬉しさと同時に、「自分の中で〈まわっちゃった〉気がした」「また違うことがやりたくなった」「等身大の音楽が作りたくなった」事を述べており、自身の「等身大の音楽」の定義を「中高生のころの自分」とし、あまり時代性は意識しておらず、ロックを作ることに強くこだわったわけではない旨と「中高生のころの自分に向けて曲を作ろう」というテーマになっていった事も述べている[4]。
タイトルである「ROCK AND ROLL HERO」は、かつてアメリカやイギリスなどの欧米のロックンロールに憧れていた桑田自身に対しての皮肉が込められたものである事が言及されている[11]。桑田自身も「やっぱり、ロックは欧米人のものだと思うんですよね。僕ら日本人はどうしたって彼らみたいにはなれない」「今はロックンロールっていうものが自分の中にはあまりないんですよ」[11]「自分自身、ロックンローラーでもヒーローでもなんでもないし、すべてが裏返しにあるんだという暗喩にもなってるところがいいかなと思ってます」「きっと僕みたいなフェイク・スター的キャラがつけるから、いいんじゃないかと思うんですよ」と語っている[12]。
桑田はこのアルバムを制作したことに関して反省点が多かったと後に著書で述べており、特に「影法師」「BLUE MONDAY」「質量とエネルギーの等価性」について「僕なりのロジックが先行し過ぎた」と述べている[13]。
リリース
2001年のシングル曲に関しては、当初はそれらを軸にしたオリジナル・アルバムを作ろうとしたが時間的な理由で実現せず[14]、ベストアルバム『TOP OF THE POPS』に収録された。逆に「東京」および同シングルc/w「夏の日の少年」は未収録である。直後に発売されるベスト・アルバム『TOP OF THE POPS』とは、本人曰く「連作」である。そのために、『TOP OF THE POPS』のジャケットには『ex ROCK AND ROLL HERO』と書かれた看板が映っていると共に、本作から『TOP OF THE POPS』に収録された曲は無い。これについて桑田は「ロックとポップスという、この二つの音楽の対比を示せたら」いった考えがあった事を語っている[9]。
アートワーク
初回出荷分はスリーブケースが付いており、ジャケットは「白地に黒文字」と「黒地に白文字」の2タイプが発売されている。歌詞カードにある桑田の写真もそれぞれ違う。収録内容は同一。ケースの裏には、ジョン・レノンのアルバム『ジョンの魂』の裏ジャケットを彷彿とさせる桑田の幼少時の写真、CD表面には“ROCK AND ROLL HERO?”と投げかけるように疑問符がつけて印刷されているなど、桑田なりの遊び心も含まれている。なお、当初はこの「?」も正式にタイトルに含めようとしていたことが語られている。
ツアー
2002年11月16日から12月22日まで『桑田佳祐全国ドームツアー2002「けいすけさん、色々と大変ねぇ。」』を開催。また、12月27日・28日・30日・31日には『追加公演!! 桑田佳祐年越しライブ2002「けいすけさん、年末も色々と大変ねぇ。」』が行われている[15]。
11月15日には前述の全国ツアーの前夜祭としてZepp仙台でファンクラブ会員限定ライブが行われた[15]。
批評
音楽ライターの大畑幸子は「個人的に今作を聴いて、桑田佳祐のミュージシャンとしての、また日本人としてのアイディンティティを感じずにはいられない」と評している[11]。
また、大畑は作風に関しても「以前よりも柔軟性に富んでいる」「ロック・サウンドと日本語を対峙させた時に桑田から溢れ出した和の語り口が実に興味深い」と評しており、後者に関して桑田は「日本語をロックに当て込んでいくと、言葉自体もエッジの効いたゴツゴツしたものになっていく。活字で語るような感じになっていって、なんていうのかな・・・・かすりの着物を1枚ずつ着ていくような、そんな和の世界になっていくんですよ。それが自分でも不思議だった」と述べている[11]。
受賞歴
- 第17回日本ゴールドディスク大賞[16]
収録曲
- HOLD ON (It's Alright) (5:00)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:岩本えり子/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- アルバムリリース後の全国ツアー『けいすけさん、色々と大変ねぇ。』で1曲目として歌われた。ボブ・ディランを意識した作風で[4]、アルバム中でも最初に作られた曲であり、レコーディングの開始時からライブの1曲目で歌うことを見据えて制作された曲で、「僕のステージを見て頂戴」「僕のブルースを聞いて頂戴」という歌詞に現れている。桑田はこの曲について、「メッセージソングとはちょっと違っていて、歌で何かを変えてやろうではなく、大衆の声として。世の中の欺瞞や矛盾を皮肉ってみせる、というか」「感覚としてはクレイジー・キャッツの『おとなの漫画』に近い」「風刺というよりは酔っぱらいの愚痴みたいになっていたりもするんだけど、自分で言うのもナンだが、この曲は歌も演奏も素晴らしい」と語っている[17]。
- ROCK AND ROLL HERO (4:40)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY/管編曲:山本拓夫)
- 自身出演のコカ・コーラ「No Reason」キャンペーンCMソング。
- 当時世の中に流れていたニュースに刺激され作られた楽曲で[18]、歌詞は日本とアメリカの関係をパロディー的に表現したものになっており[9]、アメリカの音楽に刺激や影響を受けた桑田自身への自嘲が入り交じっているともいわれている[2]。
- イントロのフレーズは桑田が斎藤誠に「中学生が試し弾きできるフレーズ」を求め、斎藤が簡単なフレーズを弾いたところ、「もうそれ!」と即座に決定したという[19]。
- 最後に聞こえる鳥が羽ばたく音は、マニピュレーターの角谷仁宣が朝方の公園で録音したものである[20]。
- なお、前述のとおり桑田はアメリカの音楽の影響も受けており、アメリカの存在・文化や日米同盟そのものを全否定しているわけではない節を見せており、2006年のAct Against AIDSのチャリティーライブのテーマをアメリカン・ミュージックにしたり[21][22]、東日本大震災を受けて在日米軍が行った「トモダチ作戦」に感動した事を自身のラジオで述べる側面も見せている[23][注 1]。
- Suchmosのボーカルで桑田と同じ茅ヶ崎市出身のYONCEは、11歳の頃にこの曲を聴いて歌詞の社会性に感銘を受けたことを述べている[25]。
- 本作収録の新曲としては、唯一ミュージック・ビデオが存在している。内容は、レコーディング風景や同年初出演したROCK IN JAPAN FES.02でのライブ映像に音源を組み合わせたダイジェスト的なもの。このPVは、『桑田佳祐 ビデオクリップス 2001〜2002 D.V.D. WONDER WEAR』に収録された。
- 或る日路上で (3:48)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- 日常生活で誰の身にも起こりうる不条理な世界が描かれている[2]。
- 影法師
- BLUE MONDAY (4:48)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- 同じレコード会社所属で、青山学院大学の後輩であるLOVE PSYCHEDELICOが、コーラスとして参加している、
- 桑田はこの曲に対してボブ・ディランのライブにジャニス・ジョプリンが客席から飛び入り参加するようなイメージを持っていた[2]。
- 地下室のメロディ (3:04)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- 60年代後期あたりのヒッピー・ムーブメントやドラッグ・カルチャーを背景にしながら、あの時代にきっとこういう歌があったんだろうなと想定して作った曲といわれている[2]。歌詞には日本語をローマ字標記に置き換えた言葉遊びが存在する[2]。
- 東京 (6:28)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- 8枚目シングル。
- JAIL 〜奇妙な果実〜 (3:42)
- 東京ジプシー・ローズ (4:19)
- どん底のブルース (4:55)
- 夏の日の少年 (4:24)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- シングル「東京」のカップリング曲。
- シングルバージョンと基本的に同じだが、一部ボーカルが別テイクである。
- 質量とエネルギーの等価性 (5:40)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY)
- 歌詞はレコーディング中に読んでいた物理や哲学の本からの影響を受けたものになっている[3]。
- 桑田曰く最初はジミ・ヘンドリックスをイメージしていたが、次第にミクスチャー・ロック調に変わっていき、ノイズを入れるうちにデジタルロックの要素が加えられ、最終的にはリンプ・ビズキットに影響されてラップもつけられ歌詞も現在の形になっていったという[4]。
- 歌詞中には、ケミカル・ブラザーズやビートルズ、そして桑田本人の名前も登場する。
- ありがとう (4:09)
参加ミュージシャン
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脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p171
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SONGS REVIEW sas-fan.net(サザンオールスターズ旧公式サイト)2020年9月26日閲覧
- ^ a b c 「Pen」 2017年 09月01日号 No.435 p59より。
- ^ a b c d e 桑田佳祐 インタビュータワーレコードオンライン
- ^ The Record vol.516 p14 日本レコード協会 2020年11月17日閲覧
- ^ 桑田佳祐“還暦記念” ついにソロ全211曲配信解禁 オリコン 2016年2月26日配信・閲覧
- ^ サザン関連全972曲 サブスク一斉解禁 メンバーソロ曲も対象に オリコン 2019年12月20日配信, 2019年12月20日閲覧
- ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p72
- ^ a b c d 桑田佳祐『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』p104 – 105 新潮社、2012年
- ^ REVIEW 特設サイト 2020年11月14日閲覧
- ^ a b c d ALBUM REVIEW 特設サイト
- ^ 桑田佳祐(3)タワーレコードオンライン
- ^ 桑田佳祐『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』p107 – 109 新潮社、2012年
- ^ 「Pen」 2017年 09月01日号 No.435 p60より
- ^ a b サザンオールスターズ biography 2002SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
- ^ 第17回日本ゴールドディスク大賞 日本ゴールドディスク大賞 2017年3月18日閲覧
- ^ 桑田佳祐『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』p140 新潮社、2012年
- ^ サザンオールスターズ会報 代官山通信 vol.137 12ページより
- ^ 関ジャム 完全燃SHOW 2016年11月6日放送TVでた蔵
- ^ 「Pen」 2017年 09月01日号 No.435 p38より
- ^ 桑田佳祐、アメリカン・ミュージックが炸裂したAAAライヴ BARKS
- ^ Act Against AIDS 2006 桑田佳祐 「星条旗よ永遠なれ!?〜私のアメリカン・ヒーローズ」 sas-fan.net
- ^ TOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」2012年7月7日放送分より
- ^ 原由子『あじわい夕日新聞~夢をアリガトウ~』P110、朝日新聞出版、2013年
- ^ 「Pen」 2017年 09月01日号 No.435 p88より
- ^ TOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」2012年6月2日放送分より
- ^ 「BRUTUS」2011年3月1日号 p.41
- ^ サザンオールスターズ official @sasfannet 2018年5月5日のツイート
外部リンク
- ROCK AND ROLL HERO - SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
- 桑田佳祐/ROCK AND ROLL HERO - 特設サイト