Ghost of Tsushima

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ゴースト・オブ・ツシマ
Ghost of Tsushima
ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 PlayStation 4
開発元 Sucker Punch Productions
運営元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
販売元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
ディレクター ネイト・フォックス (Nate Fox)
ジェイソン・コーネル (Jason Connell)
音楽 イラン・エシュケリ英語版
梅林茂
美術 ジェイソン・コーネル
ダン・ミリガン (Dan Milligan)
人数 1人
運営開始日 アメリカ合衆国の旗 日本の旗 世界の旗 2020年7月17日[1]
対象年齢 日本の旗CEROZ(18才以上のみ対象)
アメリカ合衆国の旗ESRBM(17歳以上)
コンテンツ
アイコン
暴力
売上本数 世界の旗 500万本[2]
日本の旗41万本[3]
その他 PSN対応(2020年秋予定[4]
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Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)は、Sucker Punch Productionsが開発し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2020年7月17日に発売された、PlayStation 4アクションアドベンチャーゲームである[1]

本作は文永11年(ユリウス暦1274年)の元朝による日本侵攻(文永の役)を題材としている[5]

ストーリー

本作の物語は、メインストーリーとサイドストーリーとで構成されている。

メインストーリー

メインストーリーには「仁之道」という題名が付けられており、サイドストーリーである「浮世草」および「傳承」と合わせて、3本立ての構成になっている。

導入部

時は文永11年(ユリウス暦1274年鎌倉時代後期)の二夏(旧暦5月頃)、元朝の将軍コトゥン・ハーンは、日本を征服すべく大船団を率いて対馬国小茂田浜こもだはま)へと押し寄せた。彼ら蒙古軍にとっての対馬攻めは、来るべき本土侵攻を見据えた前哨戦的位置付けにある作戦行動であった。

迎え撃つ対馬の武士団はわずか80の寡兵ながら、外寇に抗うべく小茂田に集結した。対馬国の地頭である志村家当主の指揮の下、武士団は蒙古の大軍と激突するも、絶望的兵力差に圧倒され[注 1]、死闘の末、大将・志村主人公の2名を残して全滅してしまう(小茂田浜の戦い)。大将・志村は囚われの身となり、対馬の地は蒙古軍によって踏み荒らされ始めるのであった。

志村にあたる主人公・境井仁は、志村配下の武将として共に小茂田の戦いで奮戦し、最後の2人となってもなお果敢に敵の首領コトゥンの首を狙ったものの、火槍の強力な火器攻撃に曝され、爆風に吹き飛ばされて気を失い、の追撃まで受けて倒れ込んでしまう。しかし、気を失っている間に女野盗ゆなの手で軍場(いくさば)から助け出され、九死に一生を得る。

数日の後、彼が目を覚ました時には既に、対馬の半分が蒙古軍に占領されてしまっていた。仁は、蒙古軍の捕虜となった伯父を救出すべく、コトゥンの居城となっていた金田城かねたのき[6])に単身乗り込む。そうして、本丸へと続く大手門橋の上で敵将コトゥンとの勝負に挑むが、あえなく敗れ、橋から突き落とされてしまう。

コトゥンとの一騎討ちで敗北を喫した仁は、の道に則った一対一の正攻法では、圧倒的な戦力と火薬武器を駆使する蒙古軍に勝てないことを悟る。志村が謳う「誉れ(ほまれ)」をかなぐり捨てて侍の道に背いてでも民を護り、蒙古から対馬国を取り戻す覚悟を固めた仁は、無辜(むこ)の民を救いつつ、敵軍に抗って戦う者たちを糾合すべく、冥府から蘇った「冥人」と呼ばれるようになりながらも対馬各地を奔走し始める。

守之段

金田城に囚われた志村を救出するべく、仁は厳原で味方を募り、女野盗ゆなとその弟のたか、酒売りの堅二、弓の名手である石川、安達家の女武芸者である安達政子幼馴染牢人竜三と、その配下の菅笠衆の助力を得ることに成功する。

たかが作成した鉤縄を使って金田城への侵入を果たした仁は、仲間たちと共に金田城の主郭を目指して奮戦するが、その途中、味方であるはずの竜三が蒙古の刺客として現れる。菅笠衆の頭として、部下を飢えさせる訳にいかなかった竜三は、菅笠衆の食を保証する代わりに寝返りを求めたコトゥン・ハーンの誘いに応じ、仁を裏切っていた。

一騎討ちの末に竜三を退けた仁は主郭に突入し、志村の救出に成功、金田城を奪還する。しかしコトゥンは既に金田城を去り、対馬国の要所である志村城の攻略に取り掛かっていた。城に到着したコトゥンは、城門前で人質の1人を生きたまま焼き殺し、門を開けるよう城兵を恫喝する。恫喝に屈した城兵は城門を開き、城はコトゥンに占拠されてしまう。

志村城の落城を知った志村と仁は、志村城奪還のために豊玉へ軍を進める。

破之段

豊玉へ進んだ仁は、志村城奪還のために更に多くの味方を募り、新たに僧兵典雄と、かつて謀反咎(とがで取り潰された鑓川家残党と民からなる鑓川勢を味方に得る。また、鎌倉幕府に援軍要請の解文(げぶみ)を送り、本土からの援軍を得ることに成功する。

境井家の屋形に戻った仁は父の鎧を受け継ぎ、さらに薬草の専門家である乳母の百合の協力で避けに使っていた鳥兜とりかぶと)の毒を抽出、人間に応用する術を学ぶ。

城攻めの準備が進む中、志村の部隊がコトゥン・ハーンの下知状を入手する。下知状は竜三に宛てられており、志村の戦陣を菅笠衆に襲撃させる命令が記されていた。竜三と菅笠衆が高野山砦にいることを突き止めた仁は、姉に代わって協力を申し出たたかの助力により、砦への潜入に成功。砦内で竜三と対峙した仁は、彼の裏切りを痛烈に非難するも、彼に気を取られていた隙に背後へ忍び寄っていた敵によって気絶させられてしまう。たかと共に縛られた状態で目を覚ました仁であったが、そこにコトゥンが現れ、大元に下るよう対馬の民を説得するよう迫られる。仁が拒否すると、コトゥンはたかの縄を解いて境井家のを持たせ、開放する代わりに仁を殺せと焚き付ける。刀を持たされたたかは、仁ではなくコトゥンに向けて刀を振るうが、敢え無く返り討ちにされ、仁の目の前で斬首される。コトゥンが去った後、自力で縄を解いた仁は、たかを殺された怒りに任せて菅笠衆に斬りかかり、たかを追って砦に来たゆなと共に砦の敵を掃討、菅笠衆を壊滅させる。戦いを終えた仁とゆなはたかの遺体を埋葬し、仇であるコトゥンへの復讐を共に誓う。

本土から援軍が到着し、城攻めの準備が整った志村軍は、満を時して志村城への攻撃を開始する。しかし戦いの最中、不意打ちや毒殺といった手段を駆使して戦う仁の姿を目の当たりにした志村は、侍の道に反する戦い方だと仁を咎め、二人の間にすれ違いが生じ始める。

志村軍は主郭へ続く橋に攻め入るが、蒙古側が今までとは逆に兵を撤退させていることに気付いた仁は何かあると怪しむ。志村はこれを好機と見て一気に橋の上を突き進むが、直後に蒙古側が火薬を満載した馬車を橋に放ち起爆。橋に突撃した部隊は全滅し、志村軍は多くの兵を失うこととなる。

その後、志村と仁は今後の戦の進め方について話し合いを行う。再攻撃を行うには兵が足りず、正攻法で攻めても多くの犠牲を出すだけだと判断した仁は、自らが敵陣に潜入し毒で敵を全滅させる策を申し出る。しかし侍の道に則った戦いに固執する志村は毒殺の策を断固として退け、橋を修復して正面から主郭へ攻め入る方針を堅持。大きな犠牲が出ても武士の道を守り、戦で命を落とすのは武士の誉れであり名誉なこととする志村と、策を練れば避けられる犠牲を誉れや武士の道のために許容する兵の命を軽視した考えを良しとせず、誉れや武士の道を守るより民を救うことを重視してきた仁は衝突。二人の話し合いは物別れに終わり、互いの溝は更に深まってしまう。

毒殺の策を退けられた仁は、このままでは無駄死にするだけの兵を救うため止む無く志村の意に背いて密かに策を実行に移す。夜陰に乗じて蒙古の陣営に忍び込んだ仁は、蒙古の酒に鳥兜とりかぶと)の毒を仕込み、大勢の蒙古兵を毒殺することに成功する。

そのまま志村城の主郭に乗り込んだ仁は、既に城を去っていたコトゥンに代わり仁を待ち構えていた竜三と対峙する。コトゥンから仁の首を取るよう命じられていた竜三であったが、菅笠衆を失った彼には、もはや蒙古に肩入れする理由が無かった。竜三は仁に、再び手を組んで蒙古と戦おうと持ちかけるものの、仁はその申し出を拒絶。代わりに仁は竜三に対し、志村軍に降り処罰を受けるよう促すが、竜三は志村に殺されたくないとこれを拒絶。交渉は決裂し、仁は一騎討ちの末に竜三を討つ。

主郭を制した仁は橋を渡って攻め入ってきた志村と合流するが、毒殺という武士にあるまじき戦術で勝利した仁を志村は痛烈に非難する。対する仁も、犠牲を出さず勝利する方法はこれしか無かったと反論する。仁の武士としての誉れを守るため、志村は毒殺の所業をゆなに帰すよう仁を説得するが、仁はその提案を断固として拒絶し、二人の関係は決裂する。仁はゆなに愛刀を託して逃したのち、志村の命により牢に囚われる。

牢に入れられてから数日後、仁は堅二の手によって脱出の機会を得る。初めは脱獄を拒む仁であったが、対馬国の民やゆなにとって冥人は無くてはならない希望だと堅二に諭されたことで脱出を決意。志村の軍に追われ、愛馬を失いながら、仁はゆなが待つ上県へ落ち延びる。

離之段

上県へ落ち延び、ゆなと再会を約束した地に辿り着いた仁であったが、そこで蒙古の不意打ちを受け、自らが使用した鳥兜とりかぶと)の毒が塗られた矢を受けてしまう。蒙古は仁が生み出した毒を早くも手中に収め利用していたのであった。毒で生死の境を彷徨った彼は、ゆなに救助され奇跡的に生還する。

ゆなと再会した仁は、上県の地でゆなの古い知り合いである狩人たちの助力を得ることに成功し、厳原豊玉で共に戦った仲間たちとも再会する。

コトゥン・ハーンが上県の港町で本土侵攻の手筈を整えていることを掴んだ仁は、偵察のため、コトゥンの陣に潜入。そこで彼は、鳥兜(とりかぶと)の毒が大量に準備されているのを発見する。自分が志村城攻略に用いた方法を、コトゥンが本土侵攻に用いようとしていることを悟った仁は、必ず対馬の地で蒙古を討ち滅ぼさねばならぬと決意を固める。

コトゥンの陣の上空を飛んでいた鳥の群れの動きを観察した仁は、近日中に嵐が来ると予測し、嵐に乗じて蒙古の陣に攻め入りコトゥンを討つ作戦を立てる。仁は作戦決行に先立って志村城内に潜入し、志村宛の文を残す。その内容は、決裂しながらも共に対馬国を守るために戦う武士として、作戦への助力を要請するものであった。

嵐の到来と共に仁と仲間たちは作戦を決行。ゆなと堅二が盗み出した火矢で蒙古の船を制圧しつつ、コトゥンのもとへ切り込む。少し遅れて志村も軍勢を率いて加勢し、蒙古を追い詰める。

蒙古の陣の奥まで切り込んだ仁は、そこでコトゥンと対峙、一騎討ちとなる。金田城の時とは違い、仁はコトゥン・ハーン相手に善戦するものの、僅かな隙をついてコトゥンは仁の顔目掛けて鳥兜(とりかぶと)の毒を撒き、逃走する。

毒をやり過ごした仁はコトゥンを追撃、蒙古の船に乗り込んだところで再びコトゥンと対峙する。部下を引き連れて仁に挑むコトゥンに対し、仁も冥人としてあらゆる手段を用いて応戦する。激戦の末、仁はコトゥン・ハーンを討ち取り、その首を切り落とす。

激戦を制した仁はゆなと共に城岳寺へ帰還するが、そこで彼女から、志村から言伝があったことを知らされる。言伝に従い、青海湖畔の試合場へ向った仁は、そこで志村と再会し、境井家が武士の身分を失ったこと、それに伴い本土から新たな武家が来ることを伝えられる。故郷に別れを告げるべく、仁は志村と連れ立って境井家の墓へ向かうが、その道中、対馬における冥人の人望の高さを鎌倉が憂慮していることを志村から知らされる。

境井家の墓に参った仁は、志村と共に墓前で手を合わせる。志村は、鎌倉が仁に謀反人の烙印を押したこと、そして鎌倉から志村に境井仁の首を取るよう下知があったことを仁に伝える。志村は仁に紙を渡し、そこに辞世をしたためるよう告げる。仁は失われたものに思いを馳せて歌を詠み、志村との思い出を回想した後、愛刀を手にとり、志村との勝負に臨む。

死闘の末、仁は志村を制する。志村は仁に、誉ある最期を遂げたいと頼む。彼の命を守るか、彼の誉を守るか、仁は選択を迫られる。彼が決断を下した時、仁之道の物語は終幕となる。

追之段

  • サブタイトルは[注 2]、日本語版「追之段」、英語版「ACT IV: Reclaim Tsushima」。メインストーリーが完結した状態で始まる未完の物語。主人公は首領コトゥン・ハーンを失くした蒙古軍の残党狩りをしてゆくことになる。

登場人物

  • キャラクター名は、日本語版での名前を示した後、丸括弧内では、読みと、英語版(原語版)における名前を確認できる限りで示す。本作の場合、原語版と日本語版[7]での名称は一致しないものも多い。
  • 声優は、(英)の後に英語版担当者を、(日)の後に日本語版担当者を表記する。
  • 主人公を始めとして、英語版の担当声優は、キャラクターの3DCGの造形上のモデルにもなっている[8]

主人公

境井 仁(さかい じん|英:Jin Sakai〈成年期〉[9], Young Jin〈少年期〉[9]

声 - (英)ダイスケ・ツジ(Daisuke Tsuji。成年期・少年期ともに担当)[9] / (日)中井和哉[10](成年期)、平野潤也(少年期)[9]
主人公。主な得物は、主力の打刀[注 3]暗殺捕虜の解放時に使う小刀脇差)、遠隔攻撃用の
「戦えぬ者らを護る」ことが少年の頃からの信念であり、小茂田浜の戦いという討ち死に覚悟の戦に臨んで生き残ってしまった自分が今為すべきことも、変わらずそれであるという[11]。蒙古軍から故郷を守るため、の道に反する誉れなき卑怯な戦い方に手を染めることを決心し、冥府から蘇った者「冥人」の名の下、強大兇悪な外敵に挑む[12][13]
境井家の現当主。父・は少年時代に討死、は幼少期に病死している。志村伯父に当たり、父亡き後の自分を気に掛けて一人前の武士へと鍛え上げてくれた伯父を尊崇している。
父が賊に殺された時、直前に手助けを求められていたにも関わらず、恐怖から見殺しにしてしまった過去を持つ。自分が臆病でなければ父を護れたと考えており、ずっと後悔に苛まれている。そのため、物怖じすることへの嫌悪感は極めて強いものがあった。また、尊敬する伯父から「虚に乗ずるは臆病の印」との教えを受けていたため、敵の不意を突く戦い方に強い抵抗感を持っている。そのようなことから、物語序盤ではらしく正々堂々と戦うことに固執していたが、人質を安全に救出するために闇討ちを行わざるを得ない状況が続く。志村が囚われている金田城にようやく辿り着いた仁であったが、敵の首領コトゥン・ハーンに完敗し、伯父の志村が信条とする侍の誉れでは故郷を民を護れないという現実に直面する。これを境に、信念を曲げて「虚に乗ずる」戦い方を繰り広げることで、やがて「冥人」と呼ばれることになる苛烈な武人が誕生した。しかしそのありようは師であり伯父である志村とは何処までも相容れないものであった。
上県郡青海村かみあがたのこおり おうみのむら)に生家である境井屋形がある。
小茂田浜の戦いでは、特に親しかった友人である葛西・松戸・本郷も失っている[14]。特定の思い人はいないとのことで、少なくとも本人は心の中でそのように呟いている[14]。好物は魚と果物、それと、浅藻海苔[15]
漢字表記は日本語ローカライズスタッフにより、国境を守るという立ち位置、“武士と冥人との間(境)で揺れている”という心情から「境」の文字を選んだ。そのままでは漢字二文字でお坊さんに見えることから井の字を加え「境井」となった[16]。「仁(じん)」は当時の武家の本名である諱は、基本的にすべて訓読みであるということから本名は境井仁(さかいひとし)であり、通称が仁(じん)である”という設定がなされている[16]

主人公を取り巻く重要人物

志村(しむら|英:Lord Shimura [9]

声 - (英)エリック・ステインバーグ / (日)大塚明夫
境井仁の伯父。対馬国の地頭であり、対馬五大武家の一つである志村家当主[10][17]
得物は打刀)。紺糸威胴丸具足(伝黒田家家老小河家伝来)の兜と大鎧の兜を交ぜたような形状の、猛々しい変わり兜を愛用する。
武士もののふ)の誉れを重んじ、の道に則って戦い、その結果命を落としても名誉なこととする生粋の武人。父を亡くした若き日の仁を息子のように気に掛け、一人前の侍へと育て上げた。将来的には親子の契りを交わして志村家の跡取りとすることも考えている。
武士とは民の模範にならねばならず、故に武士としての道を守り、誉れを持つべきという信念の持ち主で、侍の道に背く非道な戦いは民を怖れさせ世を乱すだけだと、仁の冥人としての戦い方を認めず、侍の道に則った戦い方をするよう求めている。それでも、残虐非道で名誉を重んじない蒙古を最も知ることになったのは、囚われ寝返るよう言葉巧みに調略を受け続けた志村自身であり、蒙古の大軍から対馬を護るために孤軍奮闘してきた仁には冥人の戦い方しかなかったことには理解を示している。本土からの援軍が見込める戦況となり、志村家の家督を仁に譲ることも鎌倉幕府から許しが下ったからには、今からは誉れある侍の道に立ち戻れと諭す志村であった。しかしそれは、これからが運命の一戦となる蒙古との戦いを前にした仁にとって、受け入れ従ってゆけるような道ではなかった。仁は家督相続を受け入れず、冥人として最後まで蒙古と戦い抜く。志村と仁は、互いに容認しがたい道を選んだ武人として、戦後には対峙せざるを得ない立場に追い込まれていった。
仁は、親しい者には「伯父上(おじうえ)」、公には「志村殿(しむらどの)」と呼んでいる。
名前のモチーフは『七人の侍』に出演した俳優の志村喬[16]

ゆな英:Yuna [9]

声 - (英)スマリー・モンタノ / (日)水野ゆふ
ヒロインパートナー・タイプ)。
勇ましく気の強い女野盗。得物は小刀、弓。小茂田浜の戦いで負傷したを軍場(いくさば)から救出した命の恩人。
たった一人の家族である弟たかに、生き甲斐と言ってよいほど過剰な愛情を注ぎ、危ない目に遭わせることを極力嫌うさまは過保護な母親のそれである。
危険を冒してまで仁を軍場から救い出して匿ったのは、蒙古に囚われた弟を取り戻すのに力を貸してもらうためであり、弟を救い出した後は二人で本土に渡って人生をやり直すことを望んでいる。食うや食わずの暮らしに堪えながら、将来のための金を少しずつ溜めてきた。目的を叶えるためなら手段を問わない彼女は、"誉れ"を貴ぶ侍であれと薫陶する志村の対極にある存在で、ゆなと行動を共にすることは、誉れを貴びたかった仁の戦い方に大きな影響を及ぼす。仁のことを外敵を挫くべく冥府から蘇った「冥人」と呼び始め、噂を広めていったのも彼女であった。しかし皮肉にも、弟たかは冥人の勇に憧れを抱くようになり、以前の彼では考えらなかった勇気を奮い立たせて、本土へ旅立つ前に冥人こと仁の戦いへの最後の助力をしようと軽挙に走ってしまい、蒙古軍に捕まって殺害されてしまう。弟が死んだことで本土に渡る理由を無くしてしまったゆなは、仁と共に最後まで蒙古と戦い抜く決意を固める。
生まれは鑓川知行地内。子供の頃は酒乱の母親に苦しめられており、ある日、酒に酔った母が弟(当時6歳)の腕を折ったことを切っ掛けに弟と二人して家を飛び出している[注 4]。その後、黒犬と呼ばれる人売りに騙されて蝮の兄弟に売られ、地獄のような日々を送るが、しばらくしてのち、そこを脱出し、以後は野盗として生計を立てていた。このような人生を歩んできたがゆえに、他人を信用することは滅多に無い。
当時のこの地位の人物は読み書きができなかった点を考慮し、日本語ローカライズ版では文字として書かれたことがないだろう名前ということで、便宜的にひらがな表記となっている[16]

たか英:Taka [9]

声 - (英)エディ・シン / (日)山口勝平
ゆなの弟で、鍛治職人。型に嵌らない道具を創り出せる高い技量の持ち主である。直垂風の装束に鉢巻をしている。
得物は打刀鑓川の戦いとその前哨戦白兵戦に加わっている[注 5])。
たった一人の家族である姉を愛し、蒙古の人売りから救い出してくれた境井仁を心から慕っている。ゆなの言うには「虫も殺せない」ほどに気が弱く、姉とは対照的な性格をしている。小松の鍛冶場の防衛戦に際しても、手段を選ばない冥人としての境井仁の戦いぶりを目の当たりにして、思わず「お侍様の戦い方じゃない」とつぶやいてしまう彼は、大きな力を怖れてしまうか弱い者たちの代名詞として描かれた。しかし、ゆなのように強くありたいとも思っており、加えて、鑓川の戦いでの冥人こと境井仁の勇姿を見るにつけ、自らも武器を手に取って二人の戦いを助けたいと望むようになっていった。軍場(いくさば)では大して役に立たないが(『素質はある』と仁は認めているが、軍場に立たせることをゆなが頑なに嫌がっている)、鍛冶の腕前で本領を発揮し、仁のために鉤縄や「冥人の」を作成して戦いを支援することになる。また、鑓川の戦いに際しては、準備段階から武士と庶民の間を取り結ぶ重要な役割を任されて奔走している。そして、この戦に勝利して地域内の蒙古勢を押し返した後、より大規模に対馬の奪還を訴える仁の言葉にも、なお残る怯えのために二の足を踏んでしまう庶民の弱さを理解でき、彼らの背中を押すことができたのは、たかであった。
姉と二人で本土に渡る算段が付いた後、造反者の竜三を討つべく蒙古の砦に潜入しようとする仁に最後の協力を申し出るたかに対して、安全な場所から敵の注意を引き寄せる役ならばと最終的に承諾した仁であった。その後、砦に忍び込んだ仁が何時まで経っても戻らないことから、仁の言い付けに背いて砦へ向かったたかは、蒙古兵に捕まってしまう。竜三の罠に嵌って捕縛されていた仁は、たかまで捕らえられてしまったことに愕然とする。敵の首領コトゥン・ハーンは、縄を解いたたかに仁のを握らせ、仁を殺すよう迫るが、そのようなことをたかができるはずもなく、彼はコトゥンに斬り掛かってあえなく返り討ちにされる。目の前でたかを斬首された仁はゆなの苦悩を思って慟哭し、その勇敢な最期に対して後にゆなに「武士であったぞ」と賞賛した。たかの死によってゆなは本土へ渡る理由が無くなり、引き続き仁と共に対馬の戦いに身を投じる決意を固める。たかの遺作となった「冥人の鎧」は、ゆなから仁の手に渡った。

石川 定信(いしかわ さだのぶ|英:Sensei Ishikawa [9], Sadanobu Ishikawa

声 - (英)フランソワ・チャウ / (日)千葉繁
長尾忠頼の再来とも称される高名な弓取り。得物はのみ(大小は差しているが、使っている描写は無い)。したがって、完全な遠隔攻撃型。生まれ故郷は厳原郡日吉村日吉の湯が湧く山地にある山の頂上に簡素な家と弓道場名義:石川の道場;Sensei Ishikawa's Dojo)を構えつつ隠遁生活を送っている。
若き日の境井仁が父の葬儀に臨む回想シーンで初めて登場する。
対馬屈指の剛の者でありながら、小茂田浜の戦いには駆け付けなかった。玉砕も同然であった係る戦の生存者の一人である仁にとって、これは不愉快なことに違いなかったが、助力を請わんがために言葉を呑み込んでいる[注 6]。駆け付けられなかった理由として石川が言うのには、弟子に出奔され、命を狙われ、それを迎え撃つために道場で待機していたという、首を傾げざるを得ない話であった。仁と共に巴の足取りを追う石川は、巴が蒙古に寝返ったことを知る。また、石川は教えを授けながら軍場(いくさば)を共にするうち、仁を認めるようになり、斯くして境井仁は石川の新たな弟子となった。実は10年前、仁は石川に弟子入りを志願して門前払いされている。その石川がのちに取った弟子が巴であったが、理由を先生の曰く、境井仁は「有望」、巴は「神童」とのことであった。
過去の事件に心を囚われ続けている。以前は対馬五大武家の一つである長尾家で弓の指南役を務めていたが、当時の弟子である長尾博基謀反を起こしたことで指導者としての責を問われ、役を降ろされている。長らく反目し合っていた志村家配下の境井家当主である境井仁と鑓川の残存勢力が蒙古に対して共闘した鑓川の戦いの後には、石川は鑓川に入って武士や里人に武芸を指南するようになった。
若かりし頃は尊大で傲慢な性格であったと自ら語るが、齢を重ねても性格は相変わらずと仁に酷評されてしまう現在である。弓の道を究めることにのみ人生を捧げ、人とも向き合わず、子も生さなかったことを、実のところ後悔している。
「お主(おぬし)」と呼ぶ安達政子以外の大抵の人には「石川先生」と呼ばれている。

安達 政子(あだち まさこ|英:Lady Masako , Masako Adachi[9]

声 - (英)ローレン・トム / (日)安藤麻吹
安達家当主・安達晴信の妻。石川の曰く、対馬随一の女武芸者。以前は違ったであろうが、理不尽な事件が起こって以降現在の攻撃の特徴は、無謀なほどの突撃型で狂戦士[注 7]
夫である当主・晴信は小茂田浜の戦いで戦死した。という名の姉がいる。花と政子の実家は会話の中にしか出て来ず、その名も明らかでないが、武家ではないと思われる[注 8]
若き日の境井仁が父の葬儀に臨む回想シーンで初めて登場する。
小茂田浜の戦いで夫と2人の息子(長男・繁里、次男・繁成)が討死したのみならず、男衆が出払った屋形の留守居を務めていた女子供をに襲われ、息子の嫁達や姉、幼い孫たちまでもがことごとく惨殺されるという悲劇に見舞われている(仮称:安達屋形の変)。以前は優しい言葉で争いを諫めることもあったようであるが、掛け替えのない家族を安達家の血筋を護り切れなかった彼女は、復讐心から苛烈な性格に変わってしまった。彼女の心の内は家族を殺害した賊に対する恨みで煮え滾っており、それは蒙古への敵意にも増して強いものがある。男衆は軍場(いくさば)で侍として散っていったのであり、卑劣な手段で無抵抗な家族を虐殺されたのとはわけが違う。彼女のなかでは家族の意趣討ちが蒙古との戦い以上の最優先事項であり、血眼になって犯人を探している。その復讐心の強さゆえに一時は目が曇り、黄金寺の僧である純信を襲撃に加担した仇の一人と誤解して問い詰め、止めようとした仁と斬り合いになってしまう一幕もあった。しかし、復讐に協力してくれる仁には深く恩義も感じており、仁が主導する蒙古との戦いにも協力を惜しまない。鑓川の戦いの後は、石川と同じく鑓川に入って武士や里人に武芸を指南するようになった。
旧知の仲で遠慮が無いということもあるが、求道者然としていて物言いの高圧的な石川定信に対して、さらなる高みから明け透けに批判することができる強者で、何にしても、「石川先生」と「政子殿」は、武芸も人格も、いずれ劣らぬ"強キャラ"である。
政子之譚」の第5幕「母」で戦から数日後の小茂田浜を仁と共に訪れた時には、2人の息子を始めとする安達家郎党の遺体と対面し、復讐鬼とは違った母親の顔を覗かせており、縁者たちの遺体と対面する仁にも心優しい年長者としての言葉を投げ掛けている。今は亡き境井仁の母親とは知り合いで、生前には茶を楽しんだりしていた。
漢字表記は日本語ローカライズスタッフによるもので、北条政子に倣い「政子」となった[16]。この当時の女性名に「子」が付くのは朝廷から身分を与えられた等の場合のみであるが、幼き頃から男勝りな子を見て、父が「貴族の姫様のようにしとやかになるように」とふざけてつけたという設定が日本版にある[16]

竜三(りゅうぞう|英:Ryuzo [9]

声 - (英)レオナルド・ウー (Leonard Wu) / (日)多田野曜平
トリックスター。イベントボス。
幼馴染で、現在は牢人菅笠をかぶっている(種類は、深編笠の形の浪人笠[注 9])。
仁と再会した初登場時は下島の南西部に位置する豆酘(つつ)におり、菅笠衆かしら)として手下の牢人たちを飢えから救うべく奔走していた。当初は蒙古が掠奪した食料の横取りを図りながら地頭からの褒美も当てにして、兵站潰しを兼ねた仁の攪乱戦に協力していたが、食料も褒美も得られず仕舞いで終わり、竜三と菅笠衆の困窮は深まっていった。その後、大勢の菅笠衆が蒙古の捕虜になりながらも予想外の厚遇を受けたあたりから、彼らの様子はおかしくなったと思われる。なぜなら仁が次に会った時、竜三と菅笠衆は蒙古の首領コトゥン・ハーンに与していたからである。菅笠衆の食の保証を条件にコトゥンから寝返るよう誘われた竜三は、手下を飢えさせないことを第一に考え、裏切りの道を選んでしまっていた。竜三は、蒙古側に付いてからも、殺さず説き伏せるようコトゥンに提案するなど仁のことを気に掛けてはいたが、蒙古に抵抗し続けるのではなく、降伏して仲間になってしまったほうが幸せに暮らせる[注 10]などといった世迷言を口にするまでになっていた。それは、有用と見做された一部の者のみが助命され、あるいは厚遇を享受し、不要と断じられた“残り”には消耗戦で消えゆく先兵の役割か見せしめのための惨たらしい皆殺しの運命しか用意されておらず、生き残ったとしても本土の日本人との戦いの先棒を担がされる選択でしかないというのにである。
北に拠点を移すべくコトゥンが志村城を攻略しようとした時、蒙古軍を入城させるよう脅すのににした対馬の民を焼き殺すという蛮行で降伏を迫ったが、その際、コトゥンは竜三の手で火を点けるよう指図する。松明の火が民を焼く火に変わった時、竜三の引き返す道は消え失せてしまった。
菅笠衆の大半が仁とゆなに討たれた後、志村城を取り戻そうと戦う(志村城の戦い)仁の前にまたしても竜三が現れ、両者は対峙する。竜三は手を組もうと仁を誘うが拒絶され、反対に仁から投降を促されるもこれを撥ね付ける。辛い決闘の末、竜三は討たれた。
竜三と仁は、物語開始時の二夏前に長尾家の刀比べで手合わせしており、竜三はそこで己の剣技を武家に売り込んで郎党に迎えられることを目論んでいたが、仁に敗れたことにより、士官の夢は露と消えている。「あの時(仁が)手心を加えてくれていれば」などといった旨の愚痴を、出自からして恵まれている仁への複雑な思いと共に、再会した時の竜三が吐露する場面もあった。有力武家の御曹司で友人でもある仁に口利きしてもらってになる手もあったが、竜三はその道を選ばなかった。その理由を「会えなくなってしまったから」とも言っているが、それが本当の理由でないことも匂わせている。そのようなことで牢人となった竜三は、菅笠衆の当時の頭に誘われて仲間入りし、小茂田浜の戦いの際は彼らと共に参戦している。しかし、大勢いた仲間の半数を頭と共にこの戦で亡くし、抱えきれないほどの喪失感を味わっていたようである。頭が亡くなった後、その座を引き継いだ竜三は、ただただ仲間を守らんがために必死であった。本編の初登場シーンは、それから数日後の話となっている。

堅二(けんじ|英:Kenji [9]

声 - (英)ジェームズ・ヒロユキ・リャオ / (日)佐藤せつじ
酒造販売(杜氏酒売り[注 11]で生計を立てている、厳原里人職人商人)。ゆなおよびたかとは幼馴染(つまり、元々は鑓川城下あたりの里人)。本作随一の三枚目。どんな時でも三度笠を被り、柄杓ひしゃく)と小さな酒樽、むしろ)など、出先で接待に使うような商売道具を背負梯子[注 12]でしょっている。
お調子者で口が良く回り、胡散臭い商売にも手を出しているらしく、たびたびを巻き込む形で災難に見舞われる。仁と初めて顔を合わせた際は、ゆなに「島一番の"山師詐欺師)"」と紹介されてもいる。首を刎ねると脅されて酒を届けさせられていた蒙古の兵どもには、「阿呆」と馬鹿にされていた。また、堅二の浅知恵のせいで蒙古の捕囚となったあと辛くも生還した村の仲間には、「馬鹿で間抜けで呑んだくれの駄目男」などと、散々な言われ方をしている。一方で、心を入れ替えて生まれ変わり、人の役に立ちたいという思いを秘めてもおり、機転が利くところを仁に見込まれてからは、自分の荷車破城槌に改造したり武器の調達に奔走したりと、戦に直接加わりこそしないものの、積極的に協力するようになる。上述の浅知恵にしても、やり方が不味かっただけで、善意から野良仕事を手助けしてやっていた農家を蒙古兵の搾取から救ってやろうと思っての行動であった。とは言え、仁に叱責され仲間から糞味噌になじられて反省したような顔を見せても、話が終わった途端に平然と酒を呑み始めるような、懲りない男である。
たかのことはその優しさと心根の強さを尊敬していただけに、蒙古に殺されてしまったことは、堅二をして気鬱にならざるを得ない悲劇であり大きな喪失であった。以来、堅二はたかの遺志を受け継いで自身の担える役回りを精力的に果たしてゆく。武士にあるまじき所業を咎(とがとして投獄された仁に、幕府と志村に背いてでも逃げなければ次に繋がらないと訴え、仁の道を切り拓けるよう手筈を整えたのは堅二であった。
一人称は「あっし」。仁のことは「境井様」「あなた」と呼ぶ。荷車を牽く愛馬の名前は「みよ」で、蒙古兵に接収されようとした時にはまるで恋人を連れ去られるが如き悲しみようであった。序盤は何かにつけて蒙古兵の物真似を会話に入れてくる。

典雄(のりお|英:Norio [9]

声 - (英)アール・T・キム (Earl T. Kim) / (日)かぬか光明
上県郡の北西部にある杉寺で兄・円浄と共に修行を積んでいた僧兵得度を済ませていないため、本名を名乗っている。「仁之道」(メインストーリー)「破之段」の第1幕「新たなる地の果てへ」の最後の場面で初めて登場する。
襲来した蒙古との戦(小茂田浜の戦い)に参戦すべく仲間の僧兵たちと共に小茂田へ向けて南下している途中、嵐に遭って立ち往生したためにとある村で休んでいたところ、蒙古の襲撃を受けて捕虜となった。その後、蒙古の手に落ちた赤島篝火台あかしまのかがりびだい)へ送られ、暗く狭い土牢に押し込められて地獄の日々に堪えていた。金田城の戦いの後、志村境井仁は赤島の奪還にも成功し、ようやく典雄は救出された。しかし、それまでに仲間は処刑されてしまっていて、典雄一人が生き長らえていた。心に深い疵を負った典雄は仏の道と怒りとの間で葛藤しながらも、生き残った者の責任として故郷と民を蒙古から守るべく奮闘する。多くの仲間を失いながら生き残り、生き残ってしまったことを意味あるものにしようともがいているのは仁も同じであり、二人は共感し合える仲間となった。修行を積んではいても典雄はまだまだ人生の焦点が定まらない若輩であり、仁には助言してやれるところが多々あった。若者らしく血気盛んで前のめりなところも目立ち、仁から幾度となく「落ち着け」とたしなめられている。
身の丈を超える長さの薙刀を得物としており、その刃には今は亡き兄・円浄の言葉が刻まれている。典雄は兄に倣って僧兵になったと語っており、尊敬する兄のことを少しでも悪く言われた時に限っては、精神修養が足りないと思えるほどに怒りを露にする。それは、目上の僧で薬師として有名な法心が相手でも変わらない。僧兵に対して批判的な法心には、その件では日頃から悪感情を抱いており、自分の薙刀は「少ない犠牲で多くを救う」のだと、自分たちは「怨みからではなく平和を願って戦う」のだと、自らに言い聞かせるように口にする。しかしながら、若き僧が抱えてしまった怨みの感情がどれほど抑えがたいものであったかは、いざ仇を目の前にしたその時になって、典雄自らが思い知ることになる。鬼畜にふさわしい最期を百戸長ハーチュに遂げさせた後、重い苦悩を背負ったひとりの僧兵のこれからが始まる。

百合(ゆり|英:Yuriko [9]

声 - (英)カレン・ヒューイ (Karen Huie) / (日)田畑ゆり
境井仁乳母。母親が薬草の専門家で、百合もその技術を受け継いでいる[19]
若き日の仁が父の葬儀に臨む回想シーンで初めて登場する。仁が境井家前当主・を取りに故郷・青海屋形へ帰還したところで再会し、蒙古に対抗できる武器を求める仁の依頼で毒の製法を教える。仁はこれを吹き針と組み合わせて毒針攻撃に使うようになる。
高齢である百合の言動には痴呆の症状が数多く見られ、仁と先代(仁の父親)を時々取り違えて昔語りをする。仁と共に想い出の地を巡ることになると、そうこうするうちに仁をすっかり先代と思い込んで語り掛けるようになり、仁もそれに合わせて受け答えするようにした。仁は、その遣り取りを通して、幼子であった頃の自身や、厳しさが思い出される父の親としての素顔、志村の厳格さに父が意外にもやや批判的であったこと、そして、若く多感な頃の百合と妻を亡くして悲しみに暮れる先代の密やかな想い出などを知ることになる。死期を悟っていた百合は、弱った体で無理をして一族が眠る墓所まで辿り着くと、仁の隣で静かに息を引き取るのであった。

蒙古勢

蒙古兵(もうこへい)

本作の戦闘における兵種は、遠隔兵種の弓兵きゅうへい)と近接兵種で構成されており、後者は、盾兵(じゅんぺい)、剣兵(けんぺい)、槍兵(そうへい)、剛兵(ごうへい)、火器兵(仮称)などと区別されている。盾兵は刀と盾を持っている。ランク上位の盾兵は焔の剣を使ってくる。テムゲなど登場する百戸長はすべて盾兵。剣兵は刀剣だけを持っており、ランク上位は二刀流である。槍兵は長物を持っており、のほかに方天戟を得物とする者もいる。剛兵は巨躯を誇る兵士で、柄の長いなど重量のある鈍器を振り回す。火器兵はもっぱらてつはうなどの火器を使って攻撃してくる。ランク1の火器兵はてつはう専門であるが、ランク上位の兵は大筒を得物としている。

コトゥン・ハーン英:Khotun Khan [9]

声 - (英)パトリック・ギャラガー / (日)磯部勉[20][10]
最終ボス
蒙古軍を率いるモンゴル人武将。得物は大刀。架空の人物であるが、元朝皇帝クビライ従兄弟でチンギス・ハーン(チンギス・カン)の皇孫という設定である。日本語版での漢字表記は「兀云汗[21]中国語表記は「赫通汗」。
対馬侵攻を企てた首謀者[19]。降伏した者には平和を約束する一方で、逆らい続ける者には容赦なく牙を剥く、残虐な侵略者である[19]。武芸だけでなく智略にも秀でており、対馬国侵攻に先立って現地の言語・文化・習俗を学んでいたため、侍の行動原理を知悉している。しかし、志村が評すには「切れ者の獣」で「誇りなど微塵も持っていない」とのこと[22]
侍は誉を重んじるが故に、その戦い方は愚直で与しやすいと評している。実際、小茂田での戦でも先陣を切って乗り込み勝負を申し出た武士に不意に油をかけて火をつけ、驚いた所を仕留める等誉れや武士としての道を逆手に利用している様子が見て取れる。一方で冥人については、誉に囚われず凡ゆる手段を駆使する戦い振りを「底知れず、恐ろしい」と評し、警戒しているが同時に民に慕われる冥人なら民を説得できるとして、降れば有用な存在とも見ている。
占領した土地の知識、技術を吸収してきたモンゴルの軍人らしく仁の作った毒をすぐに再現し、毒矢として戦いに利用したり仁が城の蒙古軍を毒殺したことが民に広まると、対馬の民を毒殺して毒を使った冥人と結びつけることで冥人が民を毒で殺している、との噂を広めて民が仁を恐れるよう仕向けて反目させるなど、非常に狡猾である。
コトゥン・ハーンは架空の人物であるが、名前の似たモンゴル人武将クドゥン(忽敦)が実在し、文永の役において日本侵攻を指揮していた。

テムゲ英:General Temuge

声 - (日)坂口候一
中ボス。蒙古軍の百戸長兵種は盾兵。鑓川侵攻を担当する部隊の指揮官[23]。「仁之道」(メインストーリー)「破之段」で登場し、「鑓川の冥人」で直接対決することになる。
城壁を巡らせた鑓川の町包囲戦を仕掛けて降伏勧告を発し、応じないと見るや投石機を投入して猛攻撃を加え、民を容赦なく虐殺するなど、蒙古が(広くアジアで)定石としてきた戦略を忠実に履行することで、鑓川攻略を押し進めた。百戸長を務めるにふさわしい才覚を首領コトゥン・ハーンも認めており、名将と呼んでいるが、斬り刻んだ人の数を自慢する残虐非道な男である。そのようなテムゲを鑓川の戦いで討ち取った境井仁は、"冥人"として覚醒し、テムゲを討ち取られた蒙古の雑兵どもには"冥人"への怖れが植え付けられる。この戦を境にして、対馬側の抵抗は仁たちの孤独な戦いではなくなってゆく。

アルタン英:General Altan

声 - (日)江川央生
中ボス。蒙古軍の百戸長。兵種は盾兵。豊玉地方の大綱(おおつな)一帯を制圧している部隊の指揮官である[23]。「浮世草」の「ゆな之譚」で登場。
自らは姿を隠して得体の知れない怖ろしさを醸し出す一方で、民の多くを串刺しにして晒すなどといった方法で、蒙古お得意の「恐怖戦略」を推し進めている。境井仁との勝負では、「俺は平和のために人を殺す」とうそぶき、「大きな平和を実現するための小さな悲劇は避けられず、少ない犠牲で速やかに平定することがせめてもの慈悲だ。」と言わんばかりの鬼畜ぶりを露わにする。そのような自分とは違って、境井仁は、いたずらに戦いを長引かせているだけの結果的の「人殺し」にすぎない、あるいは、速やかに平定されてしまえば助かる民が出るやも知れぬものを余さず死地に追いやる「人殺し」ではないか、とまで(そういった論旨の言葉を)言い放つ。
人売りである黒犬および蝮の兄弟と手を組み、民を下人として扱っていた。蝮の兄弟と黒犬が冥人の手で立て続けに葬られたことで自ら冥人こと境井仁を討つべく姿を現し、勝負に臨む。アルタンの場合、本人が倒れた直後、取り巻きの兵たちが一斉に襲ってくる点でほかとは異なる。

浮世草の登場人物

石川之譚

(ともえ|英:Tomoe [9]

声 - (英)マイリー・ヤマモト (Miley Yamamoto) / (日)佐古真弓
弓取りとして天賦の才をもつ、年若い女。得物はのみ。幼い頃から、音に聞く石川定信の弟子をしていた。生まれは百姓(石川の曰く、母親は卯麦谷の商人の子で、父親の素性は不明)。
その才に惚れ込んだ石川によって少女の頃から弓術を伝授され、長じては跡取りになることを望まれていた。しかし、裏では師匠に隠れてと行動を共にし、金を稼いでいた。やがて悪事を知るところとなった石川は巴を成敗しようとし、それからというもの、巴は石川に恨みを抱くようになった。
石川と袂を分かった後、巴は蒙古軍に捕らえられたが、石川直伝の弓術を高く評価されて蒙古側に引き入れられ、自らの弓技を蒙古の弓兵に教授する任に就くようになる。自分を追っている石川と境井仁の動きには気付いており、彼らの前に姿を見せる際には狐面で顔を隠していた。しかし、石川と仁による弓の訓練場の破壊が幾たびも繰り返されるうちに蒙古軍の中での巴の立場は悪くなってゆき、信頼回復に努めるも、最後には捨てられてしまう。
その後の巴は、「まつ」という偽名を使いながらも、素顔で石川と仁に接触する。巴にはどこか男を惹きつける魅力があり、十分に警戒していたはずの仁でさえ、しばらく行動を共にしたことで半ば打ち解けたように女を誘う男の態度を執っている[注 13]
石川が巴を許すことなどあり得ず、仁が完全に心を許すことも無いが、卯麦谷を襲撃する蒙古勢を撃退するためには共闘するほかに無く、石川らと巴は協力し合って戦った。巴は蒙古に対して意趣返しを果たしたことになる。その直後、石川らが戦の始末に手を取られている隙に、本土へ渡る船を出し、石川らが追って来られない所まで遠ざかっていた。矢を射かけようとする石川の足元に、巴の残した文が落ちていた。そこには、これまでに受けた教えへの礼と、石川との訣別を告げる言葉が記されていた。永らく巴に心を囚われてきた石川と、石川に付き合う形から入って巴の足取りを追い続けてきた境井仁と、彼女を見送った水辺で、何も言わずにしばらく佇んでいた。
袂を分かった石川と巴であるが、弓術の探求者という点では相変わらずの同士と見えて、「先生さっき二人掛けの技を使ったでしょう」だの、「おまえは型を少し変えたな」「ここをこのように工夫してみました」「よう考えたのお」だの、卯麦谷の戦いの最中には技術談議が止まらなかった。
本土に渡ったら生き直し、京の都で小さな宿を営むのが夢であると、仁に語っている。でも習って、雅に着飾った人々から下男(げなん)に金を巻き上げさせる仕事をしたいと言っていた。

政子之譚

曽元(そうげん[24]英:Sogen [9]

声 - (英)アート・バトラー (Artt Butler) / (日)花輪英司
安達家屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に斥候として加担した安達政子にとっての仇(かたき)の一人。
黄金寺の僧でありながら流民たちを邪険に扱い、と通じてすらいる。蒙古に噂が流れ始めた昨年の秋の初めに[注 14]上県から突然やってきており、の計画した陰謀のために差し向けられたと思われる。安達政子が生き残ったことを知った曽元は焦りから尻尾を出し、と政子に跡を付けられて根城を知られ、二人に実行犯たちを全員討たれて追い詰められる。それでもなお黒幕の名は明かさず、自分たちの行いを正当化する言を吐き、激昂した政子に滅多斬りにされて死亡した。

貞夫(さだお|英:Sadao

安達家知行地である久田村(くたのむらの村長(むらおさ)。
安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に加担した犯人の一人(実行犯)。安達政子の夫・晴信から村長に任じられており、安達家襲撃は恩を仇で返す所業であった。以前から悪事を働いており、米を盗んでは飢えた民に売り捌き、久田村が凶作となって騒乱が起きた時には、を雇って抗う村人を殺させたことすらあったという卑劣漢。貞夫が米の窃盗と密売を働いていると知った政子に咎められ、逆恨みするようになった。
弟の八郎と妻のひなに対しては、一応の情はあった模様。仲間からも怖れられており、彼らの会話の中に過去の出来事として登場する「久田の皆殺し」は、下手を打ったか裏切ったかした者たちへの制裁であったらしい。
八郎が持っていた地図から、隠れ家にしていた有明の篝火台ありあけのかがりびだい)を突き止められ、政子と境井仁に仲間の賊を壊滅させられた末、政子の手で殺された。

ひな英:Hina )

貞夫の妻。
安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)の容疑者として安達政子境井仁の囚われ人となるも、夫の無実を信じているひなは、政子の厳しい尋問にも貞夫の居場所を吐かなかった。政子たちが隙を見せたのに乗じて義弟の八郎が救出に駆け付けるが、夫が潔白なら逃げる必要は無いとのことで動こうとせず、連れ戻したい八郎と揉めた挙句に悲鳴を挙げてしまい、政子たちに気付かれることを怖れた八郎が物の弾みで殺してしまった。実のところ、脱出の機会を与えたのは政子で、ひなを釣り餌にして犯人をおびき寄せて捕らえるつもりであったが、要らぬ犠牲者を出しただけであった。仁に咎め立てされた政子は、せめてものこととしてひなの墓を建てて葬っている。

八郎(はちろう|英:Hachi

貞夫の弟。流民の野営に食料を届けるふりをして、貞夫や仲間の賊に食料や文を流している子悪党。
安達政子境井仁の囚われ人となってしまった義姉ひなを取り戻そうと安達家の屋形に忍び込むが、夫の無実を信じて動こうとしないひなと揉めた挙句、ひなを殺害してしまう。目的を果たせないまま屋形から逃げ出した八郎は、出くわした蒙古兵に斬られ、致命傷を負った。政子は今際の際の八郎を問い詰めるが、最期まで兄の居場所を吐くことなく八郎は逝った。しかし、八郎の懐には貞夫の潜伏先を記した地図が遺されていた。

大村(おおむら|英:Omura

かつて安達家に出入りしていた百姓・大村の息子。
安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に加担した犯人の一人(間接正犯)。20年ほど前、父が盗みを働いた挙句に開き直る態度を見せたことで安達家を追い出されている。父が死んだ後も彼はそのことで安達家を逆恨みしている。彼自身も盗人であり、脛に傷持つ者がたむろする卯麦谷においてすら爪弾きにされている。弟である吉平の反対にも耳を貸さず、襲撃の実行犯たちに武具を流し、さらには襲撃の事実を知っていることをネタにを脅迫してすらいた。結果、報酬を受け取りに行った先で、安達政子が手を下す前に吉平ともども花の手下に殺された。

梶原(かじわら|英:Kajiwara

安達家襲撃に加担した政子の仇の一人。
かつては安達家の屋形の下男であり、有能ではあったが短気で、自分の妻と娘に暴力を振るっていた。妻子も一度は安達家に匿われたが、結局は梶原のもとに戻ってしまった。
屋形を追い出された後は漁師となり、表向きは善良に振る舞っていたが本性は変わらず、政子を逆恨みしていたところを花につけ込まれて陰謀に加わり、安達家の屋形に刺客を送る手引きをした。
仁と政子が追い詰めた時には小屋を蒙古兵に襲われ、その際に自らの手で妻子を殺めて逃げ出しており、家族に対する暴虐は仁すら怒らせた。最期は恨み言を並べ立てた末に、政子に斬り捨てられた。

(まい|英:Mai [9]

声 - (英)マイリー・ヤマモト (Miley Yamamoto)
安達家の元侍女。盗みを働いたことを晴信に咎められ、解雇された過去を持つ。政子とは深い絆で結ばれており、晴信は死罪を望んでいたところを政子が説得して暇を出すに留めていた。
政子に恨みも持ちながら未だ絆を忘れてはおらず、そこを花に文を通じてそそのかされ、襲撃後の安達家から家宝の笛を盗んだ。
最後には政子と和解し、家宝の笛を返して去った。

(はな|英:Hana

声 - (日)緑川博子
安達政子の姉で、上県本貫地をもつ池田家に嫁いでいる(池田 花)。池田家は菊池家郎党
安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)の黒幕である。襲撃のあった日に実家である安達屋形を訪れており、運悪く巻き込まれる形で賊に殺されたと思われていた。しかし実は生きており、身元不明の百姓女の遺体に自分の服を着せたうえで顔を潰すという方法で己の死を偽装していた。
花が犯行に及んだのは、ひとえに妹・政子への強い怨みが原因であり、蒙古襲来を機に復讐を実行に移したというのが真相であった。しかしそれは、政子にとってはあまりにも不条理で理不尽なものであった。
事は花も政子も乙女であった頃にまで遡る。彼女たちの一家[注 15]に襲われた際、救援に駆け付けてくれた衆の中に安達晴信がいた。花はこの若武者に一目惚れしたが、その後、晴信が妻に迎えたのは妹・政子のほうであった。当時の政子はすでに凄腕の女武芸者であり、救援を待つまでもなく刀を振るって賊を片付けてしまっていた。その勇姿に晴信が見染めたのであった。政子は花の失恋を知っていたため、傷心の姉にも幸せになってもらおうと心を砕き、評判のよい池田家当主に嫁げるよう後押しした。しかし花は、これらの成り行きと政子の善意をすべて悪意で受け止め、政子に対する怨みを一方的に募らせていたというのである。政子は想い人を自分から奪い、あまつさえ実家から遠ざけて寒さ厳しい北の地へ追いやった。嫁ぎ先の夫も酒に溺れる粗暴な男で、日々ふるわれる暴力に耐え続ける辛い人生であったという。それらの不幸をすべて政子のせいと決め付け、思いをすり替えることでなんとか生き長らえてきた、心の弱く醜い女であった。
政子のほうからすれば、意図せず姉の想い人を奪う形になったことを気にしており、優しいと評判であった池田家当主との婚姻に助力したり世話を焼いていたのである。しかし嫁ぎ先の男の正体は先述のとおりの悪人であった。良かれと思ってやったことで、全く気付かないまま姉を地獄へ送り込んでしまっていたわけであるが、世間の誰にも気付かれることなく良人の仮面をかぶっている悪人を見抜けなかったからおまえが元凶だと責められるのは、政子としては辛い。そしてなんと言っても、それが安達家の人々を皆殺しにする動機であるなど、とうてい受け容れられる道理が無かった。
なお、池田家当主が花について記した文によれば、「冬に暖房代わりに抱くくらいしか使えない」「それも酒を飲まねば抱くことなどできない」「跡継ぎも産まない役立たず」と酷評されており、夫婦仲は最悪であったと見られる。
怨みつらみに明け暮れた花の人生は、菊池家の屋形にいたところを政子と境井仁に踏み込まれたことで最期を迎える。花を追い詰めた政子は、叩き斬ってきたそれまでの仇どもとは違い、自決するよう短刀を手渡して促した。花は、妹への呪いの言葉を吐いた後、自刃して果てた。
政子が生き残ったせいで安達家屋形を奪い損ねた花は、主家である菊池家の戦える者が小茂田浜の戦いで全員が討ち死にしてしまったことをよいことに、それならばと菊池屋形を乗っ取ってしまい、偽装目的で流民を仮住まいにしていた。

ゆな之譚

いち英:Ichi

豊玉地方の大綱宿屋を切り盛りしている女。第1幕「ゆな之譚」と第4幕「意趣返し」に登場する。
ゆなたかと同じ時期に蝮の兄弟下人として扱き使われていた、少し年上の姉的存在であった。ゆなは、いちから生きる術を教わったと言う。
三兄弟の集落を脱出できたのはいちが提案したからであったが、3人で逃げようとしていた時、ゆなは、後ろを走るいちがつまづいて悲鳴を挙げたのに振り返らずに走り去っていた。それ以来、ゆなは、いちを見殺しにしたも同然だと自分を責めており、また、いちのほうもゆなを許してはいなかった。
今は蒙古の百戸長アルタンの部隊に大綱一円が占領されてしまっており、民は彼らに逆らえない状況にある。とは言え、人売りどもを退治してアルタンの釣り餌にするという案を出したのは、いちであった。境井仁とゆなが人売りどもとアルタンを討伐した後、一応は労いの言葉を吐くいちであったが、最後まで二人には否定的態度を変えることなく、冥人の戦い方についても、「次に殺されるのは自分の番かも知れないと思っている奴だっている」と辛辣な一言を残して去ってゆく。仁にしてみれば、冥人の戦いの真意をどうしても分かってくれず、いたずらに怖れたり恨みに思ったりする人々が出てきてしまうことは覚悟していても、その現実を真正面から見せられた形になった。また、人売りどもを成敗してアルタンの釣り餌にした一件の後だけに、知らず知らずのうちに外道に堕ちてはいないかと心配になり、改めて己を見詰め直す機会になった。ゆなの励まし方は、「外道に堕ちてても、あんたには正義がある」というものであった。

蝮の兄弟(まむしのきょうだい|英:Mamushi brothers

人売りの三兄弟。吉蔵(きちぞう|英:Kichizo [25])、万蔵(まんぞう|英:Manzo [25])、太蔵(たいぞう|英:Taizo [25])。第2幕「穏やかな死」で登場。
扱き使っている下人たちに残虐の限りを尽くしている。鑓川の町から逃げてきた直後の幼いころのゆなたかも、かくまってもらえると信じてやってきた大綱で彼らに騙されて捕らえられており、理不尽な仕打ちによって虫けらのように殺されていった人々を目にし、自分たちも酷く虐げられていた。そのせいでゆな達は三兄弟の根城である集落に近付けないほどの心的外傷(トラウマ)を植え付けられている。ゆなは、吉蔵からは暴力を振るわれ、万蔵と太蔵についてはそれぞれ「臭い息」と「手付き」を悪い思い出として挙げているので、いかがわしいことをされていたと察しが付く。
昔から変わらず、大綱の近くにある集落を根城にしており、境井仁が「まるで砦だ」と言うほど用心深く壁を巡らせて、中で行われていることを覆い隠している。しかも今では蒙古の百戸長アルタンの手下になっており、根城には蒙古の守衛が常駐していた。逃亡を図った者の死骸を串刺しにして根城の周辺一帯に晒しておくなど、蒙古流の残酷な見せしめの方法も彼らは憶えてしまっていた。日ごろ強気なゆなも、記憶の中で地獄そのものであった根城の中にはどうして踏み込めなかった。そこで、さらなる悪事を企てている彼らのことを冥人の手で成敗してくれるよう、ゆなは仁に請い願う。これまで重ねてきた悪行に見合った最期を彼らに迎えさせてやってくれと、絞り出すように震える声で彼女は言った。三兄弟の所業に比べればあまりに慈悲深い突然の死であったが、闇に乗じた冥人の技で三兄弟は次々と屠られてゆく。そしてその後、アルタンを釣り出す餌とすべく3つの生首はまとめて串刺しにされ、蒙古の者どもの前に晒された。

黒犬(くろいぬ|英:The Black Wolf

昔から蝮の兄弟と手を組んで人売りをやってきた悪漢。路頭に迷っていた幼い頃のゆなたかを騙して捕らえ、下人として扱き使う怖ろしい蝮の兄弟に売り付けた者。第3幕「黒犬」で登場。
見るからに良い身なりをした、裏社会の長者というような雰囲気を持つ。
三兄弟と同様、今では蒙古の百戸長アルタンの手下になっている。今は大綱より西へ進んだ先にある入り江近くに設けられた蒙古の野営地にいる。蝮の兄弟が冥人に始末されたと知った黒犬は、船で逃走を図る。しかし、冥人こと境井仁ゆなに追い付かれ、詰め寄られる。窮した黒犬は、ゆなが心の奥に仕舞い込んでいた弟たかへの負い目を口にすることで、逃れる隙を見付けようとする。ゆなはそれに構わず、報復の刃で黒犬を貫いた。ややあって、ゆなは黒犬が最後に発した言葉の意味を打ち明ける。攫われようとしていた時に、弟が先に眠らされ、自分はまだ起きていて抗うことができたのに、黒犬が怖くて動かれず、ただ見ているしかなかったということであった。仁は、黒犬を成敗したことで、その時のたかのような護られるべき子を救うことができたはずだと、寄り添う言葉を口にし、ゆなを慰めた。

典雄之譚

円浄(えんじょう|英:Enjo

典雄の兄。杉寺僧兵で、同寺の守り手を務めていた。境井仁も以前から知っている人物で、彼は円浄を「猛き僧」と評している。
典雄によれば、仲間の僧兵たちと共に蒙古に囚われていた時、典雄が処刑されそうになったの庇い、弟に代わって処刑されたという。しかし実は生きており、蒙古占領下の杉寺で拷問を受けて四肢を切り落とされた姿で発見される。その後、典雄の身の安全と引き換えに、法心という優れた薬師がいることや杉寺の情報を蒙古に流していたことを告白し、殺して欲しいと典雄に頼んだ後、頼みを受け容れた弟の手によってこの世を去る。
円浄は住職の黄明を父親のように慕っていた。典雄は兄・円浄に倣って僧兵になったと言う。

法心(ほうしん|英:Hochi

声 - (日)佐々木睦
杉寺にして、赤島随一の薬師でもある。
暴力を嫌い、武具を持つことすら否定するため、僧兵である円浄典雄らとは意見を異にしており、やや折り合いの悪いところもある。特に、精神修養の足りていない典雄などは、蒙古に捕まった法心が口さがない態度で敵兵の怒りを買って殺されてはいまいかと心配してみせるが、漏れ出ているのは法心に対する彼自身の感情である。
薬師としての腕前と志は高く、佐渡国時疫のあった際には、見捨てられた病人たちを進んで手当てした。また、苦しむ者ならば敵すら救うことを厭わない。
赤島にいたところを名高い薬師と知って探していた蒙古に捕らえられた法心は、占領下の杉寺へ連行されようとしていたが、典雄と境井仁が追い付いて彼を救出した。杉寺の僧たちがまだ健在と信じている法心は、蒙古兵だけでなく彼らを治療するためにも杉寺へ行くべきと考え、大人しく捕らえられていた。結局、法心は赤島へ戻ることになったが、蒙古は部隊を整えて再び赤島に迫ってきた。あくまで非暴力を旨とする法心は金田城まで退くべきと主張するが、典雄と仁は首を縦に振らなかった。それならばと、法心も退く道は選ばず、赤島の村に留まって薬師の役目を果たすことになった。村の民を護りつつ蒙古勢を迎え撃つ戦いが始まる。典雄と法心が民と共に寺に籠り、仁が外で戦っていたが、仁が食い止めていた兵たちとは別の部隊が寺を襲った。典雄は果敢に戦ったものの、法心は敵に後ろを取られた典雄を庇って身を投げ出し、矢を受けて落命してしまった。その勇敢さは、仁をして「お主らは並の武士より勇ましい」と言わしめるものであった。

黄明(こうめい)

杉寺住職。機知に富んだ知恵者で人格者。「浮世草」の「典雄之譚」第5幕「血濡れの経典」に登場。
かつて僧たちの間で大きな諍いがあった際には、自らが姿を隠すことで双方に反省の時を与え、矛を収めさせている。僧兵の円浄と非暴力を旨とする法心が口喧嘩をした時には、黄明は昼夜を問わず石に怒鳴って見せて諭し、二人は己を恥じて仲直りしたという。そのようなことから、蒙古に捕まっても連中を巧く丸め込むのではないかと、救出を図る典雄境井仁は一縷の望みを抱いていた。
豊玉一帯にはびこる蒙古に抗うため、櫛寺での抵抗戦に加勢に出ていたが、典雄と境井仁が駆け付ける前に防衛線は破られ、櫛寺の僧たちと同様、黄明も敗走を余儀なくされていた。典雄と仁は蒙古に追われる黄明の行方を探りながら抵抗戦を続けたが、生きながら焼き殺されたと思しき僧の無残な遺体を見付けるなど、悪い予感しかしなかった。結果として、典雄たちは蒙古の追手に先んじることができず、黄明を殺害されてしまう。黄明はしかし、遺される者たちを思って事切れる前に自らの血で法華経の文言を巻物に記していた。僧たちの心の支えであった黄明は亡くなったが、最後の言葉は、挫けることなく為すべきことに精進する力を改めて授けることになった。

傳承の登場人物

傳承」は「伝承」の旧字体表記で、琵琶法師が伝承する数々の物語を核として展開するの名称である。英語版(原語版)では "Mythic Tales"。

琵琶法師(びわほうし|英:Yamato

声 - (日)羽佐間道夫
年老いた一人の琵琶法師であり、対馬国の伝承を担っている。英語版(原語版)では個人名を "Yamato" と名乗る音楽家というキャラクター設定になっている一方で、日本語版では職種名のほうが用いられ、個人名は無い。彼が口伝する物語を追うことで、強力な武具や技能を習得できる。主人公・境井仁は行く先々で琵琶法師と再会することになるが、琵琶法師はそのわけを「お互い、民が求める地へ行くようで。」と説明している。
盲目である琵琶法師は、実際を反映して移動する動きが鈍い。
  • 長尾 忠頼(ながお ただより|英:Tadayori Nagano
琵琶法師が語り伝える武士。一幕「忠頼の伝説」に登場する、伝説英雄
幾百年かの昔、高名な弓取りを数多輩出してきた長尾家の人で、対馬にその名を馳せる忠頼公は、弓矢八幡(ゆみやはちまん)の覚えもめでたく弓取りの装束を賜るほどの傑物であった。浅藻浦の民を海賊どもが皆殺しにしようとした時、忠頼公はただ一人これを迎え撃ち、矢でことごとくを討ち滅ぼした。なかには斬り掛かってくる者もあったが、八幡神の装束が賊の刃を通すことは無かったという。忠頼公が身罷られた後、公の装束は行方知れずとなってしまったが、末裔が隠し持ち、対馬を守る強者の訪ね来るを待っているという。公にゆかりの「紫の冠」という地名が言い伝えられており、そこは浅藻の北にあって忠頼公が好んだ紫色のの花が咲き乱れているとのことである。
手掛かりを握っている末裔というのは、公ゆかりの庵(忠頼の庵)で暮らす、その人であった。
  • 内経(うちつね|英:Uchitsune
琵琶法師が語り伝える武士。一幕「内経の呪い」に登場する、伝説の英雄。
その昔、随一の弓取りと謳われた、本土の弓の達人である。翼もつ悪霊が現れたとき、退治するよう内裏より命じられた内経は、見事これを討ち果たすも、消え失せる間際の悪霊から、人が悪霊に見えてしまう呪いをかけられてしまう。呪われた内経は目の前の悪霊を次々に射殺していったが、それらの正体はみな人であった。大勢の人を殺めてしまった内経はその咎(とがで死罪になるはずであったが、みかど)の恩情で死一等を減じられ、対馬へ島流しとなった。内経の死後も遺された弓は、再び悪鬼の現れた時に手にする者を待っているとも、手にする者を呪うとも言い伝えられている。
この「内経の長弓うちつねのちょうきゅう)」を、今は天狗が守っている。
  • 茂範(しげのり|英:Shigenori
琵琶法師が語り伝える武士。一幕「迅きこと雷の如し」に登場する、伝説の英雄。
対馬に人が移り住むようになった頃の話、異様ないかづち)と大風(おおかぜ)が島を襲った。やがて雷を受けた土からの姿をした邪悪なる3匹の雷の妖怪英:lightning beasts)が現れ出ると、里にて暴れ回り、破壊の限りを尽くすようになった。その者らはあまりにも素早く、常人には到底防ぐことができなかったため、対馬第一の早業の武者と謳われた剣豪・茂範が人々をして唯一の頼みとなった。茂範が繰り出す奥義「紫電一閃(英:Heavenly Strike [26])」は、何人も見ることができない早業の剣技であった。ただ一人で妖怪どもに立ち向かう茂範は、小松ヶ浜へおびき寄せ、砂に足を取られて動きを鈍らせた彼らと渡り合う。闘いは砂が灰になるほどに激しいものであったが、勝機を見出した茂範は紫電一閃を繰り出し、妖怪どもを一息に撫で斬りにした。最後の1匹は爆ぜるようにして果てた。妖怪どもが退治されると、雨雲は捌けて青空が戻り、島には何事も無かったかのような穏やかな日々が訪れた。その後の茂範は隠遁して人と会うことも稀となったが、類いの無い武勇と技を示す者にのみ紫電一閃の奥義を伝えたという。大風の再び来る時、刀を茂範の庵に捧げよ。秘伝の奥義は子孫が手掛かりを握っている。
  • 鑓川 時頼(やりかわ ときより|英:Tokiasa Yarikawa
琵琶法師が語り伝える武士。一幕「復讐の化身」に登場する、伝説の主人公。
今は亡き鑓川家当主。対馬無類の剣士を代々輩出してきた鑓川家でも歴代屈指の剣豪であった。15年前[27]、旧領を取り戻そうと地頭志村家に対して謀反を起こし、志村家に多大な犠牲者を出したが、志村配下の境井家当主・境井正(あるいは、境井家郎党)によって討ち取られている。
志村家と鑓川家が対立する原因を作った人物であるが、死後も民からは慕われ続けており、敵討の願掛けをすると叶えてくれるともいわれている。鑓川家惣領にのみ伝えられる秘儀「憤怒の舞(ふんぬのまい)」は如何なる守りも貫く剣術で、時頼は第一の達人といわれた。当世では「鑓川の怨霊」と名乗る者が「憤怒の舞」で鑓川の民を護りつつ志村家と境井家への復讐の時を窺っている。
  • 吾作(ごさく|英:Gosaku
琵琶法師が語り伝える人物。一幕「吾作の伝説」に登場する、伝説の英雄。
二百年と五十年の昔を生きていた[注 16]赤島百姓。吾作が生きていた頃、賊が徒党を組んで赤島一帯を荒らし回っていた。その時分、赤島の名も無き百姓であった吾作は、武士(もののふ)の亡霊の声を聞き、武士の骸(むくろが造りの見事な大鎧を身に着けているのを見付けた。あまりの麗しさに惹かれてそれを掠め取った吾作であったが、ややあって彼の家にも赤島の賊が攻め寄せてきた。黙って全てを奪われるのを由としなかった吾作は、大鎧を身に纏い、抗おうとしたものの、そこは百姓の悲しさで、いざとなると怖ろしさにすくみ上って身動きが執れなくなってしまった。すると、吾作の勇を憐れんでか、大鎧に憑きし武士の霊が百姓の身に乗り移り、斯くして怖れ知らずの武人と化した吾作は賊どもを一網打尽にしてしまった。吾作の死後、一円の村々の者たちは大鎧を秘蔵して錠前を掛け、青井・飯島・久田(くた)・小清水・大浜・矢形(やがた)の6か村が鍵を1本ずつ持ち合って堅く守ることにした。対馬に再び外寇のある今、吾作の霊が大鎧の使い手を赤島の丘で待っているという。

その他の人物

境井 正(さかい ただし[28]英:Kazumasa Sakai

声 - (日)隈本吉成
境井家の先代当主で、境井仁の父。
15年前に起こった[27]鑓川の乱では、境井正(あるいは、境井家郎党)が、首謀者である鑓川時頼を討伐している。
彼が当主であった頃の対馬はが蔓延っており、そこに武士が正義と秩序をもたらしたと、仁はゆなに語り、「(そのとき)我が父も平和のために命を捨てた」と言っている[29]。また、志村は正の死について、武士(もののふ)が息子を護るために戦って死んだのだから無念は無いと言っている。仁にとって父親の死に際しての自身の行動は、悔恨の情を拭いきれない辛い思い出になっている。

境井仁の母(さかいじん の はは|英:Lady Sakai

境井正の妻で、仁の母。志村の妹。
夫・正が討死するよりかなり前、仁が幼少の頃に病気で亡くなっている。正が仁の乳母である百合と恋仲になるのは、当然その後の話。
本作では黄金色の導き鳥がたびたび出現して探索ポイントの案内をするが、仁はそれを亡き母の導きと捉えている(ゲームシステムの紹介をそのような物語上の描写で説明している)。

純信(じゅんしん|英:Junshin

声 - (日)根本泰彦
メインストーリーのクリア条件付きキャラクター。
黄金寺住職。寺に流民たちを受け入れて助けており、この寺のほかにも有明の野営の取りまとめ役も務めている。
善良な男であるが、曽元八郎梶原の正体は見抜けずにいた。さらには、彼を利用しようとが来訪したため、一度は安達政子安達屋形襲撃への関与を疑われる不運に見舞われた。

安達 晴信(あだち はるのぶ|英:Harunobu Adachi

声 - (英)フョードル・チン英語版 / (日)花輪英司
安達家当主であり、安達政子の夫。導入部で「彼(か)の安達義信が五代の末裔」と名乗っている。
対馬武士団の武将として小茂田浜の戦いに2人の息子(長男は繁里〈しげさと〉といい、『安達家の鎧』の元の持ち主。次男は繁成〈しげなり)とともに出陣している。大将・志村の命を受けて単騎で蒙古の陣営に赴いた晴信は、誉れを尊び武士の道を守る戦いとして蒙古の武将に一騎討ちを申し込むが、蒙古の首領コトゥン・ハーンは大将以外の武将には敬意を示さない様子で、晴信に対して一言も無く、非道にもいきなり鎧の上から体に油を掛け、松明の火を投げ付けた。虚を突かれて火達磨になった晴信は一太刀で討ち取られてしまう。

菅笠衆(すげがさしゅう|英:Straw Hats

菅笠を被った牢人の集団。得物は打刀)。
小茂田浜の戦いに参加し、対馬武士団と共に蒙古軍に立ち向かうものの敗北。当時の頭と仲間の半数を失うという痛手を被る。その後は竜三が頭の座を引き継ぐが、深刻な食料不足に悩まされており、厳原で蒙古軍の輸送部隊を襲い、物資を奪って糊口を凌ぐ日々を送っていた。竜三の手引きで一度は境井仁と共闘して蒙古の陣営を襲撃した菅笠衆であったが、竜三が菅笠衆の食の保証を条件に蒙古側へ寝返ったことで、破之段以降は対馬の敵に成り果て、民を襲うまでになった。その後、高野山砦の戦いで構成員のほとんどを失い、さらに志村城で頭の竜三が仁に討たれたことで集団は壊滅する。
菅笠衆とう集団が壊滅した後も、個々の牢人は各地で暗躍しており、フィールド上で出遭って戦うことになる。彼らは他のや蒙古兵と違って仁の顔を知っているため、出遭った時には「あいつだ!間違いない!」などと言って斬り掛かってくる。とつるんでいる者や、少人数で徒党を組んでいる者がいる。

鑓川 氏政(やりかわ うじまさ|英:Ujimasa

声 - (日)柴本浩行
鑓川の乱を起こした時頼の末の息子。鑓川家が今も武門として残されていれば当主の座にあった人で、鑓川の里長という立場にある。「鑓川長者」とも呼ばれている[30]。武家としての地位を失った後も、鑓川の地を裏で牛耳っている。「破之段」の「鑓川の壁」で初めて登場し、「鑓川の冥人」の時点でほぼモブキャラクター化している。
鑓川城下が蒙古軍のテムゲ部隊に包囲され、降伏するか逆らって地獄を見るかの二者択一を迫られる事態になっても尚、「(城下の)守りは破られることはないし、蒙古は本土を目標にしているからいずれ去る。」と意に介さぬばかりか、「(境井殿は鑓川を)蒙古の餌としたいのだろう」などと言って、境井仁からの助力の申し出も拒んだ。鑓川清親なる縁戚の者からの「他の有力武家と蒙古の潰し合いに乗じて、再び豊玉に号令して挙兵し、対馬一国に覇を唱える好機」との愚見を真に受けてもいた[30]冥人として蒙古と戦う境井仁への賛同が鑓川の武士や里人の中で篤いものとなるに連れて、氏政は立場を失くしていき、冥人こと境井仁が主導して鑓川勢が決起した鑓川の戦いでは一人の参戦者になってしまっていた[注 17]

大黒(だいこく|英:Daikoku

声 - (日)志賀麻登佳
鑓川氏政配下の武士で、凄腕の弓取り。得物は弓。頭は丸坊主
蒙古のテムゲ部隊に包囲されながら楽観的すぎる鑓川氏政に背いて鑓川城下の外に出て戦っている弓取りが幾人もおり、大黒はそのうちの一人。「破之段」の「鑓川の臆病者」で初めて登場し、その後はモブキャラクター化する。
境井仁ら(仁、ゆなたか)は、目の前の人質奪還作戦への加勢を大黒から請われて共闘し、局地戦に勝利した。大黒は、冥人こと境井仁の戦いぶりに感服して「稀に見る剛の者」と絶賛し、彼の側からテムゲの囲いを破る戦への助力を請うてきた。全ては鑓川氏政次第という仁の返しに、大黒は執り成しを約束してくれた。鑓川勢が冥人(境井仁)と共闘してテムゲ部隊を押し返した鑓川の戦いでは、鑓川勢の代表的な立ち位置で参戦している。その後の鑓川勢は蒙古に対する抵抗戦に積極的に参加してゆくため、大黒もそこに加わっている。

男鹿 定宗(おが さだむね|英:Sadamune Oga

鎌倉殿に側仕えする御家人である男鹿家当主。対馬国地頭志村の援軍要請を受けて鎌倉幕府から派遣された援兵部隊を率いる武士。「破之段」の「對馬の行く末」で初めて登場する。
当初は境井仁にも丁重に接し、我らが援軍として加わったからには誉れある戦い方をと忠告しながらも、冥人の戦い方は蒙古を打ち破るためのやむを得ない選択肢で、勝利を収めるまでの間の手段だという仁の考えに理解を示していた。しかし、志村城を取り戻す戦いの最中に単身城の奥深くまで忍び込み、蒙古兵の飲む酒に毒を仕込んで大量に殺害した冥人の所業を知るに到っては、志村や本土の他の侍たちと同様、武士としてあるまじき、受け容れがたい行いとの、大変に厳しい評価に変わっていた。蒙古の大軍に対して寡兵で持ちこたえてきたことへの一定の評価はし続けているが、もはや冥人こと境井仁への軽蔑の念のほうが大きくなった。そのようなことでは、たとえ勝利を収めたとしても、まともでは生きて行かれない国が残ってしまうだけだということである。男鹿と言葉を交わす百姓らにしても、志村が兼ねてより危惧していたとおりの、蒙古の向こうを張るが如き残虐な冥人への怖れが徐々に広まりつつあった。また、城を攻略しながら蒙古の首領コトゥン・ハーンを討ち損ねて逃走を許したうえに、家督を継がせるはずの甥っ子の手綱も握れないのかと、志村をも侮るようになった。男鹿配下の侍も、志村の指揮する正面突破の消耗戦を嫌厭している。定宗は、このまま挽回できないようなら、我が男鹿家が志村家に替わって指揮を執り、戦を終わらせてもよいとまで嘯いている。

五郎(ごろう|英:Goro

声 - (日)渡辺穣
卯麦谷で暮らす呑んだくれの悪人ながら、海をよく知る腕の良い船頭でもある。
禁制の唐からぎぬ)を売買した咎(とがで捕らえられた折に温情で放免されたことから地頭・志村に借りがありながら、小茂田浜の戦いで志村が死ななかったために借りがチャラにならなかったと惜しむようなことを言うクズであるが、恩を返せと境井仁に迫られ、蒙古の裏を掻いて志村のために本土の鎌倉幕府への援軍要請の解文げぶみ)を託した船を出すことになる。志村は「あやつほど海を知る者はおらん」と評している。志村と直々に会えば会ったで、実は五郎もそれなりの恩義は感じていたようで、厳しい戦いの中に身を置く志村を心配して見せる。赤島の三戸岳砦(みとだけとりで)近くから出航する五郎の船を蒙古の船団が阻もうとする戦局では、鹵獲した火槍を仁が存分に活用して蒙古船を攻撃し、敵の囲いを破って五郎のための航路を抉じ開ける。

動植物

特定の馬はプレイヤーキャラクターの愛馬}として用意されており、毛色と名前はそれぞれに3つか4つの中から選ぶことができる。愛馬は、オープンワールドの範囲内なら何時でも何処でも呼び出せる。
全身黒ずくめの大型犬が蒙古軍の軍用犬として登場し、兵士と同じように主人公たちに攻撃してくる。嗅覚に優れており、蒙古兵より先にプレイヤーキャラクターの居場所を嗅ぎ付けて襲ってくる[19]
空から監視しており、主人公を見付けると啼いて近くの兵に報せる[19]
黄金色の鳥
様々な探索ポイントへの案内役としてフィールド上で頻繁に出現する小鳥。ゲームプレイ中に主人公・境井仁を60秒から90秒ほど放置していると、この鳥が掌に舞い降りてくれることがあり、開発者によれば、これは待機モーション中にプログラム再生される非常に珍しいモーションとのことである[31]
探索ポイントとしてフィールド内に点在する稲荷の祠へと主人公を導く。
フィールド上に棲息しているほか、蒙古が陣営や船内で檻に飼っていることがある。本作に登場する動物の中で最も大きな攻撃力を誇る。
フィールド上に棲息している。作中では「猪(しし)」と呼んでいる[32]。猪も人間を攻撃してくる。
鹿
フィールド上に棲息しており、狩ることができる。
巣を攻撃することで蜂を刺激することになり攻撃される。

用語

冥人

主人公・境井仁二つ名。蒙古を討つべく冥府より蘇りし伝説の武者と語られる。元々は、仁の相棒であるゆなが、蒙古から解放した村の里人に向けて思い付きで口走ったものであったが、仁が各地を解放するなど活躍するに連れてが広まり、対馬の住人だけでなく、本土の武士や、蒙古の首領コトゥン・ハーンと百戸長たち、果ては蒙古の雑兵にまで認知されるようになっていった。対馬の民の多くからは蒙古に打ち勝つ希望として支持されるが、蒙古顔負けの非道な戦術に怖れを抱く者の声も聞かれるようになる。
闇討ち毒殺という武士の道に背く戦術を執るがゆえに、誉れを旨とする武士は嫌悪蔑みの念を本音として隠し持っている。が「物の怪のごとき背の丈」と聞いていたり、丈志が「山より大きい」と耳にしていたりと、噂は尾ひれを付けて広まっている。

一騎討ち

本作では、対一の状態で対峙したのち、決闘の状態に移行する。

本作は、日本刀剣術を攻撃手段の要とした戦闘システムを採用しており、剣術には「型」という概念が存在する。

誘い風

本作ではの向きがフィールド上のナビゲーションとして機能する。主人公・境井仁はそれを亡き父の導きと捉えている。
視覚表現としては、白いが幾筋もの帯になって一定方向へ移流するという形を採用している。開発者は、より分かりやい矢印による表現も検討したが、世界観を壊さない現在のシステムを採用した。開発者は、元寇の際に嵐が元軍に大きな打撃を与えたという伝説をモチーフにしつつ[33]黒澤映画で風を使った巧みな演出がされていることにも触発され[33]、この発想に到ったと語っている。

鉄炮

古式の手榴弾である震天雷英語版cf. zh)のこと。蒙古軍の火器であるが、本作では反対に主人公が使う蒙古由来の武器になっている。
史実については「元寇#てつはう」と「鉄砲#てつはう」を参照のこと。

大筒

本作では、もっぱら蒙古軍が用いる。火器の担当で体格の大きな兵士(ランク上位の火器兵)が手持ちの火器として使ってくるほか、軍船の側面には大砲のように数多くの大筒が設置されている。日本人の側が使う場面は無い。

火槍

本作の蒙古軍が用いる、極めて強力な火器。速射可能な多段式・自動装填式であるうえに、火力と有効射程が優れた投射武器である。

武家

志村家

対馬国随一の威勢を誇る武家であり、鎌倉殿国御家人、すなわち、対馬国で唯一の鎌倉将軍の家柄。対馬の国御家人役の立場にあり、すなわち、鎌倉殿より地頭(徴税・警察・裁判の責任者)を任ぜられている。
当主は最重要人物の一人であるが、個人名は明かされておらず(あるいは、設定されておらず)、ただ「志村」とだけ呼ばれている。

境井家

志村家以外の有力武家と同様、非御家人の一族。すなわち、鎌倉殿(鎌倉幕府の棟梁)に仕えているわけではなく、本領や本宅を幕府から安堵されてもいない武家の一つ。
先代当主は境井正。現当主は先代の子で主人公の境井仁。境井家の墓には先祖七代が眠ると志村が語っていることから、仁は八代目に当たると推定できる。

安達家

現当主は小茂田浜の戦いで蒙古の首領コトゥン・ハーンに惨殺された安達晴信。2人の息子(繁里と繁成)もこの戦で討死した。同じ頃、自領の屋形も賊の襲撃を受けており、安達政子を除く全員が殺害されてしまった。

長尾家

赤子の時分から弓術の鍛錬を始めるという一族で[34]、弓の名手を大勢輩出することで知られる。

菊池家

対馬五大武家の一つに数えられていたが、安達家と同様、戦える者は小茂田浜の戦いで全員が討ち死にしてしまった[注 18]

鑓川家

かつて対馬国に存在した武家。精強な兵を抱える有力な武家であったが、時頼の代に志村家に対して謀反を起こし、成敗された。武家としての鑓川家は解体されたものの、地元では今なお強い影響力を有している。

池田家

上県に本領を有する武家の一族で、菊池家郎党安達政子の姉である(池田花)の嫁ぎ先。

男鹿家

鎌倉殿に側仕えする御家人の一族。本領は本州にある。当主は男鹿定宗。対馬国地頭志村の援軍要請を受けて鎌倉幕府から派遣された援兵部隊を構成する。

舞台

鎌倉時代後期の対馬島全土を再現したオープンワールドが、本作の舞台である。島内の地形は本作独自のものであるが、島の形は実際の対馬島とおおよそ同じ。また、実在する地名も多数登場する。

日本の令制国の一つで、対馬島を主島とする。作中のタイトルなどデザインされた場面では「對馬國」と旧字体表記されている。

対馬国の主島。ただし「対馬島」という名称は作中では用いられず、「対馬」が「対馬国」と「対馬島」の両方の意味で用いられている。陸続きになっている上島(かみしま)と下島(しもしま)からなる。物語は下島から始まり、進展するに連れて上島にも行けるようになる。

厳原

下島の中東部を形成する地域。厳原郡いづはらのこおり)が敷かれている。"序章"と「守之段」の舞台であり、本作で最初に探索できる地域。豊玉との境に金田城があり、この城を蒙古軍から取り戻すのが最初の目標となる。

豊玉

上島の南部にある一地域。「破之段」の舞台であり、「守之段」クリア後に探索できるようになる。
志村家の居城である志村城や、境井家屋形もこの地域にある。蒙古軍から志村城を取り戻すのが「破之段」の目標となる。

上県

上島の北部にある一地域。上県郡かみあがたのこおり)が敷かれている。「離之段」の舞台であり、「破之段」クリア後に探索できるようになる。蒙古軍の本土進攻を阻止し、首領のコトゥン・ハーンを討つのが「離之段」の目標となる。

上県郡に所在する村で、主人公・境井仁の生家である境井屋形もここにある。

小茂田浜

本作の導入部で展開される「小茂田浜の戦い」の軍場(いくさば)となった海浜。

小茂田村

小茂田浜の近くにある村。小茂田浜の戦いで倒れた主人公・仁は、ゆなによって救い出されてこの村に運び込まれていた。

金田城

本作の最終ボスである敵将コトゥン・ハーンが居城としている。

志村城

対馬の北と南(上島と下島)を結ぶ要衝に築かれた城[19]。この城を制した者が対馬を制すといわれている[19]
志村家が先祖代々本拠としてきた城で、地頭・志村の居城。

鑓川

精強な兵を抱える旧鑓川家本貫であった地。豊玉地方に属す。

開発

対馬国が元軍に侵略され、わずか80騎の武士団が対抗した史実を基に、サムライをテーマにした作品が製作したかったこと、この時代に焦点を当てた作品が珍しく競合が少ないことから開発がすすめられた[35]。史実を基にしているが登場人物や詳細な物語はフィクションであり、そこに伝承や後世語り継がれている当時の出来事を紐づけて時代背景を描いている[35]。例としてオープンマップとして使用された当時の対馬国も、そのまま使用するとひたすら森と山の中になってしまい、忠実性よりもゲームとして遊べるものにするため草原など歩ける部分を増やしている[35]

目的地までの視覚的なガイダンスとして「風」を使用。これは「嵐が元軍を襲って大きな打撃を与えたという」という伝承をモチーフにし、さらに黒澤映画の時代劇で風が効果的に使われているところに着想を得ている[35]。またカメラワークや演出法などは黒澤映画を参考にしており、黒澤明への敬意をこめて“Kurosawa Mode(黒澤モード)”が搭載されている[36]。Kurosawa Modeはモノクロ基調になるほか、フィルム粒子表現などを取り入れ、1950年から60年代の黒澤演出を再現したものとなっている[37]

ディレクターのネイト・フォックスは日本刀の切れ味による威力を表現するため、敵の体力ではなく攻撃頻度による難易度の変化づけを取り入れたとPS.Blogの中で述べている[5]。 また、同社の『INFAMOUS』のように主人公の生き方によって進む道が異なるシステムは取り入れられていない[5]

本作は対応機種がPS4のみというのを活かし、データ圧縮や設計の工夫により驚異的なロード時間の短さを実現している。しかし、テストプレイの際「ロード時間が短すぎてロード中のヒントが読めない」という思わぬ問題が発覚した。そのため「ロード時間を意図的に長くする」という、異例の調整が行われた[38]

音楽

事故死などフィールド上での死亡判定の効果音は、死に纏わる悲哀を感じさせる琵琶の爪弾きである。

アップデート

2020年7月28日配信[41]。最高難易度モード「万死(ばんし|英:level Lethal)」が追加された[41]。アクションが苦手な人向けの補助機能「戦闘負荷の軽減英:Lower Intensity Combat)」も追加された[40][41]
  • 無料アップデートVer.1.06 [42]
2020年8月5日配信。「旅人の装束」の機能が向上する。ほか。
  • 無料大型アップデートVer.1.1 [43]
2020年10月5日告知。同年10月17日配信。オンライン協力型マルチプレイモード「Legends/冥人奇譚」が実装される。

年表

  • 2020年
    • 7月 - 英語圏ポリコレ勢力による、「日本の文化を侮辱する、欧米人による問題作」であり、「文化の盗用である」との本作への批判の声が高まる。
    • 7月15日 - Kotakuが、日本国内では批判的意見ではなくむしろ高い評価ばかりが目立つという事実を英語圏で報道し、ポリコレ騒動に一石を投じる[46][47][注 19]
    • 7月17日 - ゲームソフト『Ghost of Tsushima』の発売
    • 7月28日 - アップデートVer.1.05の配信[40][41]。最高難易度モード「万死」のほか、アクションが苦手な人向けの補助機能「戦闘負荷の軽減」も追加された[40][41]
    • 8月5日 - 無料アップデートVer.1.06の配信[42]。「旅人の装束」の機能が向上する[42]。ほか。
    • 8月11日 - 英語圏のウェブサイト "ART STATION MAGAZINE" にて、設定画やコンセプトアートなどを多数公開[48][49]
    • 10月17日 - 無料大型アップデートVer.1.1の配信。オンライン協力型マルチプレイモード「Legends/冥人奇譚」が実装される[43]

評価

評価
集計結果
媒体結果
Metacritic83/100 [50]
レビュー結果
媒体結果
デストラクトイド9.5/10 [51]
ゲーム・インフォーマー9.5/10 [52]
Game Revolution4/5stars [53]
GameSpot7/10 [54]
GamesRadar+4.5/5stars [55]
IGN9/10 [56]
ガーディアン3/5stars [58]
VG2473/5stars [60]

脚注

注釈

  1. ^ 史実について、火器を用いるなど鎌倉武士にとって未知の戦術に苦しめられたと解説されることも多いが、実用性は疑わしく、また、戦術が未知であったのは蒙古側も同様で、連携の執れた重装騎兵集団が密集してチャージ(突撃)する鎌倉武士の戦術は蒙古軍にとって未知であり、脅威であった。また、合理的な集団戦術を執る蒙古兵に対して鎌倉武士が古臭い一騎討ちを挑んで負かされたというのは、八幡神利益を強調したい神社方による作り話である。
  2. ^ アートワーク:ArtBlast 8eByZm
  3. ^ アートワーク:刀 ArtBlast Kr3Vox
  4. ^ テムゲの部隊に包囲されようとしている鑓川城下へ戻る際、「逃げ出したのは鑓川の乱より前」と話している。乱は15年前に起きているので、現在のたかの年齢は15+6より上ということになる。
  5. ^ 前哨戦のほうでは、「戦の経験が無いたかが危ない目に遭わないよう見守ってやって」と前もって頼んでいたのに、戦のさなか、仁がちゃんと見てくれていなかったと、戦闘終了後にゆなが怒っている。
  6. ^ ただし、石川がいない幾つかの場面で「先生が加勢してくださっておれば」と、盛んに残念がっている。
  7. ^ 政子之譚」の第5幕「母」では、イベントとして発生する一騎討ちの場面で、それより一足早く斬り込んでいた政子殿が先頭にいた敵兵1人を既に倒してしまい、さっさと画面の外へ出て行くため、敵の2人目が一騎討ちの相手に変わってしまう。
  8. ^ 確認できる場面:「政子之譚」終幕「姉妹」にて、仁が「なぜ妹のあなたが武家に嫁ぐことになられた?」と政子に尋ねている言及している。
  9. ^ 視界を確保するために編み目を前方だけ崩してある。竜三の物語の後半になると、大きな斬撃痕が入っている。
  10. ^ 実際には、当時は「降伏」という概念が無く、仲間になるか滅ぼされるかという捉え方であった[18]
  11. ^ 造り酒屋(酒を醸造して卸す店)であると違い、小売のみで卸売はしていないもよう。
  12. ^ 背負梯子(せおいばしご)とは、荷物を背負う時に用いる運搬用具。背負子(しょいこ)、背負板(しょいた)等々、数多くの別名がある。
  13. ^ 巴と一緒にいる時の仁は軽口を連発している。物の怪のようだと噂されている冥人と違って「(仁は)男前だから人に決まっている」と褒めそやす巴に、まんざらでもない仁は、「うまく化けられたようだ」と軽妙な冗談で返している。また、それぞれの馬で石川のもとへ向かう道中、「吹雪が激しくなってきたから離れないように」と注意する巴に対し、「それならば俺の後ろに乗ってはどうだ」と誘ったにもかかわらず、軽くいなされてしまい、「気にするな!急げ!」と取り繕う仁がいた。
  14. ^ 作中では「秋の初め」「蒙古の噂が流れ始めた頃」としか言っていないが、この物語の始まりに当たる蒙古襲来は「今年」の「二夏」すなわち「旧暦の5月頃」の出来事であるから、「秋の初め」は今年のことではあり得ない。
  15. ^ 花・政子姉妹の実家のことであるが、その名は作中に登場しない。
  16. ^ 単純計算では、1274(文永の役発生年)- 250 = 1024治安4年)= 平安時代前期後半。
  17. ^ 最初に会った時と同じ大紋直垂のままで武装している様子は無い(冥人の覚醒シーンではすぐ近くにいる)。
  18. ^ 確認できる場面:「政子之譚」終幕「姉妹」にて、仁が「菊池家も小茂田で滅んでおります」と言及している。戦える者が全滅したからといってそのまま家名が断絶するとは限らないが、それに続く政子の話では、が屋敷を乗っ取ってしまっているので、留守居の者も全員殺されたか追い出されたかしていると思われる。
  19. ^ それでも、ポリコレを叫ぶ者のなかの強硬な者の反応は、「日本人は当事者にもかかわらず問題に気付いていない」、「この問題が理解できない日本人は人種差別主義者である」などというものである。

出典

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  2. ^ https://www.famitsu.com/news/202011/13209380.html
  3. ^ https://web.archive.org/web/20201120013926/https://www.famitsu.com/ranking/game-sales/
  4. ^ 2020年秋、『Ghost of Tsushima』にオンライン協力型マルチプレイモードを無料アップデートで追加!”. PlayStation.Blog. ソニー・インタラクティブエンタテインメント (2020年8月17日). 2020年8月19日閲覧。
  5. ^ a b c 片岡龍一 (2020年6月9日). “『Ghost of Tsushima』は難易度が変わっても敵の体力は変わらない その理由は「日本刀の切れ味がもたらす致命的な威力を実感してもらいたいから」”. IGN Japan. 株式会社産経デジタル. 2020年6月9日閲覧。
  6. ^ 読みは台詞で確認。最初の台詞は、金田城についての仁とゆなの最初の会話に含まれている。
  7. ^ 出典:日本語版字幕。
  8. ^ Daisuke Tsuji [@dicek2g] (05 August 2020). "It's felt like my birthday since 7/17, but tonight! Bring your snaccs and watch me play the end of GoT @ 7pm". X(旧Twitter)より2020年9月28日閲覧 {{cite web}}: |date=の日付が不正です。 (説明) ■内容は誕生日のツイートで、面頬英語版を装着する境井仁のトレーラームービー(予告編映像)と同じ動作をして見せてもいる。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q IMDb-cast.
  10. ^ a b c 西川くん (2020年7月14日). “『ゴースト・オブ・ツシマ』レビュー。オープンワールド時代劇と化した対馬は遊び応え満点。秀逸な剣戟アクション+豊富な探索要素の傑作!”. ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage. 2020年7月17日閲覧。
  11. ^ 政子之譚」の第5幕「母」では、仲間が皆討ち死にしてしまった今もまだ生きている、そのわけを安達政子に問われ、「守るべき民がいるから」、そして「討つべき仇もいるから」と答えている。
  12. ^ 「Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)」発売日決定!予約購入受付を開始”. GAME Watch (2020年3月6日). 2020年5月31日閲覧。
  13. ^ PS4「Ghost of Tsushima」、境井 仁の戦いを描く日本語版トレーラーやストーリー、作品の特徴を公開”. GAME Watch (2019年12月13日). 2020年5月31日閲覧。
  14. ^ a b 出典:秘湯での独白。
  15. ^ 出典:3つとも秘湯での独白。
  16. ^ a b c d e f 『ゴースト・オブ・ツシマ』開発者インタビュー。侍を味わうための究極のアクション作りとは? 登場人物たちの名前の由来も判明”. ファミ通.COM (2020年7月18日). 2020年2月22日閲覧。
  17. ^ 「和風オープンワールド『ゴースト・オブ・ツシマ』発売日が電撃発表。2020年6月26日発売へ、新映像公開など情報続々”. 電撃オンライン. KADOKAWA Game Linkage (2020年3月6日). 2020年5月31日閲覧。
  18. ^ 多摩大学インターゼミ (2017), p. 42.
  19. ^ a b c d e f g 出典:作中の解説。
  20. ^ プレイステーション公式 [@PlayStation_jp] (2020年6月27日). "7月17日(金)発売『Ghost of Tsushima』 本作の多彩な魅力をご紹介するショートトレーラー第3弾「ストーリー編」を公開! ナレーションを務めるのは作中で元軍を率いる大将、コトゥン・ハーン役の磯部勉さん!". X(旧Twitter)より2020年6月27日閲覧
  21. ^ 守之段」の序盤に登場する内通者の文に記されている。
  22. ^ 救出された後の仁との会話より。
  23. ^ a b 出典:「竜三之譚」にて太平砦から潜入した蒙古船の中で見付ける「蒙古の兵略図」の内容。
  24. ^ 読みは仁と純信の会話で確認。
  25. ^ a b c Fandom-C.
  26. ^ Fandom-Tech.
  27. ^ a b 出典:古賀泰平の台詞「この十五年もの間、わしは志村を斬り殺すためだけに生きてきたのだ」
  28. ^ 金田城で囚われている志村の所へ辿り着いた仁に向けての志村の台詞「さすが正(ただし)の息子だ」で確認。
  29. ^ ゆなに迫られて、仁が最初の闇討ちを決意する時の会話より。
  30. ^ a b 出典:収集アイテム「文と書状」の一巻「鑓川様」
  31. ^ eMOTIONalist [@BillyHarper73] (02 August 2020). "fun fact...this is a super rare anim that will play if you leave Jin idle for 60-90 seconds" (English). X(旧Twitter)より2020年9月26日閲覧 {{cite web}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  32. ^ 確認できる所:「離之段」の一幕「後門の狼」に登場する丈志の台詞。
  33. ^ a b YamaChan (2020年7月10日). “「Ghost of Tsushima」開発者インタビュー。Sucker Punchは鎌倉時代の侍をどう描いたのか”. 4Gamer.net. Aetas株式会社. 2020年7月19日閲覧。
  34. ^ 出典:武家の逸話とのぼり旗を収集している人に向けて境井仁が語った体験談。
  35. ^ a b c d YamaChan (2020年7月10日). “「Ghost of Tsushima」開発者インタビュー。Sucker Punchは鎌倉時代の侍をどう描いたのか”. 4gamer.net. 2020年7月19日閲覧。
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  • eMOTIONalist” (English). Twitter. 2020年9月26日閲覧。※開発者によるツイート(ただし、本作の話題だけではない)。
  • Daisuke Tsuji” (English). Twitter. 2020年9月28日閲覧。※ダイスケ・ツジ(主人公の担当声優)によるツイート。
関係者発信
第三者発信


参考文献

  • 武光誠『語源に隠された日本史─この国の仕組みや日本人の暮らしが浮かび上がる!』河出書房新社、2014年3月。 
ISBN 4-309-02264-2ISBN 978-4-309-02264-2NCID BB1534570XOCLC 871234034国立国会図書館書誌ID:025245271
ISBN 4-00-320601-0ISBN 978-4-00-320601-0NCID BN01799270OCLC 834482379

関連項目

外部リンク