軍犬

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大日本帝国陸軍の軍用犬(1938年(昭和13年)
アメリカ軍の軍用犬(2007年
ボディアーマーを着用するアメリカ海軍の軍用犬(シェパード

軍犬(ぐんけん)または軍用犬(ぐんようけん)は、軍務のために調練したである。

概要[編集]

犬を軍事目的に飼いならすことは古代より行われており、人間より優れた視覚や嗅覚を用いた警戒・捜索・探知能力や、直接的な攻撃能力は重宝されてきた。近代以降でも、その能力は高く評価されており、第一次世界大戦第二次世界大戦湾岸戦争イラク戦争でも投入されている。20世紀前半では、化学戦にも対応できるように軍用犬向けのガスマスクも装備されていた時期があった。

大日本帝国陸軍は、通信手段の一部として軍用犬を準備していたが、ペリリューの戦いなどアメリカ軍の猛烈な艦砲射撃爆撃下では怯えてしまい、役に立たなかった[1]。ペリリューの戦いではアメリカ海兵隊も2個野戦小隊24頭を派遣したが、絶え間ない砲撃神経症となり、島を去ることを余儀なくされた。ベトナム戦争ではアメリカ軍は4,000頭以上の軍用犬を投入している[2]

日本の軍犬[編集]

海上自衛隊では警備犬(けいびけん)、航空自衛隊では歩哨犬(ほしょうけん)という名称で現在も採用している。 海上自衛隊の警備犬の中には災害救助犬の検定に合格している犬が二頭おり東日本大震災において災害出動を果たしている。そのうちの一頭、海上自衛隊呉造修補給所貯油所の警備犬の金剛丸(ジャーマンシェパード・雄)は、生存者捜索に従事し、帰還後に体調を崩して2011年8月9日に4歳4ヶ月で肺炎で死亡した。

スロベニアの軍用犬[編集]

スロベニアにおいて初めて使われたのは、1991年十日間戦争であった。当時は主として重要な建物、倉庫、交通の要所での警備犬として数名の国土防衛隊隊員によって使われていた。十日間戦争終結後、ハンドラー養成のため、第1特殊旅団が編成されている。

ハンガリーの軍用犬[編集]

ハンガリーでは、2005年後半に爆発物・武器破壊(EOD)を目的とする軍用犬特殊班を編成し、EOD大隊に編入させ活動を開始した。2007年の初めに、アフガニスタン北部で爆発物探知犬数頭がアフガニスタン北部で活動していたハンガリー地方復興支援部隊に配備され、同支援部隊の要員として爆発物探知、及び空港の警備の役割を担っている。

軍用犬の役割[編集]

大日本帝国陸軍の軍犬として徴用された「三郎」の壮行会(1937年
戦死したアメリカ軍の軍用犬の葬儀。人間の場合、銃床にヘルメット、グリップにドッグタグ、小銃の前に戦闘靴が置かれるがそれぞれ犬独自のものに置き換わっている
警備・哨戒
夜間に見張りをさせ、不審な人物が来たら吠えさせる。また、近くに隠れている敵兵の臭いや音を感知させる。場合によっては直接攻撃させて制圧するよう訓練することもある。拠点警備のみではなく、野戦における前線投入も行われている。
探知
負傷兵の捜索
戦場で動けなくなっている負傷兵をいち早く発見させる。
地雷や爆発物の探知
犬の優れた嗅覚を用いて、埋設された地雷や車両・器材に隠された爆発物などを探知させる。地雷探知機で発見できない地雷でも発見できる。
戦闘
犬の戦闘力を用いて直接敵兵を攻撃させる。古代では刃物を放射状に配置した首輪をつけ敵軍に突撃させて敵兵を殺傷させるようなことが行われていた。現在では戦闘目的のみで訓練することはほとんどない。
対戦車犬(地雷犬)
対戦車地雷を背負わせ敵戦車の下に潜り込ませて破壊させる。第二次世界大戦中にソビエト連邦軍が用いた。
伝令
背嚢に文書を入れ、伝令として前線の将兵に命令を伝える。
輸送
弾薬運搬車を引かせて機関銃陣地などに弾薬を運ばせる。また、医薬品運搬や通信線敷設にも用いられた。

脚注[編集]

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  1. ^ 平野柾緒『証言記録「生還」―玉砕の島ペリリュー戦記』(学研、2010)103頁、通信兵談
  2. ^ CNN special report

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • ナイジェル・オールソップ著、河野肇訳『世界の軍用犬の物語』(株式会社エクスナレッジ、2013年)

外部リンク[編集]