入学試験
入学試験(にゅうがくしけん)とは、学校が入学志願者を選別するために課す試験のことである。受験(じゅけん)とは入学試験、資格試験をはじめとした試験を受けることだが、一般的に受験といった場合は進学のための試験対策から志望校選定、教科選択、入学試験の受験まで含めたプロセスのことである。略して入試と呼ぶ。
入学試験には、第1学年の始期から新入学するための「新入学試験」、第1学年の始期を過ぎてから編入学、転入学するための「編入学試験」または「転入学試験」、一部大学で行なわれている飛び入学のための「飛び入学試験」などがあるが、この記事では主に新入学試験について扱う。
高校受験においては、主に私立高校では「入学試験」、公立高校では「入学者選抜のための学力検査」と呼ぶ。
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[編集] 入学試験を実施する目的
ある学校に入学できる定員が制限されており、かつその学校の入学志願者が定員より多い場合、定員分だけを選抜するために行なわれる場合が多い。もっとも、志願者が定員に達していなくても、志願者のレベルによる選抜を行うために実施されることもある。これは定員内不合格と呼ばれ[要出典]、生徒の学力水準を維持し、学力偏差値の下落を防ぐなどの効果がある一方、最も偏差値が低いレベルの定員割れ校(いわゆる底辺校)でも実施されると、特に知的障害者の全日制普通高校入学が困難になるとして問題になっている。地域によっては各種の事情により養護学校高等部にも入学できない場合がある。なお定員内不合格を実施するかは都道府県によって異なる。
前述のような定員分だけを選抜する試験では、俗に言う「落とすための試験」になる。
[編集] 受験生
入学試験での合格に向けた学力向上などの準備には、最低でも数ヶ月をかけるのが通例であるが、上級学校などへ進学するために、合格を目標にして準備をしている人を「受験生」という。学校の最高学年に在籍中の受験生は「現役生」といわれ、すでに学校を卒業した受験生は「過年度生」といわれる。また過年度生のうち、受験で不合格になったまま卒業し、翌年の合格を目指して予備校や自宅などでもう1年の準備を続けている受験生は「既卒生」または「浪人生」といわれる。大学受験においてはほとんど影響は無いが、高校受験においては過年度生は現役生と違い各種の制約がある場合が多いが、これは当該記事に詳述されている。
また、一旦合格して進学したが、別の学校への入学を目指す場合もある。これは「再入学」「仮面浪人」「再受験」などといわれる。これらも過年度生の一種であるが、「再受験」は通常の過年度生のことも指したり、「再入学」は同種学校の既卒者の入学のことも指したりするため、用法は一定していない。
進学競争の過熱を戦争になぞらえて「受験戦争」と表現することもある。また「お受験」という場合は、主に保護者による積極的関与がある小学校くらいまでの低年齢の受験を指すとされる。
[編集] 受験時期
多くは1月末~3月前半に行われることが多い。中学受験等では最近では学校側の都合から12月末頃から実施されたり、1月中旬に実施されることが多くなった。また中学受験では、同じ地域の学校が同じ日に一斉に実施するのが普通である。
大学受験等は大学入試センター試験等を除けば試験日が意図的に統一されることはないが、一般入試では私立大学は2月前半、国公立大学の前期日程では2月後半に集中することが多い。
[編集] 日本での現状
日本では、幼稚園・保育園、小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、高等専門学校、専修学校、大学、短期大学、大学院、各種学校のいずれにおいても、入学試験が存在する場合がある。特に高等学校や大学は、その大部分に入学試験がある。また一部の学習塾、予備校でも、入学して授業を受けたり、クラス分けをするのに試験がある場合がある。これは「入室テスト」などと呼ばれる場合が多いが、習熟度別教育を行ない、授業の効率を高めるために行われている。
- 中学受験(中等教育学校受験を含む)は、首都圏と京阪神においては国私立学校が多いために盛んであり、地域によっては小学6年生の4分の1程度が国私立学校に入学しているが、それ以外の地方ではあまり受験熱はなく、そのまま公立中学校に入学する場合が多数である。なお、公立中等教育学校入試では、学力検査は課されず、適性検査や作文・面接などによる試験が行われている。
- 専修学校受験は、学力試験がない。
- 大学受験は、高校と同様に多くの学校で入学試験があるが、少子化により、一部の大学では以前ほどの過酷さはない。そのため、志願者の減少が進む一部の大学では推薦入試による定員を拡大するなど、早期に新入学生を確保する動きがある。これにより、少子化が問題視される以前と比べ、入試難易度が下降した大学も見受けられ、それまで進学希望者の割合が低かった高等学校においても推薦入試による進学希望者が増加している。通信過程の放送大学は例外で入試が無い。
- 大学院受験は、志願者に対して大学院の数・定員が多いことと、試験科目が少ないこともあって、大学本体よりも簡単な場合もある。また、教授や研究室との(研究活動に関する)コネクションも重要な要素となるため、一般入試でも面接が課されるのが普通であるなど、他の受験と性質が大きく異なる。
なお、高等学校・大学の通信教育課程においては一部の学校を除いて書類選考のみで入学が決定される(そのため、事実上、入学資格があれば希望者は全員入学できる学校も多い)が、大学院の通信教育課程は通学課程と同じように入学試験がある。
日本での入学試験の特徴として、入学後の進級試験や卒業試験に比べて難度が高く設定されている場合が多いという点が挙げられる。卒業が容易なため、特に大学で、学生が入学時に比べて勉学に怠惰になるなどの悪影響が指摘されている。
中学校以上の入学試験では必ずといってよいほど学力検査が課されるが、運動能力などの実技試験が課される場合もある。また、高校受験では卒業校からの内申書が加味されることが多い。又、中学校、中等教育学校等でも調査票を提出させることも多い。
高校・大学の入学時には、基本的に下級学校の卒業が前提になる。卒業していない場合は入学資格試験を受験しなければならない場合が多い。中学校の場合は中学校卒業程度認定試験(中検、中認)、高校の場合は高等学校卒業程度認定試験(高認)の合格をもって、卒業と同等とみなされる。
高校・大学では学業やスポーツなどで優れた技能を持つものを推薦入試で採用することもある。
大学・大学院・専門学校では、社会人としての経歴(職歴など)を有する人に対して社会人入試を実施する学校も増加してきている。
浪人することを避けるために、実力では十分可能な学校の入学試験を受けること、またはその学校を滑り止めという。これに対して、第一志望校を本命と呼ぶ。(併願受験を参照)
なお、学校でどのような技術・知識を身につけたかが重要であり、入学時での学力は関係ないとする考えから、「入試を廃止せよ」とする意見も昔から根強く見られる[要出典](この場合、卒業を難しくしなければならない)。
[編集] 相次ぐ出題ミス・採点ミス
特に2000年代以降、日本では、各高校・大学の入学試験で、出題ミスや採点ミスが多く判明し、報道されるようになってきている。特に、兵庫県で2009年に行われた入学試験では、8割を超える高校に於いて採点ミスが判明。採点ミスは122校、1,447人に及んでおり、教育行政や入試制度の根幹を揺るがしかねない事態となっている[1]。
[編集] 日本での経緯
日本では高度経済成長期頃から、よりよい進路のため学歴を身につけようとする風潮が広まり、また当時の社会全体も強力なエリートを欲していて、それにつれて大学受験競争が活発になった。そこから、進学校(主に入学偏差値の高い学校をさす)へ入学することがその後の受験に有利であるとの認識から、高校受験、中学受験と、次第に受験競争は低年齢化しながら過熱した。また、私立学校を中心として、入学すれば上級学校へ進学する際に通常の入試を受けずに内部進学できる場合が多いことも受験競争を過熱させる原因となっている。小学校受験、幼稚園受験に至っては明らかに本人の意志よりも両親の意志によって競争が行われている面が大きく、これを揶揄してお受験と呼ばれる。実際、それらの受験をテーマにしたドラマや映画がある。進学競争が過熱して成長期の子供の健全な学校生活や日常生活まで圧迫するようになった状況は受験戦争とまで形容された。その受験戦争により、受験に失敗したことから自殺を図った若者も多く、当時話題になった。
人口の少子高齢化が進むなか、受験もその影響を受けている。大学は受験者数全体の減少のため志願倍率も全体として低下し、一部の大学では定員割れが常態化している。だが、学歴社会自体は一部では未だに存在し、特定業種の企業の採用試験などでは大きな扱いの違いが生じる。
大学受験の倍率低下に比して、中学受験は依然活発である。これは、一部都市圏における公立中学への信頼度低下や、少子化の影響で子供ひとりあたりにかける教育費が増加したことなどが原因と考えられる。その一方、中学受験による親の経済的負担の増加も著しい。 また、公立の中高一貫校や小中一貫校も出現したが、一部の人たちしか享受できないとして批判がある。
教育費は、現代の家庭の家計状況を測る重要な基準となっており、家計支出に占める教育費の割合はエンジェル指数と呼ばれる。これは、食費の割合であるエンゲル係数になぞらえたものである。
受験の失敗による受験生本人の尊厳の回復が約束されないままの受験制度の現状存続には、「青少年の尊厳を傷つけるものであり好ましくない」との批判が一部から挙がっているが、一方で「受験は人間が大人になるうえで避けて通れない通過儀礼であり、単に学力だけでなく、競争や自制によって集中力や向上心、自立心等を鍛え、涵養していくためにも重要といえる」と賛成する意見も多く、今もって具体的な解決は為されていない。現在、上級学校で入学試験重視の学校制度を維持している国は先進国では日本を含め少数である。これは、日本では入ることが困難であるが、外国の大学では卒業が困難であることと密接な関係がある。
とは言え、少子化と学力低下が相まって、選り好みをしなければ大学へ入学するのは極めて容易になった。最近では、高度成長期のような受験戦争は一部の難関校や人気のある学部(例えば旧帝国大学や国公私立を問わず人気のある大学、医学・医療系学部、法学系学部、経済系学部、外国語学部など)に限られてきている。
[編集] 日本以外での現状
諸外国の典型を俯瞰すると、大陸ヨーロッパでは個別の大学による入学試験がなく、大学入学資格試験に合格すればいかなる大学にも原則として入学しうるという制度が一般的である。アングロ・サクソン諸国では、センター入試のような共通試験と面接により、大学ごとの入学者選抜行われる。例としてアメリカでは、縁故入学や入学許可を寄付金といった形で売買することが倫理的にも法律的にも禁じられていない(階級社会)。同時にアメリカの最高水準の大学の入学許可を得るのは、受験(努力して合格する)という範疇を越えており、家柄や天才的才能、誰から推薦状を貰っているかなどといった先天的な部分が大きく影響する(俗にグラスシーリング[2]と呼ばれる)ため、トップレベルの大学への入学が困難である事も多い。もちろんSATの様な共通学力試験もあるが、合否決定に与える影響は大きいものではなく、環境や縁故関係が合否を左右する事も少なくない。また私立大学の学費が年間数百万円となるなど、これもやはり環境が進学を左右する事は一般的である。例としてイギリスでは、オックスフォード大学ないしケンブリッジ大学への入学資格の有無は生まれたその時点でほぼ決定していると云われる。
アジア型は大抵の国々が日本同様の制度であり、一般に社会的キャリアを目指してよい学校に入るため、かなり過酷な進学競争が行われる。これを一種の文明病だと批判する声もある。また、これに関しては中国の科挙制度の影響を受けているのではないか、という説もある。
大陸ヨーロッパでは一般的に無期限の在学が可能で学費も無償かそれに近いため、働きながら卒業を目指す学生も多く存在する。アングロ・サクソン型は、大学及び大学院が最も学業が忙しくなる期間であり、働きながら卒業を目指すことが難しい。(フランスを除く欧米の大学ではこのような制度であるため、日本のように、在学中に就職活動を行い、卒業と同時に就職することは少ない。)そのために主に(税制で有利なため)民間の奨学金やインターンシップといった制度が家計面で補完的な役割を担っている。アジア型は、卒業までの期間が法的に定まっている場合が多く(日本の場合は最大8年間とされる)、一部の優秀な学生以外には有利な条件の奨学金が与えられないために、親の経済に依存せざるを得ない。アジア型の極端な例が韓国と日本であり、両国とも国家及び民間による教育に対する公共投資額が低い傾向にある。
また、日本では「欧米諸国では学歴が個人の生活に大きな影響を及ぼさない」という見解があるが、実態とはやや異なる。つまり、より良い大学に進学することが、より良い就業機会を与えることに繋がる点では同じである。但し、アジア型のように一般家庭の子女でも上位大学を目指すことが出来るといった環境は、それほど一般的ではない。言い換えると、日本ほどには就学機会が開かれていないため、日本のように「学歴は努力の証」と言い切ることもできない状況がある。一例を挙げると、英国においては、ケンブリッジやオックスフォードといった上位大学に進学するということは、個々人の学力や教養の高さだけではなく、その子女の家柄や経済状況が非凡なものであることも意味する。
一般家庭の子女でも学力次第で上位大学へと進学が可能なのは、主に多くの優秀な人材を必要とする発展途上国に普遍的に見られる状況である。
英語では「過年度生」の定訳が無いとされるが、それは進学準備のために時間がかかるという概念自体がフランスを除く欧米にあまり無いからである。
[編集] 日本以外での経緯
中世中国では、登用試験「科挙」が存在した。
[編集] 補足
- ^ 122校で採点ミス「意識が甘い」と教育長 兵庫県立高校入試 産経新聞 2009年4月20日
- ^ 天に手が届くように見えて決して届かない見えざる壁という意味
[編集] 関連項目
- 予備校 - 学習塾
- 学校 - 教育 - 学校教育 - 学校制度 - 学校体系
- 独自入試
- 学歴
- 科挙
- 名門大学
- アメリカにおける入学試験 - イギリスにおける入学試験 - フランスにおける入学試験 - ドイツにおける入学試験- 中国における入学試験
- 司法試験 - 教員採用試験 - 公務員試験
- 軽量入試 - 追加入試
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