社会 (教科)

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社会科(しゃかいか、: social studies)は、小学校及び中学校における教科の一つ。教育行政上、教科「社会」(きょうか しゃかい)などとも呼称されている。 本項目では、主として現在の学校教育における教科「社会」について取り扱う。関連する理論・実践・歴史などについては「社会科教育」を参照。

概要[編集]

社会科は、児童生徒に対して、科学的な社会認識を形成し、それを通して市民として生活するための資質を育てることを目的とする教科である。科学的な社会認識の形成とは、幅広い社会諸科学(地理学歴史学政治学経済学社会学倫理学)を手段として、人間社会の在り様を理解することを指す。こうした社会認識を子どもたちの内面に形成することによって、現代の社会に主体的に参加する態度や、より平和で、より民主的な社会を創造する力(市民的資質公民的資質))を育成することが、本質的な教科目標である。

なお、現在の学習指導要領では、こうした考え方を、「広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。」と述べている。

学習内容[編集]

上記の目標設定にもかかわらず社会科は、教師を含め世間一般、また児童生徒から、上の社会諸科学のそのものの内容を理解することが最大の目的であると誤解されやすい。先にも述べたように、学校教育の社会科は、上の科学体系そのものを学習することが目的ではない。あくまで、そうした社会科学・人文科学を手段として、世の中を理解し、市民として社会を創造していく力を育てることが目的である。しかし、大学入試を頂点とする、学力試験などで、知識重視の問題がこれまで多く出題されたことから、上の科学体系の安易な暗記に終始する学習が行われやすい。

また、マスコミ報道政治家の発言などによる、歴史教科書問題など、いわゆる愛国心の問題のみが強調されて議論されることが多い。こうした誤解から、本来の社会科の目標と、学校現場や世間の考える社会科のイメージは大きく乖離しやすい。そのため、授業が、教科目標を踏まえたものになりにくいことは大きな問題である。

なお、「知的障害者に関する教育を扱う特別支援学校」を除けば、現在の社会科は、制度上において、初等教育の第3学年から前期中等教育の第3学年までの教科となっている。ただし、後期中等教育において、社会科の内容を継承させた内容は、「地理歴史」と「公民」の2教科、加えて「商業[1]学校設定教科学校設定科目などに分離されて扱われている。

教会の内容が様々な科目の寄せ集めに過ぎないため、文部科学相の諮問委員会(文部科学省ホームページ参照)をはじめ、各段階で社会科の再編の議論がある。その第一段階として高校の「地理歴史科」「公民科」の分割か実施された。さらに「日本史」の教科化・必修化などさらなる改変が検討されている。

小学校[編集]

小学校社会(Wikibooks)も参照。

かつては第1学年より設けられていたが、現在では第3学年からの履修となっている。

中学校[編集]

中学校社会(Wikibooks)も参照。

中学校では、学習内容は大きく「地理的分野」「歴史的分野」「公民的分野」の3つに区分される(以下、順に「地理」「歴史」「公民」と略す)。原則として、地理と歴史は第1学年より同時並行で学習し、それらの学習を終えた後に第3学年に公民を学習する形式(π型とよばれる)が一般的であるが、第1学年に地理、第2学年に歴史、第3学年に公民を学習する形式(座布団型)、第1学年から第2学年にかけてに地理と歴史を学習し、途中で学習内容に応じて公民的分野を補助的に学習し、第3学年に改めて公民を学ぶ形式(鳥居型)をとる学校もある。

2012年より、2008年告示の中学校学習指導要領が完全施行されたことに伴い、2011年度までのπ型をベースに、履修形態が第1・2学年が「地理」・「歴史」の同時並行で学習し、第3学年では「歴史」・「公民」の同時並行で学習する形式を採用する学校が増えている。なお、2012年度の教科書配本については、2年次は「地理」は新規配本・「地図」および「歴史」は前年次の持ち上がりとなり、3年次は「公民」は従来どおり3年次での新規配本となるが、「歴史」は、前々年次より利用していた教科書を継続利用する形となる。

地理的分野
歴史的分野
公民的分野

高等学校[編集]

高等学校地理歴史科(Wikibooks)高等学校公民科(Wikibooks)も参照。

かつては社会科を置いていたが、学校教育法施行規則・学習指導要領上、現在の高等学校及び中等教育学校の後期課程には社会科がなく、「地理歴史」と「公民」を置いている。ただ現在の高等学校でもまとめて「社会科」と言うことがあり、地理歴史と公民の両方を受け持つ教員も多い。

この社会科分割の経緯については社会科教育#歴史を参照。また、学習内容の詳細は地理教育歴史教育公民教育を参照。

ただし例外もあり、「知的障害者を教育する特別支援学校」の高等部に設けられる教科には社会科がある。

特別支援学校[編集]

「知的障害者を教育する養護学校」の小学部(初等教育を行う課程)においては、すべての学年を通して教科「生活」を学習し、小学部において理科・社会は設けられていない。中学部(前期中等教育を行う課程)においては、ほかの前期中等教育を行う学校と同様に、教科「社会」が設けられている。高等部(後期中等教育を行う課程)においては、社会科が設けられ、ほかの後期中等教育を行う学校と異なり「地理歴史」と「公民」は設けられていない。

入試などへの影響[編集]

中学入試・高校入試・大学入試において、国語や数学などとともに入試の科目となる。

中学入試・高校入試では地理・歴史・公民の3分野が均等に出題されるが、大学入試においては世界史・日本史・地理・現代社会など複数の科目を選択する形で出題される。ただし国語・社会・数学理科英語の5教科の中では最も出題されにくく、そのためかこれらの中ではやや軽視される傾向にある(高等学校必履修科目未履修問題も参照)。

関連項目[編集]

註釈[編集]

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  1. ^ 知的障害者に関する教育を扱う特別支援学校」の高等部では、「流通・サービス」が「商業」に相当。

外部リンク[編集]