スズキ・GSX-R1000

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GSX-R1000(ジーエスエックスアールせん)は、スズキが製造しているスーパースポーツタイプのオートバイである。GSX-Rシリーズにおけるフラグシップモデルとして位置付けられ、2012年現在も日本国外向けに生産されている。略称は「R1000」。

概要[編集]

登場時において、ライバル車のCBR929RRYZF-R1とはエンジンパワーで勝っており、世界中のサーキットで大活躍した。特に、改造範囲の狭いプロダクションレースではノーマル状態でのパワー差がそのまま順位に現れやすいため、R1000ワンメイクの様相を呈するほどであった。CBR900RRが興し、YZF-R1の登場によってライバルを得たスーパースポーツの分野は、GSX-R1000(K1)の登場によって新たな局面を迎え、国内四社による開発競争を加速させる事となった。

2001年型(K1、K2)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2001年仕様
Luke Delehanty's 2001 GSX-R1000.jpg
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 988cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 73.0mm x 59.0mm / 12.0:1
最高出力 120kW(163PS)/10,800rpm
乾燥重量 170kg
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エンジン[編集]

GSX-R1000のエンジンのルーツは1996年型GSX-R750の3分割クランクケースエンジンまで遡るが、これは元来、排気量アップを念頭に置いていない750ccに最適化して開発されたエンジンであった。そのためシリンダピッチにあまり余裕がなく、1000cc化にあたり、当初は72mmから73mmと、1気筒あたり1mmしかボアを広げることができなかった。エンジンを一から新造するには膨大なコストと時間がかかるため、シリンダヘッドを2000年型GSX-R750と共通とし、ストロークを46mmから59mmへと13mmも伸ばすことで、1000ccフルスケールにわずかに足らない987.8ccまで拡大され、最高出力は160PSを発生。ボアストローク比0.808と、高出力スーパースポーツ車のエンジンとしては異例のロングストローク型エンジンとなったが、これが扱いやすい出力特性を得る結果に繋がった。

歴史[編集]

2001年仕様(K1)[編集]

2000年型GSX-R750のエンジンを987.8ccに排気量アップし、フレームやスイングアームを若干強化した車体に搭載して2001年に登場した。 キャッチコピーは「Own The Racetrack」(サーキットの覇者)。

2002年仕様(K2)[編集]


2003年型(K3、K4)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2004年仕様[1]
GSXR1000 2003.jpg
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 988cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 73.0mm x 59.0mm / 12.0:1
最高出力 121kW(164.5PS)/10,800rpm
乾燥重量 168kg
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2003年に初のフルモデルチェンジを受けた。

  • エンジンはポンピングロスの低減やラムエア効率の向上
  • ECUの32ビット化
  • 最高出力164PS
  • フレームは押し出し材に変更のうえ可変式スイングアームピボットを採用し新設計
  • 乾燥重量の2kg軽量化
  • 公称数値によるパワーウエイトレシオは1.02kg/PS
  • フロントブレーキにラジアルマウント式の4ポットキャリパー
  • テールランプにLEDを採用

レースでは、北川圭一が2003年全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスにおいてシリーズチャンピオンを獲得した。2004年には他社から相次いで新モデルが投入され、JSB1000では前年覇者の北川もシリーズ10位という結果であった(R1000の最高位は渡辺篤の6位)。

歴史[編集]

2003年仕様(K3)[編集]

2004年仕様(K4)[編集]


2005年型(K5、K6)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2005年仕様[2]
Gsxr1000k5.jpg
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 999cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 73.4mm x 59.0mm / 12.5:1
最高出力 131kW(178PS)/11,000rpm
乾燥重量 166kg
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2005年には、1000ccレースレギュレーション内でのさらなる出力増を主目的として2回目のフルモデルチェンジを受けた。エンジンはボアを1気筒あたり0.4mm広げた73.4mmとし、総排気量はほぼフルスケールの998.6ccとなった。最高出力は178PSに上昇し、乾燥重量166kgという軽量な車体と相まって、パワーウエイトレシオはF1に匹敵する0.93kg/PSを、あくまでカタログ数値上ではあるが達成した。前年登場のライバル各車がセンターアップマフラーを採用していた中で、R1000はオーソドックスな右出しマフラーを採用し続けた。スズキによれば、センターアップを採用しないことによりマスの集中化が図られ(マフラーという重量物をセンターアップより重心に近づける事ができる)、さらに軽量化にも有利とされた。また増大した出力に対応する為にバックトルクリミッターを採用した。

この2005年モデルでスズキはスーパーバイク世界選手権ワークス体制で参戦し、それまでドゥカティの独擅場であった(過去18回のうちメーカータイトル13回、ライダータイトル11回をそれぞれ獲得していた)本シリーズのタイトル奪取に成功した。

英の自動車専門誌であるAUTOCAR誌恒例の0-100-0mphテストに飛び入り参加したGSX-R1000は、0-100mph加速においてポルシェやランボルギーニに加え、ケーターハム、アリエルアトムなどの特殊スポーツカーをも含め、参加した全ての超高性能車を大差で破り「本気で加速する大型バイクには、最速のロードカーでさえ付いていくことは不可能だ」との評価を受けた。なお、テストライダーのニール・マッケンジーは圧倒的な勝利にもかかわらず、1速で155km/hまでしか出ないことに不満をもらしたと記されている。 (翌年号のテストにおいてレーシングフォーミュラーマシン(A1グランプリカー)に破られた。)

歴史[編集]

2005年仕様(K5)[編集]

以下のカラーバリエーションで発売された[3]

  • パールスズキディープブルー×グラススプラッシュホワイト
  • パールフラッシュイエロー×ソリッドブラック
  • ソリッドブラック×メタリックオートグレー

2006年仕様(K6)[編集]

限定仕様としてヨーロッパ限定色ソリッドブラック×マットブラックNo.2が発売され、カラーバリエーションが以下のように改められた[4]

  • ソリッドブラック×マットブラックNo.2(限定仕様)
  • パールスズキディープブルー×グラススプラッシュホワイト
  • メタリックオートグレーメタリック×メタリックファントムグレー
  • マーブルエラクルスレッド×ソリッドブラック


2007年型(K7、K8)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2007年仕様[5]
GSX-R1000 k7.jpg
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 999cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 73.4mm x 59.0mm / 12.5:1
最高出力 136kW(185PS)/12,000rpm
乾燥重量 172kg
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2007年にシリーズ3回目となるフルモデルチェンジを受けた。EU自動車排出ガス規制に対応するため、今回もセンターアップマフラーは採用せず両側出しマフラーとした。この結果、乾燥重量は172kgと先代から6kg増加しているが、エンジンも185PSまでパワーアップされ、パワーウエイトレシオは0.93kg/PSと、先代とほぼ同値をキープしている。また、走行場面に応じエンジン出力特性を3つのモードに切り替え可能な機構(S-DMS)を搭載した。

2007年7月29日、2007年モデルは鈴鹿8時間耐久ロードレース加賀山就臣/秋吉耕佑組により、750ccレギュレーション時代を含め、GSX-Rシリーズ初の優勝を飾った。また、この年のJSB1000では渡辺篤がシリーズチャンピオンを獲得した。

歴史[編集]

2007年仕様(K7)[編集]

以下のカラーバリエーションで発売された[6]

  • パールビガーブルー×グラススプラッシュホワイト
  • マーブルデイトナイエロー×メタリックミスティックシルバー
  • キャンディマックスオレンジ×ソリッドブラック

2008年仕様(K8)[編集]

カラーバリエーションが以下のように改められた[7]

  • パールビガーブルー×グラススプラッシュホワイト
  • ソリッドブラック×メタリックマジェスティックゴールド
  • ソリッドブラック×メタリックマットブラックNo.2
  • グラススプラッシュホワイト×メタリックミスティックシルバー


2009年型(K9、L0、L1)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2009年仕様[8]
C220129.JPG
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 999cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 74.5mm x 57.3mm / 12.8:1
最高出力 133kW(185PS)/12,000rpm
最大トルク 95Nm(9.7kgf・m)/8,250rpm
車両重量 205kg
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シリーズ4回目となるフルモデルチェンジを受ける。プロダクト・コンセプトは『The Top Performer』 主な変更点として下記があげられる。

  • エンジン、フレームを新設計とし、軽量化とコンパクト化
  • フロントサスペンションにBPF(ビッグピストンフロントフォーク)を採用
  • フロントのブレーキキャリパーには、トキコ製モノブロックキャリパーを装備

エンジンは前モデルまでは、2000年型GSX-R750のストロークを延長したものを改良し使用してきたが、新設計となったことによりショートストローク化している。エンジン出力は前モデルと同様の185PSとなっている。前モデルと同様の両側出しマフラー、S-DMSを引き続き搭載しており、3つの出力特性に切り替えが可能。

同年7月26日に開催された鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、酒井大作/青木宣篤/徳留和樹組により、2007年に続き2度目の優勝を飾った。

歴史[編集]

2009年仕様(K9)[編集]

以下のカラーバリエーションで発売された[9]

  • メタリックトリトンブルー×グラススプラッシュホワイト
  • }ソリッドブラック×メタリックマットブラックNo.2
  • グラススプラッシュホワイト×メタリックミスティックシルバー
  • キャンディダークチェリー×ソリッドブラック

2010年仕様(L0)[編集]

GSX-R1000の25周年記念モデルとして1000台限定でアニバーサリーモデルが発売され、またカラーバリエーションが以下のように改められた[10]

  • チタンシルバー×ホワイト(25周年記念仕様)
  • グラススプラッシュホワイト×メタリックマットステラーブルー
  • ソリッドブラック×メタリックマットチタニウムシルバー
  • メタリックマットブラックNo.2×メタリックアクアブルー

2011年仕様(L1)[編集]

カラーバリエーションが以下のように改められた[11]

  • メタリックトリトンブルー×グラススプラッシュホワイト
  • ソリッドブラック×メタリックマットチタニウムシルバー


2012年型(L2)[編集]

スズキ・GSX-R1000
2012年仕様[12]
Paris - Salon de la moto 2011 - Suzuki - GSX-R 1000 - 009.jpg
Paris - Salon de la moto 2011
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
エンジン 999cc 4ストローク
内径x行程 / 圧縮比 74.5mm x 57.3mm / 12.9:1
最高出力 136.1kW(185ps)/11,000rpm
車両重量 203kg
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2012年には、5回目のモデルチェンジを敢行。基本的な車体構成は先代と変わらないが、エンジンは新開発の軽量ピストンを採用し、圧縮比が12.8:1から12.9:1へと引き上げられた。

バルブリフト量やカムも改良され、また排気バルブが耐熱性を考慮してスチール製に変更された。また、クランクケース内の圧力を逃がすベンチレーションホールも面積が拡大されポンピングロスが更に軽減されている。

排気系は2007年以降採用されて来た両側出しマフラーが右1本出し4-2-1集合に変更され、軽量化が図られるとともにピークパワー向上に寄与している。

以上の改良からピーク時のパワー向上はもちろん中速域のレスポンスの向上が図られており、最高出力発生回転数が500rpm下げられていることからもそれが分かる。

またフロントブレーキキャリパーがブレンボ製のモノブロックキャリパーに変更されたるとともにブレーキディスクが耐熱ステンレス化され、ブレーキ系統で130gの軽量化が図られた。さらに前後ホイールも軽量化が図られており、ハンドリング向上に貢献している。

歴史[編集]

2012年仕様(L2)[編集]

以下のカラーバリエーションで発売された[13]

  • メタリックトリトンブルー×グラススプラッシュホワイト
  • ソリッドブラック×メタリックマットチタニックシルバー

2013年仕様(L3)[編集]

累計100万台生産達成を記念する特別仕様車が初代の発売された1985年にちなんで1985台限定で発売された。

2014年仕様(L4)[編集]

カラーバリエーションが以下のように改められた [14]

  • メタリックトリトンブルー×パールグレイシャーホワイト
  • グラススパークルブラック×メタリックマットフィブロイングレー

参考画像[編集]

レースベース車[編集]

2012年現在、日本向け仕様の発売はされていないため、スズキ子会社の株式会社スズキ二輪はレース向けの「レースベース車」を予約限定で発売している。これは欧州向けの公道用車両にヨシムラジャパンのレースキットを付属して販売するものである。

なお販売は株式会社スズキビジネスによりスズキ系列のレーシングプロショップ限定で行われており、車両を登録して公道を走行させることはできない[15]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ Moto Map 2004”. 2004年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月26日閲覧。
  2. ^ Moto Map 2005”. 2012年11月26日閲覧。
  3. ^ Moto Map 2005 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  4. ^ Moto Map 2006 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  5. ^ Moto Map 2007”. 2012年11月26日閲覧。
  6. ^ Moto Map 2007 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  7. ^ Moto Map 2008”. 2012年11月26日閲覧。
  8. ^ Moto Map 2009”. 2012年11月26日閲覧。
  9. ^ Moto Map 2009 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  10. ^ Moto Map 2010 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  11. ^ Moto Map 2011”. 2012年11月26日閲覧。
  12. ^ Official pdf”. 2012年11月26日閲覧。
  13. ^ Moto Map 2012 カラーバリエーション”. 2012年11月26日閲覧。
  14. ^ Moto Map 2014 カラーバリエーション”. 2014年11月17日閲覧。
  15. ^ バイクブロス・【スズキ】GSX-Rシリーズのレースベース車発売 - 2012年2月20日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]