スズキ・GSX400インパルス

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GSX400 IMPULSE(ジーエスエックスよんひゃくインパルス)は、かつてスズキが製造販売していたオートバイ普通自動二輪車)の車種である。

概要[編集]

車種名にある「Impulse」とは、英語で衝撃の意味。車体種別はネイキッドにあたるが、初代から2代目まではまだネイキッドという概念がなかった時期である。

初代インパルスはGSX400Fから派生した特別仕様車として発売された。これは短期間で販売終了したが、ヨシムラと共同開発した集合マフラーの採用やシングルシート風にデザインされたシート形状などにより話題性は大きかった。2代目インパルスもハンス・ムートのデザインとするなど特徴的だったが、当時はまだネイキッドブーム前夜であったことなどもあって販売は振るわず、これもすぐに姿を消す。3代目以降は、初代の外観を範としながらも正統的ネイキッドとしてそつがなく使い勝手をも考慮したつくりなどからそれなりの人気を獲得し、スズキの中排気量ネイキッドの定番的車種として定着していたが、自動車排出ガス規制の基準強化により2008年に生産終了が公表された。

歴代車種[編集]

初代 GSX400FS[編集]

スズキ・GSX400FSインパルス
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基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗スズキ
車体形式 GK72A
エンジン GK72AE型 398cc 4ストローク
空冷DOHC4バルブ直列4気筒
最高出力 48ps/10,500rpm
最大トルク 3.5kg-m/8,500rpm
乾燥重量 187kg
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1982年デビュー、型式名GK72A。当時の販売価格は49万3千円。先に発売されたGSX400F(1981年登場、43万円)/GSX400FII(1982年登場、44万8千円)の特別仕様として登場した。従来車種であるGSX400FとGSX400FIIに搭載されるエンジンは、スズキで400ccクラス初となる排気量398ccの空冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジンで、特に1気筒4バルブは日本4大メーカー内でも400ccクラス初であった。 特筆すべきはヨシムラと共同開発したサイクロンマフラーを標準装備している点で、エキゾーストパイプからサイレンサー端部に至るまでブラッククローム仕上げでサイレンサーには「Impulse」のエンブレムを付した作りとなっている。

その派生車種であるGSX400FSインパルスも同様のエンジンを搭載するが、「TSCC(Twin Swarl Combustion Chamber)」と呼ばれる燃焼室形状を改良したり、ヨシムラと共同開発した4-1式の集合マフラーを採用する(GSX400F/FIIは2本出しマフラー)などして、GSX400FIIよりも3ps高い最高出力48psを発揮。車体もアルミニウム合金製スイングアームやリモート式減衰力調整機構付きリアショックを採用するなど、基となったGSX400FIIとの差別化がはかられていた。しかし、逆にGSX400F/FIIではトリプル・ディスク・ブレーキ装備だったのに対して、本機種のリア・ブレーキはドラム・ブレーキとされていた。翌1983年に角パイプ製フレームに水冷エンジンを搭載したGSX400FWが登場すると、それと入れ替わるようにGSX400FSインパルスの販売は終了した。

2代目 GSX400X/XS[編集]

スズキ GSX400 XS
GSX400X Impulse

1986年デビュー、型式名GK71E。初代カタナ(GSX1100S)と同じくハンス・ムートによるデザイン。(ただしハーフカウル仕様については厳密にはムートのデザインではない)『日本の若者のライフスタイルをイメージした』(当時のカタログから)というその外観は「東京タワー」や「六本木」などの現代的な日本をモチーフにしたもので、ネイキッド仕様(GSX400X)とハーフカウル仕様(GSX400XS)の二種類があった。特にネイキッド仕様は、外観の由来や、剥き出しになったフレームマウントのトラス状ヘッドライトステーの外見から、「東京タワー」という通称でも知られる。当時の販売価格はネイキッド仕様が56万9千円で、ハーフカウル仕様が59万5千円。

エンジンは同年に発売された1986年式GSX-R(GK71F)と同じ排気量398ccの4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒で、シリンダーヘッドを水冷、シリンダーブロックは空冷、ピストン裏にオイルを噴射したりオイルクーラーを装備するなどエンジンオイルでも積極的に冷却する(油冷)という「SATCS(Suzuki Advanced Three-way Cooling System)」と呼ばれる独自の「水油空冷式」、最高出力や最大トルクもGSX-Rと同じ59psと3.8kg-mを発揮した。

フレームはGSX-Rとは違い鉄鋼製で、トップチューブ(タンクレール)をシリンダーヘッド側面に取り回した変則的なダブルクレードル式だが、ダウンチューブは整備性を高めるため左右の2本ともボルトオンの脱着式となっていた。トップチューブが燃料タンクよりも下を通っていてタンク幅がフレーム幅に影響されない構造もあって、タンクのニーグリップ部分やシートレール周りが細身でシート高も低くできており、直列4気筒エンジンを搭載した車種としては足つき性が非常に良好なのも特徴の一つだった。前後のサスペンションは前側が正立式テレスコピックフォーク、後ろ側が「Eフルフローター」と呼ばれるリンク式モノショックを採用、ブレーキも前側に同径対向4ポット式キャリパー、後ろ側に同径対向2ポット式キャリパーのディスクブレーキを採用していた。

このように、同型エンジンを搭載するGSX-Rから単にカウルなどを取り外しただけの車種ではなく、社外デザイナーにデザインを依頼したりフレームもわざわざ新作する力の入ったものだったが、その斬新すぎるともいえる特徴的な外観からか販売は振るわず(当時はまだレーサーレプリカブーム全盛の時期であり、ネイキッドブーム到来前でもあったことも販売不振の理由といえる)、エンジンを共有していたGSX-Rが1988年には新型の水冷エンジンに切り替わったこともあって発売からわずか2年で販売を終了した。

3代目 GSX400/TypeS[編集]

1994年デビュー、型式名GK79A。発売当時の販売価格は56万9千円。TypeSは、スズキワークスカラーとビキニカウルが特徴の派生仕様(57万9千円)である。2代目インパルス販売終了後のスズキの400ccクラスネイキッドはバンディットが販売されていたが、GSX-R400(GK73A)譲りのエンジンを搭載するなどスポーツ路線で、CB400SFといった他社の競合車種よりもやや高めの販売価格だったことなどもあり、バンディットよりも手軽な価格設定の正統的ネイキッドとして発売された。

エンジンはGSX400Sカタナのものを流用、形式的には排気量398ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒で最高出力も53psと併売されていたバンディットと同じながら(これは1993年より日本国内メーカーによる400ccクラスの最高出力自主規制の値が59psから53psへ下がったためでもある)、シリンダーやシリンダーヘッド周りの造形が異なる。車体の外観は初代インパルスを範としたもので、鋼管製ダブルクレードルフレームに正立テレスコピックフォークと2本式リアショックなど、つくりは一般的ながら使い勝手の良さが特徴であった。

発売後も数回に渡る細部の改良を受けながら継続販売されていたが、イナズマの発売と入れ替わるように(ただし数年の併売期間あり)1999年に販売を終了した。

4代目 インパルス400[編集]

2008年
インパルス400スペシャルエディション

2004年デビュー、型式名GK7CA。販売価格は66万450円。イナズマの生産中止に伴い復活。3代目GSX400インパルスを踏襲した外観であるが、車体やエンジンの型式のみならず外装等も変更されており、別車種といえる。またこの代のみ、販売途中から「GSX400」が省略された「インパルス400」の呼び方が正式な車種名となった。

型式名は異なるが、形式的には同じ排気量398ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジンで最高出力も同じ53psを発揮、車体の構成も3代目の最終型とほぼ同様である。年々厳しくなる自動車排出ガス規制などの環境基準への対策として、二次空気導入システム等を採用する点が異なる程度である。

2008年、初代GSX400FSのカラーリングと、クラッチカバーのTSCCのロゴを再現した『スペシャルエディション』が発売されたが、自動車排出ガス規制の基準強化により同年に生産終了となった。

関連項目[編集]

  • インパルス - お笑いコンビ。GSX400インパルスが名前の由来。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]