キックスクーター

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スケートパークで折り畳みスクーターを操る少年

キックスクーター (Kick scooter) とは、地面を蹴って進むハンドル付きの乗物の総称。

概要[編集]

キックスクーターの多くは自転車に似た感覚で乗る事ができ、ローラースケートスケートボードよりも扱いが簡単な事からレジャー用途の他、公園等で自転車代わりの手軽な移動手段としても使われる。

元々スクーター (Scooter) [1]スクート (Scoot) と呼ばれていたが、2000年代に折り畳みスクーターの登場で市場が広がった頃から「キックスクーター」の呼称が使われる様になった。

ローラースケートを流用した木製スクーター(制作時期不明)
1936年ベルギーで撮影されたという写真

歴史[編集]

1817年、両足で地面を蹴って進む二輪車「ドライジーネ」がドイツで発明される。19世紀後期にはローラースケートが登場し、その部品で作ったスクーターもあったと言われている。1914年アメリカで二輪スクーターにエンジンを取り付けたen:Autopedが登場している。1974年日本でペダル推進式三輪スクーター・ローラースルーGOGOが発売され流行する。

1990年代後期、スイスでWim Ouboterが小型折り畳みスクーターを開発し、Micro Mobility Systemsを設立してヨーロッパで発売する。同じものが日本やアメリカではRazorの名で販売されて流行した[2]。更にRazor USAの共同設立者である台湾のJD Corporation(久鼎金屬實業股份有限公司)[3]が自社でもJD Bugとして販売を開始し、同製品は大阪のジェイディジャパンからJD Razorのブランドで日本でも販売されている[4]

1999年頃に折り畳みスクーターが日本に入ってくると、鉄道利用の際にも持ち込める手軽な移動手段として都市部の若者から広まって行き、子供にも流行した。それに伴って非常識な利用者も出て来たため、使用禁止を明示する施設も現れている。

事故など[編集]

2000年2月には、前年11月に東京の歩道上で歩行者と衝突した利用者が重過失傷害罪書類送検され[5]、同年7月には神奈川で転倒による死亡事故も起きた[6]

また、2014年10月17日の消費者庁は、9歳までの幼児・児童がキックスクーターを使用していて転倒などにより負傷する例が2010年(平成22年)以降53件発生し、死亡事故も1件発生していると発表している。[7]

日本における道路交通法による扱い[編集]

日本では道路交通法によって「交通のひんぱんな道路」でのキックスクーターの使用が禁止されている[8]。「ひんぱん」の基準に関しては明確な基準はないが、凡そ他の歩行者や車両等との交通の危険が生じうる程度の交通量がある場所と解される。

なお、フットバイク、ドッグスクータリングなど自転車並みのタイヤやブレーキを備えたものについては、遊具ではなく軽車両として扱われる余地がある(なお、自転車および普通自転車には該当せず、リヤカー等の、自転車以外の軽車両扱いとなる[9]

電動機や内燃機関付きのキックスクーターは原動機付自転車または自動車扱いとなるため、道路を運転・運行すると整備不良違反、無保険運行罪、無免許運転罪、自動車運転死傷行為処罰法違反等の厳罰に処される場合がある。

種類[編集]

折り畳んだ状態のRazor初期型

折り畳み型 (ポリウレタンウィール装着型)[編集]

1990年代後半に登場し、その後主流となった二輪スクーター。アルミニウム合金の多用で総重量3Kg程度に抑えられ、小さく折り畳んで持ち歩く事もできる。舗装路のみでの走行を前提にローラースケート同様のポリウレタンウィール(車輪)[10]を持つ。初期のウィールは直径98mmだったが[11]、大径化が進んで200mmの製品も登場し、中には空気タイヤを備えた製品も存在する。後輪のフェンダー(泥除け)がブレーキを兼ねており、これを踏んで後輪の回転を抑えることで減速を行う。

スケートパークなどでスタントを行うフリースタイルスクータリング (en:Freestyle scootering) も欧米オセアニアを中心に広まり、2008年、2009年には折り畳み機構を廃した本格的なスタント専用スクーターが発売された[12]

フットバイクのレース
BMX型スクーターを使用したドッグスクータリング

空気タイヤ装着型[編集]

折り畳み型以前から使われている、12インチ程度の自転車用タイヤリムブレーキを備えた二輪スクーター。上述のポリウレタンウィール装着型と区別する際にはニューマチックスクーター (Pneumatic scooter) 、ビッグスクーター (Big scooter) 等と呼ばれる。より安価で手軽な折り畳み型の登場で減少したが、乗り心地や安定性を重視する分野での需要がある。

ヨーロッパではフットバイク (Footbike) と呼ばれる大型のものを使ったレースが行われている他[13]、犬を動力にするドッグスクータリング (en:Dog scootering) 等の用途もあり、ニューマチック専門のメーカーもなお存在する。

BMXが盛んだったアメリカでは1980年代後期にフリースタイルBMXの要素を取り入れたスクーターが各BMXメーカーから発売された[14]。これらは従来のスクーターと区別してスクートと呼ばれ、その雪上版としてスノースクートが誕生した。なお、折り畳みスクーターでもスタントの世界ではスクートと呼ばれる事が多い。

キックボードの一種、K2 Kicktwo

三輪式、四輪式[編集]

デッキに固定されたハンドルを掴んで乗る「キックボード」、「スケータ」、「スティックボード」など。二輪式より安定する他にも自立する、片手で乗れるといった利点がある。

幼児向けスクーター二態。右側はMini Micro

幼児向け[編集]

まだ自転車に乗ることが出来ない3 - 5歳程度の幼児を対象とした、主として三輪車風のもの。鋼鉄製のフレームにプラスチック製の外装を持った製品が多い。この他にも、バランス感覚の育成をうたった三輪式(前二輪)のものが販売されている。

動力付き[編集]

通常の折り畳みスクーターの前輪にモーターを装着して立ち乗りスクーターとした製品がある他[15]、個人で自作ジェットエンジンを取り付けた例まである[16]

なお、日本の道路交通法において電動キックスクーターは原付または自動車の扱いとなる(#日本における道路交通法による扱い参照)

脚注[編集]

  1. ^ 日本では「スケーター」と訛っていた時代もあった。
  2. ^ Folding Scooter Story: msg#00015(英語) - 2000年にウォールストリート・ジャーナルに掲載されたという記事
  3. ^ Razor USA LLC Company Profile - Yahoo! Finance(英語)
  4. ^ 日本でも一部廉価品が「JD Bug」のままで売られているが、JD BugがJD Razorの下位ブランドという訳ではない。
  5. ^ 朝日新聞夕刊2000-02-03(縮刷版)。歩行者をすり抜ける様に走っていたとされている。
  6. ^ 朝日新聞2000-07-27(縮刷版)。下り坂での転倒。
  7. ^ http://www.sankei.com/affairs/news/141017/afr1410170052-n1.html
  8. ^ 道路交通法第七十六条の4の三「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」
  9. ^ 道路交通法の自転車の定義として「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する」とあるため
  10. ^ 一体成形だったものにハブを加えて大型化した経緯から、通常はタイヤとは呼ばれない。
  11. ^ 幅24mm、軸8mmのインラインスケート用ハブを使用。初期は通常76 - 78mm径のウィールに対応する小さめのハブが使われていたが、後に拡大している。
  12. ^ 「Micro XT」(2008)と「Razor Ultra Pro Model」(2009)
  13. ^ IKSA - the world of scooter and kicksled sports(英語) - フットバイクとキックスレッドの競技団体
  14. ^ BMXmuseum.comでの例:1987 GT Zoot Scoot1987 SE Racing Rad Scoot
  15. ^ Bruch, H. et al. 2003. Micro Mobility Systems. Realizing the Scooter Dream. Case Study, University of St. Gallen, St. Gallen.(英語) P23. 「e-power」
  16. ^ 自作ジェットエンジン/零號機/その5 - 播州迷頁-雅屋-

関連項目[編集]