「加爾基 精液 栗ノ花」の版間の差分

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2011年1月28日 (金) 08:53時点における版

加爾基 精液 栗ノ花
椎名林檎スタジオ・アルバム
リリース
録音 黒猫堂スタヂオ
東芝EMI第参スタヂオ
東京オペラシティ コンサートホール
熱海 かじか荘 和楽亭
スタヂオ テラ
ジャンル J-POP
時間
レーベル 東芝EMIVirgin Music
プロデュース 化猫キラー
チャート最高順位
  • 週間最高順位1位(オリコン
  • 2003年度年間順位28位(オリコン)
ゴールドディスク
  • ダブル・プラチナ(日本レコード協会
  • 椎名林檎 アルバム 年表
    唄ひ手冥利
    〜其ノ壱〜

    (2002年)
    加爾基 精液 栗ノ花
    (2003年)
    平成風俗
    (2007年)
    『加爾基 精液 栗ノ花』収録のシングル
    1. 茎(STEM)〜大名遊ビ編〜
      リリース: 2003年1月22日
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    加爾基 精液 栗ノ花』(カルキ・ザーメン・くりのはな 英題:Kalk Semen Kuri-no-Hana)は、2003年2月23日に発売された日本音楽家椎名林檎の3作目のオリジナルアルバム。発売元は、東芝EMIVirgin Music

    自身初となる初回盤・通常盤両方が「CCCD」仕様で発売された(先行シングル「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」では通常盤のCCCD)。

    2008年7月2日にはデビュー10周年記念アルバム『私と放電』の発売と共に、それまで生産されていたCCCD盤は廃盤され、新たに通常のCD-DA盤として再発売された。

    初回限定生産盤には「林檎クン眉唾ステツカー」封入。アナログ盤は2枚組仕様&ボーナストラック収録で、デビュー日である同年2003年5月27日に発売された。

    先行発売で今作の世界観を映像化した作品『短篇キネマ 百色眼鏡』が発売された。


    解説

    • 通称は「カルキ」で略称はタイトルの英題訳からの三つの単語の頭文字を取った「KSK」(ただし「ザーメン」の単語はドイツ語 である「Samen」)
    • 2000年発売のセカンドアルバム『勝訴ストリップ』以来、妊娠・出産による約1年間の活動休止を経て、3年ぶりとなるオリジナルアルバム。『勝訴ストリップ』発売当初、椎名本人は、3枚目のアルバムは「不思議・猥雑・エキセントリック(ふしぎ・わいざつ‐)」と付け、全編ドイツでのレコーディングで製作しリリースするつもりだった。なお、後に放送されたSSTVによる今作の発売記念特別番組のインタビューによると、「加爾基」が「不思議」、「精液」が「猥雑」、「栗ノ花」が「エキセントリック」の役目を果たしていると語る。
    • 今作は今までの椎名林檎のアルバムでのスタイル「バンド演奏による一発録り」ではなく、オーケストラ世界各国の民族楽器プログラミングなどをふんだんに用いている。
    • 今作は椎名林檎本人のセルフ・プロデュースで、過去2枚のアルバムより製作期間が長く、約1年の月日を掛けて製作された。編曲に関しては今まで関わってきたベーシスト亀田誠治の手から離れ、椎名林檎の他にエンジニアである井上雨迩が編曲している。「やっつけ仕事」と収録曲のオーケストラパートはキーボーディスト森俊之が編曲している。
    • 前作同様、曲の配置・歌詞カードの写真など全てシンメトリーに配置されているが、今作はさらに徹底し、収録時間と収録曲の使用楽器までもシンメトリーになるようにし、収録総合時間も「44分44秒」と編集作業で調整。またブックレットの歌詞表記に関しては、椎名林檎が歌詞も今作の重要なツールの1つと考えているため、スタッフの手を借りて旧字体歴史的仮名遣により記載(楽曲の曲番号も統一)。

    収録曲

    壱:宗教

    椎名が1人の日本人として感じた宗教のイメージを表現した曲。椎名本人の演奏のの音色から始まり、Aメロからサビ付近のバンドによるハードな演奏、そしてサビがオーケストラにて演奏されている。なおバンドパートは椎名林檎、サビのオーケストラのパートは森俊之が編曲している。
    この曲は2000年に行った全国ツアー「下剋上エクスタシー」のリハーサル中に出来た物で、サポートメンバーである皆川真人所有のシンセサイザー内蔵のストリングスの音色が綺麗だったことから出来た模様。
    歌詞中の「振り向くべからず」と「色彩」は「カラーズ」、「覚悟を極めろ」と「芳醇」は「メロウ」というコーラスで繋がる言葉遊びがある。また、次の曲「ドツペルゲンガー」にも繋がっている。
    この曲と最後の曲「葬列」ではMO'SOME TONEBENDERのVo&Gtの百々和宏電気式ギターで参加している。
    また、この曲は「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」にて、インストとして披露された。

    貳:ドツペルゲンガー

    プログラミングが多用されている曲で、過去に発表された曲をサンプリングし収録したメロトロンで演奏されている。なおサンプリングされた楽曲は以下の通り。

    參:迷彩

    先行シングル「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」の収録曲のアルバムver.。
    この曲と対になっている「意識」でのアレンジに関しては井上雨迩と相当議論をしたとのこと。椎名林檎が「エレキギターを入れたアレンジにしたい」と最初に提言したが、井上雨迩が「ギターを入れると今までの「椎名林檎」のアレンジと一緒だからピアノ1本の演奏にしよう」と議論したという。
    最終的には椎名の要望通りギターが入ったアレンジで、「迷彩」のアレンジはジャズロカビリーが混在したようなアレンジになっている。なおこの曲と「意識」のギターを弾いているのは後の東京事変の2代目ギタリスト浮雲である。プロモーションビデオにも生ヴァイオリンで参加した斎藤ネコと共に出演している。

    肆:おだいじに

    椎名林檎のピアノと井上雨迩のギターによる曲。最初製作時にはドラムスベースなどが入っていたが、椎名曰く「可笑(おか)しいアレンジ」になってしまったのでピアノとギターでの編成に変更。

    伍:やつつけ仕事

    ライブCD「絶頂集」のディスク1「虐待グリコゲン」収録曲のアレンジバージョン。この曲の編曲は森俊之が担当しており、椎名曰く映画ラヂオの時間」風のこと。冒頭の外国人アナウンサー取材音声はライブ音源で製作した「やっつけ仕事」のPVの冒頭部分(DVD「性的ヒーリング〜其の参〜」収録)である。
    また同じく冒頭部分で流れる掃除機の吸引音は兄である椎名純平プレゼントの東芝製の掃除機による音。
    なおこの曲は、舞台俳優で脚本家・演出家であるケラリーノ・サンドロヴィッチ率いるバンド「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」の「隣の女」というカバーアルバムにてカバーされている。
    また、この曲も「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」にて、インストとして披露された。

    陸:茎

    先行シングル『茎(STEM)〜大名遊ビ編〜』のアルバム・バージョン(茎のバージョン違い参照)。
    この曲の当初「性」という原題で製作されており、2000年の頃にはすでに完成していたが、2001年アメリカ同時多発テロ事件で一時期精神的に不安に陥りその時の心情など交えた現在の歌詞に書き変えて収録。
    なおタイトルの「茎」の意味は「陰茎」で、性的な意味ではなく種族存続などのことを意味する。

    漆:とりこし苦労

    「やつつけ仕事」の対の曲。この曲は民族楽器がふんだんに使用されていたが、編集作業で必要の無い音をだいぶ削ったとのこと。
    なおこの曲も浮雲が「口リヅム」というボイスパーカッションで参加している。

    捌:おこのみで

    「おだいじに」と対の曲。この曲では椎名林檎の曲では珍しく電子ドラムを使用。また使用ピアノにも工夫し、弦に木片やゴムなど挟め金属的な音にする「プリペアド・ピアノ」を使用している。アウトロが次の曲「意識」のイントロと繋がっている。

    玖:意識

    「迷彩」との対の曲で先行シングル『茎(STEM)〜大名遊ビ編〜』の収録のアルバム・バージョン。
    なお「迷彩」と「意識」は2007年2月21日発売の斎藤ネコとの共同作品である4枚目のアルバム『平成風俗』にも斎藤ネコのアレンジにより収録される。

    拾:ポルターガイスト

    「ドツペルゲンガー」との対の曲。1番はキーボードの演奏で2番からオーケストラによる演奏。会議中にスタッフとの雑談であるスタッフが「ワルツ聴くとついCDを買いたくなる」と発言したことから、全体的にワルツ調のアレンジが施されている。
    イントロの電車と踏切の音は小田急線のものであり、歌詞も「小田急線の途中というストーリー」であることが当時のインタビューで語られている。また、踏切の音の収録の行きと帰りで、「ドツペルゲンガー」で用いられているバスの音も録られたという。

    拾壱:葬列

    この曲は椎名が16歳の時には出来ており、1枚目のアルバム『無罪モラトリアム』に収録しようか迷った際、プロデューサーの亀田誠治に相談したところ、「迷うなら良い機会まで取っておきなさい」と助言され今作まで取っておいたのこと。
    なお歌詞に関しては深い意味は無いとのこと。この曲はソロではライブで披露しなかったが、東京事変でのライブイベント『東京事変 DOMESTIC! Virgin LINE』で披露した。最後はいきなり無音になってこのアルバムを閉じる。
    全作詞・作曲
    • 椎名林檎
    編曲・録音
    • 化猫キラー(バケネコ-)(椎名林檎と井上雨迩のユニット名)(M5以外全て)
    • 森俊之(M1.5.10)

    アナログ盤

    加爾基 精液 栗ノ花
    椎名林檎アナログ盤アルバム
    リリース
    ジャンル J-POP
    時間
    レーベル 東芝EMIVirgin Music
    チャート最高順位
    • 週間最高順位263位(オリコン)
    椎名林檎 年表
    加爾基 精液 栗ノ花
    (2003年)
    平成風俗
    (2007年)
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    Side A

    1. 宗教
    2. ドツペルゲンガー
    3. 迷彩

    Side B

    1. おだいじに
    2. やつつけ仕事
    3. 茎(ステム)
      アレンジはアルバムと同じだが、英語の歌詞で歌われている。

    Side C

    1. とりこし苦労
    2. おこのみで
    3. 意識

    Side D

    1. ポルターガイスト
    2. 葬列
      〜メモリヤル単曲〜
    3. 映日紅の花(いちじくのはな)
      アナログ盤のみ、デビュー5周年メモリアル単曲として収録された。浮雲が椎名の為に曲を書き下ろし編曲も担当した。歌詞に関しては「葬列」の続編とのこと。またアナログ盤に限らず、今作の発売日に行われた九段会館でのコンサートイベントを収録したDVD『賣笑エクスタシー』にも同曲を収録したCDが付録として付いてくる他、デビュー10周年記念アルバム『私と放電』にも収録されている。
    全作詞・作曲
    • 椎名林檎
    • 浮雲(アナログ盤のみ収録の「映日紅の花」作曲)

    エピソード

    • タイトルの「加爾基 精液 栗ノ花」の由来はスタッフとの雑談中にある2名のスタッフの「精液ってカルキ臭いよね?」「いやの臭いとも聞くよ」というやりとりを聴き、「カルキ」という言葉の語感が綺麗と思いタイトルに採用した。
    • 今作のCMは「浄瑠璃」で全6種類製作されているが、さすがにタイトルをそのまま言うのは露骨過ぎるため、CM上ではタイトルの代わりに「椎名林檎ニューアルバム」と言って、発売日の告知のみ放送した。また、発売当時のオリコンランキングを紹介するラジオ番組などでは、「ザーメン」という表現があまりにも露骨なため、「椎名林檎新アルバム」とのみ紹介されることもあった。
    • 製作の際、椎名林檎は予算を気にしながら製作した。なるべく節約するため、自身が所有するマッキントッシュと安価な録音機材と作曲・編集ソフトを用い、大まかなアレンジを井上雨迩と交換しながらアレンジ。民族楽器など単品の楽器は自宅の一室で録音し、ストリングスなど大人数を要する物は別々の部屋で同時収録をした。
    • ボーカル・トラック録音の際、「太宰治的体験」をしたいとの本人の要望で、わざわざ熱海の旅館の一室を借り機材を持ち込んで録音。
    • 当初、シングル『真夜中は純潔』表題曲「真夜中は純潔」を同曲収録のC/W「愛妻家の朝食」と対にして収録する予定だったが、製作が進むにつれて今作の世界観に合わないと判断したため収録が見送られた。「愛妻家の朝食」はその後「私と放電」に収録され、「真夜中は純潔」は、限定BOX「MoRA」内の「勝訴ストリップ」に追加トラックとして収録された。
    • ジャケット撮影に使われている磁器は、椎名林檎が好きな窯元「館林古琳庵」に特別にオーダーメイドで製作してもらった。
    • 初回盤のみ封入の「林檎クン眉唾ステツカー」は、シールの台紙を剥がすと24歳当時の椎名林檎の直筆メッセージが見られる仕組み。