イノシシ
イノシシ | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() イノシシ Sus scrofa
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Sus scrofa Linnaeus, 1758 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
イノシシ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
(wild) boar | |||||||||||||||||||||||||||
![]() 推測される本来の分布
移入地域
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イノシシ(猪・豬、英名:Wild boar、学名:Sus scrofa)は、鯨偶蹄目イノシシ科の動物の一種。本種を家畜化したものがブタである[1]。
名称[編集]
学名は「Sus scrofa」であり、「Sus(イノシシ属)」+「scrofa(雌豚)」という意味でリンネによる命名である。ウシやウマなど他の家畜の学名では野生種より前に家畜種に命名されている例が多々あり、先取権の点から問題となった(審議会の強権により解決された)が、イノシシとブタの間ではそのような問題は起きなかった。なおブタの学名は「Sus scrofa domesticus」であり、「domesticus(家畜の)」と家畜化されていることが強調されている。
英語では boar であるが、「去勢していない雄豚」という意味で使われることもあるため[2]、区別するために wild boar や wild pig とも呼ばれる。
日本語の古い大和言葉では「ヰ(イ)」と呼んだ。イノシシは「ヰ(猪)のシシ(肉)」が語源であり、シシは大和言葉で「肉」を意味する(「ニク」は音読みの呉音)。現代中国語では、「猪(豬 / 猪)」の漢字は主にブタの意味で用いられており、イノシシは「野猪(野豬 / 野猪)」と呼んで区別する。同様に、朝鮮語の固有語においても「豚」は「テジ(돼지、dwaeji / twaeji)」、イノシシは「メッテジ(멧돼지、metdwaeji / mettwaeji)」と接頭辞で区別される。なお、十二支の亥年もイノシシとなるのは日本のみであり、他の東アジア漢字文化圏においてはブタとなる。
生息域[編集]
元来は、アジアやヨーロッパなどを中心に生息していた。人間によってイノシシまたはその家畜化されたブタが再野生化したものが、アメリカ大陸やオーストラリア大陸などにも放され、爆発的に生息域を広げることになった。
分布地域によって個体に大きな差があり、米国アラバマ州では体長約2.8m、体重約470kgもある巨大なイノシシが過去には仕留められている。中国東北部やロシアのイノシシも体重300kg以上に達する個体がある。
日本にはニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2亜種、ないしは八重山諸島のグループをさらに分けた3亜種が分布する。いずれもイノシシの亜種ではなく、別種として分類すべきとの議論もなされている。
東北地方の生息域の拡大[編集]
欧米やロシアのイノシシと比べると、日本のイノシシはサイズが小さく、手足も短いため雪の上で移動することが難しいこともあり、雪原地帯での生息が難しいと考えられる。しかし、近年の温暖化に伴って、東北地方におけるイノシシの生息域が広がっている。
山形県では、100年以上にわたってイノシシの生息が確認されていなかったが、2002年に天童市で1頭が捕獲されて以降、各地で出没が相次いでいる。2018年度末の推定個体数は約7800頭とされ、わずか10年間で20倍近くに膨れ上がっているとみられる。2019年度には約2000頭を捕獲したものの、イノシシによる農作物被害は約7400万円に上っている。
北海道にはイノシシは生息しているのか?[編集]
長らく「北海道にはイノシシは生息していない」というのが定説となっていたが、2003年に行われた環境省の調査で道東エリアに生息していると確認された。これは1980年~1988年頃に、イノブタの養殖のために本州から持ち込まれた数頭の個体が逃げ出し、野生化したものと考えられている。
北海道では「豚の放牧」が冬場にも行われ、足寄町ではイノブタが野生化し問題となっている[3]。1980年頃から足寄町でイノブタが飼育されるようになった。それらはほぼ放し飼い状態で飼育されていたため脱走し野生化した。駆除を試みたが元の飼い主が権利を主張して駆除が出来なかった。1987年頃に農作物被害が深刻化して1988年に所有者が所有権を放棄し、駆除が開始され1991年頃に個体数が減少するも完全駆除にはいたっていない[4]。
こうした事例からも分かる通り、冬場でも水や餌が確保でき、雪や風雨を凌げる場所さえあれば、条件付きではあるが「北海道でも生息することは可能」と言える。ただし現状、無事に越冬できる個体は限られ、大規模な繁殖には至っていないと推察される[要出典]。
生態[編集]

古くから狩猟の対象とされてきた動物の一つであるが、非常に神経質で警戒心の強い動物である。普段より見慣れないものなどを見かけると、それをできるだけ避けようとする習性があり、人間と遭遇した場合でも何もしなければ逃げ出すが、興奮状態だったり挑発を受けると反撃に出る[5]。
基本的には昼行性であるが、人間の生活圏と重なる場合は人間を避けるため夜行性を示す[6][5][7]。
多くの匂いに誘引性を示し、ダニ等の外部寄生虫を落としたり体温を調節したりするために、よく泥浴・水浴を行う。泥浴・水浴後には体を木に擦りつける行動も度々観察される。特にイノシシが泥浴を行う場所は「沼田場(ヌタバ)」と呼ばれ、イノシシが横になり転がりながら全身に泥を塗る様子から、苦しみあがくという意味のぬたうちまわる(のたうちまわる)という言葉が生まれた。
知能が高く、障害物の構造を目視で把握し、飛び越せても通過できないなどの判断が出来る[8]。飼育されている個体が地面を掘る際に木の棒を使うなど、道具を利用することもある[9]。学習能力や記憶力も優れており、イノシシのテーマパーク「天城いのしし村」では芸を仕込み舞台で披露させることに成功した。一度侵入に成功した場所には繰り返し出没するが、危険な場所も把握して近寄らないため、農作物の被害が深刻化する[5](「イノシシ問題」で後述)。
攻撃性[編集]
非常に突進力が強く、ねぐらなどに不用意に接近したり鉢合わせした人間を襲うケースも多い[7]。イノシシの成獣は70kgかそれ以上の体重がある上、時速45kmで走る事も可能であり、イノシシの全力の突撃を受けると成人男性でも跳ね飛ばされて大けがを負う危険がある[7]。
オスの場合には牙も生えているため、たとえ立ち止まっている場合でもオスの場合は鼻先をしゃくり上げるようにして牙を用いた攻撃を行う。オスの牙は非常に鋭く、訓練された猟犬であっても縫合が必要な大きな裂傷や深い刺傷を負う場合があり[7]、作業服程度の厚さの布なら容易に切り裂いてしまうという[10]。牙による攻撃はちょうど成人の太ももの高さに当たるため、人間が攻撃された場合、大腿動脈を破られて失血死するケースが多く、非常に危険である[10][11]。
メスは牙が短い為、牙を直接用いた攻撃をする事は少ないが、代わりに大きな顎で噛み付く場合がある。メスであっても小動物の四肢の骨程度であれば噛み砕く程の力があり、遭遇した観光客に噛みついて重軽傷を追わせた事例がある[12]。
生息域と食性[編集]
生息域は低山帯から平地にかけての雑草が繁茂する森林から草原であり、特に身を隠せる藪[5]や水場が近い場所を好む。
食性は基本的に山林に生えている植物の根や地下茎(芋など[13]。冬場は葛根も食べる)、果実(ドングリなど)、タケノコ、キノコなどを食べる、草食に非常に偏った雑食性(植物質:動物質≒9:1)である。芋類は嗅覚で嗅ぎ付け、吻と牙で掘り起こして食べる。動物質は季節の変化に応じて昆虫類、ミミズ、サワガニ、ヘビなどを食べる。食味が良く簡単に手に入れられる農作物を求めて人家近辺にも出没することがある。穀物も採餌対象であり、田畑で実った稲[14]やトウモロコシも食害に遭う。鳥類やアカシカなど小型哺乳類なども採餌し、死骸が落ちていた時に食餌する。
寿命および生育[編集]

野生下での寿命は長くて10年であり、一年半で性成熟に達する。幼少期には縞模様の体毛が体に沿って縦に生えており、成体よりも薄く黄褐色をしている。イノシシの幼少期は天敵が多く、この縞模様は春の木漏れ日の下では保護色を成す[15]。その姿かたちがマクワウリの一種に似ていることからウリ坊(ウリン坊とも言う)、うりんこ、うりっことも呼ばれ、この縞模様は授乳期を過ぎた生後約4か月程度で消える(なお、マンガリッツァ等ブタの一部の品種にはこの形質が残っているものもある)。
繁殖期は12月頃から約2か月間続く。繁殖期の雄は食欲を減退させ、発情した雌を捜して活発に徘徊する。発情雌に出会うと、その雌に寄り添って他の雄を近づけまいとし、最終的にはより体の大きな強い雄が雌を獲得する。雌の発情は約3日で終わり、交尾を終えた雄は次の発情雌を捜して再び移動していく。強い雄は複数の雌を獲得できるため、イノシシの婚姻システムは一種の一夫多妻であるとも言える。雄は長い繁殖期間中ほとんど餌を摂らずに奔走するため、春が来る頃にはかなりやせ細る。
巣は窪地に落ち葉などを敷いて作り、出産前や冬期には枯枝などで屋根のある巣を作る。通常4月から5月頃に年1回、平均4.5頭ほどの子を出産する。秋にも出産することがあるが、春の繁殖に失敗した個体によるものが多い。妊娠期間は約4か月。雄は単独で行動するが雌はひと腹の子と共に暮らし、定住性が高い。子を持たない数頭の雌がグループを形成することもある。
身体能力[編集]

視力は0.1以下で100m程度が視認範囲とされる[16]。また眼球が顔の側面にあるため立体視は不得意とされる[16]。嗅覚は鋭く土中の根菜の位置を詳細に把握することが確認されている。多くの野生動物と同じく山火事と関連がある焦げた匂いを嫌う[17][18]。聴覚も良く超音波も聞き取ることが出来るが忌避反応は示さない。麻布大学獣医学部講師の実験により200〜500Hzの音に逃避反応を示すことが報告されている[19]。
短い脚と寸胴に似た体形に見合わない優れた運動能力を持ち、最高ではヒトの短距離走世界記録保持者(100mを約9秒台後半から10秒、時速36km強)をも凌ぐ約45km/hの速さで走ることが可能で、5m程の距離であれば人間が反応できない速度で詰め寄ることができる[7]。
跳躍力も高く農研機構近畿中国四国農業研究センターの実験では、70kgの成獣が121cmの高さのバーを助走もなしに跳び越えたことが確認されている。また吻と牙で土を掘り起こせるため、飛び越えられない高さの柵でも支柱の下の土を掘る、背の力を使って下から押し上げる、突進して破壊するなどの行動により柵で囲われた農地にも容易に侵入できる。ただし立体視が不得意なため94cmの柵でも忍び返しを設置するとより高い柵だと錯覚し、踏切位置を下げすぎて飛び越せなくなる[16][20]。扁平になった鼻の力(実際には首〜上肢の力)はかなり強く、雄で70kg以上、雌でも50〜60kgもある石を動かすことができる。これを利用して倒木などの障害物により直接口を付けられない餌も採餌できる[21]。
積極的に水へ入ることはないが、餌を探す際には水路に沿って移動するため[22]、追い立てられるなどしてやむを得ず泳ぐことから川辺や海辺で遭遇する事例もある[7]。犬かきで時速4km程度を出せ、30kmの距離を泳ぐことも不可能ではないという[23]。瀬戸内海では島の間を渡る猪が度々目撃されている[24]。欧米でも「グッド・スイマー」と呼ばれているという[25]。兵庫県立大学准教授の栗山武夫によると、イノシシが生息する日本の離島は1978年時点の約30から2013年には約220へ増え[26]、海外でも湖や海を泳いで渡るイノシシが観察されている[27]。
積極的に前進することや向こう見ずに進むことを「猪突猛進」といい、これはイノシシが真っすぐにしか進めないところからきていると言われている。実際には他の動物と同様、目の前に危険が迫った時や危険物を発見した時は急停止するなどして方向転換することができ、真っすぐにしか進めないという認識は誤りである。
天敵[編集]
大型肉食動物(トラ、ライオン、ヒョウ、オオカミ、クマ、ワニ、大蛇など)とイノシシの生息地が被る際には、主にイノシシの幼獣を含む中小の個体が他の有蹄類と同様に捕食対象となるが、普段から藪に隠れて行動し、危険を察知すると即座に逃走するため容易には捕食されない。
逆に、オスの大型個体であれば、牙と突進により返り討ちにするケースも見られる。生きたまま網で捕獲された事例では、男性の警察官が十数名で囲み取り押さえている[22]。
それらが生息していない地域や、過去には生息していたが現在では絶滅している地域では、成獣を殺害・捕食する大型動物は人間以外にはほぼ存在しない。そうした地域では野犬やカラス、キツネや大型の猛禽類等が、イノシシの幼獣を捕食する程度である。
分類[編集]
亜種[編集]
Mammal Species of the World, 3rd edition によれば、イノシシには16の亜種が確認されている[28]。ただしこの資料はブタを扱っていない。
- Sus scrofa algira
- Sus scrofa attila
- Sus scrofa cristatus
- Sus scrofa davidi
- Sus scrofa leucomystax - ニホンイノシシ
- Sus scrofa libycus
- Sus scrofa majori
- Sus scrofa meridionalis
- Sus scrofa moupinensis
- Sus scrofa nigripes
- Sus scrofa riukiuanus - リュウキュウイノシシ
- Sus scrofa scrofa
- Sus scrofa sibiricus
- Sus scrofa taivanus
- Sus scrofa ussuricus
- Sus scrofa vittatus
日本のイノシシ[編集]

日本列島には、イノシシの亜種であるニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2亜種が分布している。ニホンイノシシは本州、四国、淡路島、九州等に生息する。リュウキュウイノシシは南西諸島の奄美大島、琉球諸島の一部(沖縄島、石垣島、西表島等)に分布している[29]。北海道は現代のイノブタを除き野生のイノシシが自然分布していない[30]。
ニホンイノシシ[編集]


ニホンイノシシ(日本猪、S. scrofa leucomystax /英語: Japanese wild boar)は、本州、四国、九州とその周辺にあるいくつかの島(淡路島、小豆島、五島列島[31]など)に分布する。足が短く雪が苦手なため、豪雪地帯には分布しないとされてきたが、日本海側では平年値の積雪が2mを超える福井県の山間部にも出没するようになった。長野市、須坂市など長野県北部の市街地でも目撃され、人的な被害も報告されている。また、太平洋側では宮城県南部が分布域の北限とされていたが、近年は北上傾向にあり、同県仙台市の西部にある奥羽山系・泉ヶ岳の裾野での生息や仙台七夕用の竹の被害などが報告されている[32]。
佐渡島には、本州の個体群から遺伝的に数十万年間隔離されていた個体群が存在した[33]。また、伊豆諸島から出土するイノシシの化石には島嶼矮小化したと思わしい特徴が見て取れることから、過去に自然分布していたという指摘もある[34]。
沖島には琵琶湖を泳いで渡ったイノシシが定住しつつあり、特産品のサツマイモを含む農作物への被害が深刻化している[35]。
九州の離島でも本土や他の島から泳いで渡ったとみられるイノシシによる農作物への被害が相次いでいる[36]。対馬においては江戸時代に農業被害に悩んだ対馬藩が9年間で約5千人を動員し約8万頭を駆除した[37]。しかし平成になって、経緯は不明ながら野生イノシシが再定着している[38]。
従来は「絶滅」と判断されてきた奥日光[39][40]や北東北でも目撃件数が増え、東北では農作物被害も出ている[41]。山形県は2003年発行の『レッドデータブックやまがた』で「絶滅」に区分したが、2017年度時点で、県内に3200頭(推定)生息しているとみられる[41]。秋田県では、2012年2月に県南部の湯沢市内で初めて目撃され、2017年度の目撃は43件だったが、2019年度は1月21日までに69件目撃され目撃現場も北上しており、既に定着していると考えられる(同県自然保護課)[41]。さらに北の青森県でも、西南部の深浦町で2017年8月に初めて確認された[41]。2019年度は目撃情報が12月までに13件に上り、生息域が北上している[41]。
イノシシによる農業被害は、農作物を食い荒らすほか、豚熱(CSF)を媒介することで畜産にも打撃を与えている[42]。
本亜種は狩猟対象獣であり、農業被害の防止と食肉を得るという面がある。イノシシ肉の商品価値は食肉用として高く、他の野生鳥獣と比較しても人気がある。その結果、高い狩猟圧がかかるようになり、局所的な個体群の衰退も見受けられるが、逆に分布を拡大させている地域も多い。
体長は雄110〜170cm、雌100〜150cm、肩高60〜90cm、尾長30〜40cm、体重80〜190kg(岐阜市で約220kgもの雄個体が捕獲されたこともある)で、雌は雄よりも小さく性的二型が見られる。全身茶褐色から黒褐色の剛毛で覆われる。指の数は前後ともに4本で、2個の蹄を持つ。雌雄共に下顎の犬歯が発達して牙状になっており、雄は特に長い。雄の牙は生後1年半ほどで確認できるようになり、半月型に曲がった形で終生成長を続け、最大で15cmほどまでになる。上顎の犬歯も大きく、それが擦り合わさるよう下顎の犬歯が生えているため、常に研磨された状態の牙は非常に鋭い。ただ、この牙は後方に湾曲しているため、攻撃用というよりもむしろ護身用である。湾曲の度合いもブタと比べると緩い。
雑食性で、クズやヤマノイモなどの根やシイ類の堅果(ドングリ)、小動物(昆虫類やミミズ等)を捕食する。繁殖期は年1回(春頃)であるが、年2回出産することもある。
リュウキュウイノシシ[編集]
リュウキュウイノシシ(琉球猪、S. scrofa riukiuanus / 英語: Ryukyu wild boar)は、南西諸島の一部(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島)に分布する固有亜種である。
沖縄方言ではヤマシシ[43]またはヤマンシー[44]と呼ばれる。奄美方言では「シシ」と呼ばれ[45]、西表島では「カマイ」と呼ばれる。
生態的な特徴はニホンイノシシと同様であるが、生息域が亜熱帯のためか、春と秋、双方に繁殖期がある。各島でその体長・体重には差異があり、いずれもニホンイノシシと比較するとかなり小さく、体長は90〜110cm、体重20〜70kg程度である。ニホンイノシシが島嶼化(とうしょか)現象で小型化したとも考えられるが、頭骨の形状の違いなどから別種の原始的なイノシシとする見解もある。西表島及び石垣島の個体群はさらに小型で50kg程度にしかならない。また、沖縄本島及び奄美群島の個体群と遺伝的に異なっている上に頭骨の内、上顎骨にある涙骨と口蓋裂の形状、乳頭の数や位置に相違点があるとの報告があり、今後検討を経て別亜種とされる可能性が高い[46]。
食性は雑食で、スダジイ等の木の実や小動物(昆虫類やミミズ等)を捕食し、夜間に農耕地に出没し、農作物を食害することもある。繁殖期は年に2回(10-12月、4-5月)で、年に1回から2回出産すると考えられている。奄美群島のリュウキュウイノシシは頻繁にウミガメの卵を食べるようになったことが知られている[47][48]。
徳之島の個体群は、環境省レッドリストで地域個体群に、鹿児島県版レッドデータブックでも絶滅危惧I類で掲載されており、保護の重要性は高い。西表島には比較的多くの個体が生息するが、森林開発や狩猟により全体的な個体数は減少傾向にある。
- 絶滅のおそれのある地域個体群(環境省レッドリスト):徳之島の個体群
- 鹿児島県版レッドデータブック - 亜種:絶滅危惧II類、徳之島の個体群:絶滅危惧I類
- 沖縄県版レッドデータブック - 情報不足
ブタ[編集]
ブタは元々、イノシシが家畜化されるうちに品種化していった動物であり、現代中国語で「猪」という単語/文字は一般的にブタを意味する。イノシシを表記したい場合、「野猪」と表記する(ブタを特に区別する場合は「家猪」と表記する)。
日本列島では縄文時代にイノシシの飼養が行われていた[49]。縄文時代の遺跡からはイノシシの骨が出土しているが、弥生時代に入るとイノシシの他に骨の形状からブタだと考えられる骨の比率が急増している。また、日本在来のイノシシとブタの中間的な形態の骨は出土していないことから、ブタは弥生時代に、アジア大陸から持ち込まれたと考えられている。また、弥生時代の遺跡から出土するイノシシ類の骨は若い個体が多いため、弥生時代に家畜化されたブタ(弥生ブタ)が飼育されるようになったと考えられている[50][51]。
食用[編集]

100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 122 kcal (510 kJ) |
0.00 g | |
食物繊維 | 0.0 g |
3.33 g | |
飽和脂肪酸 | 0.990 |
一価不飽和 | 1.300 |
多価不飽和 | 0.480 |
21.51 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 0 µg |
チアミン (B1) |
(34%) 0.390 mg |
リボフラビン (B2) |
(9%) 0.110 mg |
ナイアシン (B3) |
(27%) 4.000 mg |
ビタミンC |
(0%) 0.0 mg |
ミネラル | |
カルシウム |
(1%) 12 mg |
リン |
(17%) 120 mg |
他の成分 | |
水分 | 72.54 g |
ビタミンA効力 | 0 IU |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース(英語) |
日本で獣肉食が表向き禁忌とされた時代も、山間部などでは「山鯨(やまくじら)」(肉の食感が鯨肉に似ているため)と称して食されていた。「薬喰い」の別名からもわかるように、滋養強壮の食材とされていた。「獅子に牡丹」という成句から、獅子を猪に置き換えて牡丹肉(ぼたんにく)とも呼ばれる[53]。文芸では上方落語『池田の猪買い』などに登場する。イノシシ肉の鍋料理を「ぼたん鍋」と称する。
南西諸島の奄美大島、沖縄本島、西表島などにおいては、歴史的にも肉食のタブーの影響がないまま、リュウキュウイノシシが貴重なタンパク源としてよく食べられている。西郷隆盛も奄美大島で好んで食べたとされる。
日本においては、多くがシシ汁、シシ鍋として食べられてきた。近年は焼き肉、バーベキュー、炒め物にすることも増えている。農業への獣害防止を兼ねて、捕殺した野生イノシシをジビエとして販売する取り組みも行われているが、供給に比べて需要が少ないのが現状である[54]。
奄美大島では保存性を目的にリュウキュウイノシシ肉の塩漬けも作られ、「ましゅちけぃしし」と呼ばれた。また、味噌漬けやソーセージにする例もある。
食肉加工[編集]
- イノシシは、屠畜場法に基づく検査(と畜検査)の対象にされておらず、食肉として供給する際の疾病確認や解体時における衛生対策などの法定基準は設けられていない。
- 捕獲されたイノシシの食肉加工は猟師が自ら行う場合がほとんどであり、野生のイノシシの肉が流通することはまれである。このため、イノシシ肉の品質や味は、イノシシの健康状態や肉質のほか、加工を行った猟師によって大きく変化する[55]。イノシシに限らないが、狩猟によって得られた肉は、当たり外れが大きいため、イノシシ肉を提供する店舗では、イノシシの牧場から仕入れることで、品質を一定にする試みが行われている[56]。
- 鳥取県内では2003年(平成15年)より市町村の補助金で県内数箇所にイノシシ専用の食肉加工処理施設が設置、現在も稼働中である。
- 群馬県では、2007年(平成19年)4月より中之条町でイノシシ専用の加工施設が設置された。現在「あがしし君」のブランドで販売されている。
- 島根県では、イノシシなどの野生獣畜の食肉に起因するE型肝炎などの健康被害の発生もみられることから、2006年(平成18年)9月、猪肉を安全に供給するシステムを構築するため、HACCPの概念など食品安全基本法の趣旨を取入れた「猪肉に係る衛生管理ガイドライン」を独自に作成した。
- 佐賀県武雄市では2009年(平成21年)4月に「いのしし課」を新設。それまでの、個体数調整事業に偏りすぎていた対策に、捕獲したイノシシ肉の利活用まで取り組むことで、地域の資源として有効に活用、特産品・ブランド化を目指し食肉加工センター「やまんくじら」と連携して武雄産イノシシ肉のPRをはじめ新たな商品、加工品の共同開発を進めながら販路開拓に努めている。また、地元の商工会議所青年部、商工会青年部やまちおこし・まちづくり団体と協力・連携して、シシ鍋、シシ汁やシシリアンライス等の試食・振舞を実施しながら地元でのPR、普及に努めている。
- 福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限により、捕獲地域によっては出荷が制限されている。県の定める出荷・検査方針に基づき管理されるイノシシの肉は制限が除外される場合がある[57][58]。
食用上の注意[編集]
イノシシ問題[編集]
アジア[編集]
古代から農家にとっては害獣であったが、現代では市街地への侵入が問題となっている。
日本[編集]

イノシシによる食害は、日本で農耕が始まって以降、深刻な問題となってきた[59]。江戸時代の東北地方では、天候不順による不作とイノシシの食害による飢饉が「猪飢渇(けがち)」と呼ばれた[60]。イノシシの田畑への侵入を防ぐしし垣(シシ垣)を作った地域もあった[61]。
三重県伊勢市の伊我理神社の祭神「伊我利比女命」(いがりひめのみこと)は、その名の由来が「猪狩」であり、五穀を食い荒らすイノシシを狩る女神だとされている[62]。
養豚に打撃を与える豚熱の媒介役にもなっており、農業被害抑制と合わせて野生個体の駆除が強化されている[63]。
近年、人里に出没するニホンイノシシの数は増加傾向にあり、特に過疎地や高齢化集落において、農林業被害(食害、踏みつけ、掘り起こし)を及ぼすことが問題となっている[64]。とくに山林でドングリが少なくなる8月には田畑が格好の採餌対象となる[14][65]。広島県や兵庫県などを始め本州の各地で住宅地付近にまで出没し、民家の庭や路上のゴミを荒らす生活環境被害や、噛み付きなどの人的被害も頻出。イノシシに襲われた結果、死亡事故に繋がる場合[10]もあり、行政も対策に頭を悩ませている。近年では線路に進入して列車との衝突事故を起こしダイヤを乱した事例[66][67]もみられる。
被害対策としては爆竹音を鳴らしたり、石油臭を利用したりするなどの方法があるものの、高度な学習能力を持つため設置箇所や時間帯が回避され継続的な効果は期待できない。完全に防ぐには電気柵や強固な鉄柵を張るしかないが、経費の問題もあり、あまり現実的ではない。広島県の呉市や竹原市などは防護柵の設置に補助金を支給している。経験の浅い若い個体が餌を探して町中に迷い込むこともある[22]。本能的に嫌う焦げた匂いがする忌避剤も開発されている[17][18]。
駆除経費の確保と地域振興を兼ねて、狩猟や罠で確保したイノシシの肉を、他の野生鳥獣肉と並ぶジビエとして加工・出荷する取り組みも行われている[68]。愛媛県の大三島では2000年代から海を渡ってきたイノシシが繁殖し特産のミカン畑に被害が出ているが、11月から2月の狩猟期間では間に合わず特別な許可を得て通年で駆除を行い、特産品として販売するなど産業化する動きもある[69]。有効利用できない場合、死骸は地面に穴を掘って埋めたり、発酵槽に水・おがくずとともに入れて微生物による分解で減容したりして処理する必要があり、コストがかかる[70]。産業廃棄物として処理されることが多い未利用部位を炭化させた肥料も、石川県羽咋市の合同会社により生産されている[71]。
かつては農林水産省の補助事業も行われたが、2009年の事業仕分け (行政刷新会議)(WG3)に諮られた際に、「重要な課題であるということは認識しつつも、国(が実施すべき事業)ではない。」[72]との意見が示され、2010年度からは都道府県に対する交付金となった。
兵庫県の六甲山では野生のイノシシとの接触機会が多く、1960年代より登山者によって餌付けが行われるようになり、大規模な餌付け場として「芦屋イノシシ村」が作られるなど、六甲山系全体でイノシシに対して餌付けが行われたが、人馴れしたイノシシによるトラブルが増加し、2002年に神戸市は全国で初めてイノシシへの給餌などを禁止したイノシシ条例を制定した[73]。
ニホンイノシシの個体数の増加傾向の原因として、畜産用に飼われていたイノシシとブタとの間の一代雑種であるイノブタが飼育中に逃亡し、野生のイノシシと交配し、ブタの多産性質を広めているという説がある。過去にイノシシが絶滅した千葉県では狩猟目的でイノブタ及びイノシシを放した証言があり、近年出没する個体はその子孫ではないかとする見解もある(千葉県イノシシ・キョン管理対策基本方針)。タケノコの季節には胃内容物の大半がタケノコであり、放置竹林が問題であるとする説もある[14]。中山間地の過疎化による休耕地や耕作放棄地の広がりがイノシシに格好の餌場や住処を提供し、そのために人里近くまでイノシシが出没するようになったことが原因であり、イノシシの個体数そのものは、従前とあまり変わらないのではないかとの考えもある。耕作放棄地を整備したり再び畑として利用したりする事で、イノシシが近寄りにくい環境にする取り組みも行われている。
日本においては、ライフルや散弾銃などを利用した銃猟捕獲は人家近くでの発砲は原則として出来ないため、捕獲範囲が限定されている[12]。猟友会に所属するハンターの高齢化による作業人員の減少[74]により、集団で追い込む巻狩が難しくなり[75]、本格的な駆除には至っていない。一般市民がわなを用いて捕獲する場合は狩猟免許の取得や自治体への届出が必要であり、実際の駆除開始まで時間や手間がかかることも多い。イノシシのわな猟では主に箱罠やくくり罠が用いられるが[12]、警戒心が強いため成獣は箱罠には簡単にかからないとされる[75]。またくくり罠は環境省による2007年の通知以降、規定より大きな楕円型が多く流通し、誤ってクマがかかる錯誤捕獲が多発しているという報告がある[75]。いずれの猟具を用いた場合でも罠に掛かったイノシシの「止め刺し」が必要となるが、銃器を用いない場合には非常に大きな危険が伴う。例年わなに掛かったイノシシの止め刺しに際しては事故が発生しており、くくり罠の場合には抵抗するイノシシによってワイヤーが断裂したり[76]、止め刺しに入った際に反撃を受けたり[77]、狩猟者自身がワイヤーに巻き込まれたりするなどによって死亡事故[78]に繋がるケースもある。被害を防ぐためにわな猟を始める農家が増えた地域では、銃器を使える第1種免許の保持者が止め刺し作業に忙殺されるという問題もある[74]。環境省や地方自治体は止めさしの技術向上や、銃器による止めさしの要件緩和などが事故防止の喫緊の課題であるとしている[79]。市街地に出没した場合には銃器の使用が不可能に近いため、捕獲に多くの人員が必要となるが、人員が減少している猟友会だけでは対応できず、警察に応援を要請している[22]。
日本のイノシシは高い確率で日本脳炎ウイルスに感染しているという報告があり、イノシシと人間の接触機会が増えると感染症伝搬の危険性も増加すると考えられる[73](人獣共通感染症も参照)。また、沖縄県の八重山諸島では、病原性のレプトスピラの宿主であることが報告されている[80]。
香港[編集]
香港ではトラが絶滅してからは天敵がいなくなったことや、開発により生息域が狭められた結果、警戒心の薄い個体が中心部や空港などに出没するようになり[81]、人を襲撃する事件も起きている[82]ほか、市民による餌付けも問題視されている[82]。一度は猟師による駆除も行われたが、動物福祉や公衆安全上などの理由で2017年に中止され、対策は開けにくいゴミ容器への置き換えや捕獲したイノシシの去勢・避妊などにシフトされた[82][81]。しかし、2021年11月に香港警察の警官がイノシシに襲われる事件が発生すると、香港政府は市街地に出没したイノシシの「全頭駆除」を宣言し、以前にも増して大規模な駆除作戦を展開している[83][84]。
台湾[編集]
近年では人間の生活空間に入り込み物や家畜が被害を受けているため、伝統的に狩猟対象としていた台湾原住民の猟師が駆除にあたっている[85][86]。
ヨーロッパ[編集]
ヨーロッパでは農耕が開始された時代から駆除が行われてきたが、1980年代より耕作地にイノシシを接近させないため、森林内での給餌なども行われている。しかし、給餌の恒常化は人の餌に慣れることによって森林の食物資源としての価値を下げてしまうことや、イノシシの個体数の管理リスクが生じるなど問題点も指摘されている[73]。
ドイツでは頭数のコントロールやアフリカ豚熱の流行を防ぐため、ベルリンだけで年に1000〜2000頭が駆除されている[87]。ドイツでは接触によるレプトスピラ症の感染が報告されている[73]。
アメリカ[編集]
北アメリカ大陸[編集]
北アメリカ大陸アメリカ合衆国では16世紀頃にヨーロッパからの移民が家畜として持ち込んだが、逃げ出した個体に同じく逃げ出した豚も加わって、現代では南東部を中心に約400万頭が生息するとされる[88]。近年では食用目的の狩猟増えているが、トキソプラズマや旋毛虫などの寄生虫が確認されており、感染症を広げるリスクが指摘されている[88]。
南アメリカ大陸[編集]
人為的に持ち込まれたイノシシが繁殖し、ペッカリーの分布を脅かしつつある[89]。
オセアニア[編集]
オーストラリアではイギリス統治時代に持ち込まれた豚が逃げ出して野生化しており、数代でイノシシ化すると見られている[90]。なお中部や西部の乾燥地域には生息できないため、北部の沿岸や東部にある熱帯林やステップ地帯にとどまっている[91]。
飼育[編集]
飼育はブタが中心であり、イノシシを飼育する場所は少ない。
イタリアのチェルヴィアにある自然公園ではイノシシが飼育されている。
静岡県伊豆市には、国内唯一のイノシシのテーマパーク「天城いのしし村」があったが、観光客減少のため、2008年(平成20年)11月30日に閉鎖された。
日本では縄文時代にイノシシが飼育されていた可能性があるとされる。イノシシがヒトや家畜であるイヌとともに埋葬されていたり、下太田貝塚で出土したイノシシの骨の中に家畜化現象を起こしたと思われる骨が見つかるなど、イノシシが飼育されていた可能性を示す証拠がみつかっている[49]。
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チェルヴィアにある自然公園で飼育されているイノシシ
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ドイツにあった農場(1898年)
文化[編集]
東アジアの民俗学・風習における十二支の12番目「亥」がイノシシまたはブタである。
日本[編集]
縄文時代の遺跡から出土する動物の骨の約9割がシカとイノシシであり、ともに主要な狩猟対象獣であった[92]。イノシシは多産であることから、東アジアでは子孫繁栄を祈願する亥の子と呼ばれる年中行事や亥の子餅を食べる風習がある[93]。日本の縄文時代には豊穣の象徴として、縄文時代の精神世界においても重視されていたとされ、土器文様としてイノシシ装飾が見られる。
イノシシ(幼獣)形土製品(複製)
(国立歴史民俗博物館展示)
山梨県北杜市大泉町の金生遺跡は八ヶ岳南麓に立地する縄文時代後期の遺跡で、配石遺構が出土したことが知られる。金生遺跡からは100体以上ものイノシシの下顎骨が発見され、大半が幼獣の骨であり、全てが火で焼かれていた。これらの焼骨も何らかの祭祀に関わる遺物であると考えられている[94]。これだけ多くの幼獣が一か所で見つかるという事は、幼獣を手に入れるために飼養され、馴化していたと推測されている[95][96]。北海道には生息しないとされるイノシシの幼獣(瓜坊)の土偶が、北海道亀田郡恵山町(現:函館市)にある日ノ浜遺跡から出土したり、道内各地からイノシシの骨や骨牙の加工品が見つかったりするなど、本州と北海道の縄文人に交易活動があったと推測される[97]。
弥生時代の遺跡からはイノシシの絵柄を用いた土器は多くは出土していない。しかし、佐賀県唐津市の菜畑遺跡からは穴の開けられたイノシシ(ブタ)の下顎の骨に棒を通したものが見つかり、骨の周りからは朱塗りの土器が見つかっている[50]。岡山市の南方遺跡からはイノシシ(ブタ)の下顎が12個が整然と並べられているのがみつかるなど、弥生時代にもイノシシ(ブタ)が祭りや儀式、魔よけに使われていたと考えられている[98]。
イノシシは古代から狩猟の対象であったため、各地の神話・伝説には狩猟と関連するエピソードがある。日本では大国主の神話において八上比売に求婚する大国主を殺そうとした八十神が赤い猪を捕らえるように命令する話があり、赤猪岩神社がこの舞台とされる。日本神話最大の英雄ヤマトタケルは古事記には白猪に化身した山神の怒りに触れて命を落としたとある(ただし日本書紀では蛇神)。ヨーロッパではカヴァスによるトゥルッフ・トゥルウィスなどイノシシを仕留める狩猟伝説がある。狩猟採集社会においては山の恵みや多産の象徴とされたが、農耕社会が始まると田畑を荒らす害獣として認識されるようになり、神の怒りの象徴やイノシシを狩る田の神のような神話が発生したとされる。狩猟の神であるアルテミスは人間への怒りとしてパイア、カリュドーンの猪やエリュマントスの猪など巨大なイノシシを放ったとされる。
日本では狛猪は神使の一つとされ、護王神社を始め多くの神社に祀られており、猪子石の猪子石神社と大石神社のように安産や子孫繁栄など多産と関連する御利益がみられる。亥の子は、日本の俳句文化において冬の季語である。花札では七月の表現に「萩と猪」として描かれている[99]。「猪目」という文様があり、火伏せや魔除けの効果があるとされ、古墳時代から武具の装飾に用いられたほか、神社を初めとした建築物にも使われいる[100]。
宮崎県西都市の国指定の民俗文化財の銀鏡神楽で、オニエまたはサチミタマと呼ばれるその年のお祭りまでに獲れたイノシシの首を神饌(供物)としてささげその前で神楽が奉納されるなどイノシシは現代でも祭りに大事な存在である[101]。
島根県江津市では、石見根付という工芸品があり、イノシシの牙や、サンゴなどを材料に、クモ、カエル、ムカデなどの身近な生き物を削り出して装飾品とする技術が存在する[102]。
世界[編集]
ヨーロッパでは古代から狩猟対象となっており、各地の神話にも登場する。北欧神話では豊饒多産のヴァン神族の聖獣とされ、フレイヤはヒルディスヴィーニを、フレイはグリンブルスティを所有している。
美術[編集]
欧米ではイノシシの狩猟を題材とした絵が古くから存在する。
日本では雄略天皇の猪狩りのエピソードを描いた安達吟光の絵が知られている。
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4世紀のモザイク画
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17世紀
フランス・スナイデルス画 -
1719~1725年
アレクサンドル=フランソワ・デポルト画 -
18世紀
森狙仙画 -
1834~1835年)
歌川国芳画 -
19世紀後半
カール・フリードリヒ・ダイカー画 -
1896年
安達吟光画 -
1921年
ヨハネス・ゲールツ画
ことわざ[編集]
日本には古くから生息しているため様々な諺がある。
- しし食った報い
- 禁を犯して一時的に良い思いをしても、後で必ずそれ相応の悪い報いを受けるという意味。
- イノシシ肉をよく食べる兵庫県丹波篠山市では、本当は「しし食うて温(ぬく)い」で、いのししを食べると精力がつき、体が温まるという意味だが、他人様には食べさせたくないので、「しし食った報い」と言うという説があることを紹介している[103]。
- 鹿肉も「しし」と言うことがあり、いのししにかぎらず、獣肉を食べると障りがあるという意味だとも言われている。
- 猪突猛進
- 「ちょとつもうしん」と読み、一つの物事に対して、猛烈な勢いで一直線に突き進むことを指す。前述のように実際の生態とはやや異なる。
- 猪武者
- 読みは「いのししむしゃ」。進むことだけを考え、退くことを知らない武者すなわち武士(ひいては人物全般)を指す。浅慮ぶりが含意される表現なので、あまり良い意味では用いられない。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
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- ^ a b 「米で急増するイノシシ、感染症を拡大か」ナショナルジオグラフィック
- ^ 『哺乳類の進化』101 - 102頁
- ^ サイボクぶた博物館「ブタの起源」埼玉種畜牧場
- ^ a b ティスデル C., 高橋春成「Sus scrofa による農業被害とコントロール—オーストラリアと日本」『哺乳類科学』第29巻第2号、日本哺乳類学会、1989年、33-41頁、doi:10.11238/mammalianscience.29.2_33、ISSN 0385-437X、NAID 130000884906。
- ^ 小山田了三、小山田隆信『材料技術史概論 第3版』東京電機大学、2001年、31頁。
- ^ 御由緒 - 猪子石神明社公式ホームページ
- ^ または単に、食用に間引いていたとも考えられている。[要出典]
- ^ 『金生遺跡Ⅱ(縄文時代編)』(山梨県埋蔵文化財センター(1989)、p.229
- ^ 西本豊弘「縄文人と弥生人の動物観」『国立歴史民俗博物館研究報告』第61巻、国立歴史民俗博物館、1995年1月、73-86頁、doi:10.15024/00000715、ISSN 02867400、NAID 110000390784。
- ^ “日ノ浜遺跡出土の動物土偶”. 文化遺産オンライン. 文化庁. 2021年4月11日閲覧。
- ^ “南方遺跡出土のイノシシ(ブタ)”. 岡山市. 岡山市. 2021年4月11日閲覧。
- ^ 大澤水牛. “秋の季語:水牛歳時記”. NPO法人双牛舎. 2019年1月6日閲覧。
- ^ “細部名称>文様・備品等用語>猪の目”. 大阪文化財ナビ. 2022年1月13日閲覧。
- ^ 桑畑美沙子、角野育子「熊本・宮崎両県の祭りや神楽に見られる山の人々の暮らし」『熊本大学教育学部紀要 人文科学』第43号、熊本大学、1994年9月30日、109-125頁、ISSN 0454613X、NAID 110000534174。
- ^ “島根県:石見根付(トップ / しごと・産業 / 商工業 / 産業振興 / しまねの伝統工芸 / 工芸品一覧)”. 島根県. 2022年7月18日閲覧。
- ^ “いのしし談義”. 篠山市. 2013年5月25日閲覧。
参考文献[編集]
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- 山崎京美「イノシシ飼育」『縄文時代の考古学5 人と動物の関わりあい 食料資源と生業圏』同成社、2010年
習性、特徴及びニホンイノシシに関して[編集]
- 阿部永ら著・財団法人自然環境研究センター編『日本の哺乳類【改訂版】』東海大学出版会、2005年、ISBN 4-486-01690-4。
- 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎吾、米田政明 著、阿部永 監修、財団法人自然環境研究センター 編集 編『日本の哺乳類』(改訂2版)東海大学出版会、2008年7月5日 第1刷発行。ISBN 978-4-486-01802-5。
リュウキュウイノシシに関して[編集]
- 沖縄県文化環境部自然保護課編『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』2006年
- 鹿児島県環境生活部環境保護課編『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年
- 環境省自然環境局野生生物課『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物1 哺乳類』財団法人自然環境研究センター、2002年、ISBN 4-915959-73-2
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- イノシシの生態解明と農作物被害防止技術の開発 - 農林水産高度化事業(平成15-18年度)
- 基本知識 ~イノシシの生物学的特徴と痕跡 - 復興庁
- 特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン(イノシシ編) - 環境省