雑種第一代
雑種第一代(ざっしゅだいいちだい、英語: F1 hybrid; Filial 1 hybrid)とは、生物において、異なる2つの系統の交配により生まれた第一世代目の子孫を指す[1][2][3]。F1 と略記され、一般には「F1品種(エフワンひんしゅ)」と呼ばれることが多い[4]。
F1個体間の交配もしくは自家受粉によって生じた子孫を雑種第二代(F2)と呼ぶ。
概要[編集]
親世代の2系統はしばしば近交系であり、注目する遺伝子座に関して、異なった対立遺伝子をホモで持つ。このとき雑種第一代は両親の遺伝子をヘテロで持ち、遺伝子型は均一である。雑種第一代の示す生育、生存力、繁殖力、生産性などの形質が両親のいずれよりも優れる場合、この現象を雑種強勢(ヘテローシス)という。逆に劣る場合には雑種弱勢と呼ばれる。特に前述の雑種強勢を利用して、より有用な形質を伸ばす方向に品種改良されたものは、一代雑種や一代交配種と呼ばれ[5]、農産物や家畜の品種改良(育種)に応用されている[6]。
農業における利用[編集]
一般には、F1品種の農作物は、その一世代に限って安定して一定の収量が得られる品種として知られ、多くの種苗会社が力を入れる分野となっている[7]。
日本で流通している野菜の種子の8 - 9割は、世界で採取され輸入されている(2015年時点)[7]。
動物の雑種第一代[編集]
動物における「雑種第一代」とは、ロバとウマの交配によるラバのように、2つの密接に関連する種または亜種の交配を指す場合もある。[要出典]
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 『一代雑種』 - コトバンク
- 石川統ほか 編『生物学辞典』東京化学同人、2010年。ISBN 978-4807907359。
- R. C. King, W. D. Stansfield 著、西郷薫・佐野弓子・布山喜章 監訳 編『遺伝学用語辞典』(第6版)東京化学同人、2005年。ISBN 978-4-8079-0629-1。
- 緒方宣邦・野島博『遺伝子工学キーワードブック』(第2版)羊土社、2000年。ISBN 978-4897066370。