KC-135 (航空機)
KC-135 ストラトタンカー
KC-135は、アメリカ空軍などが運用している空中給油・輸送機。愛称はストラトタンカー(Stratotanker:成層圏の輸送機という意味)。
概要
民間旅客機であるボーイング707の姉妹機として知られるが、実際には先行設計されていた輸送機型の367-80をベースにしつつ、開発中であったボーイング707の設計を反映させる形で造られた。このため、ボーイング707よりも就役は先である。
空中給油機としては主翼と胴体床下タンクに計88.452t(115,562ℓ)の燃料を搭載可能だが、主翼内の燃料の一部は給油に使用できず別枠で管理されている。給油装置はフライングブーム方式で、プローブアンドドローグ方式の機体に給油する際には給油ブームの先端にドローグ方式のアタッチメントを取り付ける必要があるが、後の改修によって両翼端にMk.32B ドローグポッドが追加された機体もある。給油オペレーター席は胴体後部にあり、うつ伏せになって操作を行う。
輸送機としては最大38tのペイロードを持つが、貨物室床面にローラー・パレット用の装備が施されていないため、湾岸戦争後、一部の機体にはC-5などに備えられている貨物ローラー・システムが追加されている。また、搭載燃料全量を自己消費することで長い滞空時間が得られるため、多くの機体がVIP輸送機(VC-135)や空中指揮管制機(EC-135)、テスト機(NKC/JKC-135)、SR-71偵察機用JP-7特殊燃料タンカー(KC-135Q)などに改造された。
1970年代末からKC-135A近代化計画がスタートした。まず、エンジンをJ57からスラストリバーサー付きのJT3D ターボファンエンジン(軍正式名称TF33-PW-102、推力8,160kg)に換装したKC-135Eが1982年1月以降空軍州兵、空軍予備役軍団に引き渡された(約160機)。
そして、もう1つの近代化計画として、エンジンをCFM56 ターボファンエンジン(軍正式名称:F108-CF-100、推力:9,980kg)に換装し、燃料搭載量の増加とAPUの追加が行われたKC-135Rは、1984年6月から戦略航空軍団への引き渡しが始まった。また、KC-135QのCFM換装型はKC-135Tと呼ばれ、R/T型あわせて389機改造された。リエンジンに合わせて主翼、脚などの強化とアビオニクス更新も行われた。E型とR型を比較すると、APUを装備するR型は地上支援施設の援助なしで自立運用ができるが、スラストリバーサーを装備するE型は着陸性能でR型に勝る。
1990年代後半には後継機計画であるKC-X(次期空中給油機選定計画)が開始され、迂余曲折の末2011年2月にKC-767をベースにしたKC-46Aが後継機に選定された。計画では179機を調達予定で、まず18機を2017年までに調達するとしている。
ギャラリー
採用国
- アメリカ合衆国
- フランス
- C-135Fとして新造機を12機導入。うち11機は後にエンジン換装によりC-135FRとなる。後に旧米空軍のKC-135Rも3機取得。
- トルコ
- 1994年より旧米空軍のKC-135Rを9機導入[1]。
- シンガポール
- 1999年より旧米空軍のKC-135Rを4機導入[2]。
- チリ
- 2010年より旧米空軍のKC-135Eを3機導入[3]。
各型
- KC-135A
- 量産型。732機製造。
- KC-135B
- A型をC-135B規格にしたもの。全てEC-135C/Jへ改造された。
- KC-135D
- RC-135Aを空中給油機に改造したもの。
- KC-135E
- 空軍州兵・空軍予備役軍団向け改修機。A型のエンジンをTF33に換装し、KC-135 ファミリーで唯一スラストリバーサーを装備する。
- KC-135Q
- SR-71偵察機用のJP-7燃料の空中給油機。
- KC-135R
- A型のエンジンをF108に換装し、燃料搭載量の増加とAPUの追加が行われた改修機。
- KC-135T
- Q型を通常燃料搭載機として改修した機体。基本的にR型と同じ。
- C-135F
- フランス向け。後にKC-135Rと同様の改修が施され、C-135FRとなった。
仕様
- KC-135R
脚注
- ^ http://www.tayyareci.com/digerucaklar/turkiye/1951ve2006/kc135.asp
- ^ http://www.boeing.com/news/releases/1999/news_release_990910n.htm
- ^ http://www.modocharlie.com/2010/02/llego-el-1er-kc-135e-para-la-fach/