EA-6 (航空機)
EA-6 プラウラー
EA-6はアメリカ合衆国のグラマン社が開発した電子戦機。A-6 イントルーダー艦上攻撃機の改装型であり、主要型であるB型の愛称はプラウラー(Prowler:「うろつく者」の意)。
1960年代より数度改良されながら2012年現在まで運用が続けられ、またアメリカ空軍が1996年にEF-111Aを退役させてから2008年まで電子妨害用の電子戦機がなかったため、統合飛行隊によりアメリカ空軍における電子戦支援も行なっていた。
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概要 [編集]
EA-6A [編集]
A-6が1963年に部隊配備されると、十分な搭載量を有するこの機体を電子戦機とすることが検討され始めた。
まず、アメリカ海兵隊がA-6Aに電子戦装備を搭載したEA-6Aを開発した。当初名称はA2F-1Qであった。これは1963年4月に初飛行し、1965年には第2混成偵察飛行隊(VMCJ-2、後のVMAQ-2)から配備が開始された。1966年からはベトナム戦争に投入されている。これはEF-10などの機体を更新するものであり、電子偵察・電子妨害・敵防空網制圧を目的とするものであった。
複座機であり、垂直尾翼上端にはレドームが追加された。搭載された電子戦機材は、AN/ALQ-86などである。非公式にElectric Intruderとの呼称が与えられた。
30機前後が製造され、予備役としてならば、1990年代まで運用された。
EA-6B [編集]
アメリカ海軍はベトナム戦争に当初、電子戦機としてEA-1を投入していたが、老朽化・低性能化が著しかった。北ベトナムへの爆撃が本格化すると、自軍航空機の損害抑止のため、北ベトナム防空網の制圧が必要となり、より高性能の艦載電子妨害機を求めることとなった。新しい電子妨害機として、A-3 スカイウォーリア攻撃機の改装型EKA-3電子妨害機の部隊配備(1967年配備開始)を進めるとともに、当時最新鋭のA-6攻撃機を改装し、電子妨害機とすることとした。通常、EA-6といえばこれによって開発されたB型を指す。
アメリカ海軍のA-6改装の電子戦機の計画は、1964年6月より開始された[1]。1965年には開発契約が結ばれ[1]、EA-6Bと命名された。EA-6BはA-6攻撃機を大幅に改装した電子妨害専任機であり、海兵隊のEA-6Aとは全く異なっている。A-6Aの胴体を1.37m延長し、4座機に変更されている。操縦士1名と電子戦要員3名が搭乗する。さらに垂直尾翼上端に受信用の大型のアンテナ用フェアリングが設けられた。電子妨害発信用のアンテナ関連機器はポッドに収められ、機体下の5個のハードポイントに搭載する。ポッドへの電力供給は、ポッドに付けられた風車による発電によって行われている。対象の脅威に応じて必要な周波数帯向けの妨害ポッドを選択・搭載するようになっている。このほか、キャノピーについては、電磁波の影響を避けるために非常に薄く金が貼られている。
1968年5月25日にA-6A改装の空力試験機が初飛行を行った。電子戦機材開発用の機体もA-6Aから改装されて試験を行っている。1969年より量産が開始され、1971年1月より第129電子攻撃飛行隊(VAQ-129)から部隊配備が開始された。直ちにベトナム戦争に投入されている。
その後もエルドラドキャニオン作戦や湾岸戦争などに投入された。1991年まで生産が行われ、生産機数は183機。
アメリカ空軍の電子妨害機EF-111Aが国防総省の方針により電子戦機の効率的な運用のため、1996年に退役し、アメリカ軍の電子妨害専任機はEA-6Bに一本化された。そのため、アメリカ空軍の要員がEA-6Bの運用にも関わることとなり、運用部隊も一部再編成されている。
残存125機の運用部隊は、海軍12個飛行隊、海兵隊4個飛行隊、4個海空統合飛行隊である。海軍運用部隊は後継機としてEA-18Gグラウラーの開発・調達を進めている。
各型および武装 [編集]
EA-6Bの主要な目的は、電子妨害および敵防空網制圧である。電子妨害用機材の中心となるのはAN/ALQ-99であり、これのコンピューターと受信アンテナ部分を機内に搭載し、受信した電波源の測定などを行う。妨害電波の発信は、機外ポッドから行う。各ポッドは2基のアンテナを持ち、サブタイプごとに対応する周波数帯が異なる。この他にもALQ-92通信妨害装置などを装備する。要員は1名が通信妨害、後部座席の2名が電子妨害を担当する。
物理的な攻撃兵装として、能力向上II型以降ではAGM-45 シュライクやAGM-88 HARM等の対レーダーミサイルも搭載でき、自力で電波源への攻撃も行える。
- 標準型(standard)
- 初期に開発された型。23機製造[1]。
- 能力拡張型(Excap)
- 能力向上I型(ICAP-I)
- 能力向上II型(ICAP-II)
- 電子妨害用機材をAN/ALQ-99Fに更新[1]。対応周波数帯が拡大、演算速度が向上。対レーダーミサイルの搭載を可能とした。72機生産、うち37機はさらに改良が加えられたブロック86型。1985年から部隊配備。一部機体はブロック89型改修を受ける。
- 先進能力型(Adcap)
- 大幅な改良型であり、1980年代後半から1990年代にかけて検討された。エンジンおよび主翼の換装、ストレーキの追加、垂直尾翼の拡大、電子妨害機材の更新、GPSの搭載などが検討された。標準型より1機が改装されたが、1995年に計画中止となった。
- 能力向上III型(ICAP-III)
- 電波源への妨害対応速度の向上、周波数測定および妨害周波数の極限化能力の向上とそれに伴う妨害電波出力の向上、操作計器類の更新を行った型。受信機はAN/ALQ-218に更新される。2005年から部隊配備開始。少数機を改装するに留まる。
要目 [編集]
- 全幅:16.15m/7.87m(主翼折り畳み時)
- 全長:18.24m
- 全高:4.95m
- 主翼面積:49.13m2
- 空虚重量:14,776kg
- 最大離陸重量:29,484kg
- エンジン:P&W J52-P408ターボジェットエンジン 2基(推力49.8kN)
- 最大速度:マッハ0.82
- 海面上昇率:3932m/min
- 実用上昇限度:12,558m
- 航続距離:1747nm(フェリー)/955nm(機外兵装最大時)
- 乗員:4名
脚注 [編集]
外部リンク [編集]
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