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高僧伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
梁高僧伝
著者慧皎
原題 高僧傳
言語 漢文
分野 高僧伝列伝), 仏教史
出版日 天監18年(519年
巻数 14 (書籍一覧)

高僧伝』(こうそうでん)は、一般名詞として、高僧の伝記、あるいは列伝を指して言う場合もあるが、固有名詞としては、中国慧皎497年 - 554年)の撰した中国伝来以来、梁代までの高僧の伝記を集めたものを指す。全14巻、519年天監18年)成立。また「梁高僧伝梁伝)」ともいう。

概要

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慧皎以前にも、梁の宝唱撰の「名僧伝」のように数種の僧伝が既に存在していたが、慧皎は、それら先行する類書の編集方針に満足できず、自ら新たに「高僧伝」を撰しようと思い立ったと、巻末に収められる自序において述べている。具体的には、「名僧伝」等は、世間で有名な僧、あるいは著名な僧の伝記を集めている。しかし、仏教の教えの観点から言えば、たとえ無名であっても、優れた僧、高僧はいるはずである。そういった僧の伝記が失われてしまうのを恐れて、「高僧伝」という名を立て、また、その観点から見て相応しいと判断した僧の伝記を収録した、と述べているのである。

収録されるのは、後漢永平10年(67年)から、梁の天監18年(519年)までの453年間に及ぶ期間の高僧257名と、附伝243名の伝記である。

十科分類

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また、慧皎は本書を撰するに当たって、新たに十科分類を立てた。すなわち、

  1. 訳経 - 仏典翻訳
  2. 義解 - 教理解釈
  3. 神異 - 超能力
  4. 習禅 - 瞑想
  5. 明律 - 戒律研究
  6. 亡身 - 自傷供養即身仏
  7. 誦経 - 経典暗唱
  8. 興福 - 社会福祉
  9. 経師 - 宗教音楽
  10. 唱導 - 教化説法

である。この十科分類は、その名称には変遷が見られるが、その後の道宣の『続高僧伝』、賛寧の『宋高僧伝』等の高僧伝類に受け継がれることとなる。また、十科分類とは言っても、後代の場合とは異なり、この時代では、その大半は「訳経」と「義解」に分類される僧たちによって占められていた。

内容

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分類 正伝 附見 高僧
巻1 訳経 上 15人 20人 摂摩騰・竺法蘭・安清支婁迦讖(竺仏朔・安玄・厳仏調・支曜・康巨・康孟詳)・曇柯迦羅康僧鎧・曇帝・帛延)康僧会支謙の記述)・維祇難(法立・法巨)竺曇摩羅剎(聶承遠・聶道真)・帛遠(帛法祚・衛士度)・帛尸梨蜜・僧伽跋澄(仏図羅刹)・曇摩難提(趙政)・僧伽提婆(僧伽羅叉)・竺仏念・曇摩耶舎(竺法度)
巻2 訳経 中 7人 6人 鳩摩羅什・弗若多羅・曇摩流支・卑摩羅叉・仏陀耶舍・仏駄跋陀羅曇無讖(安陽侯(=沮渠京声)・道普・法盛・法維・僧表)
巻3 訳経 下 13人 4人 法顕・釈曇無竭・仏駄什・浮陀跋摩・釈智厳・釈宝雲・求那跋摩・僧伽跋摩・曇摩蜜多・釈智猛・畺良耶舎(僧伽達多・僧伽羅多哆)求那跋陀羅(阿那摩低)・求那昆地(僧伽婆羅)
巻4 義解 一 14人 22人 朱士行(竺叔蘭・無羅叉)・支孝龍・康僧淵(康法暢・支敏度)・竺法雅(毘浮・曇相・曇習)・康法朗(令韶)・竺法乗(竺法行・竺法存)竺法潜(竺法友・竺法蘊・康法識・竺法済)支遁(支法虔・竺法仰)・于法蘭(竺法興・支法淵・于法道)・于法開(于法威)・于道邃・竺法崇(道宝)・竺法義・竺僧度(竺慧超)
巻5 義解 二 15人 9人 道安(王嘉)・釈法和・竺僧朗(支僧敦)・竺法汰(曇壱・曇弐)・釈僧先(道護)・竺僧輔・竺僧敷・釈曇翼(僧衛)・釈法遇・釈曇徴・釈道立・釈曇戒・竺法曠・竺道壱(帛道猷・道宝)・釈慧虔
巻6 義解 三 13人 14人 慧遠・釈慧持(慧巌・僧恭・道泓・曇蘭)・釈慧永(僧融)・釈僧済・釈法安・釈曇邕・釈道祖(慧要・曇順・曇詵・法幽・道恒・道授)・釈僧䂮(弘覚)・釈道融・釈曇影・釈僧叡(僧楷))・釈道恒(道標)・釈僧肇
巻7 義解 四 32人 45人 竺道生(宝林・法宝・慧生)・釈慧叡・釈慧厳(法智)・釈慧観(僧馥・法業)・釈慧義(僧睿)・釈道淵(慧琳)・釈僧弼・釈慧静・釈僧苞(法和)・釈僧詮・釈曇鑒(道海・慧龕・慧恭・曇泓・道広・道光)・釈慧安・釈曇無成(曇冏)・釈僧含(道含)・釈僧徹(僧荘)・釈曇諦・釈僧導(僧因・僧音・僧成)・釈道汪(普明・道誾)・釈慧静・釈法愍(僧宗)・駅道亮(静林・慧隆)・釈梵敏(僧籥)・釈道温(僧慶・慧定・僧嵩)・釈曇斌(曇済・曇宗)・釈慧亮・釈僧鏡(曇隆)・釈僧瑾(曇度・玄運)・釈道猛(道堅・慧鸞・慧敷・慧訓・道明)・釈超進(曇機・道憑)・釈法瑶(曇瑶)・釈道猷(道慈・慧整・覚世)・釈慧通
巻8 義解 五 27人 75人 釈僧淵(慧記・道登)・曇度・釈道慧(玄趣・僧達)・釈僧鍾(曇繊・曇遷・僧表・僧最・敏達・僧宝)・釈僧盛・釈弘充(法鮮)・釈智林・釈法瑗(法愛・法常・智興)・釈玄暢・釈僧遠(道憑・法令・慧泰)・釈僧慧(曇慎・慧敞・僧岫)・釈僧柔(弘称・僧抜・慧熙)・釈慧基(僧行・慧旭・道恢・慧永・慧深・法洪)・釈慧次(僧宝・僧智・法珍・僧嚮󠄃・僧猛・法宝・慧淵)・釈慧隆(智誕・僧弁・僧賢・道慧・法度)・釈僧宗(曇准・法身・法真・慧令・法仙法最・僧敬・道文・僧賢)・釈法安(慧光・敬遺・光賛・慧韜・道宗)・釈僧印(慧龍)・釈法度(法紹・僧朗・慧開・法開・僧紹)・釈智秀(僧若・僧璿・道乗)・釈慧球・釈僧盛(法欣・智敞・法冏・僧護・僧韶)・釈智順・釈宝亮(道明・僧成・僧宝)・釈法通(聖進)・釈慧集・釈曇斐(法蔵・明慶)
巻9 神異 上 4人 1人 仏図澄(道進)・単道開・竺仏調・耆域
巻10 神異 下 16人 11人 犍陀勒・呵羅竭・竺法慧(范材)・安慧則(慧持)・渉公・釈曇霍・史宗・杯度・釈曇始・釈法朗(智整)・邵碩・釈慧安(僧覧・法衛)・釈法匱(法楷)・釈僧慧(慧遠)・釈慧通・釈保誌(道香・僧朗)
巻11 智神 21人 11人 竺僧顕・帛僧光・竺曇猷(慧開・慧真)・釈慧嵬・釈賢護・支曇蘭・釈法緒・釈玄高(慧崇)・釈僧周(僧亮)・釈慧通・釈净度・釈僧従・釈法成・釈慧覧・釈法期(道果)・釈道法・釈普恒・釈法悟(道済)・釈僧審(僧謙・超志・法達・慧勝)・釈曇超・釈慧明
明律 13人 8人 釈慧猷・釈僧業(慧光)・釈慧詢・釈僧璩(道遠)・釈道儼(慧曜)・釈僧隠(成具)・釈道房・釈道栄(慧祐)・釈志道(超度)・法穎(慧文)・法琳・智称(聡・超)・僧祐
巻12 亡身 11人 4人 釈僧群・釈曇称・釈法進(僧遵)・釈僧富・釈法羽(慧始)・釈慧紹(僧要)・釈僧瑜・釈慧益・釈僧慶・釈法光・釈曇弘
誦経 21人 11人 釈曇邃・釈法相(曇蓋・僧法)・竺法純・釈僧生・釈法宗・釈道冏・釈慧慶・釈普明・釈法荘・釈慧果・釈法恭(僧恭)・釈僧覆・釈慧進(僧念)・釈弘明・釈慧予(法音)・釈道嵩・釈超弁(法明・僧志・法定)・釈法慧(曇遊)・釈僧侯(慧温)・釈慧弥(法仙)・釈道琳
巻13 興福 14人 3人 竺慧達・釈慧元(竺慧直)・釈慧力・釈慧受・釈僧慧・釈僧翼・釈僧洪・釈僧亮・釈法意・釈慧敬・釈法献・釈法献(玄暢)・釈僧護・釈法悦
経師 11人 23人 帛法橋・支曇籥・釈法平・釈僧饒・釈道慧・釈智宗・釈曇遷・釈曇智・釈僧弁・釈曇憑・釈慧忍
唱導 10人 7人 釈道照・釈曇穎・釈慧璩・釈曇宗・釈曇光・釈慧芬・釈道儒・釈慧重・釈法願・釈法鏡
巻14 -- -- 序録・高僧伝総目録・王蔓穎書簡・慧皎答書
(合計) 257人 274人 計531人+俗人1人(支謙)

  • ()内小字は附見。
  • 吉川・船山訳(2009-10), ウィキソース中国語版を基に作成

テキスト

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日本語訳

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類書

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『梁高僧伝』以前

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『梁高僧伝』以後

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参考文献

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関連項目

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