M47パットン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
M47 パットン
M47.jpg
性能諸元
全長 8.51m
全幅 3.51m
全高 3.35m
重量 46t
懸架方式 トーションバー方式
速度 48km/h
行動距離 130km
主砲 50口径 90mm M36
副武装 12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm重機関銃M1919A4×2
同軸1挺、車体正面右側1挺)
装甲 101mm
エンジン コンチネンタル AVDS-1790-5B
4ストロークV型12気筒空冷ガソリン
アリソン CD-850-4"クロスドライブ"式自動変速機(前進2段/後進1段)
後輪駆動
810hp(604kW)
乗員 5名
テンプレートを表示

M47 パットン英語: M47 Patton[1])は、アメリカ合衆国によって開発された第二次世界大戦第1世代主力戦車中戦車に分類される場合もある)である。

M4シャーマンおよびM46の後継車両として設計されたパットンシリーズの第2弾である。

開発[編集]

T42

アメリカ陸軍は、1948年8月より、新型の中戦車としてT42の開発に着手するとともに、暫定的な改良型として、1949年にはM26パーシングエンジントランスミッションを換装してM46を完成させた。

T42の装備する新型砲塔(試作名称は「T42」で車両と同一)の最大の変更点は、新しい50口径90mm戦車砲であるT119(制式化名 M36)戦車砲の搭載である。これは、M46以前で使用されていたM3 90mm戦車砲をもとに、より高初速の弾薬に対応するなどの改良を加えたものであった。また、T42砲塔では、遠距離でも高い命中精度を確保するため、砲塔左右の半球形張り出しにステレオ式光波測距儀を装備した。

しかし、その配置が主砲に近すぎた結果、実射試験において砲撃時の衝撃で射線軸が狂ってしまうという欠陥が露見し、開発計画の見直しが必要となったが、1950年6月朝鮮戦争勃発によって新型戦車に対する切実な必要性が生じたことから計画は前倒しされ、既存のM46の車体にT42の砲塔を搭載する、新古車とでも言う車両がデトロイト造兵廠で設計されることとなった。これは当初はM46E1、改めて1951年4月、M47中戦車(Medium Tank M47)の制式番号を与えられて採用された。同年11月にはエンジンとトランスミッションをマイナーチェンジした改良型に変更した本格量産型が、アメリカ軍の戦車分類が見直されたために90mm砲戦車 M47(90mm Gun Tank M47)と改称されて直ちに生産が開始されたが、部隊配備が開始されたのは1952年に入ってからであり、結局、朝鮮戦争での実戦参加には間に合っていない。同年には後継のT48戦車の開発が完了し、翌年1953年にはT48は「M48」として量産発注がなされたため、M47はアメリカでは速やかにM48に更新されることになった。

M47はM46からの改造分も含めて総計8,600両余が生産されたが、前述のようにアメリカ軍での運用期間は僅かで、実態としては、北大西洋条約機構および東南アジア条約機構の加盟国やその他のアメリカ同盟国に供与品として提供されている。アメリカ本国で予備装備として保管されていたM47は、後継のM48/60/60A1が供与品として提供されるようになると順次処分され、1970年代にはスクラップもしくは博物館の展示品として払い下げられるか、軍の演習地で実弾射撃の標的として用いられた。

なお、実射標的とされたM47は1970年代以降に開発された各種対戦車兵器の試験や軍の演習を記録した映像/写真に頻繁に登場している。これらの用途に供された結果、M47の装甲はもっとも分厚い正面でもM60A1の105mmHEAT弾が直撃すれば簡単に貫通されてしまうことが判明した。この事実は、従来の均質圧延装甲に対する現代対戦車兵器の威力をこの上ない形で実証するものとなった。

パットンシリーズの比較表
M46 M47 M48 M60
画像
Marines-tank-Korea-19530705.JPEG
M47J-.jpg M48 Patton Tank on display.jpg M60.JPG
全長 8.48 m 8.51 m 9.30 m 9.309 m
全幅 3.51 m 3.65 m 3.60 m
全高 3.18 m 3.35 m 3.10 m 3.30 m
重量 44 t 46 t 52 t
主砲 50口径90mmライフル砲M3A1 50口径90mmライフル砲M36 43口径90mmライフル砲M41(M48/A1/A2/A3)
51口径105mmライフル砲M68(A5)
51口径105mmライフル砲M68
エンジン 空冷4サイクルV型12気筒
ガソリン
空冷4サイクルV型12気筒
ツインターボチャージャーガソリン(M48/A1/A2)
ツインターボチャージドディーゼル(A3/A5)
空冷4サイクルV型12気筒
ツインターボチャージド・ディーゼル
最大出力 810 hp 810 hp(ガソリン) / 750 hp(ディーゼル) 750 hp
最高速度 48 km/h
懸架方式 トーションバー
乗員数 5名 4名
装填方式 手動


各型および派生型[編集]

M46E1
M46戦車の車体にT42砲塔を搭載し、M36 90mm砲とより高性能な無線機、ステレオ式光波測距儀ベンチレーターを装備した車両。制式化されM47となる。
M47
量産型。
M47M
1960年代に始められた改良計画で、射撃統制装置(FCS)エンジンM60A1のものに換装し、補助操縦士のためのスペースを主砲弾の弾薬庫に変更している。主砲はL7 105mm戦車砲に換装せず、オリジナルと同じM36 90mm砲のままである。
アメリカではこの改修計画は実行されなかったが、イランパキスタンで合計800輌以上がこの計画に基づいて改修された。
M47E
スペインでの独自改修型。改修内容はM47Mとほぼ変わらないが、FCSは換装されていない。
M47E1
M47Eの改修型。エンジンをディーゼルエンジンに換装したもの。
M47E2
M47E1の主砲を、M48A5やM60系戦車と同じL7 105mm戦車砲に換装したもの。
M47ER3
スペイン製の装甲回収車仕様。

採用国[編集]

アメリカ軍M48を制式採用すると、更新されて余剰となった多数のM47が世界中に売却・供与された。結果、M47はM48/M60と並んで西側標準戦車としての地位を築いており、長らく使われた。

スペイン軍のM47は、ハリウッド映画『バルジ大作戦』で、ティーガーII役を演じている。

オーストリア軍のM47は退役後、国境警備用のトーチカとして再利用された。このうちの一輌はアーノルド・シュワルツェネッガーがオーストリア陸軍戦車兵時代に搭乗していたもので、後にシュワルツェネッガーはスクラップの扱いで購入し、走行可能な状態にレストアし私有している。

日本におけるM47[編集]

陸上自衛隊は、それまでもM4 シャーマンM24 チャーフィーM41 ウォーカー・ブルドッグを運用し、アメリカ戦車に高い評価を与えていたことから本車についても採用を検討し、アメリカ側も供与計画を立案したが、西ドイツへの1,500両にのぼる大量供与と時期が重なったことから、アメリカに供給余力がまったくなくなった。そこで、M47の供与を受ける代わりに在日米軍の削減によって浮く駐留軍経費の転用などをもって国産の新型戦車(STA、後の61式戦車)が開発・生産されることとなった。

結果、M47は1両のみがSTA開発の参考として供与され、技術解析やSTAの試作車両との比較に用いられた後に用途廃止となりスクラップとして払い下げられたが、そのスクラップ扱いの物を再生した車両が2014年現在も民間企業によって保管されている(一般公開はされていない)。


実戦投入[編集]

アサル・アターの戦い英語版パキスタン軍がM48と合わせ220輌以上を投入。しかしサトウキビ畑を冠水させたインド軍のキルゾーンに引き込まれて機動力を失い、センチュリオン戦車による待ち伏せ攻撃を受け、99輌以上を失った。以後、現地が「パットンナガー(パットンの墓場)」と呼ばれるようになる程の大敗北であった。
ヨルダン軍が運用。イスラエル軍スーパーシャーマンショットに敗退。
トルコ軍が使用するが、1両がキプロス鹵獲された。
クロアチア側が使用するが、その性能はセルビア側のT-34-85T-55と比較して大きく劣っていると評価された。

登場作品[編集]

映画[編集]

バルジ大作戦
スペイン陸軍の車両がティーガーIIとして登場。

アニメ[編集]

Project BLUE 地球SOS
国連軍ニューメキシコ州州兵戦車として登場。

ゲーム[編集]

War Thunder
アメリカ中戦車ツリーにて開発可能。

参考文献・参照元[編集]

  • スティーヴン・ザロガ:著/武田秀夫:訳『オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 世界の戦車イラストレイテッド19 M26/M46パーシング戦車 1943‐1953』 (ISBN 978-4499228022) 大日本絵画:刊 2003年
  • 『グランドパワー2018年9月号別冊 M26重戦車シリーズ』 ガリレオ出版:刊 2018年

脚注・出典[編集]

  1. ^ M46と区別するために“パットンII(Patton II)”または“パットン47(Patton 47)”の愛称も存在する。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]