AMX-10RC

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AMX-10RC
基礎データ
全長 9.13m(車体長:6.24m)
全幅 2.95m
全高 2.60m
重量 17t
乗員数 4名
装甲・武装
主武装 48口径105mmライフル砲
副武装 7.62mm機関銃NF-1同軸
12.7mm重機関銃M2(オプション)
機動力
速度 85km/h(舗装路)
60km/h(未舗装路)
7.2km/h(水上)
エンジン ボードワン 6F11 SRX
V型6気筒水冷ディーゼル
280hp
懸架・駆動 ハイドロニューマチック・サスペンション
行動距離 800km
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AMX-10RCは、フランスイシー=レ=ムリノー工廠 (AMX) で開発された、偵察および対戦車戦闘を目的とした六輪の偵察戦闘車装輪装甲車である。

開発と特徴[編集]

AMX-10RCは、当時フランス軍が装備していたパナールEBR装甲車AMX-13軽戦車を代替することを目的として1970年から開発が開始され、1978年から生産・配備が開始された。

主砲に当時の装甲車としては破格の威力を持たせるため、CN-105-F2 48口径105mmライフル砲を採用し、偵察のみに留まらず対戦車任務までも考慮した設計となっていた。装輪車両としては反動が大きすぎるためマズルブレーキも装備された。砲弾は38発が搭載されており、内12発が砲塔内に置かれる。

車体全体を構成している素材にアルミ合金を使用し軽量化を図り、フロートなどの追加装備無しでウォータージェット推進により水上航行も可能である。

装軌式AMX-10P歩兵戦闘車と基本コンポーネントを共用した設計のため、操行方式にはスキッドステア方式を採用しており、曲がりたい方向の車輪が減速、反対側が増速することにより走行操作を行う。このため、ステアリングのためのスペースを要せず車体をコンパクトに抑えている反面、タイヤの消耗が激しいという欠点がある。

高性能な武装と火器管制装置を備えた反面、この手の車両としては複雑すぎる構造となった結果、一部の主力戦車以上に高価格となったため輸出は振るわなかった。フランス陸軍も調達予定台数を削減し、より小型のERC 90装甲車と併用している。

装輪式自走対戦車砲の比較[要出典]
日本の旗16式機動戦闘車 中華人民共和国の旗11式装輪突撃車[注 1] フランスの旗AMX-10RC アメリカ合衆国の旗M1128 MGS[注 2] イタリアの旗チェンタウロ 南アフリカ共和国の旗ルーイカット
画像
全長[注 3] 8.45 m 8.00 m 6.24 m 6.95 m 7.40 m 8.20 m
全幅 2.98 m 3.00 m 2.95 m 2.72 m 3.05 m 2.90m
全高 2.87 m 約3 m 2.60 m 2.64 m 2.73 m 2.80 m
重量 約26 t 20 t 17 t 18.77 t 26t 28.8 t
最高速度 100 km/h 85 km/h 100 km/h 108 km/h 120 km/h
乗員数 4名 3名 4名
主武装 52口径105mmライフル砲 105mmライフル砲 48口径105mmライフル砲 51口径105mmライフル砲 52口径105mmライフル砲 62口径76mmライフル砲
副武装 12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
7.62mm機関銃×2 7.62mm機関銃×2

使用弾種[編集]

105 mm 105×527R弾
弾種 名称 弾薬重量
(kg)
発射体重量
(kg)
初速
(m/s)
貫通力 (mm)
HEAT-FS OCC 105 F3 13,85 kg 5,7 kg 1120 m/s >350 mm (射入角 0°)
>150 mm (射入角 60°)
HE OE 105 F3 13,7 kg 7,2 kg 800 m/s -
標的演習 / ダミー BSCC 105 F3 13,85 kg 5,7 kg 1120 m/s -
APFSDS OFL 105 F3 13 kg 3,8 kg 1400 m/s NATO Single Heavy Target 1200 m (射入角 60° で150 mm)
NATO Triple Heavy Target 2200 m

配備[編集]

フランス軍[編集]

フランス陸軍の車両は以下の緊急展開部隊に配備されて、1991年湾岸戦争の際には第6軽機甲旅団(当時は第6軽機甲師団)所属車両がフランス軍の先鋒を務めた。

現在、フランス陸軍に装備されているAMX-10RCには電子機器の更新、NATOで広く使用されている105mmと共通する弾薬が使用可能な主砲への換装、装甲防御力の強化のための補助装甲の付与、エンジントランスミッションの換装などが行われている。

ウクライナ軍[編集]

2023年1月4日エマニュエル・マクロン大統領はウクライナ侵攻を受けて、AMX-10RCをウクライナに供与することを発表[1]。ウクライナ国内における運用状況は不明であるが、ロシア国防省は2023年6月6日の発表で、AMX-10を3両、ドイツが供与したレオパルト戦車などとともに破壊したことを発表している[2]

評価[編集]

ウクライナ軍、第37海軍歩兵旅団大隊長の話によれば、ロシア軍が放った砲弾がAMX-10RCの近くに着弾。破裂した砲弾の破片が、装甲を貫通し、搭乗していた兵士4名全員が死亡した。AMX-10RCは、米軍が提供したM2ブラッドレー歩兵戦闘車と比べ側面・下部の装甲が薄く、大隊長は「武装も良く、観測機器も非常に優れている。しかし、(装甲が薄い為)前線での戦闘には不向き」と評価した[3]

運用国[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 08式歩兵戦闘車の派生型。
  2. ^ アメリカ軍の運用思想上は、対戦車用途ではなく歩兵支援用である。
  3. ^ 車体長の場合も含まれる。

出典[編集]

  1. ^ 【ウクライナ】仏も軽戦車供与へ-春にクリミア含む全土で大規模攻勢”. ブルームバーグ (2023年1月5日). 2023年6月6日閲覧。
  2. ^ 「レオパルト戦車8両破壊」 ロシア、2日連続で「大攻勢を撃退」と主張”. 産経新聞 (2023年6月6日). 2023年6月6日閲覧。
  3. ^ Saballa, Joe (2023年7月5日). “French-Supplied Light Tanks Unsuitable for Combat: Ukraine Commander” (英語). The Defense Post. 2023年7月23日閲覧。
  4. ^ “フランス、ウクライナに装甲車供与へ 欧米製で初”. 日経新聞. (2023年1月5日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04BI90U3A100C2000000/ 2023年1月5日閲覧。 

外部リンク[編集]