コンテンツにスキップ

未成線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。240b:c010:4e2:2776:34d3:c4ff:1b27:7936 (会話) による 2023年6月30日 (金) 01:46個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (日本国内)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

未成線(みせいせん)とは、本来の意味においては鉄道路線において未だ完成していない路線のことを指す[1]。ただし、鉄道愛好家などの間では、完成を目指して建設工事が行われていたものの途中で工事が打ち切られた路線を指して用いられることもある[1]廃線跡めぐりに類するものに未成線めぐりがある[1]

概要

狭義の意味で鉄道関係者と一部の趣味人の間でのみ使われた言葉であり、さほど知られていなかったが、1990年代宮脇俊三『鉄道廃線跡を歩く』シリーズなどの書籍で誤用して使用されたのを受けて、鉄道趣味人の間に認知されるようになった。

  • 鉄道事業者が敷設許可を受けていながら完成させていない路線(本来の意味
    • 免許線と特許線 - この段階では何も施行されていない
    • 工施線(工事施行認可線) - 工事の認可が下りた路線。用地買収や施行を始めた路線も含む
  • かつて鉄道事業者が免許・特許を持っていながらも失効させ、かつ完成させていない路線
  • 政府、地方自治体や鉄道会社などが構想を立てながら免許や特許を受けるに至っていない構想路線
    • 却下線 - 申請を却下された路線
    • 構想路線 - 書面の上で検討されただけの路線[2]
  • 改正鉄道敷設法別表で定められ国や国鉄が建設されることが期待された予定線
    • 予定線 - 法律で定められた予定路線。後に追加されたものも含めて最終的に150線200区間に膨れあがる。
  • 予定線の中で日本鉄道建設公団の手で工事線として敷設されながらも実現しなかった公団線
    • 工事線 - 日本鉄道建設公団が工事をしている路線。後に日本国有鉄道清算事業団に継承された。勘違いされやすいが、これはあくまでも「公団線」であって国鉄や「国鉄線」とは無関係である。

1980年昭和55年)に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法により全国各地で多くの工事が中止となったが、その後、第三セクター鉄道として開業した例もある。例えば、工事が長期間中止になっていた国鉄阿佐線(阿佐西線)を引き継いで建設を進め、2002年平成14年)に開業した阿佐線(ごめん・なはり線)がその一例である。

このうち建設中に計画が中止された鉄道路線の場合、その建設地に買収済の用地や跨線橋・橋台などの遺構が残っていることがある(中には根北線越川橋梁のように文化財指定を受けたものも存在する)。道路に転用された場合でも鉄道路線独特の線形が保たれる場合が多い。そのため、廃線跡廃墟と同様に、未成線跡を探訪する鉄道ファンも存在する。

未成線の例

構想段階

責任主体による机上計画が信頼できる情報源により確認されるが、具体的な事業の出願および認可(請願、陳情に留まるものを除く)や事業免許取得などが無く、構想のみに留まっているもの。

日本国内

国際線・日本国外

計画中に中止

具体的な計画(会社設立、事業の出願および認可、事業免許取得など)が立てられるなどしたが、具体的な建設や用地買収に至らないまま、諸事情により中断し、かつ再開されていないもの。また、代替計画に吸収され事実上消滅したものも含む(例:第二東海道新幹線)

日本国内

国際線・日本国外

建設中に中止

事業計画の実現として一部でも建設または用地買収を実施(測量環境アセスメントなどの調査や設計作業に留まるものを除く)した路線は、本項目では、建設を開始したものとみなす。

日本国内

国際線・日本国外

完成後に中止

日本国内

  • 油須原線(油須原 - 豊前川崎)この路線の場合、線路自体は完成し後は開業を待つばかりとなった直後に一部区間の廃止が決まったという非常に特殊な例である。

脚注

  1. ^ a b c 梅原淳『PHPビジュアル実用BOOKS いまこそ楽しみたい新幹線の旅 夢の超特急誕生から50年』PHP研究所、2014年、106頁。 
  2. ^ 整備新幹線中央新幹線等のように、長年の空白を経て整備計画決定や事業化に至る事例もある。
  3. ^ なにわ筋線「北梅田~JR難波・南海新今宮」の鉄道事業許可』(プレスリリース)国土交通省、2019年7月9日https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo04_hh_000074.html2019年7月9日閲覧 
  4. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1911年12月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「軽便鉄道免許失効」『官報』1914年7月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1913年1月13日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「軽便鉄道免許失効」『官報』1915年3月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 鉄道要覧』p.400
  9. ^ 現:西武園
  10. ^ 現:西所沢
  11. ^ 小田急多摩線延伸に関する関係者会議報告書 II.小田急多摩線延伸の取組の歩み”. 町田市 (2019年3月). 2022年1月24日閲覧。
  12. ^ 相武電鉄の歴史”. 相武電鉄上溝浅間森電車庫付属資料館 (2019年3月). 2022年1月24日閲覧。
  13. ^ 南武線の矢向とは別の場所
  14. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)436頁。
  15. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)438頁。
  16. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)332頁。
  17. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)231頁。
  18. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)365頁。
  19. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)365 - 366頁。
  20. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)367頁。
  21. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)217頁。
  22. ^ a b 『富山廃線紀行』(2008年7月16日、草卓人著、桂書房発行)117頁。
  23. ^ a b 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)411 - 412ページ。
  24. ^ 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)414ページ。
  25. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  26. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1927年9月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  27. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年12月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  28. ^ 幻の茂浦鉄道青森県水産総合研究センター 増養殖研究所だより, 第112号
  29. ^ 茂浦鉄道 【導入編】日刊ウェブマガジン「まいにち・みちこ」2019.11.25
  30. ^ 茂浦鉄道 【机上調査編 第15回】日刊ウェブマガジン「まいにち・みちこ」2020.7.27
  31. ^ 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)412 - 414ページ。
  32. ^ 『帝国鉄道年鑑』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  33. ^ 「鉄道免許取消」『官報』1930年12月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  34. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1922年10月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  35. ^ 「鉄道免許取消並失効」『官報』1938年6月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  36. ^ 田尻弘行『宮崎交通鉄道部』ネコパブリッシング、2005年、15-16頁

関連項目