鉄道敷設法

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鉄道敷設法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 なし
法令番号 明治25年法律第4号
効力 廃止
種類 交通法
主な内容 国が建設すべき鉄道路線について
関連法令 鉄道国有法日本国有鉄道経営再建促進特別措置法
条文リンク 国立国会図書館デジタル化資料
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鉄道敷設法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 改正鉄道敷設法
法令番号 大正11年法律第37号
効力 廃止
種類 交通法
主な内容 国が建設すべき鉄道路線について
関連法令 鉄道国有法日本国有鉄道経営再建促進特別措置法
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鉄道敷設法(てつどうふせつほう)は、国が建設すべき鉄道路線を定めた日本法律である。 1892年6月21日に制定された旧法(明治25年6月21日法律第4号)と、同法を廃止し新たに1922年4月11日に制定された改正法(大正11年4月11日法律第37号)がある。

旧法では北海道以外の予定線33線が規定されていた(北海道については、北海道鉄道敷設法(明治29年法律第93号、1896年5月14日公布)に規定)。

概要[編集]

この法律は鉄道庁長官井上勝によって提唱され、これらの鉄道は全て国営で営業されるべきであるとの理念のもとに立案された。だが、帝国議会両院はいずれも民営鉄道の株主であった華族資本家地主らによって構成されており、将来的な国有化の可能性を匂わせながらも実態は民営鉄道による予定線建設を容認する内容に法案修正された(これに憤慨した井上は鉄道庁長官を辞任して退官することになった)。だが、こうして建設された民営鉄道の多くは1906年鉄道国有法によって国有化されることになった。

鉄道敷設法の特徴としては、今後全国に敷設すべき鉄道路線を33区間一括指定し、その中でも重要な9区間を今後12年以内に敷設する「第一期」路線とした。新路線の追加や「第一期」への繰上げは全て帝国議会の協賛による法改正が義務付けられた。次に建設費用は一般会計ではなく、鉄道公債によって得た資金をもって全て賄うことになった(第1次桂内閣で改正され、一般会計からの支出も認められる)。また、同法に記載された区間は国が将来的に公債を用いて買収する権利を留保することを条件に敷設が認められ、民営鉄道が「第一期」区間を建設した場合には他の区間の「第一期」繰上げが検討されることになっていた。

ただしこの時予定線とされた路線は大部分が幹線級の路線ばかりであり、地方路線がほとんど規定されていなかった。このために予定線の敷設がある程度進んだ段階で、地方路線をどうやって計画・建設するのかが問題となった。これに対し政府は法律の改正ではなく、1910年に施行された軽便鉄道法の解釈を拡大して国有鉄道に適用、「高規格である必要がなく地元に起業者がいないか将来的に有望な路線」に限って、国有の軽便鉄道として帝国議会の予算承認を得るだけで建設出来るようにする「軽便線」の制度を導入する。そしてこの制度によって長期にわたって予算枠を確保し、その中から地方路線の建設費を捻出することで、その欠をまかなったのである。

しかし鉄道省が発足した1920年には、鉄道敷設法に掲げられたほとんどの路線が完成してしまい、どのみちこのままの枠組みで鉄道建設を続けるわけにはいかなくなった。そこで鉄道敷設法単独で地方路線を全て建設出来るようにし、さらなる全国鉄道網の充実を図るため、地方路線をすべて予定線として入れ込んだ改正を行った。これにより、1922年4月11日に同名の鉄道敷設法(大正11年法律第37号)が制定され、旧法は廃止された。この大正11年法を一般に改正鉄道敷設法という。

改正鉄道敷設法別表には、予定線として149路線が掲げられており、ローカル線(地方交通線)建設の根拠とされ、また鉄道先行路線として国鉄バスに優先的に路線免許が下りる根拠となった。別表には、順次52路線が追加されていったが、削除された路線が一つもなかったのは、その政治色の濃さを窺わせる。

1987年(昭和62年)4月1日、日本国有鉄道改革法等施行法が施行されたことにより、鉄道敷設法は鉄道国有法・地方鉄道法とともに廃止された[1]

また、鉄道先行バス路線も国鉄バスを引き継いだJRバス各社が乗車実績の芳しくない区間を廃止したり、民間バス会社に路線譲渡を行った結果、中途分断された路線がある。

予定鉄道線路[編集]

以下の鉄道敷設法・北海道鉄道敷設法で規定されている予定鉄道線路、改正鉄道敷設法別表において、「…」の後の記述は、対応する鉄道路線や国鉄バス路線の名称(対応する路線のない場合は相当する道路)や起点・終点の位置の説明などである。起点・終点および経路は建設にあたり変更されたものもあるので必ずしも一致しない。道路は経路の説明のためのもので予定地や廃線跡が転用されたものではない。

鉄道敷設法第2条で規定されている予定鉄道線路[編集]

中央線
一 神奈川縣(県)下八王子若ハ靜(静)岡縣下御殿場ヨリ山梨縣下甲府及長野縣下諏訪ヲ經テ伊那郡若ハ西筑摩郡ヨリ愛知縣下名古屋ニ至ル鐵道
中央本線
一 長野縣下長野若ハ篠ノ井ヨリ松本ヲ經テ前項ノ線路ニ接續(続)スル鐵道
篠ノ井線
一 山梨縣下甲府ヨリ靜岡縣下岩淵ニ至ル鐵道
身延線
一 岐阜縣下岐阜若ハ長野縣下松本ヨリ岐阜縣下高山ヲ經テ富山縣下富山ニ至ル鐵道
高山本線
北陸線
一 福井縣下敦賀ヨリ石川縣下金澤ヲ經テ富山縣下富山ニ至ル鐡道及本線ヨリ分岐シテ石川縣下七尾ニ至ル鐵道
北陸本線の一部・七尾線
北陸線及北越線ノ連絡線
一 富山縣下富山ヨリ新潟縣下直江津ニ至ル鐵道
北陸本線の一部
北越線
一 新潟縣下直江津又ハ群馬縣下前橋若ハ長野縣下豐(豊)野ヨリ新潟縣下新潟及新發(発)田ニ至ル鐵道
信越本線(現しなの鉄道線区間含む)・上越線
北越線及奥羽線ノ連絡線
一 新潟縣下新發田ヨリ山形縣下米澤ニ至ル鐵道若ハ新潟縣下新津ヨリ福島縣下若松ヲ經テ白河、本宮近傍ニ至ル鐵道
米坂線磐越西線
奥羽線
一 福島縣下福島近傍ヨリ山形縣下米澤及山形、秋田縣下秋田青森縣下弘前ヲ經テ青森ニ至ル鐵道及本線ヨリ分岐シテ山形縣下酒田ニ至ル鐵道
奥羽本線陸羽西線
一 宮城縣下仙臺(台)ヨリ山形縣下天童若ハ宮城縣下石ノ巻ヨリ小牛田ヲ經テ山形縣下舟形町ニ至ル鐵道
仙山線石巻線陸羽東線
一 岩手縣下黒澤尻若ハ花巻ヨリ秋田縣下横手ニ至ル鐵道
北上線
一 岩手縣下盛岡ヨリ宮古若ハ山田ニ至ル鐵道
山田線
総武線及常磐線
一 東京府下上野ヨリ千葉縣下千葉、佐倉ヲ經テ銚子ニ至ル鐵道及本線ヨリ分岐シテ木更津ニ至ル鐵道
総武本線内房線の一部
一 茨城縣下水戸ヨリ福島縣下平ヲ經テ宮城縣下岩沼ニ至ル鐵道
常磐線の一部
近畿線
一 奈良縣下奈良ヨリ三重縣下上柘植ニ至ル鐵道
関西本線の一部
一 大阪府下大阪若ハ奈良縣下上八木又ハ高田ヨリ五條ヲ經テ和歌山縣下和歌山ニ至ル鐵道
関西本線の一部・和歌山線
一 京都府下京都ヨリ五條ヲ經テ奈良縣下奈良ニ至ル鐵道
奈良線
一 京都府下京都ヨリ舞鶴ニ至ル鐵道
山陰本線の一部・舞鶴線
山陽線
一 廣島縣下三原ヨリ山口縣下赤間關(関)ニ至ル鐵道
山陽本線の一部
一 廣島縣下海田市ヨリ呉ニ至ル鐵道
呉線の一部
山陰線
一 京都府下舞鶴ヨリ兵庫縣下豐岡、鳥取縣下鳥取、島根縣下松江、濱田ヲ經テ山口縣下山口近傍ニ至ル鐵道
山陰本線および山口線の一部
山陰及山陽連絡線
一 兵庫縣下姫路ヨリ生野若ハ笹山ヲ經テ京都府下舞鶴又ハ園部ニ至ル鐵道若ハ兵庫縣下土山ヨリ京都府下福知山ヲ經テ舞鶴ニ至ル鐵道
播但線加古川線
一 兵庫縣下姫路近傍ヨリ鳥取縣鳥取ニ至ル鐵道又ハ岡山縣下岡山ヨリ津山ヲ經テ鳥取縣下米子及境ニ至ル鐵道若ハ岡山縣下倉敷又ハ玉島ヨリ鳥取縣境ニ至ル鐵道
播但線山陰本線の一部・智頭線因美線津山線伯備線境線
一 廣島縣下広島ヨリ島根縣下濱田ニ至ル鐵道
可部線の一部・国鉄バス広浜線
四国線
一 香川縣下琴平ヨリ高知縣下高知ヲ經テ須崎ニ至ル鐵道
土讃線の一部
一 德島縣下徳島ヨリ前項ノ線路ニ接續スル鐵道
徳島線
一 香川縣下多度津ヨリ愛媛縣下今治ヲ經テ松山ニ至ル鐵道
予讃線の一部
九州線
一 佐賀縣下佐賀ヨリ長崎縣下佐世保及長崎ニ至ル鐵道
長崎本線の一部・佐世保線大村線
一 熊本縣下熊本ヨリ三角ニ至ル鐵道及宇土ヨリ分岐シ八代ヲ經テ鹿兒(児)縣下鹿兒島ニ至ル鐵道
三角線肥薩線鹿児島本線の一部(現肥薩おれんじ鉄道線区間含む)
一 熊本縣下熊本ヨリ大分縣下大分ニ至ル鐵道
豊肥本線
一 福岡縣下小倉ヨリ大分縣下大分宮崎縣下宮崎ヲ經テ鹿兒島縣下鹿兒島ニ至ル鐵道
日豊本線
一 福岡縣下飯塚ヨリ原田ニ至ル鐵道
筑豊本線の一部
一 福岡縣下久留米ヨリ山鹿ヲ經テ熊本縣下熊本ニ至ル鐵道
鹿児島本線の一部

北海道鉄道敷設法第2条で規定されている予定鉄道線路[編集]

石狩國旭川ヨリ十勝國十勝太釧路國厚岸ヲ經テ北見國網走ニ至ル鐵道
富良野線根室本線の大部分・釧網本線。釧網本線は実際には厚岸ではなく東釧路駅で分岐となった。その後も標茶 - 厚岸間は菱川線構想として敷設運動が続いた。
一 十勝國利別(現池田町域)ヨリ北見國相ノ内(現北見市域)ニ釧路國厚岸ヨリ根室國根室ニ至ル鐵道
池北線・根室本線の一部。池北線は池田駅で分岐、利別駅は途中駅となる。また北見駅で分岐し、相ノ内駅(初代)は経由せず。
一 石狩國旭川ヨリ北見國宗谷ニ至ル鐵道
宗谷本線天北線
一 石狩國雨龍原野ヨリ天盬(塩)國増毛ニ至ル鐵道
留萌本線
一 天盬國奈與(与)呂ヨリ北見國網走ニ至ル鐵道
名寄本線湧網線
後志國小樽ヨリ渡島國函館ニ至ル鐵道
函館本線の一部

改正鉄道敷設法別表[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 日本国有鉄道改革法等施行法第110条、および附則第1条

関連項目[編集]

外部リンク[編集]