門田隆将

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門田 隆将
(かどた りゅうしょう)
生誕 門脇 護
(1958-06-16) 1958年6月16日(58歳)
日本の旗 日本高知県安芸市
国籍 日本の旗 日本
教育 中央大学法学部政治学科
職業 ジャーナリスト
活動期間 1982 – 現在
肩書き ジャーナリスト
ノンフィクション作家
公式サイト http://www.kadotaryusho.com/

門田 隆将(かどた りゅうしょう、1958年6月16日[1] - )は日本ジャーナリスト、ノンフィクション作家。本名は門脇 護(かどわき まもる)。

来歴[編集]

高知県安芸市出身。1978年3月、土佐中学校・高等学校中央大学法学部政治学科卒業後、1982年4月、新潮社入社。『週刊新潮』に配属され、記者、デスクを経て編集次長に就任。政治、経済、歴史、事件など、さまざまな分野で同誌の中核記事を担当する。酒鬼薔薇事件では被害者遺族の手記を発掘するなどした[2]

その後、副部長に昇進。2002年10月から『週刊新潮』に「裁判官がおかしい!」を連載、後にそれを大幅に加筆して『裁判官が日本を滅ぼす』を新潮社から刊行している。同書では、小野悦男1996年に殺人容疑で逮捕されて有罪が確定した足立区首なし殺人事件について、以前に逮捕されていた松戸OL殺人事件を逆転無罪とした東京高裁の裁判官を「無罪病」と非難している[3]

新潮社勤務のかたわら講談社から発表した『甲子園への遺言』が第16回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞、NHK土曜ドラマ『フルスイング』(主演・高橋克実)としてドラマ化された。

2008年4月、新潮社を退社し独立。2008年7月、光市母子殺害事件遺族の本村洋を描いた『なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日』を刊行。同作品を原作とするWOWOWのドラマWスペシャル「なぜ君は絶望と闘えたのか」(主演・江口洋介)は、2010年度文化庁芸術祭賞ドラマ部門の大賞を受賞した。

2009年10月、1949年の古寧頭戦役中国国民党軍に協力した日本の軍事顧問団関係者の子孫と共に台湾金門島を訪問。60周年の戦没者慰霊祭などに参加した[4]。2010年9月、同戦役における日本側軍事顧問の一人として活動した根本博を描いた『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社)で第19回山本七平賞受賞。また、門田が同書で明らかにした蔣介石が根本に贈った「花瓶」が、2011年、日台友情の証(あかし)として根本家によって台湾に返還されることが決まったと報道された[5]。台湾でも同書の翻訳本『為義捐命』が発売された[6]

福島第一原子力発電所事故後の状況を現地で取材。『死の淵を見た男―吉田昌郎福島第一原発の五〇〇日』(2012年)、『記者たちは海に向かった―津波と放射能と福島民友新聞』(2014年)を刊行した。2014年5月、朝日新聞福島第一原発吉田昌郎所長が政府事故調の聴取に応じた「吉田調書(聴取結果書)」を独占入手したとして「所員の9割が吉田所長の命令に違反して撤退した」と報道したことに対して、「これは誤報である」とブログ[7]で主張した。その後、週刊誌(『週刊ポスト』6月20日号、『週刊新潮』9月18日号)、写真誌(『FLASH』6月24日号)、月刊誌(『Voice』8月号・11月号、『正論』8月号・10月号)、『産経新聞』8月18日付朝刊[8]等で批判の論陣を張った。一方、朝日新聞は門田の論評に対して「訂正謝罪」の要求と「法的措置を検討する」との抗議書を複数回送付したが、逆に9月11日、木村伊量社長が記者会見を開いて、当該の「吉田調書」記事を全面撤回し、謝罪した[9]。門田は11月に出版した『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』に、その経緯を記した。

人物[編集]

  • 二十代前半から伯父が殺害された通化事件について調査を行っている[10]

受賞歴[編集]

  • 2005年 ミズノスポーツライター賞優秀賞
  • 2010年 文化庁芸術祭ドラマ部門大賞(原作)
  • 2010年 ATP賞テレビグランプリ・ドキュメンタリー部門優秀賞(原作)
  • 2010年 山本七平賞
  • 2012年 文化庁芸術祭ドラマ部門優秀賞(原作)

著書[編集]

  • 『裁判官が日本を滅ぼす』(新潮社 2003年)のち文庫 
  • 『甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』(講談社、2005年)のち文庫 
※ NHKテレビドラマ『フルスイング』として映像化
  • 『ハンカチ王子と老エース 奇跡を生んだ早実野球部100年物語』(講談社、2006年)
※ 2011年4月、「甲子園の奇跡 斎藤佑樹と早実百年物語』と改題・加筆されて文庫化(講談社文庫)
  • 『なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日』(新潮社、2008年)
※ 第40回大宅壮一ノンフィクション賞候補。WOWOWがドラマWスペシャル「なぜ君は絶望と闘えたのか」(主演・江口洋介)として映像化。2010年度文化庁芸術祭ドラマ部門大賞を受賞。
  • 『神宮の奇跡』(講談社、2008年)のち文庫
  • 『激突!裁判員制度―裁判員制度は司法を滅ぼすvs官僚裁判官が日本を滅ぼす』(井上薫共著、ワック、2009年)
  • 『康子十九歳 戦渦の日記』(文藝春秋、2009年)
※ 第41回大宅壮一ノンフィクション賞候補。フジテレビが「ザ・ノンフィクション」500回記念番組で同作を原案とする「康子のバラ~19歳、戦渦の日記~」を放映。第27回ATP賞テレビグランプリ・ドキュメンタリー部門優秀賞受賞。
  • 『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、2010年)
※ 第19回山本七平賞受賞。
  • 『あの一瞬―アスリートはなぜ「奇跡」を起こすのか』(新潮社、2010年)
  • 『風にそよぐ墓標―父と息子の日航機墜落事故』(集英社、2010年)
※ 2012年9月、『尾根のかなたに―父と息子の日航機墜落事故』と改題されて文庫化(小学館文庫)[11]。同年、WOWOWでドラマ化。2012年度文化庁芸術祭ドラマ部門優秀賞を受賞。
  • 『蒼海に消ゆ―祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯』(集英社、2011年4月)
  • 『太平洋戦争 最後の証言』シリーズ(小学館)
  • 『太平洋戦争 最後の証言 第1部 零戦・特攻編』(小学館、2011年8月)
  • 『太平洋戦争 最後の証言 第2部 陸軍玉砕編』(小学館、2011年12月)
  • 『太平洋戦争 最後の証言 第3部 大和沈没編』(小学館、2012年4月)
  • 『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所、2012年)
※ 第44回大宅壮一ノンフィクション賞候補。
  • 『新版 裁判官が日本を滅ぼす』(ワック、2013年)
  • 『狼の牙を折れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部』(小学館、2013年)
  • 『記者たちは海に向かった―津波と放射能と福島民友新聞』(角川書店、2014年)
  • 『慟哭の海峡』(角川書店、2014年)
  • 『「吉田調書」を読み解く―朝日誤報事件と現場の真実』(PHP研究所、2014年)
  • 『吉田昌郎と福島フィフティ』(PHP研究所、2015年)
  • 『日本、遥かなり—エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所、2015年)
  • 『リーダーの本義』(日経BP社、2016年)
  • 『汝、ふたつの故国に殉ず ―台湾で「英雄」となったある日本人の物語―』(角川書店、2016年)

訴訟[編集]

大滝村交通事故名誉棄損訴訟[編集]

1994年7月に創価学会員が運転するトラックと、創価学会に対立する日蓮正宗僧侶が運転する乗用車の衝突事故が発生した。乗用車を運転していた僧侶が死亡したが、警察は、乗用車側のスピード超過によるものとして処理し、損害保険会社も同様の判断を行った。事故は、創価学会を破門した日蓮正宗本山の「総登山」直前という激しい対立のさなかに起きたもので、週刊新潮は「大石寺『僧侶』を衝突死させた創価学会幹部」を掲載した[12]。当記事には、事故のことを誰も知らない夜中に、死亡した僧侶の似顔絵に「日蓮正宗僧侶 天罰下る!」という見出しを掲げたビラが大量に撒かれたなどとも記載されており、創価学会員のトラックの運転手は週刊新潮に対して訂正を要求したが、新潮社はそれを受け入れなかったため、トラックの運転手は新潮社を名誉棄損で提訴した。札幌地裁は新潮社の名誉棄損を認め、新潮社に110万円の慰謝料の支払いを命令、札幌高裁、最高裁ともに地裁の判決を支持し、新潮社の敗訴が確定した[13]

信平夫妻による池田大作に対する訴権の濫用[編集]

1996年に信平醇浩・信子夫妻の「創価学会の池田大作名誉会長に暴行を受けた」とする手記を週刊新潮に掲載した。信平夫妻は手記発表後、創価学会に対して損害賠償を求め提訴した(池田大作に対する訴権の濫用)。裁判は信平夫妻が裁判官を忌避するなど混迷し、ついに信平夫妻の証言が実現しないまま、信子には「時効」が宣告され、夫の醇浩には、「却下(裁判として成立するほどの証拠や信頼性がない訴訟に対する措置)」が言い渡されて終結した。しかし、創価学会はこの関連記事を26回にわたって掲載した週刊新潮を提訴もせず、池田名誉会長の「出廷を阻止すること」に成功した[14]。この手記に関する記事が自民党機関誌の自由新報でも掲載されたため、自民党と公明党の接近が計られる中、時の内閣総理大臣・橋本龍太郎が謝罪を行う事態にまで発展した[15]

風にそよぐ墓標著作権訴訟[編集]

2010年8月に出版した日本航空123便墜落事故を扱った『風にそよぐ墓標―父と息子の日航機墜落事故』に登場する77歳の女性遺族が自分の提供した手記(1996年出版)が「記述に利用されるとは思わなかった」として著作権侵害で門田と発行元の集英社を提訴[16][17]。遺族側は合計26か所の盗用がおこなわれたと主張し、「承諾を得て参考にした。盗用ではない」とする門田側の主張にも「承諾していない」と反論している[18]

2013年3月14日、一審の東京地裁は著作権侵害を認定し、出版差し止めと書籍の廃棄、慰謝料など約58万円の支払いを命じた[16]。門田は「本人に確認取材し、参考文献としても明記した。あきれた判決だ」と判決を非難し、即日控訴[16]。2013年9月30日、二審の知財高裁も一審判決を支持し、控訴を退けた[19][17]。門田は上告の意向[19]を示す一方、「記憶の薄れていた本人が自ら提供してきた手記をもとに長時間にわたって本人に記憶を喚起してもらいながら取材し、その上で記述した内容が著作権侵害になるなら、もはや日本でノンフィクションは成り立たない」、「日本の官僚裁判官は、小説とノンフィクションの違いも理解できないのだろうか」と反発[17]。この問題を扱った『新版 裁判官が日本を滅ぼす』を2013年に出版した[17]。2015年5月14日、最高裁は門田の上告を棄却。著作権侵害を認め、二審判決が確定した[20]。門田は同日、自身のブログを更新し、「これが司法の限界。私の姿勢や手法はこれからも変わらない」と宣言した[21]

脚注[編集]

  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.447
  2. ^ BOOKSCAN × 著者インタビュー ジャーナリスト 門田隆将
  3. ^ 『裁判官が日本を滅ぼす』 「第1章 小野悦男を解き放った無罪病裁判長の責任」 [要ページ番号]
  4. ^ “古寧頭戦役60周年に日本の軍事顧問団関係者の家族らが台湾を訪問”. 台湾週報 (台北駐日経済文化代表処). (2009年10月27日). http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=114725&ctNode=3591&mp=202 2013年7月13日閲覧。 
  5. ^ 読売新聞2011年1月5日付
  6. ^ 久しぶりに爽やかなニュース 門田隆将オフィシャルサイト ブログ「夏炉冬扇の記」 2011.05.09
  7. ^ お粗末な朝日新聞「吉田調書」のキャンペーン記事 門田隆将オフィシャルサイト ブログ「夏炉冬扇の記」 2014.05.31
  8. ^ 門田隆将氏、朝日新聞抗議に「全く的外れ!」「自らの姿勢を問い直してほしい」 産経新聞
  9. ^ 「吉田調書」の記事めぐり、朝日新聞・木村社長が会見 朝日新聞デジタル 2014年9月11日
  10. ^ 反骨の女流作家の「死」 門田隆将オフィシャルサイト 2011年2月24日
  11. ^ 但し集英社版での第1章と第3章が削除されている。第3章は盗用疑惑の訴訟(訴訟の項参照)で問題となっていた部分だが、それが削除理由かは不明。
  12. ^ 「週刊新潮」1994年9月1日号「大石寺『僧侶』を衝突死させた創価学会幹部」
  13. ^ メディアの自由と人権侵害報道の境目 - 同志社大学教授渡辺武達
  14. ^ 特集/検証―創価学会の“魔女狩り”体質 口汚いジャーナリスト攻撃をやめない創価学会の「正義」 Forum21
  15. ^ 「信平狂言事件」、『』2005年4~6月号
  16. ^ a b c “日航機墜落書籍、著作権を侵害 地裁が出版差し止め命令”. 日本経済新聞. (2013年3月15日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1404S_V10C13A3CR0000/ 2014年8月6日閲覧。 
  17. ^ a b c d 門田隆将 (2013年9月30日). “裁判官は「日本」を滅ぼす”. BLOGOS. 2013年9月30日閲覧。
  18. ^ “日航機事故遺族、作家提訴の構え 「手記と表現酷似」”. 朝日新聞デジタル. (2011年7月11日). http://book.asahi.com/news/TKY201107070207.html 2013年9月14日閲覧。 
  19. ^ a b “日航機事故の遺族取材書籍、2審も遺族の著作権侵害で出版差止め命ず”. 知財情報局. (2013年10月1日). http://news.braina.com/2013/1001/judge_20131001_002____.html 2014年8月7日閲覧。 
  20. ^ 時事ドットコム:出版差し止め命令確定=門田氏の日航機事故書籍-最高裁” (2015年5月14日). 2015年5月14日閲覧。
  21. ^ 門田隆将 (2015年5月14日). “ふたたび「裁判官は日本を滅ぼす」”. 2015年5月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]