兵庫県の市町村歌一覧

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兵庫県の市町村歌一覧(ひょうごけんのしちょうそんかいちらん)は、日本兵庫県に属する市町村で制定されている、もしくは過去に制定されていた市町村歌などの自治体歌やそれに準じた楽曲の一覧である。なお、一覧の順序は全国地方公共団体コード順による。

概説

兵庫県で戦前から市町村歌を制定していたことが確認されているのは神戸市尼崎市明石市相生市洲本市飾磨郡安室村姫路市へ編入)、揖保郡網干町(同)、城崎郡豊岡町(現在の豊岡市)の8市町村で、特に明石市は県内の市歌としては神戸市の初代市歌よりも10年早い制定であった。戦後は阪神地域や東播磨地域で一斉に市歌が制定され、中でも1954年(昭和29年)は昭和の大合併で誕生した宝塚市三木市高砂市川西市小野市の5市全てが市制施行と同時に市歌を制定している。1990年代には、旧龍野市(現在のたつの市)を含めて当時存在していた県下の21市全てで市歌が制定されていた。

兵庫県では長年にわたり県民歌は「未制定」であると言うのが通説であったが[1]、実際は1947年(昭和22年)に「兵庫県民歌」が制定されていたことが神戸新聞社の取材で判明した[2]。この「県民歌」の作詞者である野口猛は後に川西市の歌詞募集で入選しており[3]、作曲者の信時潔は神戸市(2代目)、加古川市宍粟郡山崎町(現在の宍粟市)で市・町歌の作曲を手掛けている。その他の市では関西交響楽団大澤壽人宝塚歌劇団名誉理事の酒井協武庫川女子大学教授の宮原禎次ら県にゆかりのある作曲家が手掛けたものが多い。

制定経緯に関しては1930年代から1950年代にかけては「県民歌」を含めて神戸新聞社の後援で制定されたものが多く[3]、また1940年代から1970年代にかけて制定された市・町歌の大半は芦屋市で半生を過ごした詩人富田砕花が審査に関わっている。

平成の大合併以前から18市町全てで市・町歌が制定されていた但馬地域では合併で誕生した市町の大半で早期に新しい市・町歌が制定されているが、養父市は市民音頭のみを作成している(ただし、非公式のイメージソングは存在する)。その他の地域では、丹波市南あわじ市も市歌ではなく市民音頭を制定した。

神戸市

作詞:木村靖弘 作曲:信時潔
2代目(非公式の市歌を含めた場合は3代目)の市歌である[5]

神戸市の区歌等

神戸市の一部の区では独自に区歌や区民音頭が制作されている。

作詞:山田千都子 作曲:中村茂隆
作詞:小倉正子 作曲:日当均

その他市部

姫路市
作詞:河西新太郎 作曲:須田五郎
市のサイトでは紹介されていない。
  • 夢ある姫路まち[9] - 1989年(平成元年)発表
作詞・作曲:さとう宗幸
市制100周年を記念して開催された姫路百祭シロトピアのテーマソングで、閉幕後は市民愛唱歌となった。市のサイトでは市歌でなくこの楽曲のみが紹介されている[9]

上記の他、平成の大合併で姫路市に編入された香寺町夢前町安富町の町歌と家島町の町民音頭は合併協議会の申し合わせによりそれぞれ「地域の歌」として継承されている。

尼崎市
  • 尼崎市歌 - 1940年(昭和15年)制定
作詞:土井晩翠 作曲:東京音楽学校
詞・曲とも著作権の保護期間を満了(パブリックドメイン)。
  • ああ尼崎市民家族 - 1986年(昭和61年)発表
作詞:伊丹公子 作曲:キダ・タロー
市制70周年記念市民愛唱歌。FM aiaiで平日の正午前に演奏される[10]
明石市
作詞:尾上柴舟 作曲:岡野貞一
現存する県内最古の市歌。詞・曲とも著作権の保護期間を満了(パブリックドメイン)。
西宮市
作詞:北村正元 作曲:山田耕筰
作詞者は所在不明となっており、情報提供が呼び掛けられている[13]
  • 西宮市民歌 - 1955年(昭和30年)制定
作詞:難波立夏女 補作:喜志邦三 作曲:徳永秀則
  • 文教住宅都市西宮の歌[12] - 1963年(昭和38年)発表
作詞:喜志邦三 作曲:鎌田廉平
市民愛唱歌。
洲本市
  • 洲本市民の歌 - 1963年(昭和38年)4月制定
作詞:池田真琴 作曲:中田喜直
新設合併前の(旧)洲本市の2代目市歌である。五色町との合併に際し、市歌の扱いに関しては特に取り決めが行われなかったため現在の地位は不明確である。
芦屋市
  • 芦屋市民のうた[14] - 1949年(昭和24年)制定
作詞:本間一咲 補作:富田砕花 作曲:大澤壽人
  • このまちが好き - 1998年(平成10年)発表
作詞:芦屋市の小学生たち、後藤悦治郎 作曲:後藤悦治郎
市民愛唱歌。

「芦屋市民のうた」は1990年(平成2年)の市制50周年記念式典での演奏を最後に市の行事では演奏されなくなり2000年代以降は「このまちが好き」のみが演奏されるようになったが、2013年(平成25年)に有志が「芦屋市民のうた」復活演奏を実施した[15]

伊丹市
作詞:和仁敏之 補作:富田砕花 作曲:大澤壽人
市制10周年記念。
相生市
作詞:浦山貢 作曲:宮原禎次
豊岡市
作詞:尾崎龍 作曲:岩河三郎
合併3周年記念。2代目(新設合併後の豊岡市としては初代)の市歌である。
加古川市
作詞:橘一郎 補作:富田砕花 作曲:信時潔
  • 陽炎かげろうの播磨野 - 1970年(昭和45年)3月発表
市民愛唱歌。
赤穂市
作詞:木俣修 作曲:中田喜直
西脇市
作詞:中川安一 作曲:村山貞雄
黒田庄町との新設合併に際し(旧)西脇市の市歌を継承することが確認され[22]、合併後の2006年(平成18年)10月1日に改めて制定された。
宝塚市
  • 宝塚市歌[23] - 1954年(昭和29年)4月1日制定
作詞:西川好次郎 作曲:酒井協
市制施行と同時に制定。「和歌山県民歌」と同じ作詞者である。
三木市
  • 三木市歌[24] - 1954年(昭和29年)4月1日制定
作詞:大倉芳郎 作曲:酒井協
市制施行記念。
高砂市
作詞:加茂祐造 作曲:酒井協
市制施行記念。
川西市
作詞:野口猛 作曲:酒井協
市制施行記念。県から長年にわたり存在を否定されていた「兵庫県民歌」と同じ作詞者である[3]
小野市
  • 小野市歌[27] - 1954年(昭和29年)12月1日制定
作詞:富田砕花 作曲:山田耕筰
市制施行記念。
三田市
  • 三田まちが翔びたつ[28] - 1988年(昭和60年)制定
作詞:谷口裕治 補作:落合武司 作曲:奥村貢
市制30周年記念。
加西市
  • ゆめ色の街
作詞:岡夕花 補作:小倉零子 補作・作曲:小椋桂
篠山市
作詞:宇内悦子 作曲:藤田カブロー
市制1周年記念。
養父市
  • 養父市音頭 - 2011年(平成23年)発表
作詞:川口満郎 作曲:里野こみち
市民音頭。旧養父町の「養父音頭」と区別するため「市」を冠している。
  • この町へ来たら夢に逢える[30] - 2013年(平成25年)発表[31]
作詞・作曲:益田兼大朗
  • 戻っておいで[32] - 2013年(平成25年)発表[31]
作詞・作曲:益田兼大朗

「この町へ来たら夢に逢える」と「戻っておいで」の2曲は正式な市歌でなくイメージソング(養父の愛歌)とされている。

丹波市
作詞:炭野誠 補作:秋田泰治 作曲:足立知謙
「丹波市市歌」の副題が冠されている[34]
南あわじ市
作詞:能登濱吉 作曲:三原聡
朝来市
作詞:稲岡俊一 補作・作曲:小椋桂
淡路市
  • (未制定)

津名郡5町合併協議会においては、合併後の市歌制定について特に取り決めが行われなかった。

宍粟市
  • (未制定)

山崎町・一宮町波賀町千種町合併協議会では合併後の市歌について「新市において定めるものとする」との取り決めが行われているが[37]、実現していない。なお、2013年(平成25年)には難読地名「宍粟」の正しい読み方と筆順を歌詞にした「宍粟市字書き歌」(作詞:大部正勝 作曲:嶋村郁子)が発表されている[38]

たつの市
作詞:三木初代 補作:武鹿悦子 作曲:湯山昭
新設合併と同時に歌詞を募集して翌年に制定された。
加東市
作詞:宮田賢三 作曲:キダ・タロー
「加東市応援歌」として、市民音頭「加東よしよし音頭」(作詞:大久保三代子 作曲:池田八声)と同日に制定された[40]

町部

川辺郡猪名川町
  • いながわの歌 - 1955年(昭和30年)発表
作詞・作曲:奥村卓次
中谷村六瀬村が合併して猪名川町が成立した際の式歌であるが、その後も町の行事で演奏されている。
多可郡多可町
  • 多可町歌[41] - 2010年(平成18年)11月1日制定
作詞:閑念君代 作曲:橋本喬雄
  • 敬老のうた きっとありがとう[42] - 2013年(平成22年)9月19日発表
敬老の日のルーツとなった「としよりの日」を1947年(昭和22年)に旧野間谷村が制定した経緯から「敬老の日発祥のまち」PRソングとして制作された。
加古郡稲美町
  • 稲美音頭 - 1957年(昭和32年)発表
作詞:大西一雄 作曲:浅原弥平 編曲:小沢直与志
作詞:平山忠夫 作曲:市川昭介 編曲:伊藤雪彦
加古郡播磨町
作詞:井上朋義 作曲:木許隆
神崎郡市川町
  • 市川音頭
千葉県市川市の「新市川音頭」他の表題が類似した楽曲と区別するため「市川町音頭」とも呼ばれる。
神崎郡福崎町
作詞:斉藤貞子 作曲:真下恭
神崎郡神河町
作詞:サカエ・シータマタ 作曲:神村茂三
NPO法人「神河天地のめぐみ」選定の町民音頭。
揖保郡太子町
作詞:安田青風 作曲・編曲:名取吾郎
赤穂郡上郡町
  • 上郡小唄 - 1975年(昭和50年)発表
作詞:田淵繁男 作曲:三界稔 編曲:小町昭
合併20周年記念。
佐用郡佐用町
  • 佐用音頭 - 1968年(昭和43年)発表
作詞:岡本夢村 作曲:酒井喜久男
新設合併前の(旧)佐用町の町民音頭である。佐用町・上月町南光町三日月町合併協議会では新設合併後の町歌制定については特に取り決めが行われなかったため現在の地位は不明確であるが、合併前から郡内の他町でも演奏されており「郡民音頭」のような扱いで現在に至っている。
美方郡香美町
作詞:駒井瞭 補作:志賀大介 作曲:池田八声 編曲:山田恵範
美方郡新温泉町
作詞:中谷純平 作曲:西村光司

廃止された市町村歌

神戸市
  • 神戸市歌(旧) - 1938年(昭和13年)10月制定[50]
作詞:武藤重勝 補作:北原白秋 作曲・編曲:橋本國彦
神戸新聞社選定。初代の市歌である。

なお、初代市歌よりも以前の1921年大正10年)に非公式の市歌として「神戸市の歌」(作詞・作曲:神戸音楽同好会)が発表されている[51][52]

洲本市
  • 洲本市歌 - 1940年(昭和15年)制定
作詞:堀切政雄 作曲:厚美一幸
初代の市歌である。市制施行を記念して神戸新聞社が選定。
豊岡市
  • 豊岡市歌(旧) - 1950年(昭和25年)11月制定
作詞:樫原太郎 作曲:木下保
初代(新設合併前の旧豊岡市)の市歌である。
龍野市
  • 龍野市歌 - 1951年(昭和26年)4月1日制定
作詞:植木いはを 作曲:大澤壽人
神戸新聞社選定。
飾磨郡安室村
県内最古の自治体歌とされる。村立安室尋常小学校(現在の姫路市立安室小学校)は開校時に校歌を制定していなかったため、代わりにこの村歌が歌われていた[53]
揖保郡網干町
  • 網干町歌 - 1928年(昭和3年)10月制定
作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰
あぼしまち交流館前に歌碑がある。
宍粟郡山崎町
  • 山崎町町歌 - 1958年(昭和33年)制定
作詞:富田砕花 作曲:信時潔

参考文献

300〜305ページ「兵庫県」。

脚注

  1. ^ “失われた『兵庫県民歌』を求めて──1947年制定の県民歌はなぜ「存在しない」ことにされているのか?”. ガジェット通信 (東京産業新聞社). (2014年8月29日). http://getnews.jp/archives/655664 2014年11月16日閲覧。 
  2. ^ “布く新憲法 ゆくては明かるし…幻の兵庫県民歌”. 神戸新聞. (2015年1月1日). http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201501/0007625977.shtml 2015年1月9日閲覧。 
  3. ^ a b c 神戸新聞、1954年8月5日付8面「川西市歌・市章決る」。
  4. ^ 神戸市歌
  5. ^ 中山(2012) p300
  6. ^ 長田音頭
  7. ^ わたしたちの学園音頭をつくろう 〜学園都市連絡会議〜
  8. ^ 中山(2012) pp304-305
  9. ^ a b 夢あるまち(姫路)
  10. ^ TIMETABLE(MON-FRI)
  11. ^ 市章・市の木・市の花・市歌
  12. ^ a b 市のシンボル
  13. ^ 中山(2012)
  14. ^ 『広報あしや』創刊号 p1
  15. ^ “戦災復興支えた芦屋市民の歌 兵庫で復活コンサート”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞大阪本社). (2013年9月27日). http://www.asahi.com/area/hyogo/articles/OSK201309260139.html 2014年11月16日閲覧。 
  16. ^ 伊丹市歌
  17. ^ 相生市の市花・市木・市章・市旗・市歌
  18. ^ 豊岡市歌
  19. ^ 加古川市の概要
  20. ^ 赤穂市の概要
  21. ^ 西脇市のシンボル
  22. ^ 西脇市の市民憲章・市歌について(報告)
  23. ^ 市歌・市章
  24. ^ 市歌 / 三木市
  25. ^ 市章・市民憲章・市の花・市の木・市歌
  26. ^ 川西市歌
  27. ^ 小野市歌
  28. ^ 三田市の愛唱歌
  29. ^ 市の歌「いま ここに生きる」
  30. ^ 映像 - YouTube
  31. ^ a b 『市広報やぶ』2013年2月号 p4
  32. ^ 映像 - YouTube
  33. ^ 丹波市音頭が完成しました
  34. ^ 日本音楽著作権協会(JASRAC)作品コード:内 158-0033-4
  35. ^ 市民音頭
  36. ^ 朝来市の歌
  37. ^ 合併協定項目の「町の慣行の取り扱いについて(その1)」。
  38. ^ “宍粟”の地名を歌で表現! 宍粟市字書き歌
  39. ^ 市の概要
  40. ^ a b 市の花・木・音頭・応援歌・マスコット
  41. ^ 多可町歌
  42. ^ 敬老のうた きっとありがとう
  43. ^ いなみ音頭(昭和61年)
  44. ^ ふれあいの歌
  45. ^ 福崎町町歌
  46. ^ 日本神河音頭 - YouTube
  47. ^ 町歌の制定
  48. ^ 香美町町民歌
  49. ^ 新温泉町民歌
  50. ^ 神戸市歌国立国会図書館・歴史的音源)
  51. ^ 八木(1987) p42
  52. ^ JOBK編『青年の音楽:ラヂオ・テキスト』(日本放送出版協会関西支社、1935年) pp9-10 NDLJP:1121403
  53. ^ a b 『4 地域資源の全リスト 〜地区からの情報発信〜』p10

関連項目