ダスキン

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株式会社ダスキン
Duskin Co., Ltd.
ダスキン本社
種類 株式会社
市場情報
本社所在地 日本の旗 日本
564-0051
大阪府吹田市豊津町1番33号
設立 1963年(昭和38年)2月4日
業種 サービス業
法人番号 3120901007178 ウィキデータを編集
事業内容 クリーンサービス事業、フードサービス事業、ケアサービス事業 他
代表者 代表取締役社長執行役員 山村輝治
資本金 113億5,200万円(2018年3月31日現在)
売上高 単体:1,325億3,700万円
連結:1,610億3,100万円
(2018年3月期)
総資産 1,903億2,200万円
従業員数 単体:2,000名
連結:3,778名
(2022年3月31日現在)
決算期 3月末
主要株主 ダスキン働きさん持株会 3.26%
ニップン 3.36%
小笠原浩方 2.83%
三井住友銀行 1.57%など
主要子会社 (株)ダスキンシャトル東京
(株)ダスキンヘルスケア
アザレプロダクツ(株) など
(いずれも連結子会社
関係する人物 鈴木清一(創業者)
伊東英幸(元社長)
外部リンク www.duskin.co.jp
特記事項:出資比率は自己株式を控除後の数値。
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株式会社ダスキン: Duskin Co., Ltd.)は、大阪府吹田市江坂地区)に本社を置く日本企業。清掃業務を中心に、外食産業なども展開する。ミスタードーナツの事業本部でもある[1]

社名[編集]

「ダスキン」は英語の「ダスト」と日本語の「ぞうきん」の合成語[注 1]。当初は「株式会社ぞうきん」という社名にしたらどうかという提案も創業者の鈴木清一から出たといわれるが、社員の「人に言いにくい」「嫁が来ない」などの反対により、この社名になったという。鈴木は、「自分が汚れた分だけ人が綺麗になる『ぞうきん』で何が悪いのか」とも言ったといわれる。

もう一つの説は創業者の経営理念の中にある一節、「新しく生まれ変わるチャンスです」=「脱皮」から脱(だ)+皮(スキン)=ダスキンになったとも言われる[注 2]

なお、創業当時の社名は「サニクリーン」であった。現存する同名の会社はダスキンと創業者が同一のビルメンテナンス会社ケントク新生舎(現・ケントク)が中心となって設立されたサニクリーン東京を前身としているが、現在は資本・人材などの関係はない。

ロゴは “DUSK!N” と “I” が「!」(エクスクラメーションマーク)となっている。

社訓等[編集]

創業者である鈴木が「祈りの経営」、『喜びのタネをまこう』という理念を掲げた。

一日一日と今日こそは
あなたの人生が(わたしの人生が)
新しく生まれ変わるチャンスです
自分に対しては
損と得とあらば損の道をゆくこと
他人に対しては
喜びのタネまきをすること
我も他も(わたしもあなたも)
物心ともに豊かになり(物も心も豊かになり)
生きがいのある世の中にすること
合掌
ありがとうございました
— 祈りの経営ダスキン 経営理念[2]

宗教色が強い企業である。これは、鈴木が20歳の時に肋膜炎を患い、養母の愛情に救われたのをきっかけに宗教に目覚め、養母の信仰する金光教に入信したことや、京都府京都市山科区にある新宗教団体「一燈園」の創始者である西田天香に師事していたことによる。このため、社員のことを「働きさん」と呼び、入社順に「働きさんナンバー」が割り振られる。また給料を「お下がり」、ボーナスを「ご供養」、朝礼を「おつとめ」と呼び習わしている。また、働きさんは必ず一燈園に泊まり込みで修行を行うほか、朝礼時や株主総会などが行われる際には般若心経や前述した経営理念を唱えたりする勤行が行われている。

創業[編集]

一燈園を信仰していた鈴木が渡米時、AT&Tで行われていた電話事業所での新しい清掃方法(ダストコントロール)を知人を通じて知り、このシーズの事業化と日本市場導入を志し、創業に至った。

市場導入に当たっては、これも渡米時に知った新しいビジネスモデルのフランチャイズシステムを採用することにより、事業規模の急速な拡大をはかった。日本におけるフランチャイズシステムの最も初期の事例のひとつである。『ミスタードーナツ』事業にあっても、同じくアメリカよりファーストフードという当時の新しいカテゴリーをフランチャイズシステムに乗せることにより成功させた。

沿革[編集]

ダスキン台湾
  • 1963年(昭和38年) - 株式会社サニクリーンを設立、創業。
  • 1964年(昭和39年) - 化学雑巾発売。社名を「ダスキン」に改名。
  • 1971年(昭和46年) - アメリカ合衆国のミスタードーナツ・オブ・アメリカ社[注 3]と提携し、ドーナツ販売業務を開始、翌年第1号店を箕面市にオープンさせる。
  • 1971年(昭和46年) - サービスマスター社(米)と提携し、サービスマスター事業を開始。
  • 1978年(昭和53年) - ユナイテッドレントオール社(米)と提携し、レントオール事業を開始。
  • 1988年(昭和63年) - サービスマスター社(米)と提携し、害虫獣駆除事業(現ターミニックス事業)を開始。
  • 1989年(平成元年) - サービスマスター社(米)と提携し、メリーメイド事業を開始。
  • 1990年(平成2年) - H.N.フェルナンデス社(米)と提携し、カフェデュモンド事業を開始。
  • 1991年(平成3年) - 日本水産株式会社との共同出資によるザ・どん事業を開始。
  • 2000年(平成12年) - ホームインステッド・シニアケア社(米)と提携し、ホームインステッド事業(現ライフケア事業)を開始。
  • 2002年(平成14年) - ミスタードーナツの禁止添加物事件とその事実隠蔽加担により上田武社長辞任。代わり、伊東英幸常務が社長就任。
  • 2004年(平成16年) - 三井物産株式会社と業務提携。
  • 2006年(平成18年) - 12月12日付けで東証一部、大証一部に上場。
  • 2007年(平成19年) - 6月27日、上場後初の株主総会を大阪リーガロイヤルホテルにて開催。
    • 三井物産株式会社との合弁会社「ミスタードーナツコリア」が韓国・ソウルに1号店をオープン。
  • 2008年(平成20年)
  • 2009年(平成21年)
  • 2010年(平成22年)
    • 7月カフェデュモンドの日本国内の2店舗で、粉末コーヒー商品で異物混入が発覚し、日本での運営母体の同社が自主回収に乗り出す。
    • 10月、化粧品分野拡大のため、アザレプロダクツ株式会社及び共和化粧品工業株式会社を子会社化。
  • 2011年(平成23年)
    • 5月、東北地方太平洋沖地震の被災者支援として、消費者からの募金により義援金1億円を寄付。
    • 時期不明、株式会社どんを完全子会社化(日本水産との合弁解消)。
  • 2012年(平成24年)
    • 韓国でのダストコントロール事業を開始。
    • 蜂屋乳業株式会社を完全子会社化。
  • 2013年(平成25年) - エムディフード株式会社設立。
  • 2014年(平成26年) - 中外産業株式会社を完全子会社化。
  • 2015年(平成27年) - ミスタードーナツがインドネシアに1号店をオープン。
  • 2016年(平成28年)
    • 家事支援外国人受入事業者として、神奈川県および大阪府からダスキンが特定機関として認定を受けた。
    • 株式会社どんの全株式をフジオフードシステムに売却。
  • 2017年(平成29年) - 家事支援外国人受入事業者として、東京都からダスキンが特定機関として認定を受けた。
  • 2018年(平成30年) - 執行役員制度を導入。

主なサービス・ブランド[編集]

ダスキン工場の1つ、ダスキン柳川
福岡県柳川市三橋町

埃取り用のモップ・化学雑巾・浄水器などの清掃・衛生用品レンタルサービスや各種清掃サービスを中核とするクリーンサービス事業を行っている。また、ミスタードーナツを中心とする外食事業も会社の売上高の多くの比重を占める。

ダスキンはダストコントロール事業やサービスマスター、メリーメイド等を「訪販グループ」、ミスタードーナツやカフェデュモンド等の事業を「フードグループ」、ダスキンヘルスケアや海外事業等は「その他」として区分している。各事業毎のチェーン店を含む売上高は以下の通り。

2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 割合
訪販グループ 276,956 270,390 274,005 272,633 272,577 71%
フードグループ 106,426 105,631 95,549 86,058 81,148 21%
その他 23,842 25,539 29,103 25,855 28,378 7%
合計 407,225 401,561 398,658 384,547 382,104 100%

訪販グループ[編集]

  • ダストコントロール(掃除用品レンタル関係)
  • サービスマスター(ハウスクリーニング関係)
  • メリーメイド(家事代行関係)
  • ターミニックス(害虫駆除関係)
  • トータルグリーン(庭管理、造園関係)
  • ホームリペア(住まいの補修関係)
  • ユニフォームサービス
  • ドリンクサービス
  • ヘルス&ビューティ(化粧品関係)
  • アザレプロダクツグループ(化粧品関係)
  • レントオール(総合レンタル関係)
  • ヘルスレント(介護・福祉用具レンタル関係)
  • ライフケア(介護関係、自費サービス)

フードグループ[編集]

  • ミスタードーナツ(ファーストフード関係)
  • モスド(ファーストフード関係、モスフードサービスとの共同事業)
  • かつアンドかつ(ファーストフード関係、ダスキンが100%出資する別法人が運営している[3]
  • カフェデュモンド(ファーストフード関係、1990年から2018年までフランチャイズ展開した後、終了)
  • カーニバルプラザ(焼肉店関係、6店舗をフランチャイズ展開したが、全て閉店)
  • ベーカリーファクトリー(パン関係、2013年11月から2022年3月までフランチャイズ展開した後、終了してStone Food Entertainmentへ譲渡している[4]
  • ザ・シフォン&スプーン(デザート関係、2016年から2020年までフランチャイズ展開した後、終了している[5][6]
  • パイフェイス(パイ関係)

その他[編集]

  • (株)ダスキンヘルスケア
  • ダストコントロール(海外)
  • ミスタードーナツ(海外)

日本国外[編集]

テレビのスポンサー展開[編集]

フジテレビ系の朝のワイドショー番組(現在の「めざまし8」に当たる枠)を「小川宏ショー」時代から長年提供していたり、江崎グリコ降板後の「まんが日本昔ばなし」(土曜19時放送時代)、「NNNきょうの出来事」などの報道・情報系番組の提供も一時期行っていた。このほかにテレビ大阪製作テレビ東京系の土曜(もしくは日曜)16時 - 17時15分放送の特別番組の提供も行っている。

また、1998年には、地上波テレビ放送では日本初となる3分間のロングコマーシャル「ダスキン100番100番劇場」(さだまさし主演のコント)をフジテレビ系を中心に(後にはテレビ東京系でも)放送していたことがある[7]。 提供クレジットは「DUSK!N」名義で出稿している。 「ミスタードーナツ」部門の度重なる不祥事でCMを自粛した時期もあった。

2022年令和4年)10月現在の提供番組
過去の提供番組(上記以外)

広告に出演したタレント(現在も含む)[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ダスキンミュージアムの展示による。
  2. ^ ダスキンミュージアムの展示によれば、倉本長治が鈴木に「脱皮」の書を贈ったとしている。
  3. ^ : Mister Donut of America, Inc.

出典[編集]

  1. ^ ミスタードーナツ11月25日から再値上げ「ポン・デ・リング」は税抜き価格120→140円に”. 日刊スポーツ (2022年9月26日). 2022年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月26日閲覧。
  2. ^ 経営理念 | 会社情報 | 株式会社ダスキン
  3. ^ フードグループ”. ダスキン. 2022年3月14日閲覧。
  4. ^ フードグループ「Bakery Factory」事業 事業譲渡に関するお知らせ”. ダスキン (2022年3月11日). 2022年3月14日閲覧。
  5. ^ シフォンケーキ専門店「THE Chiffon & Spoon」本格展開開始”. ダスキン (2016年2月24日). 2022年3月14日閲覧。
  6. ^ ダスキン 会社案内 / CSRレポート” (pdf). ダスキン. 2022年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月14日閲覧。
  7. ^ 別冊宝島430号『よいこの広告 テレビCMが10倍面白くなる本!』宝島社、1999年、43頁。ISBN 4-7966-9430-7
  8. ^ “ディーン・フジオカ:家事のコンシェルジュに 「全て私にお任せください」”. MANTANWEB. (2016年3月25日). https://mantan-web.jp/article/20160324dog00m200044000c.html 2016年3月25日閲覧。 
  9. ^ 2018年3月17日付『毎日新聞』社会面24面

関連項目[編集]

外部リンク[編集]