雑巾
雑巾(ぞうきん)とは、拭き掃除用[1]の繊維製品。汚れや、こぼれ落ちた液体を拭い取るなど、拭き掃除に用いられる布片のこと[2]。ウエスに似ているが、ウエスは不定形で複数回使用が困難なのに比べ、雑巾は複数回使用を前提として耐久性のある平面形状の製品。拭き掃除用でも繊維製品でなく樹脂多孔体のものはスポンジ、セーム革などと呼ばれる。なお、雑巾を「雑布」とも書く(世界大百科事典 第2版より[要ページ番号])。
歴史[編集]
鎌倉時代の絵図から日本で使われていたことが判明している掃除具は、今日のモップに似て柄が長い木の棒の先にT字になるよう横木を付け、その横木に布きれを巻き付けた物である。当時の名称は不明だが、現代では棒雑巾と呼ばれている。手に持って拭くための布は室町時代に
製品[編集]
一般家庭などでは使い古しの布巾やタオルなどの布地が再利用される場合も多いが、量産の市販品には特殊繊維を用いた比較的薄手のもの、折りたたんだタオル地でタオル雑巾として市販されているものなどがある。スーパーマーケットや100円ショップ[4]などでの購入も可能である。簡単に作れることから、小学校の家庭科の授業の課題として作らされることも多い。刺し子雑巾は手縫いが基本だが、近年はミシンで作られるのが一般的。
一般的な雑巾の形状は四角形で、多くは長方形である。布製(綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨンなど)のものが多い。マイクロファイバー雑巾はポリエステル製である。ワイパー用はポリプロピレン・ポリエチレンの安価な不織布である。紙でできている使い捨て雑巾もあり、ペーパーダスターと呼ばれる。キッチン用の雑巾はキッチンダスターと呼ばれる。また、布地または紙シートに薬剤をしみこませた「化学雑巾」と呼ばれるものもある。
かつてはおしめや修繕が不可能になるまで着古した古着などが使い回されることもあったが、使い捨ておむつの普及とメリヤスなどの編地の普及と戦後の洋装化と裁縫離れにより、そのような習慣は一般的ではなくなった。編地にしろ織地にしろ拭きやすいサイズにカットすることで余計な繊維ホコリの発生源となるため、古着の再利用先はウェス用途へ傾いている。また、古新聞もしばしば、使い捨て雑巾として水拭き・乾拭きに用いられる。
市販品は白色のものが多いが、色付けされているものもある。清掃業では、清掃箇所によって色分けしている場合もある。 雑巾との名称ではないが、類似製品としてレンジ油汚れなどに特化した薬剤をしみこませたウェットティッシュタイプ掃除具や、床用棒つきワイパーの取替用不織布などが市販されている(一般名称が確定していない)。界面活性剤、オレンジオイル、電解水、アルコール、香料などを含浸済みで販売される平面型の繊維製品である点で化学雑巾の発展形であるといえる。
用途[編集]
使用法[編集]
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掃除法は、そのままで拭く「乾拭き」、水で濡らして絞って拭く「水拭き」などがある。汚れたら、乾拭きの場合は外で叩き、水拭きの場合は水で洗って絞る。高カロリー液体(牛乳など)をこぼした場合は雑巾にしみこませバケツにしぼり、洗面所ではなくトイレに汚水を流し、水拭きする。小学校には、雑巾をゆすぎ絞るためのバケツが常備されていることが多い。基本的には手で持って拭くのが普通だが、雑巾を装着する前提のモップ(棒雑巾、雑巾ワイパーとも呼ばれる)も存在する。足で踏んで拭くのはマナー違反であるとされるが、体重の軽い女性や児童にとってはより強い摩擦力を加えられる合理的な行動でもある。学校教育の一環として掃除の時間にはしばしば雑巾が用いられる。小学校だと、児童に雑巾を持参させることもある。学校によっては年度末にワックスがけを行う学校もある。寺や神社では弟子の教育の一環として、廊下や板の間などの雑巾がけを行う。 かつては菜種油を適度に浸み込ませた油雑巾も仕上げの際の乾拭きに多く用いられた[2]。
使用中は大きなホコリは指で摘みとって捨てたあと裏返すなどで新たな面を出して拭ける場合がある。 使用後は木綿雑巾、マイクロファイバー雑巾は漂白洗濯に耐えるが、薬剤含浸が前提となっている化学雑巾、不織布、ウェットティッシュタイプは家庭で洗濯や再含浸ができないため燃えるゴミとして処分すべきである。特に化繊雑巾から発生する微細繊維は下水に流すことでマイクロプラスチックとして河川、海洋の環境汚染に関与する可能性がある。
雑巾がけ[編集]
雑巾をかける行為は雑巾がけと呼ばれる。近年はスポーツ競技の一種として、あちこちで大会が催されている。
愛知県豊橋市では雑巾がけレースの世界大会が開催されており、2016年2月には豊橋市制110周年プレイベントとして第1回大会となる「世界雑巾2016」が開催された[5]。