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『'''火曜クラブ'''』(かようクラブ、原題:''The Thirteen Problems'', 米題:''The Tuesday Club Mystery'')は、[[1932年]]に刊行された[[アガサ・クリスティ]]作品の短編集。イギリスのペンギンブック版 ''"Miss Marple and the Thirteen Problems"'' によった訳題『'''ミス・マープルと13謎'''』もる。[[ミス・マープル]]の初登場作「火曜クラブ」を含むマープルものの短編[[推理小説]]13編が収録されている。
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『'''火曜クラブ'''』(かようクラブ、原題:''The Thirteen Problems'', 米題:''The Tuesday Club Mystery'')は、[[1932年]]に刊行された[[アガサ・クリスティ]]の短編集。リスティ4作目短編集でり、[[ミス・マープル]]の初登場作「火曜クラブ」を含むマープルものの短編[[推理小説]]13編が収録されている。

イギリスのペンギンブック版 ''"Miss Marple and the Thirteen Problems"'' によった訳題『'''ミス・マープルと13の謎'''』([[創元推理文庫]])もある。


== 概要 ==
== 概要 ==
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== 映像化 ==
== 映像化 ==
『[[アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル]]』において「金塊事件」、「青いゼラニウム」、「動機対機会」がそれぞれ第14話「金塊事件」、第15話「青いゼラニウム」、第27話「動機と機会」としてアニメ化された。
『[[アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル]]』において「金塊事件」、「青いゼラニウム」、「動機対機会」がそれぞれ第14話「金塊事件」、第15話「青いゼラニウム」、第27話「動機と機会」としてアニメ化された。



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2015年5月6日 (水) 09:18時点における版

火曜クラブ
The Thirteen Problems
著者 アガサ・クリスティー
発行日 イギリスの旗1932年
発行元 イギリスの旗Collins Crime Club
日本の旗早川書房 ほか
ジャンル 推理小説(短編集)
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
形態 ハードカバー
ページ数 256ページ(原著初版、ハードカバー)
前作 邪悪の家
次作 エッジウェア卿の死
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火曜クラブ』(かようクラブ、原題:The Thirteen Problems, 米題:The Tuesday Club Mystery)は、1932年に刊行されたアガサ・クリスティの短編集。クリスティの4作目の短編集であり、ミス・マープルの初登場作「火曜クラブ」を含むマープルものの短編推理小説13編が収録されている。

イギリスのペンギンブック版 "Miss Marple and the Thirteen Problems" によった訳題『ミス・マープルと13の謎』(創元推理文庫)もある。

概要

1927年に雑誌『スケッチ誌』に短編「火曜クラブ」を皮切りに連載されたマープルもの短編12編に、オリジナルの1篇が加筆され刊行された短編集である。マープルの初登場作品を含むが、短編集として刊行された2年前の1930年に長編『牧師館の殺人』が刊行されたため、本作は初登場作品と見なされないことが多い。

本作は後述する3つの場面より構成されるが、最後の「溺死」以外は6名の登場人物が各々が真実を知る迷宮入り事件(ないし、それに類するもの)を話し、残りのメンバーがそれを推理するが、結局全てマープルだけが解いてしまうという展開である。ただし、マープルが話す事件は誰にも解けず、「バンガロー事件」は会の最中に推理が披露されない。

「火曜クラブ」から「聖ペテロの指のあと」まで
マープルの甥レイモンド・ウェストが彼女の家を借りて主催する火曜クラブが舞台。
「青いゼラニウム」から「バンガロー事件」まで
火曜クラブのメンバーであるサー・ヘンリーによってマープルが客として招かれたバントリー夫妻の晩餐会が舞台。
「溺死」
唯一の進行形の事件。短編集刊行の際に加えられた作品。

また、その形式と知名度から安楽椅子探偵作品の代表作にも挙げられる。

登場人物

共通の登場人物

ミス・マープル
主人公の老嬢。参加者の話す迷宮入り事件を次々と解く。詳細はミス・マープルを参照。
ヘンリー・クリザリング
元スコットランドヤード警視総監。作中ではもっぱらサー・ヘンリーと呼ばれている。

火曜ナイトクラブ

レイモンド・ウェスト
マープルの甥。作家。火曜ナイトクラブの発案者。
ペンダー博士
教区の老牧師。
ジョイス・ランプリエール
女流画家。
ペサリック
弁護士。

バントリー夫妻の晩餐会

アーサー・バントリー
退役軍人(大佐)。サー・ヘンリーの友人。妻と共に長編『書斎の死体』の登場人物でもある。
ドリー・バントリー
アーサーの妻。ミセス・バントリー。
ロイド
初老の医者。セント・メアリ・ミードで唯一の医者で、マープルの主治医でもある。
ジェーン・ヘリア
人気女優。美しく気立てもいいが「頭の中身は空っぽ」と評されている。

収録作品

火曜クラブ(火曜ナイトクラブ) - The Tuesday Night Club
サー・ヘンリーの話。夫妻とコンパニオンの3人が夕食後に苦しみだし、妻はそのまま帰らぬ人に。当初、食中毒事件と思われていたが妻の体内からは砒素が検出される。
アスタルテの祠(アスターテの祠) - The Idol House of Astarte
ペンダー博士の話。不吉な噂を付き纏う屋敷を買った男。招待された従兄が、いわく付きのアスタルテの祠で皆を前に刺殺される。
金塊事件(金塊) - Ingots of Gold
レイモンドの話。レイモンドはコーンウォールの海岸に金塊を積んだ沈没船が眠っていると聞き、そこに向かう。
舗道の血痕(血に染まった敷石) - The Bloodstained Pavement
ジョイスの話。コーンウォールの漁村に滞在していたジョイスは白い敷石の舗道に点々とした赤い血が付いていることに気づく。そして、村の浜辺で殺人事件が起きる。
動機対機会 - Motive v Opportunity
ペサリックの話。金庫で厳重に預かっていた遺言状が白紙に変わっていた。すりかえる動機がある者には機会が無く、機会がある者には動機が無い。
聖ペテロの指のあと(聖ペテロの指の跡) - The Thumb Mark of St Peter
マープルの話。マープルの姪に夫殺しの噂がたった。マープルは姪の名誉を守るため、真相を調べる。
青いゼラニウム(青いジェラニウム) - The Blue Geranium
バントリー大佐の話。大佐の友人の妻は心霊術師に死を予言されていた。そして満月の夜、予言通りに死んだ彼女の部屋の壁紙のゼラニウムは一輪だけ青く変わっていた。
二人の老嬢(お相手役) - The Companion
ロイド医師の話。海外保養地で資産家とその話し相手というよく似た2人の老嬢を見かける。そして海水浴中に片方が溺死するが、死んだのは話し相手の方だった。
四人の容疑者 - The Four Suspects
サー・ヘンリーの話。ローゼン博士はある犯罪組織に潜入して潰したが、それによって報復を受け殺された。容疑者は同居していた4人に絞られたが、どうやって外部から指令を受けたのかという謎が残っていた。
クリスマスの悲劇 - A Christmas Tragedy
マープルの話。クリスマスに水治療院を訪れたマープルは、そこで見かけた夫妻を観察して夫が妻を殺すと予見する。そして、予想通りに妻が殺されるが、夫にはアリバイがあった。
毒草(死の草) - The Herb of Death
ミセス・バントリーの話。ある資産家の食卓で食中毒が起こり、女の子が一人死亡する。原因は、食材に紛れ込んだジギタリスの葉だと判明する。
バンガロー事件 - The Affair at the Bungalow
ジェーンの話。彼女が地方巡業していた頃、手紙を貰ったと名乗る青年が現われる。
溺死 - Death by Drowning
唯一進行形の話。ある身重の娘が溺死体で発見され自殺と思われたが、マープルはヘンリーの下に赴き、これは殺人事件であると述べる。

映像化

アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』において「金塊事件」、「青いゼラニウム」、「動機対機会」がそれぞれ第14話「金塊事件」、第15話「青いゼラニウム」、第27話「動機と機会」としてアニメ化された。