焼売
焼売 | |||||||||||
繁体字 | 燒賣 | ||||||||||
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簡体字 | 烧卖 | ||||||||||
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焼売(しゅうまい、広東語: シウマイ)は、豚の挽肉を小麦粉の皮で包み蒸し調理した中華料理の点心と日本では認識されている。後述のように豚肉以外の肉を使うこともあり(肉類を使わないものもある)、皮も小麦粉以外のこともあれば皮を用いない焼売もあり、明確な定義は存在していない[1]。
名称
江蘇省、浙江省、安徽省、広東省などでは「焼売」と呼ばれ、北京などでは「焼麦」と呼ばれる[2]。「焼売」と「焼麦」は同音である[2]。
焼売の語が確認できる最古の史料は14世紀元朝時代の高麗で発刊された『朴事通』で、そこには元の大都で「素酸馅稍麦」を販売する店があったことが記されている[2][3]。「稍麦」も「焼売」と同音である。ここで記載されている「稍麦」は薄切り肉とひき肉を小麦の麺で包んで蒸しあげた料理であった[3]。
清代の『證俗文』(郝懿行著)巻一には「ザクロの花の形状をした外皮が非常に薄い肉の詰め物」として「焼麦」の記載がある[3]。
明代の長編小説『金瓶梅』四十二回には「桃花焼売」を登場人物が食する描写があり、18世紀の中国清代中期に成立した白話小説『儒林外史』の第10章にも餃子と共に猪肉(豚肉)を用いた焼売を登場人物が食する描写がある[3]。
清6代乾隆帝が揚子江の南へ行った際に食したメニューの中には「小売」という「豚肉とホウレンソウの詰め物」が何度も出てきている[3]。
中華人民共和国の広州や香港では広東語で「シウマイ」と発音されている。日本語は広東語の発音を外来語として取り入れている。標準中国語(普通話)では「シャオマイ」と発音し、同音の「燒麥(簡体字: 烧麦)」の字を当てる場合がある。
中国の北方では「燒麥」と表記し、南方では「焼売」と表記する[4]。用いる食材も、北方は羊肉、ネギ、大根が用いられるのに対し、南方では豚肉やもち米が用いられる[4]。
調理法
蒸すことが多いが、鉄板で加熱する「焼き焼売」、油で揚げる「揚げ焼売」、スープに入れる「水焼売」などもある[5]。これらと区別するために「蒸し焼売」と呼ぶこともある[5]。
日本ではおでん種として煮込みに使われることもあり[6]、コンビニエンスストアで販売されているおでんには焼売を練り物で巻いた「シュウマイ巻」を販売しているところもある[7]。
各地の焼売
17世紀末、清朝初期に現在の中国内モンゴル自治区西方で誕生したと考えられている[4]。それが瀋陽、北京、天津へと広がり、さらに浙江、江蘇、広東と南方へと広まっていった[4]。
瀋陽市には1796年の清朝時代に創業と言われる焼売屋があり、初代・馬春は一輪車で牛肉と羊肉を用いた焼売(焼麦)を販売して人気を博していたと言われる[4]。
香港では「干蒸燒賣(コーンチェンシーウマーイ、粤拼: gon1 zing1 siu1 maai6)」という呼び方も一般的である。
豚の挽肉と白菜などの野菜を主体とし、練り合わせて味付けした餡を中身にし、薄い小麦粉の皮で短い円柱状に包み、蒸籠や蒸し器などで蒸かして仕上げる。好みで酢・醤油・辛子など調味料をつけて食べる。なお、中身にエビ、カニ肉や牛肉を加えたり、包む皮の代わりにもち米をまぶすなどのバリエーションもある。
同じ点心の一つとして扱われる餃子との違いは、皮が薄い四角形(丸い皮もある)で、中に澱粉がやや多く配合されていること、必ず最初は蒸して調理すること、塩味などの味付けが強めで調味料で味付けせずに食べることもできるという点などが挙げられる。中国では蟹みそを付けたり、何も付けない例が多い。
北京風の「燒麥」は皮の大きさが大きめで、中の具よりもはみ出た感じの形の物が多く、中身ももち米を入れている場合が多い。
上海には「香港式焼売・広東式焼売」と呼ばれるものがあるが、切った細巻きのように見える焼売の具を使用した蒸し料理である。
中国南部ではもち米を具材に用いることが多く、もち米を焼売に必須と考える人もいる[3]。
日本のシュウマイ
日本では横浜市伊勢佐木町の「博雅亭」が1899年に初めて焼売を製造販売したとされている[8]。1908年に崎陽軒が開業し、駅弁「シウマイ弁当」を販売するなど、焼売の知名度向上に寄与する。
『主婦之友』(主婦之友社)1938年新年号の付録「冬の和洋料理千種の作方」には餃子、焼売のレシピが掲載されている[9]。その中で「変わりシューマイ」とされているものは餃子の餡のレシピに片栗粉を加えたもので、皮の包みかたも餃子状であり、蒸し餃子と呼べるものとなっている[9]。また、「即席シウマイ」というレシピでは皮を用いず、団子状にした餡にメリケン粉を厚めにまぶして蒸し上げる料理である[9]。こういった皮を用いない「即席シウマイ」のレシピは1965年頃(昭和40年代)までの料理本にはよく掲載されていた[9]。
昭和30年代に、学校給食用としてシュウマイが提供されるようになった際に、ショートケーキに載せるイチゴをイメージして、彩りとして頭頂部にグリーンピースが載せられるようになった[10]。しかし、時代とともに販売されるシュウマイの種類が増えていき、認知度が高まると、グリーンピースを載せる必要性がなくなり、グリーンピースを載せたシュウマイは減っていった[10]。2018年7月27日に放送されたテレビ番組「タモリ倶楽部」では、当時発売されていた冷凍シュウマイ7種においてグリーンピースが載っているかどうかを調査したところ、全ての冷凍シュウマイでグリーンピースが載っていないという結果になった[11]。もっとも、崎陽軒のように具に混ぜてしまうもののグリーンピースを入れる店舗も健在であり、全く姿を消したわけではない[12]。
焼売の調理法としては、蒸して仕上げるほかに油で揚げる「揚げ焼売」、餃子と同様に焼いて食べる、おでんの種や鍋料理の具など煮物に使用する事もある。餃子同様にチルド製品や冷凍製品、または調理済みのものを店で購入することもよく行われている。
総務省統計局の2015年 - 2017年「家計調査年報」では、家計における焼売への支出金額は都道府県庁所在市及び政令指定都市の中で神奈川県横浜市が首位である[13]。
佐賀県唐津市の呼子町では、特産品のイカを使った「いかしゅうまい」が人気となっており[14]、全国区に広がっている[15]。栃木県足利市には肉の入っていない「足利シュウマイ」がご当地グルメとして存在する[15][16]。同県鹿沼市では、崎陽軒の初代社長の出身地であることにちなんで、「シューマイのまち」を目指す動きがある[17][18][19]。
出典
- ^ シュウマイ潤 (2018年5月16日). “シュウマイ潤の焼売探訪。「焼売」の“プロレス”的魅力を体感できる『野田焼売店』の魅力とは?”. 食楽web. 2022年6月30日閲覧。
- ^ a b c 瑞真 (2017年6月13日). “绝处逢生时的意外发明—烧卖” (中国語). 大紀元時報. 2022年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e f 西坡 (2020年4月25日). “烧卖” (中国語). 新民晩報. 2022年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e 国立民族学博物館 (2015年10月14日). “嗜好に応じ進化する庶民の食” (PDF). 京都新聞. 2022年6月29日閲覧。
- ^ a b 「焼売はごちそうだ!」『ELLE gourmet』No.25 【日文版】、ハースト婦人画報社、2021年、115頁。
- ^ “変わりおでん”. アサヒビール. 2022年7月1日閲覧。
- ^ 「ファミリーマート 人気のおでんBEST5」『第三文明』2018年11月号、第三文明社、2018年。
- ^ ““元祖”は崎陽軒ではなかった!? 焼売の奥深き世界”. AERA dot. (2015年4月1日). 2022年6月29日閲覧。
- ^ a b c d 魚柄仁之助『国民食の履歴書 カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが』青弓社、2020年、130-132頁。ISBN 978-4787220875。
- ^ a b “シュウマイからグリーンピースが消えたのはなぜ?”. エキサイトニュース (2017年5月29日). 2018年8月19日閲覧。
- ^ “冷凍シュウマイから消えつつあるグリーンピース「タモリ倶楽部」で話題に”. livedoor ニュース (2018年7月28日). 2018年8月19日閲覧。
- ^ “タモリ倶楽部「シュウマイのグリーンピース」が話題”. ナリナリドットコム (2018年7月28日). 2018年8月31日閲覧。
- ^ “家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(平成27年(2015年)~29年(2017年)平均)”. 総務省統計局. 2018年8月30日閲覧。
- ^ “佐賀県のいかしゅうまい”. 旅ぐるたび. 2018年8月19日閲覧。
- ^ a b “ブーム到来? 常識外れの「ご当地焼売」に注目せよ!!”. AERA dot.. 朝日新聞社 (2015年5月26日). 2018年8月30日閲覧。
- ^ “県南編(1)シューマイ 肉なしでモチッ”. YOMIURI ONLINE. 読売新聞社 (2014年2月3日). 2018年8月30日閲覧。
- ^ “鹿沼 シューマイのまちへ 崎陽軒の初代社長、市出身 商議所中心に3者連携”. 下野新聞 (2020年10月15日). 2021年1月1日閲覧。
- ^ “認知ゼロなのに?シューマイまちおこしのワケ”. 日テレNEWS24. 日本テレビ放送網 (2020年10月23日). 2021年1月1日閲覧。
- ^ “鹿沼 シューマイの街に”. 読売新聞 (2020年12月6日). 2021年1月1日閲覧。