塩味

塩味(しおみ[1]・えんみ[1]・しおあじ[1]、英: saltiness)は味覚の一つ。鹹味(かんみ)[2]。
味物質[編集]
塩味の代表的な味物質は塩化ナトリウムで、塩化ナトリウムが主成分の調味料が食塩である。ヒトは塩味をナトリウムイオンによって感じ、陰イオンが塩化物イオンのとき、つまり食塩の時に一番強く感じる。塩味の味覚受容機構は、大まかにナトリウムイオンが味細胞内に直接流入し、脱分極させることである[要出典]。しかしながら、この機構にはまだ不明な点が存在している。味覚テストによると塩味と他の味覚物質は独立ではなく、混合によって塩味が弱められたり、他の味を強めたりする[3]:4。
塩化カリウムも塩味がする物質だが、その味は「後味が悪い」と表現される[3]:6。減塩調味料(ナトリウムを減しつつ塩味はさせる)として食塩に塩化カリウムを加えた製品では、塩化カリウムの味の悪さが問題となる。その改善策として、香料の添加、各種アミノ酸やペプチドの添加、などの手法が開発されている[3]。
他にも塩化アンモニウムや酢酸ナトリウムが食品で使用されている。
塩味表現[編集]
塩味が強いことを、「塩辛い」[4]あるいは単に「辛い」[5]とも表現する。現代方言では、関西などで「辛い」、東日本では「しょっぱい」と言う[6]。古くは、「鹹し」(しほはゆし、しわはゆし)と表現した[7]。口語では、富山県、特に魚津市は「塩っ辛い(しょっからい)」と言う。
東日本での表現における「辛い」は、西日本では「ピリ辛い」に対応する。
健康への影響[編集]
詳細は「塩#塩分の過剰摂取と摂取不足」を参照
過度の塩味をともなう食品の摂取は、消化器の粘膜等のタンパク質にダメージを与える。その習慣化により、味覚異常、高血圧、腎臓病、心臓病、がんなどのリスクが増える。
歴史[編集]
- 塩を料理に降りかけるのは、人類が発明した最初の味付け方法だと言われている[要出典]。
- 1961年 - 亀田製菓が塩味の米菓、サラダホープを発売。サラダ油を吹きつけて塩分を固定する手法を用いたことから、塩味をサラダ味と呼ぶ契機となった[8]。
脚注[編集]
- ^ a b c "塩味-448236". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2021年4月23日閲覧。
- ^ "鹹味-471522". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2023年5月6日閲覧。
- ^ a b c 石田, 賢吾「業界の動向 食塩の概要と減塩調味料」(pdf)『JAS情報』第47巻、日本農林規格協会、2012年、3–7頁、NAID 40019182411、 オリジナルの2020年7月19日時点におけるアーカイブ、2020年7月19日閲覧。 食塩の味覚テストの出典は「太田静行 減塩調味の知識 p34(幸書房)(1993)」としている。
- ^ "塩辛-72239". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2023年5月6日閲覧。 しお‐から・い 語義(1)
- ^ "辛・苛・鹹-2024597". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2023年5月6日閲覧。 語義一(2)
- ^ "塩ぱい-2044894". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2023年5月6日閲覧。 語誌(2)
- ^ "しわはゆい-2051710". 精選版 日本国語大辞典(小学館). コトバンクより2023年5月6日閲覧。
- ^ “おせんべいやスナック菓子の「サラダ味」 いったいどんな味?”. 朝日新聞DIGITAL (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
参考文献[編集]
- 『基礎歯科生理学』(医歯薬出版、2003年3月)ISBN 4263455606