ワンタン
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ワンタン | |
広東風のワンタン |

ワンタン(餛飩、簡体字中国語: 馄饨、広東と広西では雲呑、四川と重慶では抄手)は、中国南部の点心。中華料理の一つ。欧米では、中国のダンプリングと呼ぶことが多い。日本的に表現すれば、ひき肉入りの「すいとん」とも言える。
名称[編集]
標準的な中国語では餛飩と書き、「ホゥントゥン」のように発音する。しかし、日本語のワンタンの漢字表記のうち、雲呑という表記は広東語で用いられ、ワンタンという読み方も広東語によるもの。
福建省のアモイ周辺や台湾ではワンタンを扁食(ピェンスー)というが、山東省や山西省の一部で扁食の語は餃子を指す。逆に、広東省潮州では「餃」がワンタンを指し、魚のすり身を練り込んだ魚皮餃(潮州語: フープエギオウ)という、腰のあるワンタンも有名。福建省沙県の小振りな扁肉、福州のサツマイモでん粉と豚肉を練って皮を作る扁肉燕(福州語: ピエンニュッイエン)など、各地に変種も存在する。
四川、重慶では抄手(チャオショウ)と称し、ラー油や花椒の利いた辛い味のスープもしくは醤油味のスープと共に食べる事が多い。
インドネシア料理では扁食に由来するパンシット (pangsit) であり、ベトナム料理では南部でホアンタン (hoành thánh) 、北部でヴァンタン(vằn thắn)という。
作り・食べ方法[編集]
細かく刻んだ肉や魚介類、野菜などを混ぜた餡を、薄く伸ばした小麦粉の四角い皮で包み、いったん茹でてからスープに入れて供される。広東では鶏卵を配合し約8cm角の正方形に切った皮を使用し、上海など江南ではトルテッリーニのような形状に包むことがある。現在のワンタンに使われるスープはとろみのないものが多く、華南では鶏がらスープ、中国ハムのスープなどを基本にしている。華北では器に干しエビ、ネギ、塩、うま味調味料、醤油などを入れておき、そこに茹で汁とともにワンタンを入れる食べ方もされている。同じ小麦粉の食品である麺と組み合わせた雲吞麺は、広東で生まれた比較的新しい食べ方である。
歴史[編集]
ワンタンはもともと華北で生まれたが、しばらくは餃子と区別されていなかった。「渾沌」と書かれ、漢字の発達とともに「餛飩」という字になった(中国神話の渾沌と共通の語源から派生したという推測もある[1])。前漢の揚雄による『方言』には「餅謂之飩」とあり、スープに入れることから「湯餅」ともされた。しかし、現在のワンタンが形作られたのは南方においてであり、唐代になってから「餛飩」「餃子」の言葉が区別された。[要出典]
日本では、平安時代に編纂された漢和字典『新撰字鏡』に「餛飥」と記載されており、「こんとん」と読める音注と餅との説明がついている。餛飩は現代の呉語では「ウンドン」、陝西省の西安語では「ホエトエ」と発音するが、日本に伝来したワンタンがうどん[2]、ほうとう[3]、さらには大分県のほうちょう[4]や宮城県北地方のはっと[5]のルーツである可能性も指摘されている。
種類[編集]
- 瘦肉雲吞 豚肉と葱を具に用いた基本形。
- 鮮蝦雲吞 蝦と豚肉を具に用い、香港やマカオに多い。
- 菜肉餛飩 上海、蘇州、浙江などに多く、刻んだ白菜やナズナを入れた大ぶりのワンタン。
- 三鮮餛飥 無錫では豚肉、干し蝦、搾菜を具に用い、常州では豚肉、蝦、青魚を具に用いる。
- 紅油抄手 茹でたワンタンをラー油のたれにつけて食べる四川料理。
- 炸雲呑 揚げワンタン、ホイアンの名物。
- 太平燕(中国福州、台湾のもの)
日本[編集]
小麦粉にカンスイを入れ、薄く延ばした正方形[6]。身は少なく、基本は三角形に折って調理する[7][8]。ラーメンに入れるワンタン麺#日本やワンタンスープの具として使用され、揚げて食べる場合もあり、具を包んで揚げ餃子のように仕上げる場合もあれば、皮のみを揚げて(ナチョスのように)甘酢餡やソースをかける場合もある。ワンタン麺やワンタンスープは、エースコック「ワンタンメン」などカップ麺でも販売されている。商品の中には皮のみで具が入ってないものもある。
インスタント商品[編集]
インスタント商品としては、1963年8月にエースコックから袋麺の「即席ワンタンメン」が発売され、続いて1965年8月に日清食品から「ワンタンメン」が発売された。1972年11月に東洋水産からプラスチックのトレイに乾燥餃子を並べた「トレーワンタン」が発売され、その後もリニューアルが繰り返された。1996年に日清食品から「マグカップワンタンわかめしょうゆ味」が発売されると、ワンタンはカップスープの具材として多くの商品に見られるようになった。2001年、エースコックから「スープはるさめワンタン」が発売されると、ワンタンは消費者のヘルシー嗜好に乗って拡大したインスタント春雨の具材にもなっている。
また業務スーパーなどでは、冷凍ワンタンも売られている。創味シャンタン・味覇・香味ペーストなどで煮れば、簡単にワンタンスープが作れる。
脚注[編集]
- ^ Mair, Victor H. (1998). Wandering on the way: Early Daoist tales and parables of Chuang Tzu. p.386. New York: Bantam Books. ISBN 9780824820381.
- ^ 青木正児『饂飩の歴史』
- ^ -ほうとうの由来・自家製味噌- うどん・ほうとう 皆吉
- ^ (104)だんご汁【おおいた遺産】- 大分合同新聞
- ^ 法度(はっと)汁 郷土料理
- ^ ワンタンの皮
- ^ 東京ワンタン本舗
- ^ ワンタンの作り方 モランボン