バルキージョ

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バルキージョ
種類 ビスケット
発祥地 スペインの旗 スペイン
地域 マドリード
関連食文化 スペイン料理
提供時温度 常温
主な材料
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バルキージョスペイン語: Barquillo)は、スペインラテンアメリカフィリピンで親しまれているウエハース状の菓子[1]。中空の円筒形や円錐形に成形して作られている。スペインでは歴史的に赤いルーレット(ルールタ・デ・バルキーレロ)を持った道端の行商人によって販売されてきた。

バルキージョは砂糖と水の割合を変えることで味を変えることができる。一般的に水の量が多いほど薄くなり、砂糖の量が多いほど調理の自由度が高くなる。職人による円筒状のウエハースは、木の棒に巻き付けた生地を鉄板に押し付けて作る。どのような形状であっても、格子状のレリーフが印刷されていたり、平滑であったりする場合がある。バルキージョはプレーンで食べられてきた。しかし、現代では、バニラシナモンココナッツ、レモン汁などの材料で風味付けをしたり、ミルクチョコレートでコーティングすることもある。

名称[編集]

バルキージョはスペイン語で「小舟」を意味する[2]。このスナックの中国語名「蛋卷」は英語に直訳すると「egg roll」となっている。英語ではビスケットロールやエッグロールとして知られている。マカオでは「蛋卷」と呼ばれている。

概要[編集]

ポンフェラーダにあるバルキーレロであったペペ・コルテスの像

バルキージョの売り手はバルキーレロと呼ばれている。スペインのバルキージョの購入には通常、購入者がルーレットのお金を支払わなければならない。ルーレットがどこに表示されるかに応じて、買い手は同じ価格で1つ又は2つのバルキージョを手に入れることができる。フィリピンのイロイロ市で作られるバルキージョのバリエーションには、ウベ、パンダンの葉、ニンジンで味付けされたものがあり、それぞれ明るい紫色、緑色、オレンジ色がある[3]。ラテンアメリカではクバニートという名称で作られている[4]。香港でもエッグロールとしてバニラ風味に製造されている[5]

歴史[編集]

最初は修道院で聖餐の供物として作られてきたが、時代の変化と共に庶民へと伝わったとされる。実際に庶民に親しまれるようになったのは、9世紀に木炭オーブンで焼きながら、教会の前で販売していたことがきっかけとされる[6]。現在残っているバルキージョの道具は1440年頃のものと推定されている。道具にはアラゴン王国の紋章が刻まれていたため、フアン2世の治世下に王宮で使用されていた可能性があると見られる。スペイン帝国時代にはラテンアメリカフィリピンにも伝道された。

フランコ体制下のスペインではバルキージョの販売が制限され、衰退の危機に陥った[7]。現在は稀にバルキーレロがマドリードの祭りで販売している。

画像[編集]

出典[編集]

  1. ^ Cookie Roll”. biscuit people. 2024年3月25日閲覧。
  2. ^ マドリード/スペイン”. 世界触れ合い街歩き. NHK公式サイト. 2024年3月25日閲覧。
  3. ^ Barquillos: Choose your flavour and color”. Flavours of Iloilo. 2024年3月25日閲覧。
  4. ^ Cuchufli cookie from Chile”. Cookie Companion. 2019年1月31日閲覧。
  5. ^ Mijune (2010年5月30日). “Best Egg Rolls”. Follow Me Foodie. 2024年3月25日閲覧。
  6. ^ Historia del barquillo” (2008年12月28日). 2024年3月24日閲覧。
  7. ^ Barquilleros of Madrid”. Gastro Obscura. Atlas Obscura. 2019年1月31日閲覧。