普通話

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普通話
各種表記
繁体字 普通話
簡体字 普通话
拼音 Pǔtōnghuà
発音: プートンホワ
日本語読み: ふつうわ
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普通話(ふつうわ、拼音: Pǔtōnghuà、プートンホワ)は、中華人民共和国において公用語として定められた中国語標準中国語)。

概要[編集]

普通話の「普通」は「普遍的に通じる」を意味し、日本語の「普通」とはほぼ同じ意味である。中国国内では、漢民族以外の少数民族にも普通話を強制的に学ばせている。外国の視点からみると、「中国語」というのは一般的にこの普通話のことを指し、外国人向けの中国語教育も普通話を中心に教科書を編纂する。

ほかの国の標準語と違い、普通話は首都の北京語から改造したものではなく、中国北方に位置する灤平県の方言に基づいて改造してきたものである[1]灤平県方言は中国政府によって全中国に広まり、その方言の規範の下で作った書物も段々出版させ、最終的に現代中国の公用語になっている。

そのあと、中国政府は1950年代から1960年代までの十数年をかけて、普通話の文法を何度も修正しつつ、中国従来の難しい旧字体を放棄して欧米英語寄りの簡体字拼音(ピンイン)を導入しつつ、やっと現代社会に相応しいまとまった標準語を創り上げた[2][3][4]。こうして完全体になった普通話は中国唯一の標準語の地位に押し扱われ、厳格な法律で護られている。

2015年の時点で、中国国民のおよそ73%が普通話を使用することができ、2000年の53%から大幅に増加したことが報じられた[5]。2017年の時点で、都市部は90%を超えているが、農村地域で40%前後であった[6]。2020年時点では全国での普及率が80.72%、極度貧困地域では61.56%であった[7][8]

規定[編集]

文法[編集]

普通話の文法は古く、古代中国語つまり日本語でいうところの「漢文」に基づいて作られてきたものである。しかし、漢文全般を吸収したわけではなく、漢文の中の「白話文」という文法を中心に発展した。

白話文とは7~10世紀の唐王朝の漢詩用語として生まれ、10~13世紀宋王朝では宋詞に採用され、13~14世紀の元王朝では元曲にも採用された文法システムである。中国の文人たちは読者に理解しやすいように、自分の作品に使う言葉をできるだけ簡略化や明確化する方向に進化させていた。700年の時間をかけて、14世紀の明王朝の時にはやっと現代の中国人でも容易に分かる「白話文小説」が生まれ、その白話文の使用頻度は意味も混乱して大量の注釈が必要な古代漢文を一瞬にして超えた。17世紀の清王朝に入ると、同じ中国語でもあって白話文と古代漢文が自然に融合しつつ、百姓人民が話す「口語」と、古代漢文の美しさを取り入れた「書き言葉」、この二つの言語システムに分かれるようになった。

時は19世紀、清王朝の滅亡と共に中華民国が成立した。1910年以降の中国人は西洋と明治維新を遂げた日本に学び、従来の「言文分離」の書き言葉を完全に廃棄させて、白話文運動言文一致運動新文化運動の三つの運動を展開し、白話文の中の口語を全中国の標準語とした。現代中国の普通話は、その時に生み出された文法を中心にして、西洋、特に英語の文法も参考にして標準文法規則を作成した。

発音[編集]

日本の教科書やメディアでは「普通話が北京語の音に基づいて創られた」というイメージが強いが、実際は普通話は中国北方の河北省承徳市灤平県の発音に一番近く、いまの北京市民が用いる発音とはやや異なっている[9][10][11][12]

清王朝は利便性のため、全国各地の官吏を同じ言語で話させ、こうして作られたのが北京官話であった。清国が中華民国になると、五四運動や国語運動などの庶民革命が起こり、北京官話や北京市民が話している言葉に基づいて創った「京音」が中華民国の通用語になった。

この京音は、中国共産党の中華人民共和国(つまり現代の中国)では、北京市以外の地域ではほとんど消え去り、中国政府が決めた「普通話」がそれに代わって中国全土の標準語になった。逆に台湾(現代の中華民国)では今だに「京音」が標準語とされ、「中華民国国語」という名前で受け継がれている。台湾の中華民国国語は中国の普通話とまったく同じところもあるが、繁体字注音符号・一部の発音など様々な面で中国と大きく異なる。台湾民主化以降、台湾政府は台湾島の風土習慣に合わせて本来の中華民国国語を改造し、台湾人寄りの「台湾国語」を誕生させ、中国の普通話からはさらに離れつつある。

語彙[編集]

普通話は河北省の方言を標準語彙としていて、北京語ではないとはいえ、全中国においては一番北京の語彙に近い。また、灤平県方言の発音や語順は北京語よりもずっと簡単明瞭であるため、北京の官僚・学者たちはあまり抵抗感がなく、順従に普通話を受け入れた。その簡単さから、普通話の使用地域は間もなく北京と河北省を超え、急速に東北華北西北西南江淮など、漢民族が住んでいる地域に浸透していた。浸透する過程の中、中国北方の言い方が全て採用されたわけではなく、中国南方でもっと優雅な言い方があったら遠慮なく取り込み、ついに今日の普通話になった。

歴史[編集]

前史[編集]

中国の歴代王朝においては、古くから政治的に何らかの共通語が設けられていたと考えられている。春秋時代、『論語』には孔子が『詩経』や『書経』を読んだり、儀礼を行ったりする際に「雅言」を使ったと書かれており、これは統治階層が使っていた共通語ではないかと考えられている。漢代揚雄方言語彙を記録した書物『方言』には、「通語」という言葉が現れている。モンゴル族に支配された元代には「天下通語」と呼ばれる共通語があったとされる。時代には官話と呼ばれる官吏の使う共通語があったことが知られており、明末に訪れた宣教師は官吏(マンダリン)の言語と呼んだ。明代から清初にかけては南京音を標準音とした南京官話であったと考えられており、満洲民族によって支配された清代になると徐々に首都北京の音を基準とした北京官話が有力になっていった。

中華民国成立と前後して、官話の名称は国語と改められた。日本に潜伏した清国維新派の王照中国語版が日本のカタカナを参考に1900年に「官話合聲字母」を発表し、それをベースに国が漢字の読みを統一する国音(標準音)の検討を通じて注音符号が採用された。国音のつづり方は激論の末、各地の発音を折衷したものとなった。新文化運動の時代には言文一致運動にあたる白話文運動が起こり、それまで古典に対する教養を前提とした統治階層の書き言葉である文言文を廃止し、一般民衆が話す言葉に根付いた書き言葉である白話文を使うことが提唱された。紆余曲折を経て、最終的に北京語音が国音となった。

普通話の歴史[編集]

「普通話」という言葉を初めて使ったのは朱文熊中国語版英語版とされる。朱文熊は1906年、『江蘇新字母』において中国語文言・普通話・俗語に3分類した。

中華人民共和国成立後の1955年10月共産党と人民政府は全国文字改革会議と現代漢語規範問題学術会議を招集し、そこで現代漢民族の共通語の名称「普通話」とその内容が確定された。これを受けて教育部は11月、「中学・小学および各級師範学校において大いに普通話を推し広めることに関する指示」を発表した。翌1956年国務院が「普通話を推し広めることに関する指示」を頒布して、普通話の名称と内容を法律として定め、同年5月、「各省(市)教育庁(局)において普通話推広処(科)を設立することに関する通知」を発表した。1957年には教育部が「継続して普通話を推し広めることに関する指示」を発表し、1960年には中国人民解放軍総政治部が「全軍において拼音字母を学び普通話を推し広めることに関する指示」を発表し、教育機関や軍隊において普通話を使うことが推奨された。

その後、文化大革命により普通話政策は一旦頓挫することになるが、文化大革命終結後、再開され、1982年11月には第5期全国人民代表大会第5次会議を通過した中華人民共和国憲法第19条に「国家は全国で通用する普通話を推し広める」ことが規定され、普通話の公用語としての地位が確立された。

音韻体系[編集]

普通話の音韻体系では、21の子音と10の母音音素として立てられている。中国語音節構造は(子音C) + (母音M) + 母音V + (子音C/母音V) / 声調T、すなわち(C)(M)V(C/V)/T である。伝統的な中国音韻学では、先頭部分のCを声母、M以下の部分を韻母に2分し、それに声調を加えて分析している。普通話では21の声母と39の韻母があり、声調では4種の調類がある。

普通話の音節には入声が存在せず、日本語において「っ」で表す促音に相当する発音がない。

中国語は主として漢字で表記するが、音素を表記するために拼音と呼ばれるローマ字が使われる。これに声調記号を組み合わせることで発音を表現する。

声母[編集]

声母とは中国語音節構造上、頭子音にあたるものをいう。普通話では21の声母が設けられている。この他に頭子音として半母音[w, j, ɥ]が存在し、wとyで表記されるが、伝統的にこれらは韻母に分類される。

  歯茎 反り舌 歯茎硬口蓋 軟口蓋
破裂音 無声無気音 b [p] d [t]     g [k]
無声有気音 p [] t []     k []
鼻音 m [m] n [n]      
破擦音 無声無気音   z [t͡s] zh [ʈ͡ʂ] j [t͡ɕ]2  
無声有気音   c [t͡sʰ] ch [ʈ͡ʂʰ] q [t͡ɕʰ]2  
摩擦音 f [f] s [s] sh [ʂ] x [ɕ]2 h [x]
側面接近音   l [l] r [ɻ~ʐ]1    
声母の順序は、  b p m f   d t n l   g k h   j q x   zh ch sh r   z c s  である。

漢字に添えてその発音を示すときは、綴りを短くするため、zh, ch, sh をẑ, ĉ, ŝと省略することができることになっているが、現実の使用例はほとんどない。

1 r を有声そり舌摩擦音 [ʐ] と分析することもあるが、無声・有声の対立が他に無いこと、および実際の発音で摩擦が必須ではないことから、そり舌接近音 [ɻ] と見なしている。
2 j, q, x ([t͡ɕ, t͡ɕʰ, ɕ]) の三者は独立の音素ではなく、z, c, s ([t͡s, t͡sʰ, s])、zh, ch, sh ([ʈ͡ʂ, ʈ͡ʂʰ, ʂ])、g, k, h ([k, kʰ, x]) のいずれかの三者の異音と見なされる。一般には、g, k, h の異音と見なすのが好まれる。この組が b, p, f および d, t, l の各組と並列になるためである。普通話の点字はそのようになっており、拼音の j, q, x の点字はそれぞれ g, k, h の点字と同じである。

韻母[編集]

韻母とは、中国語の音節構造上、頭子音を除いた残りの部分をいう。介音、主母音、尾音からなる。介音は半母音/-i-/, /-u-/, /-y-/ のいずれか、尾音は半母音の /-i/, /-u/ および鼻音の /-n/, /-ŋ/ のいずれかである。普通話の韻母の重要な特徴は、主母音の /a//ə/ の対立である。

主母音 尾音 介音
Ø /i/ /u/ /y/
/a/ Ø [a]
a
[ia]
ya
[ua]
wa
 
/i/ [ai]
ai
  [uai]
wai
 
/u/ [au]
ao
[iau]
yao
   
/n/ [an]
an
[iɛn]
yan
[uan]
wan
[yɛn]
yuan
/ŋ/ [aŋ]
ang
[iaŋ]
yang
[uaŋ]
wang
 
/ə/ Ø [ɤ]
e
[ie]
ye
[uo]
wo 1
[ye]
yue
/i/ [ei]
ei
  [uei]
wei
 
/u/ [ou]
ou
[iou]
you
   
/n/ [ən]
en
[in]
yin
[uən]
wen
[yn]
yun
/ŋ/ [əŋ]
eng
[iŋ]
ying
[uəŋ, ʊŋ]
weng, ong 2
[iʊŋ]
yong
Ø [ʐ̩], [z̩]
-i
[i]
yi
[u]
wu
[y]
yu

1 拼音では b, p, m, f のあとに o を用いるが、これは他の頭子音のあとの uo と同じである。
2 /uəŋ/ は頭子音があると [ʊŋ] に変わり、拼音も weng から -ong になる。 r化した韻母を以下に示す。

主母音 尾音
(r化)
介音
Ø /i/ /u/ /y/
/a/ Ø [aɚ] [iaɚ] [uaɚ]  
/i/ [aɚ]   [uaɚ]  
/u/ [au˞] [iau˞]    
/n/ [aɚ] [iɐɚ] [uaɚ] [yɐɚ]
/ŋ/ [ãɚ̃] [iãɚ̃] [uãɚ̃]  
/ə/ Ø [ɤ˞] [iɚ] [uo˞] [yɚ]
/i/ [ɚ]   [uɚ]  
/u/ [ou˞] [iou˞]    
/n/ [ɚ] [iɚ] [uɚ] [yɚ]
/ŋ/ [ɚ̃] [iɚ̃] [uɚ̃, ʊ̃˞] [iʊ̃˞]
Ø [ʐɚ], [zɚ] [iɚ] [u˞] [yɚ]

r化は /-i/ および /-n/ を単に削除し、/-ŋ/ を削除して主母音を鼻母音化する。

以下に伝統的な分析を示す。普通話の韻母の種類には単母音で構成される単韻母二重母音・三重母音で構成される複韻母、音節末子音が鼻音で構成される鼻韻母がある。いくつかの方言に見られる破裂韻母(入声)は普通話には存在しない。複韻母についてa, e, o から始まる下降二重母音の韻母を前響複韻母、i, u, ü から始まる上昇二重母音の韻母を後響複韻母三重母音の韻母を中響複韻母という。韻母は発音開始時の口の開き方から四呼の4種に分類される。

開口呼 斉歯呼 合口呼 撮口呼
開韻尾 a [a] ia [ia] ua [ua]
e [ɤ] ie [ie] uo [uo] üe4 [ye]
-i [ʐ̩], [z̩] i [i] u [u] ü4 [y]
母音韻尾 ai [ai] uai [uai]
ei [ei] uei3 [uei]
ao [au] iao [iau]
ou [ou] iou3 [iou]
er [aɚ]
鼻音韻尾 an [an] ian [iɛn] uan [uan] üan4 [yɛn]
en [ən] in [in] uen3 [uən] ün4 [yn]
ang [aŋ] iang [iaŋ] uang [uaŋ]
eng [əŋ] ing [iŋ] ueng [uəŋ]
ong [ʊŋ] iong [iʊŋ]

3 声母と結合する場合は、主母音を省略して、uei → ui, iou → iu, uen → un と表記する。
4 ü は、j, q, x の後では u と表記する。

通常全ての母音は口母音で発音されるが、[ŋ] で終わる音節の母音は、儿化しなくても鼻母音で発音されることが多い。

韻母はさらに韻頭・韻腹・韻尾の三つの部分に分けて分析される。韻頭は上昇二重母音の始めの音色である狭母音あるいは半母音を表し、介音と呼ばれる。韻腹は単母音あるいは二重母音・三重母音中、最も際だった音色の母音を表し、主母音と呼ばれる。韻尾は下降二重母音の終わりの音色である狭母音であるか音節末の鼻音子音を表し、尾音と呼ばれる。拼音による音声表記はこの3分法に対応している。

例字 声母 韻母
韻頭 韻腹 韻尾
介音 主母音 尾音
母音 子音
m a
t i ê
b a o
g e n
u a ng
sh u e i
ü a n
er

声調[編集]

普通話の四声

中国語は音節内の音高の違いによって意味を弁別する言語であり、この音節内の音高パターンを声調という。声調の種類のことを調類といい、普通話には陰平陽平上声去声の4種の調類が設けられている。これを四声ということがある。古代中国語に平声・上声・去声・入声と呼ばれる四声があったが、北京官話では平声が二つに分かれて陰平と陽平になり、普通話策定のときに入声復活採用案は否決され、削除されて今日にいたっている。

調類 声調パターン 声調値 例字 拼音 国際音声記号
陰平(第1声) 高平調 55 [t͡su˥]
陽平(第2声) 高昇調 35 bái [pai˧˥]
上声(第3声) 降昇調 214 shuǐ [ʂuei˨˩˦]
去声(第4声) 下降調 51 [t͡ɕy˥˩]

声調は音の高さだけでなく、音の長さにも関わっている。普通話の四声では上声が最も長く、その次に陽平、陰平、去声の順で短くなる。このため声調によって音が変化する場合があり、例えば、韻母ueiの主母音は上声でははっきりと発音されるが、他の声調ではあいまいであったり、省略されたりする。

連音変化[編集]

音節音節が結合し、語や文が作られる過程の中で音の変化が起こることがある。代表的な音変化に以下のようなものがある。

軽声[編集]

軽声とは、単語や文のなかで音節が本来の声調を失うことをいうが、声調が音の高さによって特徴づけられるとすれば、軽声は音の強さによって特徴づけられ、短く弱い調子で発音される。その音の高さは、その音節本来の声調とまったく無関係に、前の音節の声調によって決められる。

調類 声調値 拼音
陰平(第1声) + 軽声 2 桌子 zhuōzi
陽平(第2声) + 軽声 3 牌子 páizi
上声(第3声) + 軽声 4 椅子 yǐzi
去声(第4声) + 軽声 1 帽子 màozi

声母無気破裂音破擦音は軽声では有声音化しやすい。

  • b[p][b]
  • d[t][d]
  • g[k][g]
  • j[ʨ][ʥ]
  • z[ʦ][ʣ]
  • zh[ʈʂ][ɖʐ]

韻母の主母音は中央寄りとなり、あいまい母音化する。例えば、「爸爸」は[pa51pa51]から[pa51bə1]となる。

変調[編集]

変調とは、後の音節がもつ声調との関係や文法的機能により声調が変化することをいう。

上声 + 上声
上声が連続する場合、前の上声は声調値が35、つまり陽平になる。
上声 + 上声以外
この場合、上声は低くなったまま高く成らず、声調値が211となる。これを半上と呼ぶことがある。
上声 + 軽声
これも半上211となることが多い。ただし、本来上声であった軽声の場合は陽平35で発音する場合と半上211で発音する場合の2通りがある。例えば、哪里(どこ)は陽平で発音され、姐姐は半上で発音される。
上声が三つ連続する場合
言葉の構造により、変調の状況も異なる。例えば、「冷水澡 lěngshuǐ zǎo」のような「2音節の言葉(冷水、冷たい水)+1音節の言葉(、シャワー)」の構造なら、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。逆の場合なら(例えば、「母老虎 mǔ lǎohǔ」、「1音節の言葉(、メス)+2音節の言葉(老虎、トラ)」)、二つ目の上声だけは陽平35で発音する。
上声が三つ以上連続する場合
話すときの速さによって異なる。簡単に言えば、最も早い場合、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。
去声 + 去声
去声が連続する場合、前の去声は低くなりきらず、声調値53となる。これを半去と呼ぶことがある。

以上のような普遍的な変調の他に、特殊な語や品詞において起こる変調がある。

不 bù
「不」は通常、去声51で発音するが、去声が続く場合には陽平35で発音される。補語を表す接中辞や反復疑問文といった文法的機能を表す場合には軽声となる。
一 yī
「一」は本来、陰平55であり、単独で発音される場合や語末で発音される場合、序数を表す場合には変調しない。しかし、後ろに去声が続く場合には陽平35で発音され、去声以外の声調が続く場合には去声51で発音される。動詞を重畳するとき、間に入れられる「一」は軽声で発音される。
七 qī・八 bā
「七」「八」は次に去声が続く場合、陽平35で発音してもよいし、本来の陰平55で発音してもよい。
形容詞
重畳で構成される形容詞の後半部分はもとの声調がなんであるかに関係なく、すべて陰平55で発音される。例えば、「好好儿的 hǎohāorde」、「漂漂亮亮 piàopiaoliāngliāng」、「暖洋洋 nuǎnyāngyāng」など。

r化[編集]

r化(アル化、児化)とは語が接尾辞-r(漢字ではで表記する)を伴う場合、韻母母音を調音する際に舌先が持ち上げられ、r音性母音となることをいう。r化に伴い従来の音節構造に変化が起こるものがある。

  • 複韻母のうち、韻尾が i [ɪ]であるものは i が脱落する。
  • 鼻韻母の鼻音韻尾は脱落する。ただし、韻尾がng[ŋ]であったものは母音が鼻母音として現れる。
  • 単韻母のうち、iまたはüで構成される音節はそのあとに[ɚ]が加えられ、二重母音化する。これはnを脱落させたin・ünにも当てはまる。
  • zi・ci・si、zhi・chi・shi・riは声母[ɚ]が加えられた音節に変化する。
  • 明代北方方言を中心に児化が現れた。これはアルタイ語からの影響でなく、北方方言自らの音韻変化である。

台湾の標準中国語[編集]

少数民族に対する強要政策[編集]

国際人権規約少数民族が独自の言語を使う権利は「少数民族の文化宗教、言語を「否定されない権利」」と明記して保障されているが、習近平政権は少数民族による分離独立運動への警戒から統制と標準語教育を強めている。それにより中華民族としての意識を高め、中国共産党一党支配をさらに強固にしようとしているとされる[13]

新疆ウイグル自治区
アメリカ政府は、中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族弾圧を、国際条約上の「ジェノサイド」に認定した[14]ウイグル族を収容している収容施設では、共産党自治区の治安部トップによる「中国標準語への矯正学習を最優先せよ」という指示のもと少数民族に対する再教育洗脳が行われている[15]。2017年以後、モンゴル語の授業が減り、標準中国語による教育が強化。モンゴル族向けの学校では「国語」教科書が標準語版に変わり、「道徳」と「歴史」も順次切り替えられる。住民らが「民族文化の危機」を訴え、授業のボイコットデモなどの抗議活動が起こるが、中国公安は抗議に関わった保護者らを拘束した[13]
内モンゴル自治区
2017年以後、モンゴル語の授業が減り、標準中国語による教育が強化。モンゴル族向けの学校では「国語」教科書が標準語版に変わり、「道徳」と「歴史」も順次切り替えられる。住民らが「民族文化の危機」を訴え、授業のボイコットデモなどの抗議活動が起こるが、中国公安は抗議に関わった保護者ら拘束した[13]。2021年開催の全国人民代表大会で、一昨年に言語政策を巡って母語が失われる危機感を強めた保護者らによる抗議運動が起きた内モンゴル自治区の代表団分科会に中国共産党総書記習近平が出席し、少数民族同化政策の一環として少数民族言語から標準語への切り替えによる標準中国語の普及強化を指示した[16]
チベット自治区
上記、新疆ウイグル自治区と同じように習近平政権は少数民族による分離・独立運動への警戒から統制と標準語教育を強め、中国共産党の一党支配をさらに強固にしようとしているとされる[13]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 普通話標準音為何從河北灤平縣採集,而不是北京?”. 壹讀 (2021年10月4日). 2023年5月29日閲覧。
  2. ^ 【普通话科普】普通话的发展历程”. 开封市医学科学研究所 (2022年9月15日). 2023年5月29日閲覧。
  3. ^ 普通话发展历史介绍”. 百度文库 (2023年5月29日). 2023年5月29日閲覧。
  4. ^ 普通话推广”. 天津医科大学 (2023年5月29日). 2023年5月29日閲覧。
  5. ^ http://j.people.com.cn/n3/2017/0915/c206603-9269302.html 「中国、29種類の文字 普通話の普及率が73%に」2017年09月15日 人民網日本語版 2018年7月17日閲覧
  6. ^ 教育部、国家语委:2020年全国普通话普及率平均达到80%以上
  7. ^ 全国普通话普及率达80.72%”. 中華人民共和国教育部. 2021年3月28日閲覧。
  8. ^ 標準中国語、普及率約8割に 極度貧困地域では約6割”. AFP. 2021-03-28日閲覧。
  9. ^ 標準中国語の「基準地」は北京ではなく小さな県だった!”. 人民網日本語版 (2016年10月27日). 2021年8月9日閲覧。
  10. ^ 河北灤平:中國普通話採集地”. yahoo新聞 (2013年10月28日). 2023年5月29日閲覧。
  11. ^ 不在地理中心的灤平,為什麼人人能說普通話?”. 每日頭條 (2016年10月15日). 2023年5月29日閲覧。
  12. ^ 滦平人咋没地方口音”. 新华网 (2016年10月15日). 2023年5月29日閲覧。
  13. ^ a b c d “社説 中国語教育強化 少数民族の抑圧は許されない”. 読売新聞. (2020年9月28日). オリジナルの2021年4月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210420025911/https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200927-OYT1T50210/ 
  14. ^ ポンペオ氏、中国のウイグル族弾圧は「集団殺害」…中国側は「でっち上げだ」 : アメリカ大統領選挙2020 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
  15. ^ 中国政府、ウイグル人を収容所で「洗脳」 公文書が流出 - BBCニュース
  16. ^ 内モンゴル「中国語教育を」 習氏指示 少数民族同化の一環 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
  17. ^ 膨張中国のシンボル、深センで見たイノベーション最前線 | 日経クロステック(xTECH)