道南いさりび鉄道線
道南いさりび鉄道線 | |||
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木古内駅停車中のキハ40形 「ながまれ号」 | |||
基本情報 | |||
現況 | 運行中 | ||
国 | 日本 | ||
所在地 | 北海道 | ||
種類 | 普通鉄道(第三セクター鉄道) | ||
起点 | 五稜郭駅 | ||
終点 | 木古内駅 | ||
駅数 |
旅客駅:12駅 信号場:1か所 | ||
路線記号 |
●sh(木古内 - 七重浜間) ○H(五稜郭駅) 路線記号については当該記事も参照 | ||
開業 | 1913年9月15日 | ||
全通 | 1930年10月25日 | ||
民営化 | 1987年4月1日 | ||
経営移管 | 2016年3月26日 | ||
所有者 | 道南いさりび鉄道 | ||
運営者 |
道南いさりび鉄道 (第一種鉄道事業者) 日本貨物鉄道(JR貨物) (第二種鉄道事業者) | ||
車両基地 | JR北海道函館運輸所 | ||
使用車両 | 使用車両の節を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 37.8 km | ||
軌間 | 1,067 mm(狭軌) | ||
線路数 | 全線単線 | ||
電化方式 |
全線架空電車線方式 交流20,000 V・50 Hz(五稜郭 - 木古内駅手前) 交流25,000 V・50 Hz(木古内駅構内) 電気運転を行う列車は貨物列車とクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」のみ。定期旅客列車は気動車で運行。 | ||
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 | ||
保安装置 | ATS-DN | ||
最高速度 | 100 km/h | ||
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停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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道南いさりび鉄道線(どうなんいさりびてつどうせん)は、北海道函館市の五稜郭駅から上磯郡木古内町の木古内駅までを結ぶ道南いさりび鉄道の鉄道路線である。2016年(平成28年)3月25日までのこの区間については「江差線」を参照。
路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):
- 軌間:1,067 mm(狭軌)
- 駅数:13駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線・交流20,000 V・50 Hz
- 閉塞方式:単線自動閉塞式
- 交換可能な駅は「駅・信号場一覧」の節を参照。
路線概要
この区間は北海道新幹線の新青森駅 - 新函館北斗駅間の並行在来線として北海道旅客鉄道(JR北海道)から江差線が経営分離されたものである。2016年(平成28年)3月26日より第三セクター鉄道として運営され、函館都市圏輸送を担っている。JR北海道時代、江差線は分類上地方交通線であり、地方交通線がいわゆる並行在来線として第三セクター鉄道に転換されるのは初めてのケースであった。
定期旅客線としては木古内駅が終端となっており、海峡線へ直通する定期旅客列車は運転されていない。また、五稜郭駅 - 函館駅間はJR北海道の函館本線に直通運転している。現在の道南いさりび鉄道線区間は海峡線の開業以降全線が電化されているが、普通列車についてはJR北海道時代よりすべてが気動車で運転されており、加えて新幹線開業後、木古内駅構内が海峡線と同時に交流25000V・50Hzへ昇圧され、通常の在来線交流電気車両が入線できなくなっていることから[注釈 1]、転換以降は全定期旅客列車が普通列車として運転されている[注釈 2]。
日本貨物鉄道(JR貨物)は、経営移管後も引き続き全線にわたって第二種鉄道事業者となっており、青函トンネルを経て北海道と本州を結ぶ貨物輸送を行っている。
利用状況
経営計画上では平成27年度は利用客数を2,148人/日を見込んでいた。一方で、転換当初の2016年3月 - 5月の間の利用客数は2,000 - 2,300人/日となっており、ほぼ想定通りであった[4]。
歴史
軽便鉄道法により計画され、1913年(大正2年)9月15日に上磯軽便線として開業した五稜郭駅 - 上磯駅間の鉄道(実際の軌間は1,067 mm)を、1930年(昭和5年)から1936年(昭和11年)にかけて檜山郡江差町の江差駅まで延長したもので、改正鉄道敷設法別表第129号前段に規定する予定線(「渡島國上磯ヨリ木古内ヲ經テ江差ニ至ル鐵道」)である。1936年(昭和11年)11月10日に江差駅まで開通し江差線となった。2014年(平成26年)5月12日に木古内駅 - 江差駅間が部分廃止されている。江差線時代には青函連絡路線(津軽海峡線の一部)として機能し、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」や、急行「はまなす」などの優等列車が運転されていた。
北海道新幹線の新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業に伴って、2016年(平成28年)3月26日に並行在来線区間となる五稜郭駅 - 木古内駅間が道南いさりび鉄道へ譲渡され、道南いさりび鉄道線となった。北海道での第三セクター鉄道線としては北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が廃止されて以来10年ぶりとなる。
年表
経営移管前の路線の動き
運行形態
旅客輸送
五稜郭発着の列車はなく、すべての列車が函館本線の函館駅まで乗り入れている。普通列車はすべてワンマン運転を実施している。函館駅 - 上磯駅間は1時間あたり1本程度、上磯駅 - 木古内駅間は3時間ほど運行のない時間帯がある。先述のように旅客列車はすべて気動車での運行となっており、キハ40形気動車[注釈 3]が用いられている。
2016年(平成28年)12月には、2両編成のうち1両の車内電灯を終夜灯(蛍光灯から電球)に変更し、車窓に映る函館市街の横夜景や津軽海峡の夜景・漁り火などを楽しむ「夜景列車」が運行された[報道 8][新聞 3][新聞 4]。
江差線時代は海峡線、津軽線とともに津軽海峡線を形成し青函連絡列車が運転されていたが、その役目は北海道新幹線に譲っている。
また、江差線時代は土・日・祝祭日に一部の列車に運休設定があったが、いさりび鉄道移管後は利便性向上の理由にすべての列車は休日でも運行されている。
上りと下り
起点は五稜郭駅であり、本来は五稜郭から木古内方面に向かう列車が下りとなる。これは青函航路(青函連絡船)が函館駅で連絡していたためである。しかし、海峡線が開通した際に、本州との連絡駅が函館駅から木古内駅に変更されたことから、五稜郭から木古内方面に向かう列車が上りとなった。これに合わせ、駅番号も(起点駅である)五稜郭駅側からではなく、(終点駅の)木古内駅側から付番されている。
貨物輸送
青森信号場から五稜郭駅(函館貨物駅)へ至る路線(旧津軽海峡線)として、木古内駅 - 五稜郭駅(函館貨物駅)間でJR貨物による貨物列車が運行されている。コンテナ車で編成された高速貨物列車のみ運転され、専用貨物列車は定期列車としては存在しない。本数は下り(五稜郭方面行き)・上り(木古内方面行き)ともに21本である。貨物駅である函館貨物駅をのぞき、駅における貨車の連結作業はない。
牽引機は、五稜郭機関区に所属するEH800形電気機関車である。
使用車両
- 気動車
- 電車
- JR東日本E001系電車:2017年5月から運行されているクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」で使用されている。
- 電気機関車
-
函館駅停車中のキハ40形「ながまれ号」
-
上磯駅1番ホームに停車中のキハ40 1815
-
上磯駅停車中のキハ40形新塗装
-
茂辺地駅を通過するEH800形電気機関車牽引の貨物列車
駅一覧
起点駅である五稜郭駅側から(ただし、便宜上、五稜郭側の旅客列車が直通する函館駅からの区間を)順に記載。列車は、函館駅発の列車が上り列車となる。
- (貨):貨物専用駅
- 全列車普通列車。すべての旅客駅に停車。
- 線路(道南いさりび鉄道線内は全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可能、|:列車交換不可、∥:複線(函館本線内)
- 全駅北海道(渡島総合振興局)内に所在
路線名 | 架線電圧 | 駅番号 | 駅名 | 駅間 営業 キロ |
五稜郭 からの 営業 キロ |
接続路線 | 線路 | 所在地 |
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JR北海道函館本線 | 20kV | H75 | 函館駅 | - | 3.4 | 函館市電:本線・大森線 …函館駅前停留場 (DY17) | ∥ | 函館市 |
(貨)函館貨物駅 | 3.4 | 0.0 | ∥ | |||||
H74 | 五稜郭駅 | 北海道旅客鉄道:函館本線(長万部方面) | ∨ | |||||
道南いさりび鉄道線 | ||||||||
sh11 | 七重浜駅 | 2.7 | 2.7 | ◇ | 北斗市 | |||
sh10 | 東久根別駅 | 2.6 | 5.3 | | | ||||
sh09 | 久根別駅 | 1.2 | 6.5 | ◇ | ||||
sh08 | 清川口駅 (北斗市役所・かなで〜る前) |
1.1 | 7.6 | | | ||||
sh07 | 上磯駅 | 1.2 | 8.8 | ◇ | ||||
矢不来信号場 | - | 14.3 | ◇ | |||||
sh06 | 茂辺地駅 | 8.8 | 17.6 | ◇ | ||||
sh05 | 渡島当別駅 (トラピスト修道院入口) |
5.0 | 22.6 | ◇ | ||||
sh04 | 釜谷駅 | 4.9 | 27.5 | ◇ | 上磯郡木古内町 | |||
sh03 | 泉沢駅 | 3.1 | 30.6 | ◇ | ||||
sh02 | 札苅駅 | 3.4 | 34.0 | ◇ | ||||
25kV | sh01 | 木古内駅 (北海道新幹線 乗換駅) |
3.8 | 37.8 | 北海道旅客鉄道:北海道新幹線・海峡線[* 1] | ∧ |
- ^ 2016年3月26日以降在来線の定期旅客列車の運行なし。
JR北海道時代は2007年10月1日から実施された駅ナンバリングの対象外となっていたが、移管に当たり木古内駅を起点にshの記号でナンバリングされた。五稜郭駅については函館本線としてナンバリングがなされていたため、それを踏襲している。
並行道路
- 北海道道530号上磯停車場線
- 北海道北斗市飯生2丁目(JR上磯駅前) - 北海道北斗市飯生2丁目(上磯駅前交差点=国道228号交点)間
- 国道228号(国道280号重複)
- 北海道北斗市飯生2丁目(北海道道530号上磯停車場線交点) - 北海道上磯郡木古内町字本町(=北海道道5号江差木古内線交点)間
- 北海道道5号江差木古内線
- 北海道上磯郡木古内町本町(=国道228号交点) - 北海道上磯郡木古内町本町(北海道道383号木古内停車場線交点)間
- 北海道道383号木古内停車場線
- 北海道上磯郡木古内町本町(北海道道5号江差木古内線交点) - 北海道上磯郡木古内町本町(江差線・海峡線木古内駅)間
- 北海道道530号上磯停車場線
脚注
注釈
- ^ 道南いさりび鉄道線区間に入る電気車両は当面、20,000V・25,000V双方の電圧に対応した複電圧車であるEH800形電気機関車および、E001形「TRAIN SUITE 四季島」のみとなる。
- ^ 電化されていながら旅客列車が原則気動車で運転される並行在来線は肥薩おれんじ鉄道線、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインに続き3例目に当たるが、転換以前から普通列車が気動車を基本として運行されていたのは本路線のみである
- ^ JR北海道から機関換装および特別保全工事施工済みの1700番台車(9両)が同鉄道に譲渡された。
出典
- ^ “会社概要 ネットワーク”. 北海道旅客鉄道. オリジナルの2013年9月15日時点におけるアーカイブ。 2014年5月14日閲覧。
- ^ “会社概要 ネットワーク”. 北海道旅客鉄道. オリジナルの2014年12月11日時点におけるアーカイブ。 2014年12月11日閲覧。
- ^ 国土交通省鉄道局(監修)『鉄道要覧』 平成28年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、2016年、58頁。ISBN 978-4-88548-127-7。
- ^ 木古内町議会(2016)、第5回総合交通体系調査特別委員会会議録 (PDF) ,Page2
報道発表資料
- ^ "「道南いさりび鉄道ご利用者説明会」の開催について" (PDF) (Press release). 道南いさりび鉄道. 25 December 2015. 2016年3月25日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2016年3月26日閲覧。
- ^ "江差線(五稜郭・木古内間)の廃止届出書の提出について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 2 March 2015. 2015年3月30日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2015年3月30日閲覧。
- ^ "北海道旅客鉄道株式会社の鉄道事業の一部を廃止する届出及び本届出に係る公衆の利便の確保に関する意見の聴取について" (PDF) (Press release). 国土交通省北海道運輸局. 2 March 2015. 2015年4月2日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2015年4月2日閲覧。
- ^ a b "鉄道事業許可申請について" (PDF) (Press release). 道南いさりび鉄道. 27 March 2015. 2015年4月2日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2015年3月30日閲覧。
- ^ "道南いさりび鉄道株式会社申請の第一種鉄道事業許可について" (Press release). 国土交通省. 26 June 2015. 2015年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月28日閲覧。
- ^ "鉄道事業許可状が交付されました" (Press release). 道南いさりび鉄道. 29 June 2015. 2015年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月30日閲覧。
- ^ "道南いさりび鉄道の開業日について" (PDF) (Press release). 道南いさりび鉄道. 16 September 2015. 2015年9月22日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2015年9月22日閲覧。
- ^ "「夜景列車」の運転について" (Press release). 道南いさりび鉄道. 28 November 2016. 2016年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月29日閲覧。
- ^ "地域情報発信列車「ながまれ号」新登場" (PDF) (Press release). 道南いさりび鉄道. 5 February 2016. 2016年3月25日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2016年3月26日閲覧。
新聞記事
- ^ “JR北海道:江差線廃止届け出 JRから三セクへ” (日本語). 毎日新聞. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2015年3月3日). オリジナルの2015年4月3日時点におけるアーカイブ。 2015年4月3日閲覧。
- ^ “道南いさりび鉄道「夜景列車」運行へ 豆電球だけで漁り火堪能” (日本語). 北海道新聞. どうしんウェブ/電子版(暮らし・話題) (北海道新聞社). (2016年11月29日). オリジナルの2016年11月29日時点におけるアーカイブ。 2016年11月29日閲覧。
- ^ “車窓の宝石、輝き増す いさ鉄「夜景列車」発進” (日本語). 北海道新聞. どうしんウェブ/電子版(社会) ([北海道新聞社). (2016年12月3日). オリジナルの2016年12月3日時点におけるアーカイブ。 2016年12月3日閲覧。
参考文献
書籍
- 石野哲(編集長)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTBパブリッシング、1998年9月19日。ISBN 978-4-533-02980-6。ISBN 4-533-02980-9。
- 田中和夫(監修)『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線、北海道新聞社(編集)、2002年7月15日、154-171頁・311-319頁頁。ISBN 978-4-89453-220-5。ISBN 4-89453-220-4。
- 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』 1号・北海道、新潮社、2008年5月17日。ISBN 978-4-10-790019-7。ISBN 4-10-790019-3。
- 今尾恵介・原武史(監修) 著、日本鉄道旅行地図帳編集部(編集) 編『日本鉄道旅行歴史地図帳 全線全駅全優等列車』 1号・北海道、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2010年5月18日、35-36頁。ISBN 978-4-10-790035-7。ISBN 4-10-790035-5。
- 国土交通省鉄道局(監修)「旧法 鉄道敷設法」『注解 鉄道六法 平成20年版』、第一法規、2008年10月、ISBN 978-4-474-02452-6、ISBN 4-474-02452-4。
雑誌
- 三宅俊彦「別冊付録:改正「鉄道敷設法」別表を読む」『旅 特集:鉄道新時代 21世紀への序曲』第874号、JTBパブリッシング、1999年11月。
関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン・肥薩おれんじ鉄道線 - 当路線と同様、電化されていながら基本的に気動車による運転を行う並行在来線。