田中カ子

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たなか かね
田中 カ子
Supercentenarian-Kane-Tanaka-c1923.png
1923年、20歳の田中 カ子
生誕太田カ子
(1903-01-02) 1903年1月2日(118歳)
日本の旗 日本福岡県糟屋郡和白村(現・福岡市東区)
住居日本の旗 日本・福岡県福岡市東区
国籍日本の旗 日本
民族日本人
著名な実績
  • 存命人物のうち日本最高齢(2018年7月22日 - )
  • 存命人物のうち世界最高齢(2018年7月22日 - )
  • 日本国内での歴代最高齢(2020年9月19日[1][2] - )
配偶者田中英男(従兄、1902年 - 1993年・婚姻期間 1922年 - 1993年)
子供信男[3](長男、1925年 - 2005年)
悦子[3](長女、1928年 - 1929年)
恒男[3](次男、1930年 - )
和子[3][4](次女、1946年 - 1947年)
太田熊吉(父)[5]
太田クマ(母)[5]

田中 カ子(たなか かね、1903年明治36年〉1月2日[6] - )は、日本スーパーセンテナリアンギネス世界記録保持者。現在118歳の福岡県福岡市東区在住の長寿の女性。日本並びにアジアの歴代最高齢者。

概説[編集]

世界最高齢者であった都千代2018年7月22日に死去して以来、長寿世界一並びに日本一となった。2020年9月19日に117歳261日を迎え、田島ナビの記録を上回り、日本国内の歴代最高齢記録を更新した。2021年1月2日には確実な証拠のある日本人として初めて118歳の誕生日を迎えた。

確証のある1903年生まれの世界最後の生き残り。1903年生まれの著名人に金子みすゞ草野心平香淳皇后小津安二郎小林多喜二堀越二郎山本周五郎などがいる。また、1903年に亡くなった著名人にマーガレット・アン・ネーヴ市崎四郎尾崎紅葉西郷頼母滝廉太郎などがおり、田中が生まれた時点では存命していた。

人物[編集]

1903年(明治36年)1月2日、福岡県糟屋郡和白村(現在の福岡市東区和白)の農家を営む太田家の三女(9人兄弟の第7子)として誕生[4][5][7][注釈 1]。田中の生まれた1903年はライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功した年で、翌1904年(明治37年)に日露戦争が開戦している[9][10]

1915年大正4年)に和白尋常高等小学校(現:福岡市立和白小学校)を卒業後、12歳で子守り奉公となる[9][11]1922年(大正11年)1月6日、19歳のときに1歳年上のいとこの田中英男と結婚[5][4][注釈 2]。英男は家族で「田中餅屋」という店を営んでおり、餅やぜんざい、うどんなどの店頭販売を行っていた[5][9]

英男との間に4人の子(二男二女)を授かり、さらに自身の姉の次女や早世した英男の妹夫婦の子供も引き取って育てていたが、自身の長女と次女は幼い頃に亡くなり、引き取った養女も1945年昭和20年)に23歳で先立たれた[5][4][10][13]

戦時中は、夫の英男が1937年(昭和12年)に日中戦争に召集され、1939年(昭和14年)に帰還[5]1940年(昭和15年)に博多海軍航空隊内に英男とうどん店を出店した[4][13]。その後再召集され、ガダルカナル島の戦いで飢餓に陥るも、転進命令によって命を拾った[14]。一方、長男の信男は1942年水戸陸軍飛行学校に入学し、翌年から朝鮮満州に出征した。終戦後はウランバートルに抑留されたものの、比較的恵まれた捕虜生活を送り、1947年(昭和22年)11月5日に帰還した[15]

戦後、1950年(昭和25年)に駐留米軍や牧師の影響で英男とキリスト教に入信し[16]、1959年(昭和34年)に夫婦で西戸崎教会内にさざなみ幼稚園を設立した[3]。その後も夫婦で餅屋の切り盛りをしていたが、63歳の時に隠居。その間、いとことハワイ旅行に出かけたり、子供や孫の元へ出かけたりしたという[4][10]。また、1970年代に結婚50年を記念してロサンゼルスに行ったり、カリフォルニア州コロラド州の親戚を訪ねたことがある[17][18]1970年(昭和45年)には生花店を始め、80歳手前になるまで働き続けた[17][13]。その後も102歳で施設に入所するまで店頭に立つことがあった[7]

1993年平成5年)2月9日、70年以上連れ添った夫・英男が死去、90歳没[19]2005年(平成17年)5月5日には長男の信男が死去、80歳没[20]。同年、102歳で福岡市東区の有料老人ホーム「グッドタイムホーム1・海の中道」に入居した[13][10][21]。田中が107歳を迎えた2010年(平成22年)に、その人生の歩みを綴った伝記を次男夫妻が自費出版した[11]

何度か大病を患ったことがあり、35歳の頃にパラチフスに養女とともに感染。45歳で膵臓癌の手術、76歳で胆石の除去手術、90歳で白内障手術を経験。また、有料老人ホーム入所後も103歳で大腸癌の手術を経験した[22]

117歳の誕生日の時点で手押し車を押しながらの歩行が可能である[10][23]。2021年1月2日の118歳の誕生日時点でも食欲は旺盛で、当日もおかゆや野菜スープなどを食べたほか、老人ホームの職員から「誕生日おめでとうございます」と声をかけられると手を叩いて喜び、「ありがとう」「みんな拍手してください」などと話した[24][25][26]

長寿記録[編集]

2018年平成30年)7月22日都千代の死去に伴い、115歳と201日で長寿日本一並びに長寿世界一となり、史上初めて日本人が3人連続で長寿世界一となった。

2019年(平成31年)3月9日ギネス・ワールド・レコーズ社より「存命中の世界最高齢」に公式認定され、認定証が授与された[27][注釈 3]。その際に報道陣からこれまで一番楽しかったことについて尋ねられると『今』と答えた[27]

同年4月30日、自身にとって5番目の元号となる令和への改元に際したインタビューで「一日でも長生きしたい」と抱負を述べた[9]

2020年(令和2年)1月2日、117歳の誕生日を迎えた[4]。117歳となったのは、確実な証拠がある中で10人目、日本人では4人目である。

同年1月30日、117歳28日で大川ミサヲの記録を上回り、世界歴代9位、日本歴代3位の長寿となった。

同年3月24日、117歳82日で都千代の記録を上回り、世界歴代8位、日本歴代2位の長寿となった。

同年5月19日、117歳138日でエンマ・モラーノの記録を上回り、世界歴代7位の長寿となった。

同年7月10日、117歳190日でヴァイオレット・ブラウンの記録を上回り、世界歴代6位の長寿となった。

同年8月20日、117歳231日でマリー・メイユールの記録を上回り、世界歴代5位の長寿となった。

同年9月7日、117歳249日でルーシー・ハンナの記録を上回り、世界歴代4位の長寿となった。

同年9月19日、117歳261日で田島ナビの記録を上回り、日本歴代1位並びにアジア歴代1位、ジャンヌ・カルマンサラ・ナウスに次ぐ世界歴代3位の長寿となった[1][2]

2021年(令和3年)1月2日、118歳の誕生日を迎えた[26]。118歳となったのは、確実な証拠がある中で世界史上3人目、日本並びにアジアの人物、20世紀生まれの人物としては史上初となる。また人類が118歳に達するのは、1998年9月に118歳を迎えたサラ・ナウス以来、約22年ぶりのことであった。

逸話[編集]

  • 生まれた時は、乳も飲めぬ未熟児だった[8]
  • メモ魔であり、思い出した事や面白いと思った事は、何でも絵や字にする性分である[28]
  • 幼少期は負けん気が強く、(地元の有力者である)庄屋の娘が相手でも口論した[29]
  • 家族の思い出として、夫の英男および長男の信男と行った別府耶馬渓旅行を振り返っている[4][17]
  • 大東亜戦争が勃発する前は、渡米した兄や母方の伯父から衣類・砂糖・塩などが送られた[30]
  • 次男・恒男の妻は、カ子の弟の娘(恒男のいとこ)である[12]
  • 伝記「花も嵐も」の著者である花田衞は、次男・恒男の高校時代の同級生で、西日本新聞社の元記者である[16]
  • 趣味は勉強をすることで、週に1度、算数教室に参加したり、詩を作ったりしている[10][18]
  • 長寿の秘訣はリバーシ[31][32]、老人ホーム内の入居者やスタッフと毎日対決しており、負けず嫌いな性格のため、勝つまで何局も続けることがあるという。
  • 食べ物の好き嫌いはなく、1日3食の食事をほぼ完食する。また甘いものが好物で、コーラ缶コーヒー栄養ドリンク炭酸飲料などを毎日3本は飲んでいるという[10]

出演[編集]

関連人物[編集]

参考文献[編集]

  • 花田衞『花も嵐も107歳 田中カ子・長寿日本一への挑戦』梓書院、2010年5月14日。ISBN 978-4-87035-380-0

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 実際には1902年11月または12月生まれだが、田中の両親は「届け出が遅れた」と話していた[8]
  2. ^ カ子の父である熊吉の弟・田中国吉の息子であり、いとこではあるものの二人は初対面だった[12]
  3. ^ この時点で孫が5人、ひ孫が8人いた。

出典[編集]

  1. ^ a b “福岡市の田中カ子さんが国内最長寿記録更新 117歳261日「アメリカに行きたい」”. 毎日新聞. (2020年9月19日). https://mainichi.jp/articles/20200919/k00/00m/040/044000c 2020年9月19日閲覧。 
  2. ^ a b “田中カ子さん、国内歴代最高齢の記録更新”. 47NEWS (共同通信). (2020年9月19日). https://www.47news.jp/news/5275795.html 2020年9月19日閲覧。 
  3. ^ a b c d e “45歳ですい臓がん、103歳で大腸がんを克服! 世界最長寿・田中カ子さん116歳”. デイリー新潮 (新潮社). (2019年8月29日). https://www.dailyshincho.jp/article/2019/08310800/?all=1 2021年1月4日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f g h 最高齢田中さん117歳に 戦争、病越え5時代生きる”. 日経エンタテインメント. 日本経済新聞社 (2020年1月2日). 2020年2月5日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 福岡在住の田中カ子さんが、116歳66日で世界最高齢としてギネス世界記録に認定”. Guinness World Records (2019年3月9日). 2020年2月5日閲覧。
  6. ^ Validated Living Supercentenarians(GRG)
  7. ^ a b “【動画あり】世界最高齢116歳、福岡市の田中さんを祝福 敬老の日を前に”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2019年9月11日). https://www.nishinippon.co.jp/item/n/542385/ 2020年2月5日閲覧。 
  8. ^ a b 花田, pp. 30-31.
  9. ^ a b c d “明治から生きる116歳描く夢 令和も「長生きしたい」”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2019年4月30日). https://www.asahi.com/articles/ASM4W64ZYM4WTIPE01X.html 2020年2月5日閲覧。 
  10. ^ a b c d e f g “国内最高齢115歳、入所者励ます 「頑張りんしゃい」”. 朝日新聞. (2018年7月27日18時50分). https://www.asahi.com/articles/ASL7W3QJRL7WTIPE00K.html 2018年7月28日閲覧。 
  11. ^ a b “福岡の115歳田中さん 国内最高齢”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2018年7月27日). https://www.nishinippon.co.jp/item/o/436221/ 2020年2月5日閲覧。 
  12. ^ a b 花田, pp. 54.
  13. ^ a b c d 5つ目の元号を迎える“歴史の生き証人”世界最高齢116歳田中カ子さん、願うのは「みんなが幸せな時代」”. スポーツ報知. 報知新聞社 (2019年3月26日). 2020年2月5日閲覧。
  14. ^ 花田, pp. 74-76.
  15. ^ 花田, pp. 80.
  16. ^ a b 花田, pp. 78.
  17. ^ a b c 「今夜くらべてみました」で紹介されたすべての情報 ( 401 / 515 ページ )”. 価格.com. 2020年2月5日閲覧。
  18. ^ a b “San Marcos couple celebrate aunt’s 113th year”. (2016年5月6日). http://www.sandiegouniontribune.com/sdut-113-year-old-kane-tanaka-supercentenarian-2016may06-story.html 2017年12月13日閲覧。 
  19. ^ 花田, pp. 159.
  20. ^ 花田, pp. 164.
  21. ^ “【福岡県】一人ひとりが持ち味を発揮して入居者の“思い”に応えるホーム”. (2012年3月31日). http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/1116 2017年12月13日閲覧。 
  22. ^ 花田衞『花も嵐も107歳 田中カ子(カネ)・長寿日本一への挑戦』梓書院、2010年5月14日。ISBN 978-4-87035-380-0
  23. ^ “世界最高齢、田中カ子さん117歳の誕生日 ケーキ「おいしい。もっと」”. 毎日新聞. (2010年1月5日19時34分). https://mainichi.jp/articles/20200105/k00/00m/040/171000c 2020年1月5日閲覧。 
  24. ^ “最高齢の田中カ子さん118歳に”. 熊本日日新聞. (2021年1月2日). https://kumanichi.com/node/48161 2021年1月4日閲覧。 
  25. ^ “世界最高齢・田中カ子さん、118歳の誕生日…祝福に「みんな拍手してください」”. 読売新聞. (2021年1月2日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20210102-OYT1T50038/ 2021年1月4日閲覧。 
  26. ^ a b “世界最高齢 田中カ子さんが118歳の誕生日 福岡”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). (2021年1月2日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210102/k10012793571000.html 2021年1月2日閲覧。 
  27. ^ a b “福岡市の女性が世界最高齢 116歳、ギネス認定”. 産経新聞. (2019年3月9日). https://www.sankei.com/life/news/190309/lif1903090024-n1.html 2019年3月10日閲覧。 
  28. ^ 花田, pp. 34-35.
  29. ^ 花田, pp. 44.
  30. ^ 花田, pp. 79.
  31. ^ 「死ぬ気がせん」116歳田中さん、オセロケーキで対局
  32. ^ 田中カ子さん長寿世界一記念オセロ大会
  33. ^ 「最高齢のギネス世界記録」を持つ117歳のおばあちゃんに好きなものを聞いたら、とんでもなくいかしてた! : ありえへん∞世界”. テレ東プラス (2020年1月27日). 2020年6月4日閲覧。

外部リンク[編集]

記録
先代:
田島ナビ
日本の旗 歴代の日本最高齢
2020年9月19日 -
次代:
(記録保持者))
先代:
都千代
日本の旗 存命人物のうち日本最高齢
2018年7月22日 -
次代:
(記録保持者)
先代:
都千代
存命人物のうち世界最高齢
2018年7月22日 -
次代:
(記録保持者)