「タイタン (衛星)」の版間の差分

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| 画像説明 = 惑星探査機[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]によって撮影されたタイタン。<br />大気があるため輪郭がかすんで見えている。
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{{天体 物理
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{{天体 終了
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| 色 = 衛星
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'''タイタン''' (Saturn VI Titan) は、[[土星]]の第6[[衛星]]。[[1655年]]3月25日に[[クリスティアーン・ホイヘンス]]によって発見された。[[地球]]の[[月]]、[[木星]]の4つの[[ガリレオ衛星]]に次いで、6番目に発見された[[衛星]]である。
'''タイタン''' (Saturn VI、{{Lang-en|Titan}}) は、[[土星]]最大の[[衛星]]である。[[太陽系]]の衛星の中では唯一、濃い[[大気]]を持っており、また[[地球]]以外の天体で、安定した[[液体]]の存在が明確に確認されている唯一の天体でもある。[[1655年]]3月25日に[[クリスティアーン・ホイヘンス]]によって発見された。[[地球]]の[[月]]、[[木星]]の4つの[[ガリレオ衛星]]に次いで、6番目に発見された[[衛星]]である。


土星の第6衛星。よく「惑星のような衛星」としても記述され、[[質量]]は地球の[[月]]よりも50%大きく、[[半径]]は80%大きい。[[木星]]の衛星である[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]に次いで、太陽系では2番目に大きな衛星で、最小の惑星である[[水星]]よりも大きいが、質量はそのわずか40%しかない。[[オランダ]]の天文学者[[クリスティアーン・ホイヘンス]]によって[[1655年]]によって、土星を[[公転]]する衛星として初めて発見され、太陽系全体でも月、[[ガリレオ衛星]]に次いで6番目に発見された衛星である。土星半径の約20倍離れた軌道を公転しており、タイタンの表面から見た土星の大きさは5.09度で、地球から見た月の11.4倍大きな土星を眺める事ができるだろう。
== 概説 ==
名前は[[ギリシャ神話]]の巨神族[[ティーターン]]([[英語]]ではタイタン)に因む。[[日本]]では{{いつ範囲|当初|date=2016年4月}}、チタンあるいはティタンと呼ばれていたが、{{いつ範囲|近年|date=2014年5月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->ではタイタンと英語読みで呼ぶことが多い。


タイタンは主に[[氷]]と[[岩石]]から構成されている。[[宇宙時代]]以前の[[金星]]のように、分厚く不透明な[[大気]]によって、タイタンの極地にある液体[[炭化水素]]の湖の発見を含む、[[2004年]]からの[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]と[[ホイヘンス・プローブ|ホイヘンス]]による探査が行われるまでは、タイタンの表面に関してはほとんど知られていなかった。山やいくつかの[[氷の火山]]が発見されているが、表面に[[クレーター]]はほとんど存在せず、地質学的に若い表面とされている。
土星最大の衛星で、その直径は約5,150km。[[惑星]]である[[水星]]よりも大きい。[[木星]]の衛星である[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]に次ぐ大きさとされているが、{{いつ範囲|かつては|date=2014年5月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->[[太陽系]]内にある衛星の中で1番大きいと考えられていた。その大きさゆえに8等級と比較的明るく、小型の望遠鏡でも土星の傍にあるのが確認できる。


大気の大部分は[[窒素]]であり、残りのわずかな成分は[[メタン]]と[[エタン]]から成る雲や、窒素が豊富な有機煙霧の形成につながっている。また、タイタンには液体メタンの雨が降り、メタンおよびエタンの川や湖が存在すると考えられていた。このことは、[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]探査により確認されている{{sfnp|松田佳久|2011|pp=85}}{{sfnp|長沼毅|井田茂|2014|pp=143-155}}。[[風]]や[[雨]]などの気候は、[[砂丘]]や[[河川]]、[[湖]]、[[海]](おそらく液体メタンとエタン)、[[三角州]]といった地球と似たような特徴の地形を作り出している。タイタンにある液体(表面と表面下層)と濃い窒素の大気は、94[[ケルビン|K]](-179.2[[摂氏|℃]]、-290.5[[華氏|℉]])という非常に低温の状況下で、地球の[[水循環]]にあたるメタン循環を起こしている。
== 特徴 ==
{{See also|タイタンの大気}}
[[ファイル:PIA20016-SaturnMoon-Titan-20151113.jpg|thumb|left|近赤外線で写したタイタン。厚い大気の下に表面の地形が見える。]]


== 歴史 ==
タイタンの特徴は衛星を包む濃い大気と雲であり、表面気圧は[[地球]]の1.5倍、[[大気]]の主成分は[[窒素]] (97%) と[[メタン]] (2%) であることが計測されている。重力が大きく低温(分子の運動エネルギーが小さい)のため重力で大気(窒素分子)を引きとめておくことができていると考えられる。タイタンの[[表面重力]]は、1.35 m/s<sup>2</sup>と地球より小さいため、表面気圧は[[地球]]の1.5倍であるが、単位表面積あたりの大気量は地球の10倍に相当する。
=== 発見 ===
[[File:Christiaan Huygens-painting.jpeg|230px|thumb|left|[[クリスティアーン・ホイヘンス]]は1655年にタイタンを発見した]]
タイタンは[[1655年]][[3月25日]]に、[[オランダ]]の[[天文学者]][[クリスティアーン・ホイヘンス]]によって発見された<ref>{{cite web|url=http://assets.cambridge.org/052179/3483/sample/0521793483ws.pdf|title=Lifting Titan's Veil|publisher=Cambridge|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050222073209/http://assets.cambridge.org/052179/3483/sample/0521793483ws.pdf|archivedate=2005-02-22|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/ap050325.html|publisher=NASA|work=Astronomy Picture of the Day|title=Titan|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050327011129/http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/ap050325.html|archivedate=2005-03-27|accessdate=2018-11-30}}</ref>。ホイヘンスは-1610年の[[ガリレオ・ガリレイ]]の木星の大きな4つの衛星の発見と、彼の向上した[[望遠鏡]]の技術に触発されたとされている。兄である{{仮リンク|コンスタンティン・ホイヘンスJr.|en|Constantijn Huygens Jr.}}の援助を借りて1650年代に望遠鏡を建設し始め、彼らが建設した望遠鏡の一つを使って、土星を公転している衛星を初めて観測で発見した<ref>{{cite web|title=Discoverer of Titan: Christiaan Huygens |url=http://www.esa.int/esaSC/SEMJRT57ESD_index_0.html |publisher=European Space Agency|date=2008-09-04|accessdate=2018-11-30}}</ref>。この衛星は、地球の[[月]]とガリレオ衛星に次いで6番目に発見された衛星となった<ref>{{Cite APOD|date=2005-03-25|title=Huygens Discovers Luna Saturni|accessdate=2018-11-30}}</ref>。


=== 命名 ===
太陽系内の衛星で大気を持つものには木星の衛星[[イオ (衛星)|イオ]]や[[海王星]]の衛星[[トリトン (衛星)|トリトン]]などが存在するが、タイタンほどに厚い大気を持つものはない。また、タイタンには地球によく似た地形や[[気象]]現象があると考えられている。
ホイヘンスは1655年に、''De Saturni Luna Observatio Nova''(土星の衛星の初観測)を出版し、そこで彼の発見した衛星を''Saturni Luna'' (または''Luna Saturni''、[[ラテン語]]で「土星の衛星」の意)と命名した。[[ジョヴァンニ・カッシーニ]]が1673年から1686年の間に発見した4つの衛星を公表した後、タイタンとこれらの4つの衛星にはSaturn IからVまでの番号が付与された(タイタンは4番目)。初期には''Saturn's ordinary satellite''という別名もあった<ref>{{cite journal|last=Cassini|first=G. D.|title=A Discovery of two New Planets about Saturn, made in the Royal Parisian Observatory by Signor Cassini, Fellow of both the Royal Societys, of England and France; English't out of French|journal=Philosophical Transactions|volume=8|issue=1673|pages=5178–5185|year=1673|doi=10.1098/rstl.1673.0003}}</ref>。公式にはタイタンは'''Saturn VI'''と呼ばれる。<!-- because after the 1789 discoveries the numbering scheme was frozen to avoid causing any more confusion (Titan having borne the numbers II and IV as well as VI). -->それ以来、数多くの小さな衛星が土星のより近くに発見されている。


''Titan''とその後に発見される7つの衛星の名称は、[[ジョン・ハーシェル]]([[ウィリアム・ハーシェル]]の息子、[[ミマス (衛星)|ミマス]]と[[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]]を発見した)が1847年に出版した''Results of Astronomical Observations Made during the Years 1834, 5, 6, 7, 8, at the Cape of Good Hope''に由来している<ref>{{cite journal|last=Lassell|date=1847-11-12|title=Observations of Mimas, the closest and most interior satellite of Saturn|url=http://adsabs.harvard.edu//full/seri/MNRAS/0008//0000042.000.html|journal=Monthly Notices of the Royal Astronomical Society|volume=8|issue=3|pages=42–43|doi=10.1093/mnras/8.3.42|bibcode=1848MNRAS...8...42L}}</ref><ref>{{cite book|url=https://archive.org/stream/Resultsastronom00Hers#page/414/mode/2up/search/Titan|title=Results of astronomical observations made during the years 1834, 5, 6, 7, 8, at the Cape of Good Hope : being the completion of a telescopic survey of the whole surface of the visible heavens, commenced in 1825|last=Herschel|first=Sir John F. W.|publisher=Smith, Elder & Co.|year=1847||location=London|pages=415}}</ref>。彼は[[サートゥルヌス]]の[[ギリシャ神話]]名、[[クロノス]]の兄弟姉妹である[[ティーターン]]の名を提案した。ギリシャ神話では、ティーターンは[[ガイア]]と[[ウーラノス]]の間に生まれた、伝説上の[[黄金時代]]を築き上げた強力な[[神]]の種族である。
また、タイタンには液体メタンの雨が降り、メタンおよびエタンの川や湖が存在すると考えられていた。このことは、[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]探査により確認されている<ref>{{Cite book|和書 |author = 松田佳久 |year = 2011 |title = 惑星気象学入門 金星に吹く風の謎 |publisher = [[岩波書店]] |page = 85 |isbn = 978-4-00-029583-3}}</ref>。
{{Clearleft}}


[[日本]]ではタイタンと英語読みされることが多い<ref>{{cite web|url=http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/saturn_satellite.html|title=土星の衛星|work=宇宙情報センター|publisher=[[宇宙航空研究開発機構|JAXA]]|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
== 内部構造 ==
[[ファイル:Titan poster.svg|thumb|left|300px|タイタンの内部構造]]


== 軌道と自転 ==
タイタンの内部構造は、木星の衛星である[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]と同様に、[[地殻]]、[[マントル]]、[[核 (天体)|コア]]を持つ構造であると考えられていたが、探査機[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]が計測したタイタンの重力の計測により、非常に異なっていることが判明した<ref name="NGeo"/>。検証チームは、タイタンの薄い氷の地表の下は、溶けかかった氷と岩石との粥状態の海になっているとの見解を示している。検証チームに参加していない[[ベルリン]]の[[ドイツ航空宇宙センター]]のウルリッヒ・ケーラーは、内部構造が地殻、マントル、コアに分離できるほど十分な熱が得られなかったことを示している、と述べている<ref name="NGeo" />。
[[File:Titan's orbit.svg|thumb|right|タイタン(赤線)と他の大型の衛星の軌道。青線は外側からイアペトゥス、ヒペリオン、レア、ディオネ、テティス、エンケラドゥス、ミマス。]]
タイタンは15日と22時間で土星を[[公転]]している。月や他の[[巨大ガス惑星]]の多くの衛星と同じように、[[自転と公転の同期|自転周期と公転周期は同じ]]になっている。タイタンは自転と公転の同期のために、土星に対して[[潮汐固定]]を起こしており、恒久的に同じ面を土星に向けているので、タイタンの「1日」はその公転周期と等しくなる。このため、タイタンの表面上にはsub-Saturnian pointと呼ばれる、土星がいつも頭上に直接ぶら下がっているように見える地点がある。タイタンの[[経度]]は、この地点を通る[[子午線]]から西向きに測定される<ref>{{cite web|url=http://www.evs-islands.com/2008/02/titans-unnamed-methane-sea.html|title=EVS-Islands: Titan's Unnamed Methane Sea|accessdate=2018-11-30}}</ref>。[[離心率]]は0.0292で{{R|FactSheet}}、軌道は土星の[[赤道]]から0.306[[度 (角度)|度]]から傾いている{{R|JPL_Orbital}}。地球から見ると、タイタンの土星からの角距離は土星半径の約20倍(120万km強)である<!-- and subtends a disk 0.8 arcseconds in diameter.-->。


小さく不規則な形状をした[[ヒペリオン (衛星)|ヒペリオン]]は、タイタンと3:4の[[軌道共鳴]]にある。モデルに基づくと、ヒペリオンが無秩序な軌道から移動した、軌道共鳴の「ゆっくりで滑らかな」進化は起こりそうにない。ヒペリオンがおそらく重力的に安定した領域で形成されたのに対して、より質量が大きいタイタンは接近した天体を吸収したり、放り出したりしたとされている<ref>{{cite journal|last=Bevilacqua|first=R.|last2=Menchi |first2=O.|last3=Milani|first3=A.|last4=Nobili|first4=A. M.|last5=Farinella|first5=P.|year=1980|title=Resonances and close approaches. I. The Titan-Hyperion case|journal=Earth, Moon, and Planets|volume=22|issue=2|pages=141–152|doi=10.1007/BF00898423|bibcode=1980M&P....22..141B}}</ref>。
2014年7月2日、[[NASA]]の研究チームは、タイタンの氷の下にある海は死海のように濃い塩水でできているとする研究結果を発表した。水の密度は真水よりはるかに高く、硫黄やナトリウム、カリウムを含む塩水でできていると推定し、[[死海]]に匹敵する濃さだと結論付けた<ref name="JPL"/>。
{{Clearleft}}


== 生命の可能性 ==
== 物理的特徴 ==
{{multiple image
[[ファイル:Ligeia Mare in false color (PIA17031).jpg|thumb|地表の液体[[メタン]]の湖([[リゲイア海]])]]
| align = left
{{Main|タイタンの生命}}
| direction = vertical
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| caption1 = タイタン(左下)と月(左上)、地球(右)の大きさの比較
| image2 = Titan poster.svg
| width2 = 280
| caption2 = タイタンの内部構造のモデル
}}
タイタンは直径5,149.46[[キロメートル|km]]で{{R|Zebker18}}、これは[[水星]]の1.06倍、月の1.48倍、地球の0.40倍に相当する。1980年に[[ボイジャー1号]]が探査する以前は、タイタンは[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]](直径5,262km)よりわずかに大きいと考えられ、太陽系最大の衛星であるとされていた。これはタイタンの高密度で不透明、そして表面から数km上空まで存在する大気によって、見かけ上の大きさが過大評価されてしまったためである{{R|NinePlanets}}。タイタンの直径と質量、密度は木星の衛星であるガニメデと[[カリスト (衛星)|カリスト]]と似通っている<ref>{{cite web|last=Lunine|first=J.|url=http://www.astrobio.net/index.php?option=com_retrospection&task=detail&id=1493/ |title=Comparing the Triad of Great Moons|publisher=Astrobiology Magazine|date=2005-03-21|accessdate=2018-11-30}}</ref>。タイタンの密度は1.88[[グラム毎立方センチメートル|g/cm<sup>3</sup>]]で、これに基づくとタイタンの組成は半分が[[氷]]で、もう半分は[[岩石]]となる。この組成は[[ディオネ (衛星)|ディオネ]]や[[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]]に似ているが、{{仮リンク|重力圧縮|en|Gravitational compression}}によりタイタンの方が高密度になっている。土星に対しての相対的なタイタンの質量は4,226分の1で、これは太陽系の巨大ガス惑星とその衛星の中では最も大きい。主惑星との相対的な直径比でも、[[海王星]]の[[トリトン (衛星)|トリトン]]に次いで2番目となっている。タイタンの直径は土星の22.609分の1で、トリトンの直径は海王星の18.092分の1とやや大きい。


タイタンは直径3,400kmの岩盤と、その周りを覆う異なる氷の結晶で構成されたいくつかの層とに分かれるとされている<ref>{{cite journal |last=Tobie|first=G.|last2=Grasset|first2=Olivier|last3=Lunine|first3=Jonathan I.|last4=Mocquet|first4=Antoine|last5=Sotin|first5=Christophe |year=2005|bibcode=2005Icar..175..496T|title=Titan's internal structure inferred from a coupled thermal-orbital model|journal=Icarus|volume=175|issue=2|pages=496–502 |doi=10.1016/j.icarus.2004.12.007}}</ref>。その内部は、[[氷#氷の多形|氷I<sub>h</sub>]]の[[地殻]]と、より深い高圧の氷で形成されている層の間にある[[アンモニア]]と水から成る液体の「[[マグマ]]」が層が存在するのに十分高温になっているかもしれない。アンモニアの存在は、(水の[[共晶]]化合物に対して)176K(-97℃)という低温の状況下でも、水を液体の状態に保持させるのを可能にさせる{{R|longstaff}}。探査機カッシーニは、タイタンの大気中の自然[[極超長波]]電波の形から、内部の層状構造の証拠を発見した。タイタンの表面は自然極超長波電波の弱い反射体であるとされているため、地下[[大洋|海洋]]の液体と氷の境界から反射する可能性がある<ref>{{cite news|url=http://www.esa.int/esaMI/Cassini-Huygens/SEM17F9RR1F_0.html|title=Titan's Mysterious Radio Wave|date=2007-06-01 |publisher=ESA Cassini-Huygens web site|accessdate=2018-11-30}}</ref>。カッシーニによる観測で、表面の特徴は2005年10月から2007年5月までの間に、表面の地形が予測よりも最大で30kmずれていることが観測され、このことから地殻と内部が分離され、その間に液体の海の層が存在していることが示されている<ref>{{cite web|url=http://www.astroarts.co.jp/news/2008/04/11titan/index-j.shtml|title=土星の衛星タイタンで、地殻の下に海が存在か|work=AstroArts|date=2008-04-11|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|last=Shiga|first=David|date=2008-03-20|url=https://www.newscientist.com/article/dn13516|title=Titan's changing spin hints at hidden ocean|work=New Scientist|accessdate=2018-11-30}}</ref>。タイタンが土星を公転するのと同じように[[重力場]]が変化していることから、液体層と殻状の氷の層が固体の核から分離されているという更なる証拠が示されている<ref>{{cite journal|doi=10.1126/science.1219631|pmid=22745254|title=The Tides of Titan|journal=Science|volume=337|issue=6093|pages=457–459|year=2012|last1=Iess|first1=L.|last2=Jacobson|first2=R. A.|last3=Ducci|first3=M.|last4=Stevenson|first4=D. J.|last5=Lunine|first5=J. I.|last6=Armstrong|first6=J. W.|last7=Asmar|first7=S. W.|last8=Racioppa|first8=P.|last9=Rappaport|first9=N. J.|last10=Tortora|first10=P.|bibcode=2012Sci...337..457I}}</ref>。[[:en:Cassini-Huygens#Instruments|RADAR]]による重力場の観測に基づく地形観測との比較<ref>{{cite journal|doi=10.1126/science.1168905|pmid=19342551|title=Size and Shape of Saturn's Moon Titan|journal=Science|volume=324|issue=5929|pages=921–923|year=2009|last1=Zebker|first1=H. A.|last2=Stiles|first2=B.|last3=Hensley|first3=S.|last4=Lorenz|first4=R.|last5=Kirk|first5=R. L.|last6=Lunine|first6=J.|bibcode=2009Sci...324..921Z}}</ref>からもまた、氷の殻が大いに硬い事が示されている{{R|Hemingway13|JPL20130828}}。
[[太陽]]から遠く離れたタイタンは表面温度が-179°Cにも達する極寒の世界で、[[生命]]の存在など到底不可能と思える環境にある。一方で、分厚い[[タイタンの大気|大気]]と豊富な[[炭素化合物]]を持つなど生命にとって有利な点もあり、生命が存在する可能性が提示されている。タイタンの地表には[[液体]]の[[水]]は存在できず、代わって液体[[メタン]]や[[エタン]]が川や湖を形作っている<ref name="tikyuugaiseimei">{{Cite book|和書 |title=地球外生命 われわれは孤独か|year=2014|publisher=岩波新書|isbn=978-4-00-431469-1|pages=143-155|author1=長沼毅|author2=井田茂}}</ref>。


タイタンに存在しうる生命としては、極寒の地表ではなく、地下で液体として存在する水の中に生息するものが考えられている。これは[[エウロパ (衛星)|エウロパ]]など他の氷衛星で考えられているものと同様の生命で、タイタンにも[[氷]]の[[地殻]]の下に[[水酸化アンモニウム|アンモニア水]]などで構成される[[海]]があるとみられており、そこに生命が存在する可能性がある<ref name="tikyuugaiseimei" />。


== 形成 ==
他方、地表の液体[[メタン]]や[[エタン]]の湖の中に、地球の生命とは全く異なる「[[代わりの生化学|水によらない生命]]」が存在するという説が提唱されている。しかし、このような生命が成立可能であるかは、[[2018年]]現在では未だ仮説の域を出ていない<ref name="tikyuugaiseimei" />。
木星と土星の衛星は、太陽系内で惑星が形成したと考えられているのと同様に、[[降着円盤|共降着]]によって形成されたと考えらえれている。若い巨大ガス惑星が形成されると、周囲を円盤状に囲んでいた物質は徐々に合体し、衛星へと成長する。木星は非常に規則的で、惑星のような軌道を持つ衛星を4個持つが(ガリレオ衛星)、タイタンは土星系を圧倒的に支配しており、共降着だけでは説明できない高い軌道離心率を持っている。タイタンの形成のために提案されたモデルでは、土星系も木星のガリレオ衛星に似た衛星群から形成され始めたが、一連の[[ジャイアント・インパクト説|巨大衝突]]によって破壊されてしまい、これらの衝突の破片から、[[イアペトゥス (衛星)|イアペトゥス]]や[[レア (衛星)|レア]]などの中規模の衛星が形成されたとされている。そのような激しい初期の状態は、タイタンの軌道離心率の高さも説明できる<ref>{{cite web|title=Giant impact scenario may explain the unusual moons of Saturn|work=Space Daily|year=2012|url=http://www.spacedaily.com/reports/Giant_impact_scenario_may_explain_the_unusual_moons_of_Saturn_999.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。


2014年、タイタンの大気中に含まれる窒素の分析から、それが土星周辺に存在する物質の共降着ではなく、[[オールトの雲]]に見られるものと同様の物質から供給された可能性がある事が示唆された<ref>{{cite press release|last=Dyches|first=Preston|last2=Clavin|first2=Whitney|title=Titan's Building Blocks Might Pre-date Saturn |url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2014-200|date=2014-06-23|publisher=PL|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
== 探査の歴史 ==
{{See also|カッシーニ (探査機)|ホイヘンス・プローブ}}
[[ファイル:Titan multi spectral overlay.jpg|left|thumb|カッシーニにより、[[紫外線]]と[[赤外線]]で撮影されたタイタンの擬似カラー画像。厚い大気の層が見える。中央から下の白っぽい一帯が “ザナドゥ”、左上の黒い一帯が “シャングリラ”]]
タイタンの詳細な画像は[[1980年]]に[[ボイジャー1号]]が撮影したものが最初だった。ボイジャー1号は冥王星探査の可能性を捨ててまでタイタンへ意図的に接近した<ref>{{Cite web|url=http://www.cgh.ed.jp/TNPJP/nineplanets/spacecraft.html|title=惑星科学のための宇宙探査機|publisher=The Nine Planets|date=1995-10-31|accessdate=2016-06-26}}</ref>にもかかわらず、濃い大気に覆われていて不明点が多いままだった。翌[[1981年]]には[[ボイジャー2号]]も土星を訪れているが、1号ほどタイタンに接近したわけではなく、タイタンの知見について大きな進展は無かった。


== 大気 ==
[[1990年代]]に入ると、[[ハッブル宇宙望遠鏡]]などによって表面の様子が少しずつ解析されるようになった。ハッブル宇宙望遠鏡により撮影された[[大陸]]のような地帯は、“Xanadu”([[ザナドゥ]]、[[桃源郷]])と名づけられている。
{{Main|タイタンの大気}}
[[File:Titan-Complex 'Anti-greenhouse'.jpg|thumb|right|upright|タイタンの大気の層の疑似カラー画像]]
タイタンは唯一濃い[[大気]]を持つ事が知られている衛星で、また、太陽系内では地球を除いて唯一[[窒素]]に富んだ大気を持っている<ref>{{cite web|title=News Features: The Story of Saturn|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/news/features/saturn-story/moons.cfm|archiveurl=https://web.archive.org/web/20051202030828/http://saturn.jpl.nasa.gov/news/features/saturn-story/moons.cfm|archivedate=2005-12-02|work=Cassini–Huygens Mission to Saturn & Titan|publisher=NASA & JPL|accessdate=2018-11-30}}</ref>。探査機カッシーニが2004年に行った観測によると、タイタンの大気は[[金星]]のように表面よりもはるかに速く移動するSuper rotatorである可能性が示唆されている<ref>{{cite web|url=http://www.astrobio.net/news/article1480.html|title=Wind or Rain or Cold of Titan's Night?|date=2005-03-11|publisher=Astrobiology Magazine|archivedate=2007-07-17|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070717081303/http://www.astrobio.net/news/article1480.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。[[ボイジャー計画|ボイジャー]]による観測では、タイタンの大気は地球のものよりも高密度で、表面での圧力は1.45[[標準気圧|atm]]である事が示されている。タイタンの大気の質量は地球の大気全体の1.19倍で{{sfnp|Coustenis|Taylor|2008|p=130}}、同じ単位表面積あたりの質量は地球の約7.3倍、密度は4倍になる{{sfnp|渡辺潤一|2013|p=167}}。不透明なもやの層は、太陽や他の光源から放出された[[可視光線]]の多くを遮断し、タイタンの表面を覆い隠している<ref>{{cite book|last=Zubrin|first=Robert|title=Entering Space: Creating a Spacefaring Civilization|location=Section: Titan|pages=163–166|publisher=Tarcher/Putnam|year=1999|isbn=1-58542-036-0}}</ref>。またタイタンの重力が弱いため、大気は地球よりもはるか上空にまで拡散されている<ref>{{cite web|title=Exploring the Surface of Titan with Cassini–Huygens|last=Turtle|first=Elizabeth P.|year=2007|publisher=Smithsonian|url=https://www.youtube.com/watch?v=cfCTmv-9GkE|accessdate=2018-11-30|deadurl=no|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130720123340/http://www.youtube.com/watch?v=cfCTmv-9GkE|archivedate=2013-07-20}}</ref>。タイタンの大気は、多くの波長の
電波では不透明で、その結果、軌道上から表面の完全な[[反射]][[スペクトル]]を得ることは不可能であった<ref>{{cite journal|last=Schröder|first=S. E.|last2=Tomasko|first2=M. G.|last3=Keller|first3=H. U.|year=2005|title=The reflectance spectrum of Titan's surface as determined by Huygens|page=726|journal=American Astronomical Society, DPS meeting No. 37, #46.15; Bulletin of the American Astronomical Society|volume=37|issue=726|bibcode=2005DPS....37.4615S}}</ref>。2004年の探査機カッシーニが到着して初めて、タイタンの表面の直接画像を得ることに成功した<ref>{{cite news|url=http://www.space.com/710-huygens-probe-sheds-light-titan.html|title=Huygens Probe Sheds New Light on Titan|last=de Selding|first=Petre|publisher=Space.com|date=2005-01-21|accessdate=2018-11-30}}</ref>。


[[File:PIA18431-SaturnMoon-Titan-SouthPoleVortex-Cloud-20121129.jpg|thumb|left|タイタンの南極で[[極循環]]するシアン化水素のガス雲(2012年11月29日撮影)]]
[[2003年]]1月5日、[[チャンドラ (人工衛星)|チャンドラ]]X線観測衛星は土星による[[かに星雲]]の食を利用し、タイタンがかに星雲から放出されている[[X線]]を遮る現象を観測した。観測結果によると大気の厚さは約880kmで、[[1980年]]のボイジャー1号の電波などによる観測結果より10 - 15%厚いため、大気が膨張した可能性が示唆された。


タイタンの大気組成は、[[窒素]](97%)、[[メタン]](2.7±0.1%)、[[水素]](0.1-0.2%)、そしてその他の微量のガスである{{sfnp|Coustenis|Taylor|2008|pp=154–155}}。微量の[[エタン]]、[[ジアセチレン]]、[[メチルアセチレン]]、[[アセチレン]]および[[プロパン]]といった[[炭化水素]]や、[[シアノアセチレン]]、[[シアン化水素]]、[[二酸化炭素]]、[[一酸化炭素]]、[[シアン]]、[[アルゴン]]、[[ヘリウム]]などのガスも含まれている{{R|Niemann05}}。炭化水素は、タイタンの大気の上層内で太陽からの[[紫外線]]によってメタンが分解された際に生成され、それが濃い橙色の霧を形成していると考えらている{{R|Waite07}}。タイタンは公転軌道の95%が土星の[[磁気圏]]内であるため、この磁気圏がタイタンの大気が[[太陽風]]によって消失されるのを防いでいるかもしれない<ref>{{cite news|last=Courtland|first=Rachel|url=https://www.newscientist.com/article/dn14717-saturn-magnetises-its-moon-titan.html |title=Saturn magnetises its moon Titan|work=New Scientist|date=2008-09-11|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
2003年冬、すばる望遠鏡に NASA の装置が取りつけられ、この衛星の激しいジェット気流が観測された<ref>[http://www.naoj.org/Pressrelease/2004/06/29/j_index.html すばる望遠鏡 土星の衛星タイタンのジェット気流―NASAの探査機計画と共同研究]</ref>。


太陽から放射されたエネルギーは、タイタンの大気中に微量に存在する全てのメタンを、太陽系の年齢よりも短期間の5億年以内にさらに複雑な炭化水素へと変換してしまう。これは、メタンが地下の貯水池またはタイタンの内部から補充されている事を示唆している<ref>{{cite journal|title=Formation and evolution of Titan’s atmosphere|last=Coustenis|first=A.|journal=Space Science Reviews|volume=116|issue=1–2|pages=171–184|year=2005|doi=10.1007/s11214-005-1954-2|bibcode=2005SSRv..116..171C}}</ref>。大気中のメタンの最終的な起源は、[[氷の火山]]の噴火によって内部から放出されたものである可能性が示されている<ref>{{cite web|title=NASA Titan – Surface|publisher=NASA|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/science/index.cfm?SciencePageID=76|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|title=Hydrocarbon lakes on Titan|year=2007|first=G.|last=Mitri|url=http://www.astro.sunysb.edu/astro/abstracts/JS09/jcl27Feb09-2.pdf|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite journal|title=Titan's methane cycle|first=Sushil K.|last=Atreyaa|first2=Elena Y.|last2=Adamsa|first3=Hasso B.|last3=Niemann|author4=Demick-Montelar, Jaime E. a|author5=Owen, Tobias C. |author6=Fulchignoni, Marcello|author7=Ferri, Francesca|author8=Wilson, Eric H.|year=2006|doi=10.1016/j.pss.2006.05.028|journal=Planetary and Space Science|volume=54|issue=12|pages=1177–1187|bibcode=2006P&SS...54.1177A}}</ref><ref>{{cite journal|journal=Nature|last=Stofan, E. R. ''et al.''|volume=445|year=2007|doi=10.1038/nature05438|pmid=17203056 |issue=7123|title=The lakes of Titan|pages=61–64|bibcode=2007Natur.445...61S}}</ref><ref>{{cite journal|title=Episodic outgassing as the origin of atmospheric methane on Titan|last=Tobie|first=Gabriel|last2=Lunine|first2=Jonathan|last3=Sotin|first3=Cristophe|journal=Nature|volume=440|issue=7080|pages=61–64|year=2006|doi=10.1038/nature04497|pmid=16511489|bibcode=2006Natur.440...61T}}</ref>。
[[ファイル:Huygens_surface_color_sr.jpg|right|thumb|180px|ホイヘンスから撮影されたタイタンの地表の映像]]


[[File:PIA18410-TitanSunsetStudies-CassiniSpacecraft-20140527.jpg|thumb|left|カッシーニによるタイタンの日没の研究は[[太陽系外惑星]]の大気への理解を深めるのに役立つ<ref>{{cite web|url=https://www.astroarts.co.jp/news/2014/05/30titan/index-j.shtml|title=系外惑星大気の観測に一石を投じる、衛星タイタンのデータ|work=AstroArts|date=2014-05-30|accessdate=2018-11-30}}</ref>。<br>(画像は想像図)]]
[[2004年]]6月30日に土星軌道に投入された[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]探査機は、7月1日からタイタンの撮影を開始した。[[レーダー]]測定、可視光と[[赤外線]]のマッピング分光計による擬似カラー画像が撮影され、初めて分厚い大気の下の地形の画像が得られた。その結果、タイタンの地表にはほとんど[[クレーター]]が無く、レーダーに黒く映る海らしきものが発見された。しかも、メタンが大気中にあるにもかかわらず、撮影された雲の中にはメタンはほとんど見つかっていない。
[[File:Titan-SaturnMoon-Maps-TraceGases-20141022.jpg|thumb|right|タイタンの大気中の[[希有元素|希有]]有機ガス(左が[[イソシアン化水素]] 、右が[[シアノアセチレン]])]]


2013年4月3日、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]はタイタンの大気の模擬研究に基づき、タイタンの大気に[[ソリン (物質)|ソリン]]と呼ばれる複雑な[[有機化合物]]が生成される可能性があると報告した{{R|PhysOrg-20130403}}。
2004年12月24日、カッシーニは小型探査機[[ホイヘンス・プローブ]]をタイタンに投下した。翌[[2005年]]1月14日にタイタン上空に到達、[[パラシュート]]を使って表面へ着陸。着陸作業中に写真撮影を行い、データを送信した。この画像には液体メタンによるものと思われる海や川、陸地・デルタ状の「河口」が写っていた。また大気成分や温度、気圧、地形など科学データを集め、カッシーニ経由で地球へ送られ、その中にはタイタンの地表を吹き渡る風の音を捉えた音声データも含まれていた。なお、ホイヘンスの着陸点は「ぬかるみ」のような場所であったという。着陸時の衝撃が弱かったことや、カメラに泥のようなものが付着しているのが理由としている。


2013年6月6日、{{仮リンク|アンダルシア天体物理学研究所|en|Instituto de Astrofísica de Andalucía}}と{{仮リンク|スペイン国立研究評議会|en|Spanish National Research Council}}の科学者は、タイタンの大気上層部から[[多環芳香族炭化水素]]を検出したと発表した{{R|IAA-20130606}}。
その後、小型探査機ホイヘンスによる観測で得られたデータ(気温、気圧、大気中のメタン濃度など)を分析した結果、タイタンの上空には目視が困難なほどの薄い雲が2層存在し、その内下層の雲からはメタンの[[霧雨]]が降っていることが明らかになった。


2013年9月30日、NASAの探査機カッシーニの赤外分光光度計(CIRS)を用いた観測によって、タイタンの大気中から[[プロペン]]が検出された<ref>{{cite web|last=Brown|first=Dwayne|last2=Neal-Jones|first2=Nancy|last3=Zubritsky|first3=Elizabeth|last4=Cook|first4=Jia-Rui|title=NASA's Cassini Spacecraft Finds Ingredient of Household Plastic in Space|url=http://www.nasa.gov/content/goddard/nasas-cassini-spacecraft-finds-ingredient-of-household-plastic-in-space/|date=2013-09-30|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref>。地球以外の惑星や衛星でプロペンが検出されたのは初めてで、またCIRSによって発見された初めての化学物質である。<!-- The detection of propene fills a mysterious gap in observations that date back to NASA's ''[[Voyager 1]]'' spacecraft's first close [[planetary flyby]] of Titan in 1980, during which it was discovered that many of the gases that make up Titan's brown haze were hydrocarbons, theoretically formed via the recombination of radicals created by the Sun's ultraviolet [[photolysis]] of methane.{{R|Waite07}}-->
なお、[[2009年]]8月からタイタンは[[春分]]に入り、北半球に光が差し込むようになったため、北半球の本格的な観測が始まっている<ref>[http://www.astroarts.co.jp/news/2009/12/22titan/index-j.shtml アストロアーツ:太陽光を反射する、タイタンの巨大な湖]</ref>。


2014年10月24日、タイタンの[[極冠]]の中からメタンが検出されたと発表された<ref>{{cite web|last=Dyches|first=Preston|last2=Zubritsky|first2=Elizabeth|title=NASA Finds Methane Ice Cloud in Titan's Stratosphere |url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=4354 |date=2014-10-24|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|last=Zubritsky|first=Elizabeth|last2=Dyches|first2=Preston|title=NASA Identifies Ice Cloud Above Cruising Altitude on Titan|url=http://www.nasa.gov/content/goddard/nasa-identifies-ice-cloud-above-cruising-altitude-on-titan|date=2014-10-24|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
== 地形 ==

[[ファイル:PIA10008 Seas and Lakes on Titan.jpg|thumb|[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]が観測した液体の湖が点在するタイタンの地表]]
{{wide image|Titan-Earth-PolarClouds-20141024.jpg|600px|メタンで形成されたタイタンの極の雲(左)と、水とその氷から形成された地球の[[真珠母雲|極成層圏雲]]の比較}}

== 気候 ==
{{Main|:en:Climate of Titan}}
[[File:Vortex on saturn's moon titan.png|thumb|left|タイタンの南極上空で極循環する大気]]
タイタンの表面温度は約94K(-179.2℃)で、この温度では、水や氷の[[蒸気圧]]は非常に低いため、わずかな量の[[水蒸気]]が存在できる領域は成層圏に限られる<ref>{{cite journal|last=Cottini|first=V.|last2=Nixon|first2=C. A.|last3=Jennings|first3=D. E.|last4=Anderson |first4=C. M.|last5=Gorius|first5=N.|last6=Bjoraker|first6=G. L.|last7=Coustenis|first7=A.|last8=Teanby|first8=N. A.|last9=Achterberg|first9=R. K.|last10=Bézard|first10=B.|last11=de Kok|first11=R.|last12=Lellouch|first12=E.|last13=Irwin|first13=P. G. J.|last14=Flasar|first14=F. M.|last15=Bampasidis|first15=G.|title=Water vapor in Titan’s stratosphere from Cassini CIRS far-infrared spectra|journal=Icarus|volume=220|issue=2|year=2012|pages=855–862|issn=0019-1035|doi=10.1016/j.icarus.2012.06.014|bibcode=2012Icar..220..855C}}</ref>。タイタンは太陽から地球の1%のエネルギーを受ける<ref>{{cite web|url=http://www.space.com/7103-titan-world-earth.html|title=Titan: A World Much Like Earth|publisher=Space.com|date=2009-08-06|accessdate=2018-11-30}}</ref>。その90%は大気に吸収されてしまうため、実質的には地球の0.1%のエネルギーしか受けない<ref>[https://arstechnica.com/science/2012/01/like-ogres-titans-atmosphere-may-have-layers/ Faint sunlight enough to drive weather, clouds on Saturn’s moon Titan] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20170403194843/https://arstechnica.com/science/2012/01/like-ogres-titans-atmosphere-may-have-layers/|date=April 3, 2017}} Between the large distance from the Sun and the thick atmosphere, Titan's surface receives about 0.1 percent of the solar energy that Earth does.</ref>。

大気中のメタンは表面に[[温室効果]]を発生させており、これが無ければタイタンの表面温度はより低温であった<ref>{{cite web|url=http://www.space.com/4968-titan-oil-earth.html|title=Titan Has More Oil Than Earth|date=2008-02-13|accessdate=2018-11-30}}</ref>。しかし逆に、タイタンの大気中のもやは太陽光の一部を宇宙区間に戻してしまい、温室効果の一部を打ち消して、表面を大気よりも著しく低温になることによって、{{仮リンク|反温室効果|en|Anti-greenhouse effect}}の発生に貢献している<ref>{{cite journal|doi=10.1126/science.11538492|first=C. P.|last=McKay|first2=J. B.|last2=Pollack|first3=R.|last3=Courtin|year=1991|title=The greenhouse and antigreenhouse effects on Titan|journal=Science|volume=253|issue=5024|pages=1118–1121|pmid=11538492}}</ref>。

[[File:PIA18420-Titan-MethaneClouds-20140722.gif|thumb|right|upright|メタンの雲(2014年7月撮影)<ref>{{cite web|last=Dyches|first=Preston|title=Cassini Tracks Clouds Developing Over a Titan Sea|url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2014-274|date=2014-08-12|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref>]]

おそらくメタンやエタン、他の単純な有機物から成るタイタンの雲は散らばっていて変化しやすいため、全体的なもやを打ち消している{{R|NinePlanets}}。ホイヘンスによる探査結果から、タイタンの大気が液体メタンやその他の有機化合物を[[雨]]として表面に降らせていることが示されている<ref>{{cite news|url=http://planetary.org/news/2005/0121_Titan_Arizona_in_an_Icebox.html|title=Titan: Arizona in an Icebox?|last=Lakdawalla|first=Emily|publisher=The Planetary Society|date=2004-01-21|archivedate=2010-02-12|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20100212062535/http://planetary.org/news/2005/0121_Titan_Arizona_in_an_Icebox.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

基本的には雲はタイタンの表面の1%を覆っているが、急速に表面の8%にまで広がるアウトバースト現象が観測されることがあり、1つの仮説として、南側が夏の間、[[日射照度]]の上昇によって生じた[[対流]]で大気が持ち上げられた結果、南側に雲が形成されたことが挙げられる。ただし、この説明では夏至の後だけでなく、春の最中でも雲の形成が観測されているという事実を説明しにくい。南極のメタン濃度の増加は、雲の大きさが急激に大きくなった事と関わっている可能性がある<ref>{{cite journal|last=Emily L. |first=Schaller|last2=Brouwn|first2=Michael E.|last3=Roe|first3=Henry G.|last4=Bouchez|first4=Antonin H.|year=2006|title=A large cloud outburst at Titan's south pole|doi=10.1016/j.icarus.2005.12.021|journal=Icarus|issue=1|pages=224–229|url=http://www.gps.caltech.edu/~mbrown/papers/ps/largecloud.pdf|volume=182|bibcode=2006Icar..182..224S}}</ref>。タイタンの南半球は2010年まで夏であったが、タイタンの季節変化を左右している土星の軌道により、タイタンの北半球が太陽光を受けるようになっている<ref>{{cite news|title=The Way the Wind Blows on Titan|date=2007-06-01|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/news/cassinifeatures/feature20070601f/|accessdate=2018-11-30|publisher=JPL|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090427110242/http://saturn.jpl.nasa.gov/news/cassinifeatures/feature20070601f/|archivedate=2009-04-27}}</ref>。季節が変わると、南極上空にあるエタンが凝縮し始めることが予想されている<ref>{{cite journal|title=Huge ethane cloud discovered on Titan|last=Shiga|first=David |journal=New Scientist|volume=313|page=1620|year=2006|url=https://www.newscientist.com/article/dn10073-huge-ethane-cloud-discovered-on-titan.html}}</ref>。

== 表面の特徴 ==
{{See also|タイタンの地形一覧}}
{{See also|タイタンの地形一覧}}
[[File:PIA21923-Titan-SaturnMoon-InfraredViews-20180718.jpg|thumb|right|タイタンの赤外線画像(2004~2017年)]]
* 地域 - 架空の[[理想郷]]にちなみ命名されている。アルベド値の高いエリアは[[ザナドゥ (タイタン)|ザナドゥ]]、[[ディルムン (タイタン)|ディルムン]]など、アルベド値の低いエリアは[[シャングリラ (タイタン)|シャングリラ]]、[[チントゥー|チントゥー(浄土)]]、[[センキョ|センキョ(仙境・仙郷)]]など。
[[File:PIA20713-Titan-SaturnMoon-LabeledFeaturesIAU-June2015.jpg|thumb|left|タイタン表面の地図(2016年8月)]]
* シャングリラ内のアルベド値の高いエリア「Facula(白斑)」には、形の似た地球の島の名がついている。初期に[[グレートブリテン島|グレートブリテン]]と仮称された白斑の正式名称は[[四国 (タイタン)|四国(シコク)]] となった。そのほか、[[ミンダナオ島|ミンダナオ]](旧[[アイルランド島|アイルランド]])、[[テセル]](旧[[マンハッタン島|マンハッタン]])、[[ケルゲレン島|ケルゲレン]]など。
{{multiple image|center|caption_align=center|header_align=center|align=left|width=125|direction=horizontal
* [[クレーター]]、[[氷の火山]] - [[ガネーシャ]]などの世界の神話の神々にちなんで命名されている。[[メンルヴァ]]クレーター(旧[[キルクス・マクシムス]]、直径392.0km)はタイタンで最大。
|image1 = PIA19657-SaturnMoon-Titan-NorthPole-20140407.jpg
* メタンの[[湖]] - 大きな「海」は[[クラーケン海|クラーケン]]と[[リゲイア海|リゲイア]]という架空の怪物から、そして小さい「湖」は[[オンタリオ湖 (タイタン)|オンタリオ湖]]などの地球の湖にちなみ命名されている。「クラーケン海」の大きさは40万平方kmで、[[カスピ海]]より大きい。
|width1 =
|caption1= <center>北極</center>
|image2 = PIA19657-SaturnMoon-Titan-SouthPole-20140407.jpg
|width2 =
|caption2 = <center>南極</center>
|footer = <center>タイタン(2014年)</center>
}}


タイタンの表面は「複雑で流体の影響を受け、そして地質学的に若い」とみなされている<ref>{{cite journal|last=Mahaffy|first=Paul R.|year=2005|title=Intensive Titan Exploration Begins|journal=Science|volume=308|issue=5724|pages=969–970|doi=10.1126/science.1113205|pmid=15890870|bibcode=2005Sci...308..969M}}</ref>。タイタンは太陽系の形成から存在していたが、その表面はそれよりも若い1~10億年前に形成されており、地質学的プロセスがタイタンの表面を再形成していたかもしれない{{R|MITResearch}}。タイタンの大気の厚さは地球の2倍あるため、可視光のスペクトルを用いた天文学的な観測器具では、その表面を観測することは難しい<ref>{{cite news|first=Taimoor|last=Tariq|title=Titan, Saturn's largest moon is finally unravelled in detail|date=2012-03-12|url=http://www.newspakistan.pk/2012/03/12/Titan-Saturn-s-largest-moon-is-finally-unravelled-in-detail/|work=News Pakistan|accessdate=2018-11-30}}</ref>。カッシーニは、赤外分光光度計、レーダー高度計、そして[[合成開口レーダー]](SAR)イメージングを用いて、タイタンの近くをフライバイしている際に一部の表面の地図を作成した。最初に作成された画像から、タイタンの表面には荒い領域と滑らかな領域があり、地質学的に多様であることが明らかになった。[[火山活動]]が起源を持つ、アンモニアが混入した水が噴き出した地形もあり、またタイタンの氷の殻はとても硬く{{R|Hemingway13|JPL20130828}}、地質学的な活動はほとんど示していない<ref>{{cite journal|doi=10.1016/j.icarus.2011.01.019|title=Titan: An exogenic world|journal=Icarus|volume=212|issue=2|pages=790–806|year=2011|last1=Moore|first1=J. M.|last2=Pappalardo|first2=R. T.|bibcode=2011Icar..212..790M}}</ref>。また、長さ数百kmに及ぶ、風によって粒子が吹き飛ばされたことによって形成されたとされる縞模様もいくつか見られる<ref>{{cite web|last=Battersby|first=Stephen|date=2004-10-29|title=Titan's complex and strange world revealed|publisher=[[New Scientist]]|url=https://www.newscientist.com/article/dn6598|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/spacecraft/overview/|title=Spacecraft: Cassini Orbiter Instruments, RADAR|work=Cassini–Huygens Mission to Saturn & Titan|publisher=JPL|accessdate=2018-11-30}}</ref>。探査では表面は比較的滑らかであることが示されており、おそらく炭化水素の雨や火山活動によってクレーターが埋められたと思われる地形が見える。レーダー高度計の観測では、標高差は低く、一般的には150m以下であることが示されている。しかし、中には標高差が500m以上の場合もあり、標高数百mから1kmに達する[[山脈]]もある<ref>{{cite journal|last1=Lorenz|first1=R. D.|last2=Callahan|first2=P. S.|last3=Gim|first3=Y.|last4=Alberti|first4=G.|last5=Flamini|first5=E.|last6=Seu|first6=R.|last7=Picardi|first7=G.|last8=Orosei|first8=R.|last9=Zebker|first9=H.|last10=Lunine|first10=J.|last11=Hamilton|first11=G.|last12=Hensley|first12=S.|last13=Johnson|first13=W. T. K.|last14=Schaffer|first14=S.|last15=Wall|first15=S.|last16=West|first16=R.|last17=Francescetti|first17=G.|year=2007|title=Titan's Shape, Radius and Landscape from Cassini Radar Altimetry|journal=Lunar and Planetary Science Conference|volume=38|url=http://www.lpi.usra.edu/meetings/lpsc2007/pdf/1329.pdf|bibcode=2007LPI....38.1329L|page=1329}}</ref>。
{{Wide image|PIA19658-SaturnMoon-TitanGlobalMap-June2015.jpg|600px|タイタンの地形図}}


タイタンの表面は大きく明るい地形と暗い地形の2つの領域に区分される。これには、赤道付近にある、[[オーストラリア大陸]]ほどの広大な[[アルベド地形|高アルベド地形]]である[[ザナドゥ (タイタン)|ザナドゥ]](Xanadu)も含まれている。ザナドゥは1994年に[[ハッブル宇宙望遠鏡]]による赤外線観測で初めて確認され、後にカッシーニでも観測された。入り組んだ領域には丘があり、谷や割れ目によって切り離されている<ref>{{cite web|url=http://www.sciencedaily.com/releases/2006/07/060721202957.htm|title=Cassini Reveals Titan's Xanadu Region To Be An Earth-Like Land|date=2006-07-23|publisher=Science Daily|accessdate=2018-11-30}}</ref>。[[尾根]]や割れ目に似た、蛇行した暗い線状の地形が十字模様のように見える。これらは地質学的活動によるものである可能性があり、ザナドゥが地質学的に若いことを示している。一方で、この線状の地形は液体によって形成された水路である可能性もあり、この場合は流水系が古い地形が横断していることが示される<ref>{{cite journal|last1=Barnes|first1=Jason W.|last2=Brown|first2=Robert H.|last3=Soderblom|first3=Laurence|last4=Buratti|first4=Bonnie J.|last5=Sotin|first5=Christophe|last6=Rodriguez|first6=Sebastien|last7=Le Mouèlic|first7=Stephane|last8=Baines|first8=Kevin H.|last9=Clark|first9=Roger|last10=Nicholson|first10=Phil|year=2006|title=Global-scale surface spectral variations on Titan seen from Cassini/VIMS|doi=10.1016/j.icarus.2006.08.021|journal=Icarus|issue=1|volume=186|url=http://c3po.barnesos.net/publications/papers/Titan.spectral.diversity.pdf|pages=242–258|bibcode=2007Icar..186..242B}}</ref>。同じような暗い地形はタイタンの他の部分でも観測されており、地上からやカッシーニによって観測されている。タイタンで2番目に大きな海である[[リゲイア海]](Ligeia Mare)は、ほぼ純粋なメタンで満たされた海である<ref>{{cite news|last=Klotz|first=Irene|url=http://www.space.com/32741-one-of-titans-strange-seas-is-nearly-pure-methane.html|title=One of Titan|work=Discovery News|publisher=Space.com|date=2016-04-28|accessdate=2018-}}</ref><ref>{{cite journal|title=Composition, seasonal change, and bathymetry of Ligeia Mare, Titan, derived from its microwave thermal emission|journal=Journal of Geophysical Research|year=2016|last=Le Gall|first=A.|last2=Malaska|first2=M. J.|doi=10.1002/2015JE004920|url=http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2015JE004920/full|bibcode=2016JGRE..121..233L|volume=121|issue=2|pages=233–251}}</ref>。
== 画像 ==
<gallery>
Image:Titan,_Earth_%26_Moon_size_comparison.jpg|タイタン、[[月]]と[[地球]]の大きさの比較


{|class="wikitable" style="margin-left: auto; margin-right: auto; border: none;"
Image:Titan's_orbit.svg|タイタンの軌道(赤)
|- style="text-align:center; vertical-align: top;"
|[[File:Titan2005.jpg|center|thumb|フライバイ中のカッシーニが撮影した画像。大きな暗い地域は[[シャングリラ (タイタン)|シャングリラ]]。]]
|[[File:Titan multi spectral overlay.jpg|center|thumb|タイタンの詳細な表面と大気を示した疑似カラー画像。ザナドゥは中央下の明るい地域。]]
|[[File:Titan globe m.jpg|center|thumb|地名も明記したタイタンの赤外線画像のモザイク画。]]
|[[File:PIA20016-SaturnMoon-Titan-20151113.jpg|center|thumb|赤外線で撮影したタイタンの合成画像。砂丘に満たされた暗い地域はフェンサリル(Fensal、北側)とアズトラン(Aztlan、南側)。]]
|}


=== 湖 ===
Image:PIA19657-SaturnMoon-Titan-NorthPole-20140407.jpg|タイタンの北極
{{Main|:en:Lakes of Titan}}
[[File:PIA22481-SaturnMoon-Titan-Lakes-20170911.jpg|thumb|left|400px|タイタンの湖(2017年9月11日)]]
[[File:PIA10008 Seas and Lakes on Titan.jpg|thumb|カッシーニのレーダーによって捉えられたタイタンの北極地域の疑似カラー画像。青色に着色されたのは液体メタン、液体エタン、液体窒素で満たされた炭化水素の海や湖、支流構造によってレーダー反射率が低くなっている地域である{{sfnp|Coustenis|Taylor|2008|pp=154–155}}。左下の大きな海は[[クラーケン海]](Kraken Mare)で、中央下がリゲイア海。]]
[[File:HRICoastLineMoasic H.jpg|thumb|ホイヘンスが撮影したタイタンの3つの水路構造。]]


タイタンに炭化水素の海が存在している可能性は、タイタンの正確な温度や組成を測定した[[ボイジャー1号]]と[[ボイジャー2号|2号]]のデータに基づいて初めて示唆されたが、しかし1995年にハッブル宇宙望遠鏡とその他の観測によって得られた観測データから、切り離された空洞に、あるいは海洋規模で液体メタンの存在が示唆されるまで、直接的な証拠は見出されなかった<ref>{{cite journal|last=Dermott|first=S. F.|last2=Sagan|first2=C.|year=1995|title=Tidal effects of disconnected hydrocarbon seas on Titan|journal=Nature|volume=374|pages=238–240|doi=10.1038/374238a0|pmid=7885443|issue=6519|bibcode=1995Natur.374..238D}}</ref>。
Image:PIA19657-SaturnMoon-Titan-SouthPole-20140407.jpg|タイタンの南極


カッシーニは、ボイジャーの観測に基づく仮説を実証することに成功した。カッシーニが2004年に土星系に到着した際、炭化水素の湖や海の水面から反射した太陽光が検出されることが期待されたが、最初はそのような[[鏡面反射]]は観測されなかった<ref>{{cite web|first=Henry|last=Bortman|url=http://saturn.astrobio.net/news/article81.html|title=Titan: Where's the Wet Stuff?|date=2004-11-02|publisher=Astrobiology Magazine|deadurl=yes|archivedate=2006-11-03|archiveurl=https://web.archive.org/web/20061103235110/http://saturn.astrobio.net/news/article81.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。南極の近くでは、[[オンタリオ湖 (タイタン)|オンタリオ湖]](Ontario Lacus)と命名された、謎めいた暗い地形も確認された<ref>{{cite news|url=http://www.planetary.org/news/2005/0628_Dark_Spot_Near_the_South_Pole_A.html|title=Dark Spot Near the South Pole: A Candidate Lake on Titan?|last=Lakdawalla|first=Emily|publisher=The Planetary Society|date=2005-06-28|deadurl=yes|archivedate=2011-06-05 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110605101239/http://www.planetary.org/news/2005/0628_Dark_Spot_Near_the_South_Pole_A.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>(後に湖であることが確認された<ref>{{cite web|title=NASA Confirms Liquid Lake On Saturn Moon|year=2008|publisher=NASA|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/cassini-20080730.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>)。海岸線の可能性がある地形も、レーダー観測を通じて極付近に確認された<ref>{{cite press release|url=http://www.spaceref.com/news/viewpr.html?pid=17829|title=NASA Cassini Radar Images Show Dramatic Shoreline on Titan|date=2005-09-16|publisher=Jet Propulsion Laboratory|accessdate=2018-11-30}}</ref>。2006年7月22日のフライバイに続いて、カッシーニは当時冬だった北緯度で、極付近にいくつかの大きく滑らかな(レーダーでは暗い)区画を撮影した{{R|PIA08630}}。2007年1月に科学者は観測に基づいて、「土星の衛星であるタイタンに、メタンで満たされた湖が存在している決定的な証拠」を発表した{{R|Stofan07}}<ref>{{cite web|url=http://www.jpl.nasa.gov/news/features.cfm?feature=1258|title=Titan Has Liquid Lakes, Scientists Report in Nature|publisher=NASA/JPL|date=2007-01-03|accessdate=2018-11-30}}</ref>。カッシーニのミッションチームは、撮影された地形はほぼ確実に長期間存在している炭化水素の湖で、地球外で初めて発見された、安定して表面に存在している液体であると結論付けた{{R|Stofan07}}。中には、液体に関連していると思われる水路もあり、地形の窪みに存在している{{R|Stofan07}}。液体の[[浸食]]による地形は比較的新しいように見え、いくつかの河川では驚くほど浸食を受けておらず、タイタンの浸食速度が非常に遅いか、あるいは最近いくつかの地理的現象が古い河床や地形を一掃した可能性がある{{R|MITResearch}}。カッシーニの観測では、湖は表面のごくわずかしか覆っておらず、タイタンは全体的に地球よりもかなり乾燥している<ref>{{cite news|url=https://www.newscientist.com/article/mg21128201.600-ethane-lakes-in-a-red-haze-titans-uncanny-moonscape.html?page=2|title=Ethane lakes in a red haze: Titan's uncanny moonscape|work=New Scientist|last=Hecht|first=Jeff|date=2011-07-11|accessdate=2018-11-30}}</ref>。ほとんどの湖は(相対的に太陽光が少ないため蒸発されにくい)極付近に集中しているが、いくつかの長年の研究により、赤道付近の砂漠地域でも炭化水素の湖が発見されている。これには、ホイヘンスが着陸した地点付近にある、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[ユタ州]]の[[グレートソルト湖]]の約半分の大きさを持つ[[シャングリラ (タイタン)|シャングリラ]](Shangri-La)も含まれる。赤道付近にある湖は、いわば「[[オアシス]]」であり、地下の[[帯水層]]から供給されている可能性がある<ref>{{cite press release|title=Tropical Methane Lakes on Saturn's Moon Titan|author=JPL|publisher=SpaceRef|year=2012|url=http://spaceref.com/news/viewpr.html?pid=37429|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
Image:Titan-Complex_'Anti-greenhouse'.jpg|タイタンの大気のもやの層


{{multiple image|caption_align=center
Image:Vortex_on_saturn's_moon_titan.png|南極の[[極循環]]
| align = left
| direction = vertical
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| image1 = PIA18430-SaturnMoon-Titan-EvolvingFeature-20140821.jpg
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| link2 = File:PIA20021-SaturnMoonTitan-MagicIsland-20160302.jpg
| caption2 =
| footer_align = center
| footer = リゲイア海の地形の変化
}}


2008年6月、カッシーニの[[:en:Cassini-Huygens#Ion and Neutral Mass Spectrometer (INMS)|イオン・中性質量分析器]]は、オンタリオ湖に液体のエタンが間違いなく存在していることを確認した<ref>{{cite web|title=Scientists Confirm Liquid Lake, Beach on Saturn's Moon Titan|last=Hadhazy|first=Adam|url=http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=liquid-lake-on-titan|work=Scientific American|year=2008|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.astroarts.co.jp/news/2008/08/11ethane_in_titan/index-j.shtml|title=タイタンの湖水に液体のエタンを検出|work=AstroArts|date=2008-08-11|accessdate=2018-11-30}}</ref>。同年12月21日、カッシーニはオンタリオ湖上空を直接飛行し、レーダーで湖面からの鏡面反射を観測した。反射の強さは、探査機の受信機を飽和させ、湖の水位が3mm以上変化しないことを示した(表面の風がとても弱いか、湖の炭化水素が粘性であることを示している)<ref>{{cite news|last=Grossman|first=Lisa|title=Saturn moon's mirror-smooth lake 'good for skipping rocks'|work=New Scientist|date=2009-08-21|url=https://www.newscientist.com/article/dn17665-saturn-moons-mirror-smooth-lake-good-for-skipping-rocks/|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite journal|last=Wye|first=L. C.|last2=Zebker|first2=H. A.|last3=Lorenz|first3=R. D.|title=Smoothness of Titan's Ontario Lacus: Constraints from Cassini RADAR specular reflection data|journal=Geophysical Research Letters|volume=36|issue=16|pages=L16201|year=2009|doi=10.1029/2009GL039588|bibcode=2009GeoRL..3616201W}}</ref>。
Image:PIA18431-SaturnMoon-Titan-SouthPoleVortex-Cloud-20121129.jpg|南極の極循環、[[シアン化水素]]の雲


[[File:Specular Spectacular (PIA18432).jpg|thumb|right|タイタンの炭化水素の海が太陽光を反射している近赤外線画像]]
Image:PIA18420-Titan-MethaneClouds-20140722.gif|メタンの雲の動画


2009年7月8日、カッシーニの可視・赤外マッピング分光光度計(VIMS)によって、15年間の冬が終わり、太陽光が入るようになった北極付近にある[[チンポー湖]](Jingpo Lacus)と呼ばれる湖から、表面が鏡のように滑らかであることを示す鏡面反射が観測された。鏡面反射は、表面が鏡のように滑らかであることを示すため、この観測結果は、レーダー画像から導き出された液体で満たされた広大な地形があるという推論が実証された<ref>{{cite web|last=Cook|first=J.-R. C.|title=Glint of Sunlight Confirms Liquid in Northern Lake District of Titan|work=Cassini mission page |publisher=NASA|date=2009-12-17|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/whycassini/cassini20091217.html|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|last=Lakdawalla|first=Emily|title=Cassini VIMS sees the long-awaited glint off a Titan lake|work=The Planetary Society Blog|publisher=Planetary Society|date=2009-12-17|url=http://planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2009/2267.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
Image:Titan-Earth-PolarClouds-20141024.jpg|タイタンの雲(左)と地球の雲(右)


2009年7月と2010年1月に行われた初期のレーダー測定では、オンタリオ湖は平均深度が0.4~3m、最大深度が3~7mと非常に浅いことが示された{{R|sdc20101217}}。対照的に、北半球のリゲイア海は、当初のレーダー観測の解析技術では、最大深度は8m以上とされていた{{R|sdc20101217}}。その後の2014年に発表された科学的分析で、タイタンにある3つの海の深さをより完全に調べたところ、最大深度が200m以上あることが示された。リゲイア海の平均深度は20~40mだが、リゲイアの他の部分では全くレーダーを反射しておらず、深度が200m以上あることを示している<ref>{{cite news|last1=Crockett|first1=Christopher|title=Cassini maps depths of Titan’s seas|url=https://www.sciencenews.org/article/cassini-maps-depths-titan%E2%80%99s-seas|work=ScienceNews|date=2014-11-17|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
Image:Titan-SaturnMoon-Maps-TraceGases-20141022.jpg|タイタンの大気の微量有機ガス、[[イソシアン化水素]](左)と[[シアノアセチレン]](右)


2013年5月、カッシーニのレーダー高度計はヴィド溝(Vid Flumina)の水路を観測し、これがタイタンで2番目に大きな炭化水素の海であるリゲイア海に繋がっている流水構造であると定義づけられた。受信されたエコーの解析では、水路は急斜面で深い(最大で570m)渓谷に位置しており、液体で満たされていることを示す強い鏡面反射が示された。これらの水路内の液体の水位上昇は、リゲイア海と同じく垂直方向に約0.7m以内で、これは冠水した河谷であるという解釈と一致する。鏡面反射は、リゲイア海の水位を超えた低示の支流でも観測され、主水路構造への水の供給と一致している。これはおそらく、液体水路の存在を示す初めての直接的な証拠であり、またタイタンで初めて観測された100m以上の深度を持つ渓谷であろう。ヴィド溝は、このように深い海で冠水しているが、より高い地表にある液体の存在を証明するために、いくつかの独立した観測が行われている<ref>{{cite journal|author=Valerio Poggiali|author2=Marco Mastrogiuseppe|author3=Alexander G. Hayes|author4=Roberto Seu|author5=Samuel P. D. Birch|author6=Ralph Lorenz|author7=Cyril Grima|author8=Jason D. Hofgartner|title=Liquid-filled Canyons on Titan|url=http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2016GL069679/abstract|journal=Geophysical Reserach Letters|year=2016|doi=10.1002/2016GL069679}}</ref>。
Image:Titan_dunes_crop.png|[[ナミブ砂漠]]の[[砂丘]](上)と[[ベレト (タイタン)|ベレト]]の砂丘(下)


カッシーニは、2006年から2011年にかけてタイタンを6回フライバイした間、タイタンの放射測定追跡と光学ナビゲーションデータの収集を行った。このデータから、研究員はタイタンの地形の変化を大まか推測することができた。タイタンの密度は、組成が岩石が約60%で水が約40%である場合と一致している。研究チームの分析によれは、タイタンが軌道を公転する間に地形が最大で10mも上昇あるいは下降することを示している。この程度の変化は、タイタンの内部が比較的変形しやすいことを意味しており、最も可能性が高いモデルは、全球を覆う海の上に主に氷から成る厚さ数十kmの殻が浮いているような構造とするものである{{R|Tides}}<ref>{{cite web|url=https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2012-190|title=Cassini Finds Likely Subsurface Ocean on Saturn Moon|publisher=NASA/JPL|date=2012-06-28|accessdate=2018-11-30}}</ref>。研究チームはの研究結果からは、以前の研究結果とも照らし合わせると、タイタンの地下の海が表面よりも100km以上深いところにある可能性が示唆されている{{R|Tides}}<ref>{{cite web|last=Puiu|first=Tibi|title=Saturn's moon Titan most likely harbors a subsurface ocean of water|work=zmescience.com web site|date=2012-06-29|url=http://www.zmescience.com/research/studies/titan-subsurface-ocean-of-water-23323/|accessdate=2018-11-30}}</ref>。2014年7月2日、NASAはタイタンの氷の下にある海の塩分濃度が[[死海]]に匹敵する可能性があると発表した{{R|JPL20140702}}<ref>{{cite journal|last=Mitri|first=Giuseppe|last2=Meriggiola|first2=Rachele|last3=Hayes|first3=Alex|last4=Lefevree|first4=Axel|last5=Tobie|first5=Gabriel|last6=Genovad|first6=Antonio|last7=Lunine|first7=Jonathan I.|last8=Zebker|first8=Howard|title=Shape, topography, gravity anomalies and tidal deformation of Titan|year=2014|journal=Icarus|doi=10.1016/j.icarus.2014.03.018|volume=236|pages=169–177|bibcode=2014Icar..236..169M}}</ref>。同年9月3日、NASAはタイタンのメタンの雨が、地下の凍結した[[クラスレート]](包摂化合物)と相互作用し、最終的に河川や湖沼に供給されるエタンやプロパンが生成される可能性があると報告した<ref>{{cite web|last=Dyches|first=Preston|last2=Mousis|first2=Olivier|last3=Altobelli|first3=Nicolas|title=Icy Aquifers on Titan Transform Methane Rainfall |url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2014-294|date=2014-09-03|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.astroarts.co.jp/news/2014/09/02titan/index-j.shtml|title=タイタンの湖につながる地下プロセスに新仮説|work-AstroArts|date=2014-09-02|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
</gallery>

<!-- 若干先述と内容が被っているので微妙 -->2016年、タイタンはリゲイア海に流れ込む一連の深い急斜面の渓谷で、液体で満たされた水路の直接的な証拠を発見した。それは先述したヴィド溝で発見され、深度は240~570mで、40度の急な斜面になっている。これらの地形はおそらく、地球の[[グランドキャニオン]]のような地殻の隆起、または海面の低下、あるいはその2つの組み合わせによって形成されたと考えられている。浸食の深さは、この地域での液体の流れが何千年も続く長期的であることを示している<ref>{{cite web|title=Cassini Finds Flooded Canyons on Titan|url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2016-207|publisher=NASA|year=2016|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

{|class="wikitable"
|-
|[[File:PIA12481 Titan specular reflection.jpg|center|frameless|upright=0.75]]
|[[File:Liquid lakes on titan.jpg|center|frameless|upright=0.625]]
|-|
| 北極地域の湖、チンポー湖の鏡面反射を捉えた赤外線画像
| [[:en:Bolsena Lacus|ボルセーナ湖]](Bolsena Lacus、右下)と他の北半球の湖
|-
|[[File:Titan 2009-01 ISS polar maps.jpg|center|frameless|upright=1.5]]
|[[File:Titan S. polar lake changes 2004-5.jpg|center|frameless|upright=1.5]]
|-
| タイタンの北半球(左)と南半球(右)の湖の数を比較した画像
| タイタンの南極付近の湖の変化を示した1年間隔で撮影された2枚の画像
|}

=== 衝突クレーター ===
[[File:Titancrater.jpg|thumb|left|タイタンにある直径139km{{R|Wood09}}のクレーターのレーダー画像。表面は平滑で、縁は起伏が多く、おそらく[[中央丘]]が存在している。]]
レーダー、合成開口レーダー、およびカッシーニの画像データからは、タイタンの表面に[[クレーター]]がほとんど存在していないことが分かっている{{R|MITResearch}}。これらのクレーターが形成されたのは、タイタンの年齢と比較して若いとされている。発見されている数少ないクレータには、カッシーニのイメージングサイエンスサブシステム(ISS)によって色は暗いが明るく観測された、メンルヴァ(Menrva)と命名されている直径392km<ref>{{cite web|title=Menrva|url=http://planetarynames.wr.usgs.gov/Feature/7025|website=Gazetter of Planetary Nomenclature|publisher=USGS, NASA, [[国際天文学連合|IAU]]|accessdate=2018-11-30}}</ref>の同心円状の二重衝突盆地も含まれる<ref>{{cite web|url=http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07365|title=PIA07365: Circus Maximus|publisher=NASA|work=Planetary Photojournal|accessdate=2018-11-30}}</ref>。より小さな、直径60kmのシンラプ(Sinlap)と名付けられている平滑なクレーターと<ref>{{cite web|url=http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07368|title=PIA07368: Impact Crater with Ejecta Blanket|publisher=NASA|work=Planetary Photojournal|accessdate=2018-11-30}}</ref>、[[中央丘]]と暗い表面を持つ、クサ(Ksa)と命名されている直径30kmのクレーターも観測された<ref>{{cite web|url=http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08737|title=PIA08737: Crater Studies on Titan|publisher=NASA|work=Planetary Photojournal|accessdate=2018-11-30}}</ref>。レーダーとカッシーニの画像からは、隕石の衝突に関連している可能性がある円形の地形が見られるが、それを「隕石」によるものだと確実に識別することはできない。例えば、カッシーニによってグァボニド(Guabonito)という名称で知られている、明るく荒い物質でできている直径90kmのリング状の地形が観測されている<ref>{{cite web|url=http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08425|title=PIA08425: Radar Images the Margin of Xanadu|publisher=NASA|work=Planetary Photojournal|accessdate=2018-11-30}}</ref>。この地形は、暗い堆積物に覆われたクレーターであると考えられている。他にも同じような地形が、シャングリラやアアル(Aaru)といった地域でも観測されている。2006年4月30日にカッシーニがタイタンをフライバイした際のレーダー観測により、高アルベド地形ザナドゥにもクレーターの可能性があるいくつかの円形の地形が観測されている<ref>{{cite web|url=http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08429|title=PIA08429: Impact Craters on Xanadu|publisher=NASA|work=Planetary Photojournal|accessdate=2018--11-30}}</ref>。

[[File:PIA19052-SaturnMoon-Titan-LigeiaMare-SAR&DespeckledViews-20150212.jpg|thumb|right|リゲイア海 – 合成開口レーダーの画像(左)とそれを補正した画像(右)<ref>{{cite journal|author=Lucas, Antoine|author2=Aharonson, Oded|author3=Deledalle, Charles|author4=Hayes, Alexander G.|author5=Kirk, Randolph|author6=Howington-Kraus, Elpitha|year=2014|title=Insights into Titan's geology and hydrology based on enhanced image processing of Cassini RADAR data|url=https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/2013JE004584|journal=Journal of Geophysical Research|volume=119|issue=10|pages=2149–2166|doi=10.1002/2013JE004584|bibcode=2014JGRE..119.2149L }}</ref>]]

タイタンのクレーターやその可能性のある地形の多くは、激しい浸食の証拠を示しており、全て地形が変化している兆候を表している{{R|Wood09}}。タイタンのクレーターの中には、太陽系内の他のクレーターよりも縁が比較的大きなものがあるにも関わらず、ほとんどの大型のクレーターの縁は欠けていたり、不完全になったりしている。他の大きな氷衛星とは異なり、Palimpsestと呼ばれる、粘弾性の地殻が緩くなった際に形成される地形はほとんど見られない{{R|Wood09}}。ほとんどのクレーターは、中央丘が欠けて滑らかな表面を持つが、これは低温溶岩の噴出や衝撃の発生によるものである可能性がある。様々な地質学的プロセスが、クレーターの数を少なくしている原因の1つである。大気による遮蔽もこれに関わっているされており、タイタンの大気は表面のクレーターの数を2倍減らすと推測されている<ref>{{cite journal|last=Ivanov|first=B. A.|last2=Basilevsky|first2=A. T.|last3=Neukum|first3=G.|year=1997|title=Atmospheric entry of large meteoroids: implication to Titan|journal=Planetary and Space Science|volume=45|issue=8|pages=993–1007|doi=10.1016/S0032-0633(97)00044-5|bibcode=1997P&SS...45..993I}}</ref>。

2007年までに得られた高分解能レーダーカバレージ(全体の22%を観測)では、クレーターが存在する位置に不均一性が示された。ザナドゥには、他の領域の2~9倍多くのクレーターが存在しているが、<!-- The leading hemisphere has a 30% higher density than the trailing hemisphere. -->赤道付近の砂丘地域や、炭化水素の湖や海が最も普遍的に存在している北極周辺では、クレーターの数は少なくなっている{{R|Wood09}}。

カッシーニによる観測以前の衝突軌道と角度のモデルから、天体が水の氷で出来た地殻に衝突した場所では、少量の噴出物がクレーター内に液体の水として存在していることが示されている。それは、「生命の起源に関わる単純な前駆体分子の合成」に十分で、何百年にも渡って液体として存在する可能性がある<ref>{{cite journal|last=Artemieva|first=Natalia|last2=Lunine|first2=Jonathan|year=2003|title=Cratering on Titan: impact melt, ejecta, and the fate of surface organics|journal=Icarus|volume=164|issue=2|pages=471–480|doi=10.1016/S0019-1035(03)00148-9|bibcode=2003Icar..164..471A}}</ref>。

=== 氷の火山と山 ===
{{See also|氷の火山}}
[[File:Tortola Facula in infrared.jpg|thumb|left|トルトラ白斑の近赤外線画像。氷の火山の可能性があると考えられている。]]
科学者達は、かなり低い温度ではあるが、タイタンの環境は初期の地球に似ていると、長い間考えてきた。2004年に、大気中から[[アルゴン|アルゴン40]]が検出され、これは[[氷の火山]]が水とアンモニアから成る「溶岩」のプルームを生成している可能性があることを示した<ref>{{cite journal|last=Owen|first=Tobias|title=Planetary science: Huygens rediscovers Titan|journal=Nature|volume=438|pages=756–757|year=2005|doi=10.1038/438756a|pmid=16363022|issue=7069|bibcode=2005Natur.438..756O}}</ref>。タイタンの表面にある湖の分布図からは、大気中のメタンが継続して存在することを説明するのに十分なメタンは存在しないことが示されており、したがって火山のようなプロセスを経て、大気にメタンが供給されなければいけないことになる<ref>{{cite web|title=Cassini Finds Hydrocarbon Rains May Fill The Lakes|author=Media Relations Office: Cassini Imaging Central Laboratory For Operations|publisher=Space Science Institute, Boulder, Colorado|year=2009|url=http://ciclops.org/view.php?id=5471&js=1|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

それでも、氷の火山であると明確に解釈できる地形は少ない{{R|Moore08}}。最初に発見されたこのような地形の1つとして、2004年にカッシーニのレーダー観測によって明らかとなった、ガネーシャ黒斑(Ganesa Macula)と呼ばれるものがあり、これは[[金星]]に見られる「{{仮リンク|パンケーキドーム|en|Pancake dome}}」と呼ばれる地形に特徴が似ており、2008年12月の[[アメリカ地球物理学連合]]でKirkらが否定するまではこの地形は低温であると考えられていた。この地形はドームではないことが判明し、これは表面の明暗の組み合わせによるものだと考えられた<ref>{{cite web|title=Shape and thermal modeling of the possible cryovolcanic dome Ganesa Macula on Titan: Astrobiological implications|last=Neish|first=C. D.|last2=Lorenz|first2=R. D.|last3=O'Brien|first3=D. P.|work=Lunar and Planetary Laboratory, University of Arizona, Observatoire de la Cote d'Azur|url=http://www.aas.org/publications/baas/v37n3/dps2005/257.htm|year=2005|accessdate=2018-11-30|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070814122704/http://www.aas.org/publications/baas/v37n3/dps2005/257.htm|archivedate=2007-08-14}}</ref><ref>{{cite web|title=Genesa Macula Isn't A Dome|last=Lakdawalla|first=Emily|publisher=The Planetary Society|year=2008|url=http://www.planetary.org/blog/article/00001771/|accessdate=2018-11-30}}</ref>。2004年に、カッシーニはトルトラ白斑(Tortola Facula)と呼ばれる異常に明るい地形も検出しており、これは氷の火山のドームであると解釈された<ref>{{cite journal|last1=Sotin|first1=C.|last2=Jaumann|first2=R.|last3=Buratti|first3=B.|last4=Brown|first4=R.|last5=Clark|first5=R.|last6=Soderblom|first6=L.|last7=Baines|first7=K.|last8=Bellucci|first8=G.|last9=Bibring|first9=J.|last10=Capaccioni|first10=F.|last11=Cerroni|first11=P.|last12=Combes|first12=M.|last13=Coradini|first13=A.|last14=Cruikshank|first14=D. P.|last15=Drossart|first15=P.|last16=Formisano|first16=V.|last17=Langevin|first17=Y.|last18=Matson|first18=D. L.|last19=McCord|first19=T. B.|last20=Nelson|first20=R. M.|last21=Nicholson|first21=P. D.|last22=Sicardy|first22=B.|last23=Lemouelic|first23=S.|last24=Rodriguez|first24=S.|last25=Stephan|first25=K.|last26=Scholz|first26=C. K.|title=Release of volatiles from a possible cryovolcano from near-infrared imaging of Titan|journal=Nature|volume=435|issue=7043|pages=786–789|year=2005|pmid=15944697|doi=10.1038/nature03596|bibcode=2005Natur.435..786S}}</ref>。2010年時点で、このような地形は他に確認されていない<ref>{{cite journal|last=LeCorre|first=L.|last2=LeMouélic|first2=S.|last3=Sotin|first3=C.|title=Cassini/VIMS observations of cryo-volcanic features on Titan|date=2008|url=http://www.lpi.usra.edu/meetings/lpsc2008/pdf/1932.pdf|journal=Lunar and Planetary Science|volume=XXXIX}}</ref>。2008年12月に天文学者は、タイタンの大気中に天候のパターンだけでは説明できない、一時的ではあるが長時間継続する異常に「明るいスポット」が2つあることを発表した{{R|longstaff}}。<!-- suggesting they were the result of extended cryovolcanic episodes. -->

2009年3月に、[[ホテイ弧状の地形]](Hotei Arcus)と呼ばれる地域で、数ヶ月に渡って明るさが変動するように見える溶岩流のような構造があることが発表された。この変動を説明するために、多くの可能性が示されたが、溶岩が表面の下から噴出し、表面から200m上まで上昇したとする場合が最も観測結果と一致している<ref>{{cite journal|title=Giant 'ice flows' bolster case for Titan's volcanoes|last=Shiga|first=David|journal=New Scientist|date=2009-03-28}}</ref>。

2006年、カッシーニよって長さ150km、幅30km、高さ1.5kmの山脈が発見された。この山脈は南半球に位置しており、氷から構成されメタンの雪で覆われている。おそらく、衝突盆地の影響を受けた地形プレートの動きによって形成された、割れ目の下から持ち上げられた物質によって形成されたとされている<ref>{{cite news|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6174501.stm|title=Mountain range spotted on Titan|work=[[BBC]] News|date=2006-12-12|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.astroarts.co.jp/news/2006/12/14moutains_titan/index-j.shtml|title=タイタンにこれまででもっとも高い山脈を発見|work=AstroArts|date=2006-12-12|accessdate=2018-11-30}}</ref>。カッシーニの探査以前は、科学者はタイタンの大部分の地形は、衝突によるものであると考えていたが、地質学的プロセスによって山が形成されたことが示された<ref>{{cite news|url=http://newswise.com/articles/view/536441/|title=Mountains Discovered on Saturn's Largest Moon|work=Newswise|accessdate=2018-11-30}}</ref>。2010年12月、カッシーニのミッションチームは、発見してきた中で最も関心をそそられる、氷の火山の可能性がある地形を発表した。ソトラ白斑(Sotra Facula)と命名されている領域で、そこには少なくとも3つの山脈が確認されており、それぞれ1,000~1,500mの高さを持ち、いくつかは大きなクレーターによって覆われている。この地形の周りの表面は凍った溶岩の流れのように見える<ref>{{cite web|title=Saturn Moon Has Ice Volcano—And Maybe Life?|first=Richard A.|last=Lovett|work=[[ナショナルジオグラフィック|National Geographic]]|url=http://news.nationalgeographic.com/news/2010/12/101215-saturn-moon-titan-ice-volcano-nasa-science-pictures/|year=2010|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

タイタンで最も標高が高い領域の大部分は、赤道付近でいわゆる「尾根の帯」を形成している。これらは、[[ロッキー山脈]]や[[ヒマラヤ山脈]]のようなプレートの衝突やねじれによってできた地形、あるいは[[アンデス山脈]]のような、降下するプレートから表面へ溶岩(または氷の溶岩)が上昇する[[沈み込み帯]]に類似している地形であると考えられている。これらの地形を形成させた要因の一つとして、土星からの[[潮汐力]]がある。タイタンの氷のマントルは、地球のマグマのマントルより粘性が低く、氷の岩盤は地球の[[花崗岩]]の岩盤より硬度が小さいため、タイタンの山の標高が地球よりも高くなることはない。2016年に、カッシーニのミッションチームは、タイタンで最も標高が高いと思われる山を発見したと発表した。それはミスリム山脈(Mithrim Montes)に位置しており、標高は3,337mである<ref>{{cite web|title=Cassini Spies Titan's Tallest Peaks|url=http://www.nasa.gov/feature/jpl/cassini-spies-titans-tallest-peaks|publisher=NASA|year=2016|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

[[File:Sotra Facula.jpg|thumb|right|カッシーニの可視・赤外マッピング分光光度計 (VIMS) が撮影した、ソトラ白斑にある氷の火山の可能性がある地形の擬似カラー画像。高さ1,000mの山と深さ1,500mのクレーターを基に組み合わせた立体画像。]]

仮にタイタンに火山活動が存在していることが事実ならば、地球と同じような、マントルの[[放射性元素]]の崩壊から放出されるエネルギーが引き起こされているという仮説がある{{R|longstaff}}。地球上のマグマは、それが噴出する固体岩質の地殻よりも密度が低い液体岩で出来ている。氷は水よりも密度が低いため、タイタンの水のマグマは硬い氷の地殻よりも密度が高くなる。これは、タイタンで氷の火山が形成されるには、おそらく土星からの[[潮汐加熱]]を介する大量のエネルギーを必要とすることを示している{{R|longstaff}}。[[硫酸アンモニウム]]を覆う低圧の氷の浮上と、不安定な構造は劇的なプルーム現象を発生させることがある。タイタンは、粒状の氷と硫酸アンモニウムの灰のプロセスを経て表面が更新され、また[[風食]]による景観や[[砂丘]]といった地形を形成させる<ref>{{cite journal|last=Fortes|first=A. D.|last2=Grindroda|first2=P. M.|last3=Tricketta|first3=S. K.|last4=Vočadloa|first4=L.|year=2007|title=Ammonium sulfate on Titan: Possible origin and role in cryovolcanism|journal=Icarus|volume=188|issue=1|pages=139–153|doi=10.1016/j.icarus.2006.11.002|bibcode=2007Icar..188..139F}}</ref>。

2008年、[[エイムズ研究センター]]の惑星地質学者Jeffrey Mooreは、タイタンの地質について異なる見解を提案し、これまでタイタンで火山とおぼしき特徴が明瞭に特定できていないことを示して、衝突クレーターや、河床の侵食、{{仮リンク|崩壊作用|en|Mass wasting}}およびその他の外因によるプロセスのみで形成された、地質学的に「死んだ世界」であると主張した。この仮説によると、大気中のメタンは火山から放出されたものではなく、冷たくて硬い内面からゆっくりと拡散されたものになる。ガネーシャ黒斑は、中央に暗い砂丘がある侵食された衝突クレーターかもしれない。いくつかの地域で観測された山岳隆起は、大きな多重リング状衝突構造の激しく劣化した絶壁として、または内部が徐々に冷却されたことによる全体的な収縮の結果として説明できる。ただこの場合でも、核の中の放射性元素の崩壊によって説明できるほど低い、176K(-97℃)という低温の環境下で水とアンモニアの共晶化合物成る海が内部に存在していられる余地は残されている。高アルベド地域のザナドゥは、木星の衛星カリストの表面で観測されたものと同様に、激しく崩壊された地形である可能性がある。このシナリオでは、カリストの地形はタイタンの地質学的モデルを調べる上で役立つかもしれない。Jeffrey Mooreは、このことからタイタンを''Callisto with weather''とも呼んだ{{R|Moore08}}<ref>{{cite web|last=Lakdawalla|first=Emily|authorlink=Emily Lakdawalla|title=AGU: Titan: Volcanically active world, or "Callisto with weather?|url=http://www.planetary.org/blog/article/00001775/|accessdate=2018-11-30|publisher=The Planetary Society|date=2008-12-17}}</ref>。

顕著な山と丘の多くは、[[国際天文学連合]]によって公式名称が付与されている。[[ジェット推進研究所]]によれば、「慣例により、タイタンの山々は[[J・R・R・トールキン]]のファンタジー小説の架空の世界である[[中つ国 (トールキン)|中つ国]]から名づけられている」。Colles(丘の集まり)は、同じトールキンの作品の登場人物から名づけられている<ref>{{cite web|title=Mountains of Titan Map – 2016 Update|url=https://saturn.jpl.nasa.gov/resources/71|publisher=JPL|date=2016-03-23|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

=== 暗赤道地形 ===
[[File:Titan dunes crop.png|thumb|left|upright|地球の[[ナミブ砂漠]](上)と、タイタンのベレト(Belet、下)の砂丘の比較]]
2000年代の初めに、地上の望遠鏡によって観測された最初のタイタンの表面の画像から、暗く大きな領域が赤道を跨いで存在していることが明らかになった<ref>{{cite journal|last=Roe|first=H. G.|year=2004|bibcode=2004GeoRL..3117S03R|title=A new 1.6-micron map of Titan's surface|journal=Geophys. Res. Lett.|volume=31|issue=17|page=L17S03|doi=10.1029/2004GL019871}}</ref>。カッシーニが到着する前は、これが炭化水素の海であると考えられていた<ref>{{cite journal|title=The Glitter of Distant Seas|last=Lorenz|first=R.|journal=Science|year=2003|volume=302|pages=403–404|doi=10.1126/science.1090464|pmid=14526089|issue=5644}}</ref>。カッシーニによって得られたレーダー画像から、この領域はいくつかの盾向きの砂丘で覆われた広大な平野であることが判明し、最大で高さは100m{{R|Saharan}}、幅は1km、長さは数百kmにもなる<ref>{{cite journal|last=Lorenz|first=R. D.|title=Winds of Change on Titan|journal=Science|volume=329|issue=5991|pages=519–520|year=2010|pmid=20671175|doi=10.1126/science.1192840|bibcode=2010Sci...329..519L}}</ref>。このタイプの砂丘は常に、平均的な風向きに向かって整列している。タイタンの場合、安定した帯状(東向き)の風と変化する[[大気潮汐|潮汐風]](風速約0.5m/s)が組み合わされている{{R|Lorenz06}}。この風は、地球が月から受ける潮汐力よりも400倍強い、土星からの潮汐力による結果であり、風を赤道に向かって動かす傾向がある。この風のパターンは理論化されており、西から東に平行に伸びる砂丘に、徐々に表面に粒状物質を蓄積させていく。砂丘は、風向きが変わる山の周辺で途切れている。

最初は、縦(または)直線の砂丘は、一方的な通常の風向きに沿うか、または異なる2つの方向に吹く風の間で、適度に交互で変化する風によって形成されると推定されていた。その後の観測では砂丘は東向きになっているが、気候シミュレーションではタイタンの表面の風は西に向かって吹いていることが示されている。また風速1m/s未満の風では、表面の物質を持ち上げて[[運搬]]するのには不十分である。最近のコンピューターシミュレーションでは、砂丘はタイタンが[[春分]]を迎えている間、15年ごとに発生する稀な嵐によって形成される可能性がある<ref>{{cite web|title=Violent Methane Storms on Titan May Explain Dune Direction|publisher=Spaceref|year=2015|url=http://spaceref.com/saturn/violent-methane-storms-on-titan-may-explain-dune-direction.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。この嵐は、強い降下物を作り、表面に達すると最大で風速10m/sで東へ流れていく。

タイタンの「砂」は、地球上の砂のような[[ケイ酸塩]]の小さな粒子で構成されていない可能性が高く<ref>{{cite web|title=Cassini Sees the Two Faces of Titan's Dunes|url=http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2012-021|publisher=JPL|accessdate=2018-11-30}}</ref>、液状のメタンの雨や、水や氷の岩盤が腐食したときに形成された可能性がある。あるいは、砂はタイタンの大気中の光化学反応によって生成された、[[ソリン (物質)|ソリン]]と呼ばれる有機固体物に由来していることも考えられる{{R|Saharan|Lorenz06}}<ref>{{cite journal|title=Linear Dunes on Titan|last=Lancaster|first=N.|journal=Science|year=2006|volume=312|pages=702–703|doi=10.1126/science.1126292|pmid=16675686|issue=5774}}</ref>。2008年5月に、砂丘の組成が調べられたところ、タイタンの他の領域よりも水分が少なく、有機の[[すす]]のような炭化水素重合物が表面に降り積もっていることが明らかになった<ref>{{cite web|title=Titan's Smoggy Sand Grains|publisher=JPL|year=2008|url=http://www.jpl.nasa.gov/news/features.cfm?feature=1679|accessdate=2018-11-30}}</ref>。計算によれば、タイタンの砂の密度は地球上の砂の3分の1とされている<ref>{{cite web|title=Dunes on Titan need firm winds to move|publisher=Spaceref|year=2015|url=http://spaceref.com/saturn/dunes-on-titan-need-firm-winds-to-move.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。この低密度と大気の乾燥は、[[静電気]]の蓄積によって粒子が集まって塊にさせる可能性がある。「粘着性」は、依然として季節風によるより強い風によって東へ吹き流されることはあるが、タイタンの表面近くを吹く、小さな風によって砂丘が移動することを難しくさせているかもしれない<ref>{{cite journal|title=Electrified sand could explain Titan's backward dunes|last=|first=|journal=New Scientist|date=2017-04-01|volume=|pages=18|doi=|pmid=|issue=}}</ref>。

春分の前後では、強力な[[ダウンバースト]]がミクロサイズの有機固体粒子を砂丘から持ち上げて、タイタンの砂嵐を発生させることができる。赤外線では、短命で強烈な輝きとして観測される<ref>{{cite journal|last1=Rodriguez|first1=S.|last2=Le Mouélic|first2=S.|last3=Barnes|first3=J. W.|last4=Kok|first4=J. F.|last5=Rafkin|first5=S. C. R.|last6=Lorenz|first6=R. D.|last7=Charnay|first7=B.|last8=Radebaugh|first8= J.|last9=Narteau|first9=C.|last10=Cornet|first10=T.|last11=Bourgeois|first11=O.|last12=Lucas|first12=A.|last13=Rannou|first13=P.|last14=Griffith|first14=C. A.|last15=Coustenis|first15=A.|last16= Appéré|first16=T.|last17=Hirtzig|first17=M.|last18=Sotin|first18=C.|last19=Soderblom|first19=J. M.|last20= Brown|first20=R. H.|last21=Bow|first21=J.|last22= Vixie|first22= G.|last23= Maltagliati|first23=L.|last24=Courrech du Pont|first24=S.|last25=Jaumann|first25=R.|last26=Stephan|first26= K.|last27=Baines|first27=K. H.|last28=Buratti|first28=B. J.|last29=Clark|first29=R. N.|last30=Nicholson|first30=P. D.|title=Observational evidence for active dust storms on Titan at equinox|journal=Nature Geoscience|year=2018|doi=10.1038/s41561-018-0233-2}}</ref>。

[[File:PIA22484-SaturnMoon-Titan-3DustStorms-20180924.jpg|thumb|400px|center|<center>タイタンでは、2009年から2010年の間に3回の砂嵐が検出されている<ref>{{cite web|last1=McCartney|first1=Gretchen|last2=Brown|first2=Dwayne|last3=Wendel|first3=JoAnna|last4=Bauer|first4=Markus|title=Dust Storms on Titan Spotted for the First Time|url=https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=7243|date=2018-09-24|work=NASA|accessdate=2018-11-30}}</ref></center>]]

== 観測と探査 ==
[[File:Titan's thick haze layer-picture from voyager1.jpg|thumb|right|upright|ボイジャー1号が撮影したタイタンの煙霧'(1980年撮影)]]
タイタンは肉眼で観望することはできないが、小さな望遠鏡や強力な[[双眼鏡]]を用いれば観測することができる。アマチュアによる観測ではタイタンは明るく輝く土星本体と環の近くにあるため、観測することは難しいが、接眼レンズの一部を覆い、明るい惑星を隠すための遮蔽棒(Occulting bar)を用いると、視覚は大幅に改善される{{sfnp|Benton|2005|pp=141-146}}。タイタンの最大視等級は8.2等{{R|arval}}で、平均視等級は8.4等{{R|jpl_satellite}}。これと比較して、大きさが似通っている木星の衛星ガニメデは4.6等である{{R|jpl_satellite}}。

宇宙時代以前の、タイタンに関する観測は限られていた。1907年、[[スペイン]]の天文学者[[ホセ・コマス・ソラ]]は、タイタンの表面に大気が存在していることを示す初めての証拠である[[周辺減光]]を観測した。1944年に[[ジェラルド・カイパー]]は、[[分光観測]]を用いてタイタンの大気内のメタンを検出した<ref>{{cite journal|last=Kuiper|first=G. P.|year=1944|title=Titan: a Satellite with an Atmosphere|journal=Astrophysical Journal|volume=100|doi=10.1086/144679|page=378|bibcode=1944ApJ...100..378K}}</ref>。

[[File:NASA-Cassini-Saturn-TitanFlybyTests-20140617.jpg|thumb|left|タイタンをフライバイしているカッシーニの無線通信電波の研究(想像図)]]

土星系を最初に訪れた探査機は、1979年に到着した[[パイオニア11号]]だった。パイオニア11号の観測により、タイタンは生物の存在を支えるにはあまりにも低温であることが明らかになった<!-- <ref>{{cite web|date=2007-03-26|title=The Pioneer Missions |publisher=NASA, Jet Propulsion Laboratory|work=Pioneer Project|url=http://www.nasa.gov/centers/ames/missions/archive/pioneer.html|deadurl=no|archiveurl=http://cc.bingj.com/cache.aspx?q=%e6%83%91%e6%98%9f%e7%a7%91%e5%ad%a6%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e5%ae%87%e5%ae%99%e6%8e%a2%e6%9f%bb%e6%a9%9f&d=4855174550258973&mkt=ja-JP&setlang=ja-JP&w=R0kKKI4jPVOf4Ldm-2DjHQNrvqQPcYL8|archivedate=2018-09-01|accessdate=2018-11-30}}</ref>-->。1979年半ばから後半にかけて、土星とタイタンのものを含むタイタンの画像が撮影されたが<ref>{{cite web|title=Pioneer XI|publisher=NASA|work=Photo Index|url=ftp://ftp.hq.nasa.gov/pub/pao/images/index/photoindex/pioneer11.htm|accessdate=2018-11-30}}</ref>、ボイジャーがすぐにさらに高解像度の画像が撮影した。

タイタンは1980年の[[ボイジャー1号]]、1981年の[[ボイジャー2号]]の両方で観測された。ボイジャー1号の軌道は、[[冥王星]]探査の可能性を捨ててまで探査機が大気の密度や組成、温度を求められ、タイタンの正確な質量の測定値を得ることができる最適なフライバイをするように設定されていた{{sfnp|Bell|2015|pp=93}}<ref>{{cite web|url=http://www.cgh.ed.jp/TNPJP/nineplanets/spacecraft.html|title=惑星科学のための宇宙探査機|publisher=The Nine Planets|date=1995-10-31|accessdate=2018-11-30}}</ref>。大気の曇りは、2004年にボイジャー1号のオレンジフィルターで撮影された画像を中心にデジタル処理することで、現在はハッブル宇宙望遠鏡によって赤外線で観測されているザナドゥやシャングリラとして知られる、地形の明暗の手かがりが明らかになったが<ref>{{cite journal|last=Richardson|first=J.|last2=Lorenz|first2=Ralph D.|last3=McEwen|first3=Alfred|title=Titan's Surface and Rotation: New Results from Voyager 1 Images|journal=Icarus|year=2004|volume=170|issue=1|pages=113–124|doi=10.1016/j.icarus.2004.03.010|bibcode=2004Icar..170..113R}}</ref>、表面を直接、処理化することはできなかった。ボイジャー1号のタイタンへのフライバイが不可能だった場合に、代わりにフライバイを実行する予定だったボイジャー2号は、タイタンの近くは通過せず、[[天王星]]そして[[海王星]]へと向かった{{sfnp|Bell|2015|pp=94}}。

=== カッシーニ・ホイヘンス ===
{{Main|カッシーニ (探査機)|ホイヘンス・プローブ}}
{{double image|right|Titan and rings PIA14909.jpg|125|PIA08391 Epimetheus, Rings and Titan.jpg|175|カッシーニが撮影した、[[土星の環]]の前にあるタイタンの画像|カッシーニが撮影した、環と[[エピメテウス (衛星)|エピメテウス]]の後ろにあるタイタンとの画像}}
ボイジャーによってもたらされたデータでさえ、大気圏の中の詳細な観測が困難な、謎の大型衛星とされていた。17世紀の観測以来、タイタンを取り巻いていた謎は、クリスティアーン・ホイヘンスと[[ジョヴァンニ・カッシーニ]]の名がとられた探査機によって明らかにされた。

カッシーニは2004年7月1日に土星に到着し、レーダーでタイタンの表面の地図を作成する観測を開始した。[[欧州宇宙機関]](ESA)と[[アメリカ航空宇宙局]](NASA)の共同プロジェクトであるカッシーニは大きな成功を収めた。カッシーニは2004年10月26日にタイタンの上空わずか1,200kmを飛行し、肉眼では見えない表面の明暗の斑点の、最高解像度の画像を撮影した。

2006年7月22日、カッシーニは初めてタイタンを目標とした近接フライバイを行い、タイタンの上空950kmまで接近し、最もタイタンに接近したフライバイは2010年6月21日に行われ、880kmまで接近した<ref>{{cite web|title=Cassini Equinox Mission: Titan Flyby (T-70) – June 21, 2010|publisher=NASA/JPL|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/mission/flybys/titan20100621/|accessdate=2018-11-30|deadurl=yes|archiveurl=https://www.webcitation.org/6BMBVOZaSurl=http://saturn.jpl.nasa.gov/mission/flybys/titan20100621/|archivedate=2012-10-12}}</ref>。カッシーニによる探査で。北極付近の湖や海に、大量の液体が存在していることが明らかになった{{R|PIA08630}}。

==== ホイヘンスの着陸 ====
{{double image|left|Huygens surface color.jpg|150|Huygens_surface_color_sr.jpg|150|ホイヘンスが撮影したタイタンの表面の''[[in situ]]''画像。[[火星]]よりも遠くの天体の表面を捉えた唯一の画像である。|コントラストを強調した同じ画像}}
2005年1月14日に、着陸機ホイヘンスはタイタンに着陸し<ref>{{cite journal|first=Steve|last=Lingard|last2=Norris|first2=Pat|url=http://www.ingenia.org.uk/ingenia/articles.aspx?Index=317 |title=How To Land on Titan|issue=23|year=2015|publisher=Ingenia}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/cassini-011405.html|title=NASA Salutes Successful Huygens Probe|work=NASA Mission News|date=2005-01-14|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Cassini-Huygens/Europe_reaches_new_frontier_Huygens_lands_on_Titan|title=Europe reaches new frontier - Huygens lands on Titan|work=ESA Cassini-Huygens News|date=2005-01-14|accessdate=2018-11-30}}</ref>、過去のある時点で流体によって形成されたように見える多くの表面の特徴を発見した<ref>{{cite web|url=http://saturn.jpl.nasa.gov/operations/index.cfm|title=Cassini at Saturn: Introduction|accessdate=2018-11-30|work=NASA/JPL}}</ref>。これによりタイタンは宇宙探査機が着陸した、地球から最も遠い天体となった<ref>{{cite web|url=http://www.spacetoday.org/SolSys/Saturn/SaturnHuygens.html|title=Huygens Exposes Titan's Surface|accessdate=2018-11-30|work=Space Today}}</ref>。

ホイヘンスは、現在は[[アディリ (タイタン)|アディリ]](Adiri)と呼ばれている地域の最東端付近に着陸した。ホイヘンスは、暗い平野に流れ込む暗い「川」を持つ淡い丘を撮影し、現在では丘(高地とも呼ばれる)は主に水の氷から成ると考えられている。太陽からの紫外線によって、大気の上層内に生成される暗い有機化合物が、タイタンの大気から降水として表面にもたらされる可能性がある。これらはメタンの雨により、丘を洗い流され、地質学的な時間スケールを経て平原に堆積していくとされている{{R|Seeing_Touching_Titan-ESA}}。

着陸後、ホイヘンスは、水の氷で構成されている小さな岩や小石で覆われた暗い平原を撮影した{{R|Seeing_Touching_Titan-ESA}}。コントラストを強調した画像の中央下にある2つの石は、予想されていたものよりも小さく、左側にある石は長さ15cm、中央にあるのは長さ4cmであり、ホイヘンスからは約85cm離れている。岩の底には侵食の形跡があり、河川の活動による可能性が示されている。表面は元々予想されていたものよりも暗く、水と炭化水素の氷の混合物で構成されている。画像中に見える「土壌」は、炭化水素の雲からの降水によるものと解釈されている。

2007年3月、NASA、ESA、[[国際宇宙空間研究委員会]](COSPAR)は、ホイヘンスの着陸地点を、ESAの前長官の名に因んで''Hubert Curien Memorial Station''と命名した<ref>{{cite web|url=http://www.esa.int/esaCP/SEM9GNN0LYE_index_0.html|title=Huygens landing site to be named after Hubert Curien|work=ESA|date=2007-03-05|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

=== 提案と概念的計画 ===
[[File:TSSM-TandEM-Montgolfiere.jpg|thumb|right|upright|タイタン・サターン・システム・ミッションで提案された気球(イラスト)]]
近年、タイタンに[[宇宙探査機]]を送り込むために提案された、いくつかの概念的なミッションが存在している。NASA、ESA、[[ジェット推進研究所]](JPL)によるこのようなミッションのための初期の概念的な作業は完了しているが、現在、これらの提案のいずれも資金援助は受けていない。

[[タイタン・サターン・システム・ミッション]](TSSM)は、土星の衛星を探査するために、NASAとESAが共同で提案したものである<ref>{{cite web|title=Mission Summary: TANDEM/TSSM Titan and Enceladus Mission|work=ESA|year=2009|url=http://sci.esa.int/science-e/www/area/index.cfm?fareaid=106|accessdate=2018-11-30}}</ref>。TSSMでは、タイタンの大気中に6ヶ月間、気球を浮遊させ続けることが予定されている。資金の調達を巡って[[EJSM|エウロパ・ジュピター・システム・ミッション]](EJSM)と競合していたが、2009年2月にESAとNASAは、TSSMよりもEJSMの方を優先させることが発表された<ref>{{cite news|last=Rincon|first=Paul|date=2009-02-18|title=Jupiter in space agencies' sights|work=BBC News|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7897585.stm|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

提案されていた[[タイタン表層海探査]](TiME)は、北半球の表面にある湖の水面に3~6ヶ月間浮かせる、低コストの着陸機である<ref>{{cite web|url=http://www.kiss.caltech.edu/workshops/titan2010/presentations/aharonson.pdf|title=TiME: Titan Mare Explorer|accessdate=2018-11-30|last=Stofan|first=Ellen|year=2010|publisher=Caltech|deadurl=yes|archiveurl=https://www.webcitation.org/67tgL2nVf?url=http://www.kiss.caltech.edu/workshops/titan2010/presentations/aharonson.pdf|archivedate=2012-05-24}}</ref><ref>{{cite news|first=Kate|last=Taylor|title=NASA picks project shortlist for next Discovery mission|date=2011-05-09|url=http://www.tgdaily.com/space-features/55816-nasa-picks-project-shortlist-for-next-discovery-mission|work=TG Daily|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite news|first=Nell|last=Greenfieldboyce|title=Exploring A Moon By Boat|date=2009-09-16|publisher=National Public Radio (NPR)|url=https://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=112835248|accessdate=2018-11-30}}</ref>。TiMEは、NASAの[[ディスカバリー計画]]の12番目の候補ミッションとして、2011年にPhase-A設計検討に選ばれたが<ref>{{cite web|website=NASA Discovery Program|url=https://discovery.msfc.nasa.gov/news/index.cfml?ID=1034|title=NASA Announces Three New Mission Candidates|date=2011-05-05|accessdate=2018-11-30}}</ref>、選定はされなかった<ref>{{cite news|url=http://www.washingtonpost.com/national/health-science/nasa-will-send-robot-drill-to-mars-in-2016/2012/08/20/43bf1980-eaef-11e1-9ddc-340d5efb1e9c_story.html|title=NASA will send robot drill to Mars in 2016|work=[[ワシントン・ポスト|Washington Post]]|first=Brian|last=Vastag|date=2012-08-20|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

[[アイダホ大学]]の科学者であるJason Barnesによって2012年初頭に提案された、もう1つのミッションは、タイタンの大気中で無人飛行機(または[[無人航空機|ドローン]])を飛行させて表面の高解像度の画像を撮影する{{仮リンク|AVIATR|en|AVIATR}}(Aerial Vehicle for In situ and Airborne Titan Reconnaissance)である。しかしNASAは、要求された資金7億1500万ドルを承認しておらず、計画の今後については不確実である<ref>{{cite web|url=http://www.universetoday.com/92286/aviatr-an-airplane-mission-for-titan/|title=AVIATR: An Airplane Mission for Titan|work=Universe Today|date=2012-01-02|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.nbcnews.com/id/45946425/ns/technology_and_science-innovation/t/soaring-titan-drone-designed-scout-saturns-moon/#.USyd4VF3_qI |title=Soaring on Titan: Drone designed to scout Saturn's moon|work=NBC News|date=2012-01-10|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

2012年後半、[[スペイン]]の民間エンジニアリング会社''SENER''と''the Centro de Astrobiología in Madrid''は、湖に着陸する別の[[ランダー]]の概念的な設計を提案した。この探査機は{{仮リンク|TALISE|en|Titan Lake In-situ Sampling Propelled Explorer}}と呼ばれている<ref>{{cite book|chapter=TALISE: Titan Lake In-situ Sampling Propelled Explorer|title=European Planetary Science Congress 2012|editor-first=I.|editor-last=Urdampilleta|editor2-first=O.|editor2-last=Prieto-Ballesteros|editor3-first=R.|editor3-last=Rebolo|editor4-first=J.|editor4-last=Sancho|publisher=EPSC Abstracts|year=2012|volume=7, EPSC2012-64 2012|url=http://meetingorganizer.copernicus.org/EPSC2012/EPSC2012-64.pdf}}</ref><ref>{{cite news|first=Elizabeth|last=Landau|title=Probe would set sail on a Saturn moon|date=2012-10-09|url=http://lightyears.blogs.cnn.com/2012/10/09/probe-would-set-sail-on-a-saturn-moon/?hpt=hp_mid|work=CNN – Light Years|accessdate=2018-11-30}}</ref>。TiMEと比較して大きく異なる点は、TALISEでは自身を動かすことができる推進システムが構想されているため、着水する際に単に漂流されるだけではないということである。

ディスカバリー計画の13番目の候補ミッションとして、タイタンとエンケラドゥスの[[惑星の居住可能性|居住可能性]]を調べる[[宇宙生物学]]土星周回探査機{{仮リンク|Journey to Enceladus and Titan|en|Journey to Enceladus and Titan}}が提案されたが<ref>{{cite conference|last=Sotin|first=C.|last2=Altwegg|first2=K.|last3=Brown|first3=R. H.|display-authors=etal|title=JET: Journey to Enceladus and Titan|url=http://www.lpi.usra.edu/meetings/lpsc2011/pdf/1326.pdf|conference=42nd Lunar and Planetary Science Conference|publisher=Lunar and Planetary Institute|year=2011 }}</ref><ref>{{cite conference|last=Matousek|first=Steve|last2=Sotin|first2=Christophe|last3=Goebel|first3=Dan|last4=Lang|first4=Jared|title=JET: Journey to Enceladus and Titan|url=http://lcpm10.caltech.edu/pdf/session-5/3_JET-LCPM-130618-Matousek-final.pdf|conference=Low Cost Planetary Missions Conference|publisher=California Institute of Technology|date=June 18–21, 2013}}</ref><ref>{{cite news|last=Kane|first=Van|title=Discovery Missions for an Icy Moon with Active Plumes|url=http://www.planetary.org/blogs/guest-blogs/van-kane/20140402-discovery-missions-for-an-icy-moon-with-plumes.html|work=The Planetary Society|date=2014-04-03|accessdate=2018-11-30}}</ref>、最終的には選定されなかった<ref>{{cite news|url=https://www.nasa.gov/press-release/nasa-selects-two-missions-to-explore-the-early-solar-system/|title=NASA Selects Two Missions to Explore the Early Solar System|date=2017-01-04|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

2015年、{{仮リンク|NASA Institute for Advanced Concepts|en|NASA Institute for Advanced Concepts}}(NIAC)は、タイタンの海を探索する[[潜水艦]]の設計研究にPhase II助成金を付与した<ref>{{cite web|url=https://www.nasa.gov/content/titan-submarine-exploring-the-depths-of-kraken/|title=Titan Submarine: Exploring the Depths of Kraken|first=Loura|last=Hall|date=2014-05-30|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|last=Lewin|first=Sarah|date=2015-07-15|url=http://www.space.com/29953-titan-submarine-nasa-niac-proposals.html|title=NASA Funds Titan Submarine, Other Far-Out Space Exploration Ideas|work=Space.com|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>Lorenz, R. D.; Oleson, S.; Woytach, J.; Jones, R.; Colozza, A.; Schmitz, P.; Landis, G.; Paul, M.; and Walsh, J. (March 16–20, 2015). "Titan Submarine: Vehicle Design and Operations Concept for the Exploration of the Hydrocarbon Seas of Saturn's Giant Moon", ''46th Lunar and Planetary Science Conference'', The Woodlands, Texas. LPI Contribution No. 1832, p.1259</ref><ref>Hartwig, J., ''et al.'', (June 24–26, 2015). "Titan Submarine: Exploring the Depths of Kraken Mare", 26th Space Cryogenics Workshop, Phoenix, Arizona. [https://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=20150023076 link to NASA Report]. Retrieved 13 June 2017.</ref>。

== 原始的な状況と生命 ==<!-- 大部分が[[タイタンの生命]]と記述が重なるため微妙 -->
{{Main|タイタンの生命}}
{{See also|惑星の居住可能性}}
タイタンは複雑な有機化学物質に富む[[生命の起源|原始的な環境]]であると考えられており{{R|PhysOrg-20130403|conversation}}、地下の液体の[[海洋]]が潜在的な[[生態系|生物環境]]となっている可能性がある{{R|Grasset2000|Fortes2000|astronomy}}。

カッシーニとホイヘンスには、生命の痕跡や複雑な有機化合物の証拠を得るのに十分な機能は備えていなかったが、それらの観測によって、タイタンの環境が理論化されている[[原始地球]]の大気と。いくつかの点で類似していることを示された{{R|Raulin05}}。科学者達は、初期の地球の大気は、タイタンの現在の大気や組成と類似していると推測している{{R|conversation}}<ref>{{cite news|author=Staff|date=2010-10-04|title=Lakes on Saturn's Moon Titan Filled With Liquid Hydrocarbons Like Ethane and Methane, Not Water|work=ScienceDaily|url=http://www.sciencedaily.com/releases/2010/09/100921144133.htm|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

=== 複雑な分子の形成 ===
[[ユーリー-ミラーの実験]]およびいくつかの実験では、タイタンの大気に[[紫外線|紫外線放射]]を加えたものと類似した大気内で、複雑な分子およびソリンのような高分子化合物が生成できることが示されている。反応は窒素とメタンの[[解離 (化学)|解離]]から始まり、シアン化水素とアセチレンが生成されるようになる。更なる反応について、多方面での研究が行われている{{R|Raulin02}}。

タイタンの大気のような組み合わせのガスにエネルギーを加えると、[[DNA]]と[[RNA]]の構成要素である5種類の[[ヌクレオチド|ヌクレオチド塩基]]が多くの化合物に含まれることが報告されており、さらに[[タンパク質]]を構成している[[アミノ酸]]も見出されている。このような液体の水が存在していない実験で、ヌクレオチド塩基とアミノ酸が発見されたのは初めてであった<ref>{{cite news|author=Staff|date=2010-10-08|title=Titan's haze may hold ingredients for life|work=Astronomy|url=http://www.astronomy.com/news-observing/news/2010/10/titans%20haze%20may%20hold%20ingredients%20for%20life|accessdate=2018-11-30}}</ref>。
<!-- 先述と被っているのでコメントアウト
2013年4月3日、NASAはタイタンの大気を模した模擬研究に基づいて、複雑な有機化合物がタイタンに生成される可能性があると報告した{{R|PhysOrg-20130403}}。

2013年6月6日、IAAとCSICの科学者は、タイタンの大気上層から[[多環芳香族炭化水素]](PAH)を検出したと発表した{{R|IAA-20130606}}。
-->
2017年7月26日には、カッシーニミッションの科学者達は、大型の複雑な有機物の生成に関与するとされている[[炭素鎖陰イオン]]が、タイタンの大気中に存在することを特定したと発表した<ref>{{cite journal|author=Desai, R. T.|author2=A. J. Coates|author3=A. Wellbrock|author4=V. Vuitton|author5=D. González-Caniulef ''et al.''|year=2017|title=Carbon Chain Anions and the Growth of Complex Organic Molecules in Titan's Ionosphere|journal=Astrophysics Journal Letter|volume=844|issue=2|doi=10.3847/2041-8213/aa7851|pages=L18|bibcode=2017ApJ...844L..18D|arxiv=1706.01610}}</ref>。このような高度に存在している反応性の分子は、以前から星間物質では複雑な有機物の生成に寄与していることが知られていたため、複雑な有機物が生成される可能性がより普遍的にあることが強調された{{R|astroarts20170802}}<ref>{{cite web|url=http://sci.esa.int/cassini-huygens/59350-has-cassini-found-a-universal-driver-for-prebiotic-chemistry-at-titan/|title=Has Cassini found a universal driver for prebiotic chemistry at Titan?|work=ESA|date=2017-07-26|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

同年7月28日、科学者達は、タイタンで[[細胞膜]]および[[小胞]]の形成に関して生命に不可欠な[[アクリロニトリル]]またはシアン化ビニル(C<sub>2</sub>H<sub>3</sub>CN)が発見されたと発表した{{R|astroarts20170802}}<ref>{{cite web|url=https://alma-telescope.jp/news/titan_atmosphere-201707|title=原始地球大気を調べる手がかり:土星の衛星タイタンにアクリロニトリルを発見|publiisher=[[ALMA望遠鏡|alma-telescope.jp]]|date=2017-07-29|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite web|last=Wall|first=Mike|title=Saturn Moon Titan Has Molecules That Could Help Make Cell Membranes|url=https://www.space.com/37653-saturn-moon-titan-cell-membrane-molecules.html|date=2017-07-28|work=Space.com|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite news|last=Kaplan|first=Sarah|title=This weird moon of Saturn has some essential ingredients for life|url=https://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2017/08/08/this-weird-moon-of-saturn-has-some-essential-ingredients-for-life/|date=2017-08-08|work=Washington Post|accessdate=2018-11-30}}</ref>。

2018年10月、研究者達は、単純な有機化合物を複雑な多環芳香族炭化水素(PAH)に変換させる低温化学経路を発表した。このような化学経路は、タイタンの低温な大気中でのPAHの存在を説明できるとされており、PAH world hypothesisと呼ばれる仮説の観点からも、我々が知っているような生命に関係する、[[生化学]]の前駆物質を生成する重要な経路になり得る<ref>{{cite web|author=Staff|title="A Prebiotic Earth" – Missing Link Found on Saturn’s Moon Titan|url=https://dailygalaxy.com/2018/10/a-prebiotic-earth-missing-link-found-on-saturns-moon-titan/|date=2018-10-11|work=DailyGalaxy.com|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite journal|author=Zhao, Long ''et al.''|title=Low-temperature formation of polycyclic aromatic hydrocarbons in Titan’s atmosphere|url=https://www.nature.com/articles/s41550-018-0585-y|year=2018|issue=2|page=973-979|journal=[[Nature Astronomy]]}}</ref>。

=== 可能な地下の居住 ===
研究所でのシミュレーションでは、地球上で生命が始めたと考えられるものに類似した、化学進化を開始するのに十分な有機材料がタイタンに存在しているということが示唆されていた。ただこの類推は、現在観測可能な期間よりも長期間に渡る水の存在を前提としているが、いくつかの理論では、衝突により、液体の水が隔離されている凍結した層の下に保存されることが示されている<ref>{{cite journal|last=Artemivia|first=N.|last2=Lunine|first2=J|title=Cratering on Titan: impact melt, ejecta, and the fate of surface organics|year=2003|journal=Icarus|volume=164|issue=2|pages=471–480|doi=10.1016/S0019-1035(03)00148-9|bibcode=2003Icar..164..471A}}</ref>。また、液体のアンモニアの海が表面の真下に存在していることも理論化されている{{R|Grasset2000}}<ref>{{cite journal|last=Lovett|first=Richard A.|date=2008-03-20|url=http://news.nationalgeographic.com/news/2008/03/080320-titan-ocean_2.html |title=Saturn Moon Titan May Have Underground Ocean|work=National Geographic}}</ref>。別のモデルでは、陸上の条件によって、極端ではあるが生命が生き残れることができるような条件で、水の氷の地殻の下、深さ200kmに[[アンモニア水]]が存在していることが示唆されている{{R|Fortes2000}}。内層と上層の間の[[熱伝導]]は、地下深部の海洋を維持する上で重要となる{{R|Grasset2000}}。タイタンでの微生物のような生命の検出は、大気中のメタンと窒素の調査による生命活動の痕跡に依存するだろう{{R|Fortes2000}}。

=== 表面のメタンと生命 ===
{{See also|代わりの生化学}}
地球上の生物は水を使用して活動しているように、タイタンの液体メタンの湖にも生命が存在する可能性が示唆されている{{R|Mckay05}}{{sfnp|長沼毅|井田茂|2014|pp=143-155}}。そのような生物は[[酸素]]の代わりに[[水素]]を吸収し、[[グルコース]]の代わりに[[アセチレン]]で[[代謝]]を行い、[[二酸化炭素]]の代わりにメタンを排出する{{R|astronomy|Mckay05}}。

地球上の全ての生物([[メタン生成菌]]を含む)は、液体の水を[[溶媒]]として使用しているが、タイタンの生物は、代わりにメタンやエタンといった液体炭化水素を溶媒として使用する可能性が考えられる{{R|methanesolvent}}。水はメタンよりも溶媒としては強く、さらに水は化学反応性も高く{{R|methlife}}、[[加水分解]]によって大きな有機分子を分解することができる{{R|methanesolvent}}。そのため、炭化水素が溶媒である生物は、このようにして生体分子が破壊される危険性には直面しないであろう{{R|methanesolvent}}。

2005年、[[宇宙生物学者]]のChristopher McKayは、仮にメタンを生成する生命体がタイタンの表面に存在しているとすると、タイタンの[[対流圏]]の水素とアセチレンの混合比に、測定可能なほどの大きな影響を及ぼしている可能性が高いと主張した{{R|Mckay05}}。

2010年、[[ジョンズ・ホプキンス大学]]のDarrel Strobelは。タイタンの大気上層内の水素分子の量が下層に比べて多いこと、速度が毎秒10<sup>28</sup>[[モル|mol]]の割合で吹く下降気流と、タイタンの表面近くで水素が消えていることを報告した。Strobelは、もしメタンを生成する生命体がいるのならば、Mckayが予測していた効果と一致することを指摘している{{R|Mckay05|methlife}}<ref>{{cite journal|title=Molecular hydrogen in Titan's atmosphere: Implications of the measured tropospheric and thermospheric mole fractions|last=Strobel|first=Darrell F.|journal=Icarus|volume=208|issue=2|pages=878–886|year=2010|doi=10.1016/j.icarus.2010.03.003|url=http://astrobiology.jhu.edu/wp-content/uploads/2010/06/Icarus-2010-Strobel.pdf|bibcode=2010Icar..208..878S|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120824195338/http://astrobiology.jhu.edu/wp-content/uploads/2010/06/Icarus-2010-Strobel.pdf|archivedate=2012-08-24}}</ref>。同年、別の研究でも、タイタンの表面のアセチレンの量が少なく、Mckayによって提唱された炭化水素を消費する生物がいるという仮説と一致するという解釈がなされた{{R|methlife}}。生物学的仮説を再掲はしているが、彼は水素とアセチレンの発見に関して、未確認の物理的もしくは化学的プロセス(例えば炭化水素または水素を受けいれる表面[[触媒]])や、材料の流れに関する現在のモデルの欠陥といった、他の可能性がより高いと警告した{{R|astronomy}}。<!-- Composition data and transport models need to be substantiated, etc. Even so, despite saying that a non-biological catalytic explanation would be less startling than a biological one, McKay noted that the discovery of a catalyst effective at {{convert|95|K|°C|-1|abbr=on}} would still be significant.{{R|astronomy}} -->

NASAは2010年6月の、調査計画に関するニュース記事で「今日まで、メタンに基づく生命体は仮説的なものであり、科学者はこの種の生命体をどこにおいても検出していない」と述べた{{R|methlife}}。しかし、NASAの声明は「一部の科学者が、これらの化学的サインが、タイタンの表面上に原始的でエキゾチックな形状の生物、または生物の前身がいると信じている」とも述べている{{R|methlife}}。

2015年2月には、タイタンの条件下で、液体メタンで機能する仮想の細胞膜がモデル化された。炭素、水素、窒素を含む小分子で構成されており、[[リン脂質]]、炭素化合物、水素、酸素、[[リン]]から構成される地球上の細胞膜と同じく安定性と柔軟性を持つ。この仮説的な細胞膜は[[アゾトソーム]](Azotosome)と呼ばれており、"azote"は[[フランス語]]で「窒素」、[[リポソーム]](Liposome)と同じく"soma"は[[ギリシャ語]]で「体」を意味している<ref>{{cite web|url=http://phys.org/news/2015-02-life-saturn-moon-titan.html|title=Life 'not as we know it' possible on Saturn's moon Titan|publisher=Phys.org|year=2015|accessdate=2018-11-30}}</ref><ref>{{cite journal|last1=Stevenson|first1=James|last2=Lunine|first2=Jonathan|last3=Clancy|first3=Paulette|title=Membrane alternatives in worlds without oxygen: Creation of an azotosome|journal=Science Advances|year=2015|volume=1|issue=1|pages=e1400067|doi=10.1126/sciadv.1400067|pmid=26601130|bibcode=2015SciA....1E0067S|pmc=4644080}}</ref>。

=== 障害 ===
これらの生物学的可能性にも関わらず、タイタンには生命に対して大きな障害もあり、地球との類推は不正確である。太陽からの距離が遠いため、タイタンは温度が低く、大気には二酸化炭素が欠如している。また、タイタンの表面では、水は固体としてしか存在することができない。これらの障害のために、Jonathan Lunineといった科学者達は、地球上での生命の出現に先立つ一般的な条件についての理論を調べる実験よりも、タイタンを生命が存在する可能性のある生息地とはみなしていない<ref>{{cite web|url=http://www.astrobio.net/news/article1130.html|title=Saturn's Moon Titan: Prebiotic Laboratory|work=Astrobiology Magazine|date=2004-08-11|archivedate=2004-08-28|archiveurl=https://web.archive.org/web/20040828233135/http://www.astrobio.net/news/article1130.html|accessdate=2018-11-30}}</ref>。生命自体は存在していないかもしれないが、タイタンおよびそれに関連する有機化学の原始的な条件は、陸生生物圏の初期の歴史を理解する上で依然として大きな関心を寄せている{{R|Raulin05}}。原始的な実験としてのタイタンの使用には、宇宙探査機による観測だけでなく、実験室実験、地球上での化学的および光化学的モデリングも含まれている{{R|Raulin02}}。

=== パンスペルミア仮説 ===
大型の[[小惑星]]もしくは[[彗星]]が地球の表面に衝突したことにより、微生物が含まれたミクロサイズの岩石の断片が地球の重力を逃れて飛翔する可能性を示した、[[パンスペルミア仮説]]と呼ばれる仮説がある。計算では、これらがタイタンを含む多くの太陽系の天体に向かう可能性が示されている<ref>{{cite news|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4819370.stm|title=Earth could seed Titan with life|work=BBC News|date=2006-03-18|accessdate=2018-12-01}}</ref><ref>{{cite journal|last=Gladman|first=Brett|last2=Dones|first2=Luke|last3=Levinson|first3=Harold F.|last4=Burns|first4=Joseph A.|title=Impact Seeding and Reseeding in the Inner Solar System|year=2005|journal=Astrobiology|volume=5|pages=483–496|doi=10.1089/ast.2005.5.483|pmid=16078867|issue=4|bibcode=2005AsBio...5..483G}}</ref>。一方でJonathan Lunineは、タイタンの超低温の炭化水素に生息する生物は地球上の生物と化学的に全く異なる形態である必要があるため、これらの生物の祖先が他の所から来たものであるということは不可能であろうとしている<ref>{{cite journal|arxiv=0908.0762|last=Lunine|first=Jonathan|title=Saturn's Titan: A Strict Test for Life's Cosmic Ubiquity|url=http://www.amphilsoc.org/sites/default/files/CCLunine1530402.pdf|archiveurl=https://www.webcitation.org/6CAHjQCnF?url=http://www.amphilsoc.org/sites/default/files/CCLunine1530402.pdf|archivedate=2012-11-14|volume=153|issue=4|page=403|year=2008|journal=Proceedings of the American Philosophical Society|bibcode=2009arXiv0908.0762L|deadurl=yes}} [https://archive.org/details/SaturnsTitan copy at archive.org]</ref>。

=== 未来の様子 ===
タイタンの条件下では、遠い未来に今よりもはるかに居住可能性が高くなる可能性がある。現在から50億年の時間が経過すると太陽が[[赤色巨星]]に進化すると表面温度が上昇して、タイタンの表面に液体の水が安定して存在し、居住することが可能になるかもしれない<ref>{{cite web|title=Climate Change in the Solar System|author=The National Air and Space Museum|year=2012|url=http://blog.nasm.si.edu/2012/03/07/climate-change-in-the-solar-system/|accessdate=2018-12-01|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120311101403/http://blog.nasm.si.edu/2012/03/07/climate-change-in-the-solar-system/|archivedate=2012-03-11}}</ref>。太陽からの紫外線放射が減少するにつれて、タイタンの上層大気中の煙霧が枯渇して表面の反温室効果が弱まり、大気中のメタンによって生成された温室効果が大きな役割を果たすようになる。これらの条件は、共に居住可能な環境を作り出し、数億年間も持続する可能性がある。タイタンにあるアンモニアは化学反応の進行は遅いものの、これは地球上で単純な生物が誕生するには十分な時間である<ref>{{cite web|title=Titan under a red giant sun: A new kind of "habitable" moon|last=Lorenz|first=Ralph D.|last2=Lunine|first2=Jonathan I. |last3=McKay |first3=Christopher P.|work=NASA Ames Research Center, Lunar and Planetary Laboratory, Department of Planetary Sciences, University of Arizona|year=1997|url=http://www.lpl.arizona.edu/~rlorenz/redgiant.pdf|accessdate=2018-12-01}}</ref>。


== 作品 ==
== 作品 ==
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== 出典 ==
== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
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{{Reflist|3|refs=
<references>
<ref name=JPL_Orbital>{{cite web|url=https://ssd.jpl.nasa.gov/?sat_elem|title=Planetary Satellite Mean Orbital Parameters|work=[[ジェット推進研究所|Jet Propulsion Laboratory]]|accessdate=2018-11-30}}</ref>
<ref name="NGeo">{{Cite web

|url=http://news.nationalgeographic.com/news/2010/03/100311-saturn-moon-titan-core-water-ocean/
<ref name=FactSheet>{{cite web|author=Williams, D. R.|url=https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/saturniansatfact.html|title=Saturnian Satellite Fact Sheet|work=[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]|accessdate=2018-11-30}}</ref>
|publisher=National geographic

|title=Saturn Moon Has Surprisingly "Slushy" Insides
<ref name=Zebker18>{{cite journal|doi=10.1126/science.1168905|first1=Howard A.|last1=Zebker|first2=Bryan|last2=Stiles|first3=Scott|last3=Hensley|first4=Ralph|last4=Lorenz|first5=Randolph L.| last5=Kirk|first6=Jonathan|last6=Lunine|title=Size and Shape of Saturn's Moon Titan|year=2009|journal=Science|volume=324|issue=5929|pages=921–923|url=http://science.sciencemag.org/content/324/5929/921}}</ref>
|date=2010-03-11

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<ref name=Jacobson06>{{cite journal|doi=10.1086/508812|last1=Jacobson|first1=R. A.|last2=Antreasian|first2=P. G.|last3=Bordi|first3=J. J.|last4=Criddle|first4=K. E.|last5=Ionasescu|first5=R.|last6=Jones|first6=J. B.|last7=Mackenzie|first7=R. A.|last8=Meek|first8=M. C.|last9=Parcher|first9=D.|first10=F. J.|last10=Pelletier|first11=W. M.|last11=Owen, Jr.|first12=D. C.|last12=Roth|first13=I. M.|last13=Roundhill|first14=J. R.|last14=Stauch| date=December 2006|title=The Gravity Field of the Saturnian System from Satellite Observations and Spacecraft Tracking Data|journal=The Astronomical Journal|volume=132|issue=6|pages=2520–2526|url=http://iopscience.iop.org/1538-3881/132/6/2520/fulltext|bibcode=2006AJ....132.2520J}}</ref>
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[太陽系の衛星の一覧]]
{{Commons|Titan (moon)|タイタン}}
* [[土星の衛星と環]]
* [[土星の衛星]]
* {{仮リンク|タイタンの入植|en|Colonization of Titan}}
* [[タイタンの大気]]
* [[タイタンの大気]]
* [[タイタンの生命]]
* [[ガニメデ (衛星)]]
* [[エンケラドゥス (衛星)]]

== 外部リンク ==
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{{タイタン (衛星)}}
{{タイタン (衛星)}}

2018年12月28日 (金) 02:18時点における版

タイタン
Titan
惑星探査機カッシーニによって撮影されたタイタン。 大気があるため輪郭がかすんで見えている。
惑星探査機カッシーニによって撮影されたタイタン。
大気があるため輪郭がかすんで見えている。
仮符号・別名 Saturn VI
見かけの等級 (mv) 8.2[1] - 9.0
分類 土星の衛星
発見
発見年 1655年
発見者 クリスティアーン・ホイヘンス
発見方法 直接観測
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 1,221,865 km[2]
近土点距離 (q) 1,186,186 km
遠土点距離 (Q) 1,257,543 km
離心率 (e) 0.0292[3]
公転周期 (P) 15.945421 [3]
平均軌道速度 22.5769756°/日[2]
軌道傾斜角 (i) 0.306°[2]
近点引数 (ω) 180.532°[2]
昇交点黄経 (Ω) 163.310°[2]
平均近点角 (M) 28.060°[2]
土星の衛星
物理的性質
半径 2,574.93 ± 0.09 km[4]
表面積 8.3×107 km2
体積 7.16×1010 km3
質量 (1.3452 ± 0.0002)×1023 kg[5]
平均密度 1.8798 ± 0.0044 g/cm3[5]
表面重力 1.352 m/s2
(0.14 g
脱出速度 2.639 km/s
自転周期 公転と同期
アルベド(反射能) 0.22[5]
赤道傾斜角 1.942°
表面温度 93.7 K
(-179.5 ℃)[6]
大気の性質
大気圧 146.7 kPa
(1.45 atm
成層圏
窒素 98.4%
メタン 1.4%
水素 0.2%
対流圏下層(Niemannによる)[7]
窒素 95.0%
メタン 4.9%
対流圏下層(Coustenisによる)[8]
窒素 97.0%
メタン 2.7 ± 0.1%
水素 0.1 - 0.2%
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タイタン (Saturn VI、英語: Titan) は、土星最大の衛星である。太陽系の衛星の中では唯一、濃い大気を持っており、また地球以外の天体で、安定した液体の存在が明確に確認されている唯一の天体でもある。1655年3月25日にクリスティアーン・ホイヘンスによって発見された。地球木星の4つのガリレオ衛星に次いで、6番目に発見された衛星である。

土星の第6衛星。よく「惑星のような衛星」としても記述され、質量は地球のよりも50%大きく、半径は80%大きい。木星の衛星であるガニメデに次いで、太陽系では2番目に大きな衛星で、最小の惑星である水星よりも大きいが、質量はそのわずか40%しかない。オランダの天文学者クリスティアーン・ホイヘンスによって1655年によって、土星を公転する衛星として初めて発見され、太陽系全体でも月、ガリレオ衛星に次いで6番目に発見された衛星である。土星半径の約20倍離れた軌道を公転しており、タイタンの表面から見た土星の大きさは5.09度で、地球から見た月の11.4倍大きな土星を眺める事ができるだろう。

タイタンは主に岩石から構成されている。宇宙時代以前の金星のように、分厚く不透明な大気によって、タイタンの極地にある液体炭化水素の湖の発見を含む、2004年からのカッシーニホイヘンスによる探査が行われるまでは、タイタンの表面に関してはほとんど知られていなかった。山やいくつかの氷の火山が発見されているが、表面にクレーターはほとんど存在せず、地質学的に若い表面とされている。

大気の大部分は窒素であり、残りのわずかな成分はメタンエタンから成る雲や、窒素が豊富な有機煙霧の形成につながっている。また、タイタンには液体メタンの雨が降り、メタンおよびエタンの川や湖が存在すると考えられていた。このことは、カッシーニ探査により確認されている[9][10]などの気候は、砂丘河川(おそらく液体メタンとエタン)、三角州といった地球と似たような特徴の地形を作り出している。タイタンにある液体(表面と表面下層)と濃い窒素の大気は、94K(-179.2、-290.5)という非常に低温の状況下で、地球の水循環にあたるメタン循環を起こしている。

歴史

発見

クリスティアーン・ホイヘンスは1655年にタイタンを発見した

タイタンは1655年3月25日に、オランダ天文学者クリスティアーン・ホイヘンスによって発見された[11][12]。ホイヘンスは-1610年のガリレオ・ガリレイの木星の大きな4つの衛星の発見と、彼の向上した望遠鏡の技術に触発されたとされている。兄であるコンスタンティン・ホイヘンスJr.英語版の援助を借りて1650年代に望遠鏡を建設し始め、彼らが建設した望遠鏡の一つを使って、土星を公転している衛星を初めて観測で発見した[13]。この衛星は、地球のとガリレオ衛星に次いで6番目に発見された衛星となった[14]

命名

ホイヘンスは1655年に、De Saturni Luna Observatio Nova(土星の衛星の初観測)を出版し、そこで彼の発見した衛星をSaturni Luna (またはLuna Saturniラテン語で「土星の衛星」の意)と命名した。ジョヴァンニ・カッシーニが1673年から1686年の間に発見した4つの衛星を公表した後、タイタンとこれらの4つの衛星にはSaturn IからVまでの番号が付与された(タイタンは4番目)。初期にはSaturn's ordinary satelliteという別名もあった[15]。公式にはタイタンはSaturn VIと呼ばれる。それ以来、数多くの小さな衛星が土星のより近くに発見されている。

Titanとその後に発見される7つの衛星の名称は、ジョン・ハーシェルウィリアム・ハーシェルの息子、ミマスエンケラドゥスを発見した)が1847年に出版したResults of Astronomical Observations Made during the Years 1834, 5, 6, 7, 8, at the Cape of Good Hopeに由来している[16][17]。彼はサートゥルヌスギリシャ神話名、クロノスの兄弟姉妹であるティーターンの名を提案した。ギリシャ神話では、ティーターンはガイアウーラノスの間に生まれた、伝説上の黄金時代を築き上げた強力なの種族である。

日本ではタイタンと英語読みされることが多い[18]

軌道と自転

タイタン(赤線)と他の大型の衛星の軌道。青線は外側からイアペトゥス、ヒペリオン、レア、ディオネ、テティス、エンケラドゥス、ミマス。

タイタンは15日と22時間で土星を公転している。月や他の巨大ガス惑星の多くの衛星と同じように、自転周期と公転周期は同じになっている。タイタンは自転と公転の同期のために、土星に対して潮汐固定を起こしており、恒久的に同じ面を土星に向けているので、タイタンの「1日」はその公転周期と等しくなる。このため、タイタンの表面上にはsub-Saturnian pointと呼ばれる、土星がいつも頭上に直接ぶら下がっているように見える地点がある。タイタンの経度は、この地点を通る子午線から西向きに測定される[19]離心率は0.0292で[3]、軌道は土星の赤道から0.306から傾いている[2]。地球から見ると、タイタンの土星からの角距離は土星半径の約20倍(120万km強)である。

小さく不規則な形状をしたヒペリオンは、タイタンと3:4の軌道共鳴にある。モデルに基づくと、ヒペリオンが無秩序な軌道から移動した、軌道共鳴の「ゆっくりで滑らかな」進化は起こりそうにない。ヒペリオンがおそらく重力的に安定した領域で形成されたのに対して、より質量が大きいタイタンは接近した天体を吸収したり、放り出したりしたとされている[20]

物理的特徴

タイタン(左下)と月(左上)、地球(右)の大きさの比較
タイタンの内部構造のモデル

タイタンは直径5,149.46km[4]、これは水星の1.06倍、月の1.48倍、地球の0.40倍に相当する。1980年にボイジャー1号が探査する以前は、タイタンはガニメデ(直径5,262km)よりわずかに大きいと考えられ、太陽系最大の衛星であるとされていた。これはタイタンの高密度で不透明、そして表面から数km上空まで存在する大気によって、見かけ上の大きさが過大評価されてしまったためである[21]。タイタンの直径と質量、密度は木星の衛星であるガニメデとカリストと似通っている[22]。タイタンの密度は1.88g/cm3で、これに基づくとタイタンの組成は半分がで、もう半分は岩石となる。この組成はディオネエンケラドゥスに似ているが、重力圧縮英語版によりタイタンの方が高密度になっている。土星に対しての相対的なタイタンの質量は4,226分の1で、これは太陽系の巨大ガス惑星とその衛星の中では最も大きい。主惑星との相対的な直径比でも、海王星トリトンに次いで2番目となっている。タイタンの直径は土星の22.609分の1で、トリトンの直径は海王星の18.092分の1とやや大きい。

タイタンは直径3,400kmの岩盤と、その周りを覆う異なる氷の結晶で構成されたいくつかの層とに分かれるとされている[23]。その内部は、氷Ih地殻と、より深い高圧の氷で形成されている層の間にあるアンモニアと水から成る液体の「マグマ」が層が存在するのに十分高温になっているかもしれない。アンモニアの存在は、(水の共晶化合物に対して)176K(-97℃)という低温の状況下でも、水を液体の状態に保持させるのを可能にさせる[24]。探査機カッシーニは、タイタンの大気中の自然極超長波電波の形から、内部の層状構造の証拠を発見した。タイタンの表面は自然極超長波電波の弱い反射体であるとされているため、地下海洋の液体と氷の境界から反射する可能性がある[25]。カッシーニによる観測で、表面の特徴は2005年10月から2007年5月までの間に、表面の地形が予測よりも最大で30kmずれていることが観測され、このことから地殻と内部が分離され、その間に液体の海の層が存在していることが示されている[26][27]。タイタンが土星を公転するのと同じように重力場が変化していることから、液体層と殻状の氷の層が固体の核から分離されているという更なる証拠が示されている[28]RADARによる重力場の観測に基づく地形観測との比較[29]からもまた、氷の殻が大いに硬い事が示されている[30][31]


形成

木星と土星の衛星は、太陽系内で惑星が形成したと考えられているのと同様に、共降着によって形成されたと考えらえれている。若い巨大ガス惑星が形成されると、周囲を円盤状に囲んでいた物質は徐々に合体し、衛星へと成長する。木星は非常に規則的で、惑星のような軌道を持つ衛星を4個持つが(ガリレオ衛星)、タイタンは土星系を圧倒的に支配しており、共降着だけでは説明できない高い軌道離心率を持っている。タイタンの形成のために提案されたモデルでは、土星系も木星のガリレオ衛星に似た衛星群から形成され始めたが、一連の巨大衝突によって破壊されてしまい、これらの衝突の破片から、イアペトゥスレアなどの中規模の衛星が形成されたとされている。そのような激しい初期の状態は、タイタンの軌道離心率の高さも説明できる[32]

2014年、タイタンの大気中に含まれる窒素の分析から、それが土星周辺に存在する物質の共降着ではなく、オールトの雲に見られるものと同様の物質から供給された可能性がある事が示唆された[33]

大気

タイタンの大気の層の疑似カラー画像

タイタンは唯一濃い大気を持つ事が知られている衛星で、また、太陽系内では地球を除いて唯一窒素に富んだ大気を持っている[34]。探査機カッシーニが2004年に行った観測によると、タイタンの大気は金星のように表面よりもはるかに速く移動するSuper rotatorである可能性が示唆されている[35]ボイジャーによる観測では、タイタンの大気は地球のものよりも高密度で、表面での圧力は1.45atmである事が示されている。タイタンの大気の質量は地球の大気全体の1.19倍で[36]、同じ単位表面積あたりの質量は地球の約7.3倍、密度は4倍になる[37]。不透明なもやの層は、太陽や他の光源から放出された可視光線の多くを遮断し、タイタンの表面を覆い隠している[38]。またタイタンの重力が弱いため、大気は地球よりもはるか上空にまで拡散されている[39]。タイタンの大気は、多くの波長の 電波では不透明で、その結果、軌道上から表面の完全な反射スペクトルを得ることは不可能であった[40]。2004年の探査機カッシーニが到着して初めて、タイタンの表面の直接画像を得ることに成功した[41]

タイタンの南極で極循環するシアン化水素のガス雲(2012年11月29日撮影)

タイタンの大気組成は、窒素(97%)、メタン(2.7±0.1%)、水素(0.1-0.2%)、そしてその他の微量のガスである[8]。微量のエタンジアセチレンメチルアセチレンアセチレンおよびプロパンといった炭化水素や、シアノアセチレンシアン化水素二酸化炭素一酸化炭素シアンアルゴンヘリウムなどのガスも含まれている[7]。炭化水素は、タイタンの大気の上層内で太陽からの紫外線によってメタンが分解された際に生成され、それが濃い橙色の霧を形成していると考えらている[42]。タイタンは公転軌道の95%が土星の磁気圏内であるため、この磁気圏がタイタンの大気が太陽風によって消失されるのを防いでいるかもしれない[43]

太陽から放射されたエネルギーは、タイタンの大気中に微量に存在する全てのメタンを、太陽系の年齢よりも短期間の5億年以内にさらに複雑な炭化水素へと変換してしまう。これは、メタンが地下の貯水池またはタイタンの内部から補充されている事を示唆している[44]。大気中のメタンの最終的な起源は、氷の火山の噴火によって内部から放出されたものである可能性が示されている[45][46][47][48][49]

カッシーニによるタイタンの日没の研究は太陽系外惑星の大気への理解を深めるのに役立つ[50]
(画像は想像図)
タイタンの大気中の希有有機ガス(左がイソシアン化水素 、右がシアノアセチレン

2013年4月3日、NASAはタイタンの大気の模擬研究に基づき、タイタンの大気にソリンと呼ばれる複雑な有機化合物が生成される可能性があると報告した[51]

2013年6月6日、アンダルシア天体物理学研究所英語版スペイン国立研究評議会英語版の科学者は、タイタンの大気上層部から多環芳香族炭化水素を検出したと発表した[52]

2013年9月30日、NASAの探査機カッシーニの赤外分光光度計(CIRS)を用いた観測によって、タイタンの大気中からプロペンが検出された[53]。地球以外の惑星や衛星でプロペンが検出されたのは初めてで、またCIRSによって発見された初めての化学物質である。

2014年10月24日、タイタンの極冠の中からメタンが検出されたと発表された[54][55]

メタンで形成されたタイタンの極の雲(左)と、水とその氷から形成された地球の極成層圏雲の比較

気候

タイタンの南極上空で極循環する大気

タイタンの表面温度は約94K(-179.2℃)で、この温度では、水や氷の蒸気圧は非常に低いため、わずかな量の水蒸気が存在できる領域は成層圏に限られる[56]。タイタンは太陽から地球の1%のエネルギーを受ける[57]。その90%は大気に吸収されてしまうため、実質的には地球の0.1%のエネルギーしか受けない[58]

大気中のメタンは表面に温室効果を発生させており、これが無ければタイタンの表面温度はより低温であった[59]。しかし逆に、タイタンの大気中のもやは太陽光の一部を宇宙区間に戻してしまい、温室効果の一部を打ち消して、表面を大気よりも著しく低温になることによって、反温室効果の発生に貢献している[60]

メタンの雲(2014年7月撮影)[61]

おそらくメタンやエタン、他の単純な有機物から成るタイタンの雲は散らばっていて変化しやすいため、全体的なもやを打ち消している[21]。ホイヘンスによる探査結果から、タイタンの大気が液体メタンやその他の有機化合物をとして表面に降らせていることが示されている[62]

基本的には雲はタイタンの表面の1%を覆っているが、急速に表面の8%にまで広がるアウトバースト現象が観測されることがあり、1つの仮説として、南側が夏の間、日射照度の上昇によって生じた対流で大気が持ち上げられた結果、南側に雲が形成されたことが挙げられる。ただし、この説明では夏至の後だけでなく、春の最中でも雲の形成が観測されているという事実を説明しにくい。南極のメタン濃度の増加は、雲の大きさが急激に大きくなった事と関わっている可能性がある[63]。タイタンの南半球は2010年まで夏であったが、タイタンの季節変化を左右している土星の軌道により、タイタンの北半球が太陽光を受けるようになっている[64]。季節が変わると、南極上空にあるエタンが凝縮し始めることが予想されている[65]

表面の特徴

タイタンの赤外線画像(2004~2017年)
タイタン表面の地図(2016年8月)
北極
南極
タイタン(2014年)

タイタンの表面は「複雑で流体の影響を受け、そして地質学的に若い」とみなされている[66]。タイタンは太陽系の形成から存在していたが、その表面はそれよりも若い1~10億年前に形成されており、地質学的プロセスがタイタンの表面を再形成していたかもしれない[67]。タイタンの大気の厚さは地球の2倍あるため、可視光のスペクトルを用いた天文学的な観測器具では、その表面を観測することは難しい[68]。カッシーニは、赤外分光光度計、レーダー高度計、そして合成開口レーダー(SAR)イメージングを用いて、タイタンの近くをフライバイしている際に一部の表面の地図を作成した。最初に作成された画像から、タイタンの表面には荒い領域と滑らかな領域があり、地質学的に多様であることが明らかになった。火山活動が起源を持つ、アンモニアが混入した水が噴き出した地形もあり、またタイタンの氷の殻はとても硬く[30][31]、地質学的な活動はほとんど示していない[69]。また、長さ数百kmに及ぶ、風によって粒子が吹き飛ばされたことによって形成されたとされる縞模様もいくつか見られる[70][71]。探査では表面は比較的滑らかであることが示されており、おそらく炭化水素の雨や火山活動によってクレーターが埋められたと思われる地形が見える。レーダー高度計の観測では、標高差は低く、一般的には150m以下であることが示されている。しかし、中には標高差が500m以上の場合もあり、標高数百mから1kmに達する山脈もある[72]

タイタンの表面は大きく明るい地形と暗い地形の2つの領域に区分される。これには、赤道付近にある、オーストラリア大陸ほどの広大な高アルベド地形であるザナドゥ(Xanadu)も含まれている。ザナドゥは1994年にハッブル宇宙望遠鏡による赤外線観測で初めて確認され、後にカッシーニでも観測された。入り組んだ領域には丘があり、谷や割れ目によって切り離されている[73]尾根や割れ目に似た、蛇行した暗い線状の地形が十字模様のように見える。これらは地質学的活動によるものである可能性があり、ザナドゥが地質学的に若いことを示している。一方で、この線状の地形は液体によって形成された水路である可能性もあり、この場合は流水系が古い地形が横断していることが示される[74]。同じような暗い地形はタイタンの他の部分でも観測されており、地上からやカッシーニによって観測されている。タイタンで2番目に大きな海であるリゲイア海(Ligeia Mare)は、ほぼ純粋なメタンで満たされた海である[75][76]

フライバイ中のカッシーニが撮影した画像。大きな暗い地域はシャングリラ
タイタンの詳細な表面と大気を示した疑似カラー画像。ザナドゥは中央下の明るい地域。
地名も明記したタイタンの赤外線画像のモザイク画。
赤外線で撮影したタイタンの合成画像。砂丘に満たされた暗い地域はフェンサリル(Fensal、北側)とアズトラン(Aztlan、南側)。

タイタンの湖(2017年9月11日)
カッシーニのレーダーによって捉えられたタイタンの北極地域の疑似カラー画像。青色に着色されたのは液体メタン、液体エタン、液体窒素で満たされた炭化水素の海や湖、支流構造によってレーダー反射率が低くなっている地域である[8]。左下の大きな海はクラーケン海(Kraken Mare)で、中央下がリゲイア海。
ホイヘンスが撮影したタイタンの3つの水路構造。

タイタンに炭化水素の海が存在している可能性は、タイタンの正確な温度や組成を測定したボイジャー1号2号のデータに基づいて初めて示唆されたが、しかし1995年にハッブル宇宙望遠鏡とその他の観測によって得られた観測データから、切り離された空洞に、あるいは海洋規模で液体メタンの存在が示唆されるまで、直接的な証拠は見出されなかった[77]

カッシーニは、ボイジャーの観測に基づく仮説を実証することに成功した。カッシーニが2004年に土星系に到着した際、炭化水素の湖や海の水面から反射した太陽光が検出されることが期待されたが、最初はそのような鏡面反射は観測されなかった[78]。南極の近くでは、オンタリオ湖(Ontario Lacus)と命名された、謎めいた暗い地形も確認された[79](後に湖であることが確認された[80])。海岸線の可能性がある地形も、レーダー観測を通じて極付近に確認された[81]。2006年7月22日のフライバイに続いて、カッシーニは当時冬だった北緯度で、極付近にいくつかの大きく滑らかな(レーダーでは暗い)区画を撮影した[82]。2007年1月に科学者は観測に基づいて、「土星の衛星であるタイタンに、メタンで満たされた湖が存在している決定的な証拠」を発表した[83][84]。カッシーニのミッションチームは、撮影された地形はほぼ確実に長期間存在している炭化水素の湖で、地球外で初めて発見された、安定して表面に存在している液体であると結論付けた[83]。中には、液体に関連していると思われる水路もあり、地形の窪みに存在している[83]。液体の浸食による地形は比較的新しいように見え、いくつかの河川では驚くほど浸食を受けておらず、タイタンの浸食速度が非常に遅いか、あるいは最近いくつかの地理的現象が古い河床や地形を一掃した可能性がある[67]。カッシーニの観測では、湖は表面のごくわずかしか覆っておらず、タイタンは全体的に地球よりもかなり乾燥している[85]。ほとんどの湖は(相対的に太陽光が少ないため蒸発されにくい)極付近に集中しているが、いくつかの長年の研究により、赤道付近の砂漠地域でも炭化水素の湖が発見されている。これには、ホイヘンスが着陸した地点付近にある、アメリカユタ州グレートソルト湖の約半分の大きさを持つシャングリラ(Shangri-La)も含まれる。赤道付近にある湖は、いわば「オアシス」であり、地下の帯水層から供給されている可能性がある[86]

リゲイア海の地形の変化

2008年6月、カッシーニのイオン・中性質量分析器は、オンタリオ湖に液体のエタンが間違いなく存在していることを確認した[87][88]。同年12月21日、カッシーニはオンタリオ湖上空を直接飛行し、レーダーで湖面からの鏡面反射を観測した。反射の強さは、探査機の受信機を飽和させ、湖の水位が3mm以上変化しないことを示した(表面の風がとても弱いか、湖の炭化水素が粘性であることを示している)[89][90]

タイタンの炭化水素の海が太陽光を反射している近赤外線画像

2009年7月8日、カッシーニの可視・赤外マッピング分光光度計(VIMS)によって、15年間の冬が終わり、太陽光が入るようになった北極付近にあるチンポー湖(Jingpo Lacus)と呼ばれる湖から、表面が鏡のように滑らかであることを示す鏡面反射が観測された。鏡面反射は、表面が鏡のように滑らかであることを示すため、この観測結果は、レーダー画像から導き出された液体で満たされた広大な地形があるという推論が実証された[91][92]

2009年7月と2010年1月に行われた初期のレーダー測定では、オンタリオ湖は平均深度が0.4~3m、最大深度が3~7mと非常に浅いことが示された[93]。対照的に、北半球のリゲイア海は、当初のレーダー観測の解析技術では、最大深度は8m以上とされていた[93]。その後の2014年に発表された科学的分析で、タイタンにある3つの海の深さをより完全に調べたところ、最大深度が200m以上あることが示された。リゲイア海の平均深度は20~40mだが、リゲイアの他の部分では全くレーダーを反射しておらず、深度が200m以上あることを示している[94]

2013年5月、カッシーニのレーダー高度計はヴィド溝(Vid Flumina)の水路を観測し、これがタイタンで2番目に大きな炭化水素の海であるリゲイア海に繋がっている流水構造であると定義づけられた。受信されたエコーの解析では、水路は急斜面で深い(最大で570m)渓谷に位置しており、液体で満たされていることを示す強い鏡面反射が示された。これらの水路内の液体の水位上昇は、リゲイア海と同じく垂直方向に約0.7m以内で、これは冠水した河谷であるという解釈と一致する。鏡面反射は、リゲイア海の水位を超えた低示の支流でも観測され、主水路構造への水の供給と一致している。これはおそらく、液体水路の存在を示す初めての直接的な証拠であり、またタイタンで初めて観測された100m以上の深度を持つ渓谷であろう。ヴィド溝は、このように深い海で冠水しているが、より高い地表にある液体の存在を証明するために、いくつかの独立した観測が行われている[95]

カッシーニは、2006年から2011年にかけてタイタンを6回フライバイした間、タイタンの放射測定追跡と光学ナビゲーションデータの収集を行った。このデータから、研究員はタイタンの地形の変化を大まか推測することができた。タイタンの密度は、組成が岩石が約60%で水が約40%である場合と一致している。研究チームの分析によれは、タイタンが軌道を公転する間に地形が最大で10mも上昇あるいは下降することを示している。この程度の変化は、タイタンの内部が比較的変形しやすいことを意味しており、最も可能性が高いモデルは、全球を覆う海の上に主に氷から成る厚さ数十kmの殻が浮いているような構造とするものである[96][97]。研究チームはの研究結果からは、以前の研究結果とも照らし合わせると、タイタンの地下の海が表面よりも100km以上深いところにある可能性が示唆されている[96][98]。2014年7月2日、NASAはタイタンの氷の下にある海の塩分濃度が死海に匹敵する可能性があると発表した[99][100]。同年9月3日、NASAはタイタンのメタンの雨が、地下の凍結したクラスレート(包摂化合物)と相互作用し、最終的に河川や湖沼に供給されるエタンやプロパンが生成される可能性があると報告した[101][102]

2016年、タイタンはリゲイア海に流れ込む一連の深い急斜面の渓谷で、液体で満たされた水路の直接的な証拠を発見した。それは先述したヴィド溝で発見され、深度は240~570mで、40度の急な斜面になっている。これらの地形はおそらく、地球のグランドキャニオンのような地殻の隆起、または海面の低下、あるいはその2つの組み合わせによって形成されたと考えられている。浸食の深さは、この地域での液体の流れが何千年も続く長期的であることを示している[103]

北極地域の湖、チンポー湖の鏡面反射を捉えた赤外線画像 ボルセーナ湖(Bolsena Lacus、右下)と他の北半球の湖
タイタンの北半球(左)と南半球(右)の湖の数を比較した画像 タイタンの南極付近の湖の変化を示した1年間隔で撮影された2枚の画像

衝突クレーター

タイタンにある直径139km[104]のクレーターのレーダー画像。表面は平滑で、縁は起伏が多く、おそらく中央丘が存在している。

レーダー、合成開口レーダー、およびカッシーニの画像データからは、タイタンの表面にクレーターがほとんど存在していないことが分かっている[67]。これらのクレーターが形成されたのは、タイタンの年齢と比較して若いとされている。発見されている数少ないクレータには、カッシーニのイメージングサイエンスサブシステム(ISS)によって色は暗いが明るく観測された、メンルヴァ(Menrva)と命名されている直径392km[105]の同心円状の二重衝突盆地も含まれる[106]。より小さな、直径60kmのシンラプ(Sinlap)と名付けられている平滑なクレーターと[107]中央丘と暗い表面を持つ、クサ(Ksa)と命名されている直径30kmのクレーターも観測された[108]。レーダーとカッシーニの画像からは、隕石の衝突に関連している可能性がある円形の地形が見られるが、それを「隕石」によるものだと確実に識別することはできない。例えば、カッシーニによってグァボニド(Guabonito)という名称で知られている、明るく荒い物質でできている直径90kmのリング状の地形が観測されている[109]。この地形は、暗い堆積物に覆われたクレーターであると考えられている。他にも同じような地形が、シャングリラやアアル(Aaru)といった地域でも観測されている。2006年4月30日にカッシーニがタイタンをフライバイした際のレーダー観測により、高アルベド地形ザナドゥにもクレーターの可能性があるいくつかの円形の地形が観測されている[110]

リゲイア海 – 合成開口レーダーの画像(左)とそれを補正した画像(右)[111]

タイタンのクレーターやその可能性のある地形の多くは、激しい浸食の証拠を示しており、全て地形が変化している兆候を表している[104]。タイタンのクレーターの中には、太陽系内の他のクレーターよりも縁が比較的大きなものがあるにも関わらず、ほとんどの大型のクレーターの縁は欠けていたり、不完全になったりしている。他の大きな氷衛星とは異なり、Palimpsestと呼ばれる、粘弾性の地殻が緩くなった際に形成される地形はほとんど見られない[104]。ほとんどのクレーターは、中央丘が欠けて滑らかな表面を持つが、これは低温溶岩の噴出や衝撃の発生によるものである可能性がある。様々な地質学的プロセスが、クレーターの数を少なくしている原因の1つである。大気による遮蔽もこれに関わっているされており、タイタンの大気は表面のクレーターの数を2倍減らすと推測されている[112]

2007年までに得られた高分解能レーダーカバレージ(全体の22%を観測)では、クレーターが存在する位置に不均一性が示された。ザナドゥには、他の領域の2~9倍多くのクレーターが存在しているが、赤道付近の砂丘地域や、炭化水素の湖や海が最も普遍的に存在している北極周辺では、クレーターの数は少なくなっている[104]

カッシーニによる観測以前の衝突軌道と角度のモデルから、天体が水の氷で出来た地殻に衝突した場所では、少量の噴出物がクレーター内に液体の水として存在していることが示されている。それは、「生命の起源に関わる単純な前駆体分子の合成」に十分で、何百年にも渡って液体として存在する可能性がある[113]

氷の火山と山

トルトラ白斑の近赤外線画像。氷の火山の可能性があると考えられている。

科学者達は、かなり低い温度ではあるが、タイタンの環境は初期の地球に似ていると、長い間考えてきた。2004年に、大気中からアルゴン40が検出され、これは氷の火山が水とアンモニアから成る「溶岩」のプルームを生成している可能性があることを示した[114]。タイタンの表面にある湖の分布図からは、大気中のメタンが継続して存在することを説明するのに十分なメタンは存在しないことが示されており、したがって火山のようなプロセスを経て、大気にメタンが供給されなければいけないことになる[115]

それでも、氷の火山であると明確に解釈できる地形は少ない[116]。最初に発見されたこのような地形の1つとして、2004年にカッシーニのレーダー観測によって明らかとなった、ガネーシャ黒斑(Ganesa Macula)と呼ばれるものがあり、これは金星に見られる「パンケーキドーム」と呼ばれる地形に特徴が似ており、2008年12月のアメリカ地球物理学連合でKirkらが否定するまではこの地形は低温であると考えられていた。この地形はドームではないことが判明し、これは表面の明暗の組み合わせによるものだと考えられた[117][118]。2004年に、カッシーニはトルトラ白斑(Tortola Facula)と呼ばれる異常に明るい地形も検出しており、これは氷の火山のドームであると解釈された[119]。2010年時点で、このような地形は他に確認されていない[120]。2008年12月に天文学者は、タイタンの大気中に天候のパターンだけでは説明できない、一時的ではあるが長時間継続する異常に「明るいスポット」が2つあることを発表した[24]

2009年3月に、ホテイ弧状の地形(Hotei Arcus)と呼ばれる地域で、数ヶ月に渡って明るさが変動するように見える溶岩流のような構造があることが発表された。この変動を説明するために、多くの可能性が示されたが、溶岩が表面の下から噴出し、表面から200m上まで上昇したとする場合が最も観測結果と一致している[121]

2006年、カッシーニよって長さ150km、幅30km、高さ1.5kmの山脈が発見された。この山脈は南半球に位置しており、氷から構成されメタンの雪で覆われている。おそらく、衝突盆地の影響を受けた地形プレートの動きによって形成された、割れ目の下から持ち上げられた物質によって形成されたとされている[122][123]。カッシーニの探査以前は、科学者はタイタンの大部分の地形は、衝突によるものであると考えていたが、地質学的プロセスによって山が形成されたことが示された[124]。2010年12月、カッシーニのミッションチームは、発見してきた中で最も関心をそそられる、氷の火山の可能性がある地形を発表した。ソトラ白斑(Sotra Facula)と命名されている領域で、そこには少なくとも3つの山脈が確認されており、それぞれ1,000~1,500mの高さを持ち、いくつかは大きなクレーターによって覆われている。この地形の周りの表面は凍った溶岩の流れのように見える[125]

タイタンで最も標高が高い領域の大部分は、赤道付近でいわゆる「尾根の帯」を形成している。これらは、ロッキー山脈ヒマラヤ山脈のようなプレートの衝突やねじれによってできた地形、あるいはアンデス山脈のような、降下するプレートから表面へ溶岩(または氷の溶岩)が上昇する沈み込み帯に類似している地形であると考えられている。これらの地形を形成させた要因の一つとして、土星からの潮汐力がある。タイタンの氷のマントルは、地球のマグマのマントルより粘性が低く、氷の岩盤は地球の花崗岩の岩盤より硬度が小さいため、タイタンの山の標高が地球よりも高くなることはない。2016年に、カッシーニのミッションチームは、タイタンで最も標高が高いと思われる山を発見したと発表した。それはミスリム山脈(Mithrim Montes)に位置しており、標高は3,337mである[126]

カッシーニの可視・赤外マッピング分光光度計 (VIMS) が撮影した、ソトラ白斑にある氷の火山の可能性がある地形の擬似カラー画像。高さ1,000mの山と深さ1,500mのクレーターを基に組み合わせた立体画像。

仮にタイタンに火山活動が存在していることが事実ならば、地球と同じような、マントルの放射性元素の崩壊から放出されるエネルギーが引き起こされているという仮説がある[24]。地球上のマグマは、それが噴出する固体岩質の地殻よりも密度が低い液体岩で出来ている。氷は水よりも密度が低いため、タイタンの水のマグマは硬い氷の地殻よりも密度が高くなる。これは、タイタンで氷の火山が形成されるには、おそらく土星からの潮汐加熱を介する大量のエネルギーを必要とすることを示している[24]硫酸アンモニウムを覆う低圧の氷の浮上と、不安定な構造は劇的なプルーム現象を発生させることがある。タイタンは、粒状の氷と硫酸アンモニウムの灰のプロセスを経て表面が更新され、また風食による景観や砂丘といった地形を形成させる[127]

2008年、エイムズ研究センターの惑星地質学者Jeffrey Mooreは、タイタンの地質について異なる見解を提案し、これまでタイタンで火山とおぼしき特徴が明瞭に特定できていないことを示して、衝突クレーターや、河床の侵食、崩壊作用英語版およびその他の外因によるプロセスのみで形成された、地質学的に「死んだ世界」であると主張した。この仮説によると、大気中のメタンは火山から放出されたものではなく、冷たくて硬い内面からゆっくりと拡散されたものになる。ガネーシャ黒斑は、中央に暗い砂丘がある侵食された衝突クレーターかもしれない。いくつかの地域で観測された山岳隆起は、大きな多重リング状衝突構造の激しく劣化した絶壁として、または内部が徐々に冷却されたことによる全体的な収縮の結果として説明できる。ただこの場合でも、核の中の放射性元素の崩壊によって説明できるほど低い、176K(-97℃)という低温の環境下で水とアンモニアの共晶化合物成る海が内部に存在していられる余地は残されている。高アルベド地域のザナドゥは、木星の衛星カリストの表面で観測されたものと同様に、激しく崩壊された地形である可能性がある。このシナリオでは、カリストの地形はタイタンの地質学的モデルを調べる上で役立つかもしれない。Jeffrey Mooreは、このことからタイタンをCallisto with weatherとも呼んだ[116][128]

顕著な山と丘の多くは、国際天文学連合によって公式名称が付与されている。ジェット推進研究所によれば、「慣例により、タイタンの山々はJ・R・R・トールキンのファンタジー小説の架空の世界である中つ国から名づけられている」。Colles(丘の集まり)は、同じトールキンの作品の登場人物から名づけられている[129]

暗赤道地形

地球のナミブ砂漠(上)と、タイタンのベレト(Belet、下)の砂丘の比較

2000年代の初めに、地上の望遠鏡によって観測された最初のタイタンの表面の画像から、暗く大きな領域が赤道を跨いで存在していることが明らかになった[130]。カッシーニが到着する前は、これが炭化水素の海であると考えられていた[131]。カッシーニによって得られたレーダー画像から、この領域はいくつかの盾向きの砂丘で覆われた広大な平野であることが判明し、最大で高さは100m[132]、幅は1km、長さは数百kmにもなる[133]。このタイプの砂丘は常に、平均的な風向きに向かって整列している。タイタンの場合、安定した帯状(東向き)の風と変化する潮汐風(風速約0.5m/s)が組み合わされている[134]。この風は、地球が月から受ける潮汐力よりも400倍強い、土星からの潮汐力による結果であり、風を赤道に向かって動かす傾向がある。この風のパターンは理論化されており、西から東に平行に伸びる砂丘に、徐々に表面に粒状物質を蓄積させていく。砂丘は、風向きが変わる山の周辺で途切れている。

最初は、縦(または)直線の砂丘は、一方的な通常の風向きに沿うか、または異なる2つの方向に吹く風の間で、適度に交互で変化する風によって形成されると推定されていた。その後の観測では砂丘は東向きになっているが、気候シミュレーションではタイタンの表面の風は西に向かって吹いていることが示されている。また風速1m/s未満の風では、表面の物質を持ち上げて運搬するのには不十分である。最近のコンピューターシミュレーションでは、砂丘はタイタンが春分を迎えている間、15年ごとに発生する稀な嵐によって形成される可能性がある[135]。この嵐は、強い降下物を作り、表面に達すると最大で風速10m/sで東へ流れていく。

タイタンの「砂」は、地球上の砂のようなケイ酸塩の小さな粒子で構成されていない可能性が高く[136]、液状のメタンの雨や、水や氷の岩盤が腐食したときに形成された可能性がある。あるいは、砂はタイタンの大気中の光化学反応によって生成された、ソリンと呼ばれる有機固体物に由来していることも考えられる[132][134][137]。2008年5月に、砂丘の組成が調べられたところ、タイタンの他の領域よりも水分が少なく、有機のすすのような炭化水素重合物が表面に降り積もっていることが明らかになった[138]。計算によれば、タイタンの砂の密度は地球上の砂の3分の1とされている[139]。この低密度と大気の乾燥は、静電気の蓄積によって粒子が集まって塊にさせる可能性がある。「粘着性」は、依然として季節風によるより強い風によって東へ吹き流されることはあるが、タイタンの表面近くを吹く、小さな風によって砂丘が移動することを難しくさせているかもしれない[140]

春分の前後では、強力なダウンバーストがミクロサイズの有機固体粒子を砂丘から持ち上げて、タイタンの砂嵐を発生させることができる。赤外線では、短命で強烈な輝きとして観測される[141]

タイタンでは、2009年から2010年の間に3回の砂嵐が検出されている[142]

観測と探査

ボイジャー1号が撮影したタイタンの煙霧'(1980年撮影)

タイタンは肉眼で観望することはできないが、小さな望遠鏡や強力な双眼鏡を用いれば観測することができる。アマチュアによる観測ではタイタンは明るく輝く土星本体と環の近くにあるため、観測することは難しいが、接眼レンズの一部を覆い、明るい惑星を隠すための遮蔽棒(Occulting bar)を用いると、視覚は大幅に改善される[143]。タイタンの最大視等級は8.2等[1]で、平均視等級は8.4等[144]。これと比較して、大きさが似通っている木星の衛星ガニメデは4.6等である[144]

宇宙時代以前の、タイタンに関する観測は限られていた。1907年、スペインの天文学者ホセ・コマス・ソラは、タイタンの表面に大気が存在していることを示す初めての証拠である周辺減光を観測した。1944年にジェラルド・カイパーは、分光観測を用いてタイタンの大気内のメタンを検出した[145]

タイタンをフライバイしているカッシーニの無線通信電波の研究(想像図)

土星系を最初に訪れた探査機は、1979年に到着したパイオニア11号だった。パイオニア11号の観測により、タイタンは生物の存在を支えるにはあまりにも低温であることが明らかになった。1979年半ばから後半にかけて、土星とタイタンのものを含むタイタンの画像が撮影されたが[146]、ボイジャーがすぐにさらに高解像度の画像が撮影した。

タイタンは1980年のボイジャー1号、1981年のボイジャー2号の両方で観測された。ボイジャー1号の軌道は、冥王星探査の可能性を捨ててまで探査機が大気の密度や組成、温度を求められ、タイタンの正確な質量の測定値を得ることができる最適なフライバイをするように設定されていた[147][148]。大気の曇りは、2004年にボイジャー1号のオレンジフィルターで撮影された画像を中心にデジタル処理することで、現在はハッブル宇宙望遠鏡によって赤外線で観測されているザナドゥやシャングリラとして知られる、地形の明暗の手かがりが明らかになったが[149]、表面を直接、処理化することはできなかった。ボイジャー1号のタイタンへのフライバイが不可能だった場合に、代わりにフライバイを実行する予定だったボイジャー2号は、タイタンの近くは通過せず、天王星そして海王星へと向かった[150]

カッシーニ・ホイヘンス

カッシーニが撮影した、土星の環の前にあるタイタンの画像 カッシーニが撮影した、環とエピメテウスの後ろにあるタイタンとの画像
カッシーニが撮影した、土星の環の前にあるタイタンの画像
カッシーニが撮影した、環とエピメテウスの後ろにあるタイタンとの画像

ボイジャーによってもたらされたデータでさえ、大気圏の中の詳細な観測が困難な、謎の大型衛星とされていた。17世紀の観測以来、タイタンを取り巻いていた謎は、クリスティアーン・ホイヘンスとジョヴァンニ・カッシーニの名がとられた探査機によって明らかにされた。

カッシーニは2004年7月1日に土星に到着し、レーダーでタイタンの表面の地図を作成する観測を開始した。欧州宇宙機関(ESA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)の共同プロジェクトであるカッシーニは大きな成功を収めた。カッシーニは2004年10月26日にタイタンの上空わずか1,200kmを飛行し、肉眼では見えない表面の明暗の斑点の、最高解像度の画像を撮影した。

2006年7月22日、カッシーニは初めてタイタンを目標とした近接フライバイを行い、タイタンの上空950kmまで接近し、最もタイタンに接近したフライバイは2010年6月21日に行われ、880kmまで接近した[151]。カッシーニによる探査で。北極付近の湖や海に、大量の液体が存在していることが明らかになった[82]

ホイヘンスの着陸

ホイヘンスが撮影したタイタンの表面のin situ画像。火星よりも遠くの天体の表面を捉えた唯一の画像である。 コントラストを強調した同じ画像
ホイヘンスが撮影したタイタンの表面のin situ画像。火星よりも遠くの天体の表面を捉えた唯一の画像である。
コントラストを強調した同じ画像

2005年1月14日に、着陸機ホイヘンスはタイタンに着陸し[152][153][154]、過去のある時点で流体によって形成されたように見える多くの表面の特徴を発見した[155]。これによりタイタンは宇宙探査機が着陸した、地球から最も遠い天体となった[156]

ホイヘンスは、現在はアディリ(Adiri)と呼ばれている地域の最東端付近に着陸した。ホイヘンスは、暗い平野に流れ込む暗い「川」を持つ淡い丘を撮影し、現在では丘(高地とも呼ばれる)は主に水の氷から成ると考えられている。太陽からの紫外線によって、大気の上層内に生成される暗い有機化合物が、タイタンの大気から降水として表面にもたらされる可能性がある。これらはメタンの雨により、丘を洗い流され、地質学的な時間スケールを経て平原に堆積していくとされている[157]

着陸後、ホイヘンスは、水の氷で構成されている小さな岩や小石で覆われた暗い平原を撮影した[157]。コントラストを強調した画像の中央下にある2つの石は、予想されていたものよりも小さく、左側にある石は長さ15cm、中央にあるのは長さ4cmであり、ホイヘンスからは約85cm離れている。岩の底には侵食の形跡があり、河川の活動による可能性が示されている。表面は元々予想されていたものよりも暗く、水と炭化水素の氷の混合物で構成されている。画像中に見える「土壌」は、炭化水素の雲からの降水によるものと解釈されている。

2007年3月、NASA、ESA、国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)は、ホイヘンスの着陸地点を、ESAの前長官の名に因んでHubert Curien Memorial Stationと命名した[158]

提案と概念的計画

タイタン・サターン・システム・ミッションで提案された気球(イラスト)

近年、タイタンに宇宙探査機を送り込むために提案された、いくつかの概念的なミッションが存在している。NASA、ESA、ジェット推進研究所(JPL)によるこのようなミッションのための初期の概念的な作業は完了しているが、現在、これらの提案のいずれも資金援助は受けていない。

タイタン・サターン・システム・ミッション(TSSM)は、土星の衛星を探査するために、NASAとESAが共同で提案したものである[159]。TSSMでは、タイタンの大気中に6ヶ月間、気球を浮遊させ続けることが予定されている。資金の調達を巡ってエウロパ・ジュピター・システム・ミッション(EJSM)と競合していたが、2009年2月にESAとNASAは、TSSMよりもEJSMの方を優先させることが発表された[160]

提案されていたタイタン表層海探査(TiME)は、北半球の表面にある湖の水面に3~6ヶ月間浮かせる、低コストの着陸機である[161][162][163]。TiMEは、NASAのディスカバリー計画の12番目の候補ミッションとして、2011年にPhase-A設計検討に選ばれたが[164]、選定はされなかった[165]

アイダホ大学の科学者であるJason Barnesによって2012年初頭に提案された、もう1つのミッションは、タイタンの大気中で無人飛行機(またはドローン)を飛行させて表面の高解像度の画像を撮影するAVIATR英語版(Aerial Vehicle for In situ and Airborne Titan Reconnaissance)である。しかしNASAは、要求された資金7億1500万ドルを承認しておらず、計画の今後については不確実である[166][167]

2012年後半、スペインの民間エンジニアリング会社SENERthe Centro de Astrobiología in Madridは、湖に着陸する別のランダーの概念的な設計を提案した。この探査機はTALISE英語版と呼ばれている[168][169]。TiMEと比較して大きく異なる点は、TALISEでは自身を動かすことができる推進システムが構想されているため、着水する際に単に漂流されるだけではないということである。

ディスカバリー計画の13番目の候補ミッションとして、タイタンとエンケラドゥスの居住可能性を調べる宇宙生物学土星周回探査機Journey to Enceladus and Titan英語版が提案されたが[170][171][172]、最終的には選定されなかった[173]

2015年、NASA Institute for Advanced Concepts英語版(NIAC)は、タイタンの海を探索する潜水艦の設計研究にPhase II助成金を付与した[174][175][176][177]

原始的な状況と生命

タイタンは複雑な有機化学物質に富む原始的な環境であると考えられており[51][178]、地下の液体の海洋が潜在的な生物環境となっている可能性がある[179][180][181]

カッシーニとホイヘンスには、生命の痕跡や複雑な有機化合物の証拠を得るのに十分な機能は備えていなかったが、それらの観測によって、タイタンの環境が理論化されている原始地球の大気と。いくつかの点で類似していることを示された[182]。科学者達は、初期の地球の大気は、タイタンの現在の大気や組成と類似していると推測している[178][183]

複雑な分子の形成

ユーリー-ミラーの実験およびいくつかの実験では、タイタンの大気に紫外線放射を加えたものと類似した大気内で、複雑な分子およびソリンのような高分子化合物が生成できることが示されている。反応は窒素とメタンの解離から始まり、シアン化水素とアセチレンが生成されるようになる。更なる反応について、多方面での研究が行われている[184]

タイタンの大気のような組み合わせのガスにエネルギーを加えると、DNARNAの構成要素である5種類のヌクレオチド塩基が多くの化合物に含まれることが報告されており、さらにタンパク質を構成しているアミノ酸も見出されている。このような液体の水が存在していない実験で、ヌクレオチド塩基とアミノ酸が発見されたのは初めてであった[185]。 2017年7月26日には、カッシーニミッションの科学者達は、大型の複雑な有機物の生成に関与するとされている炭素鎖陰イオンが、タイタンの大気中に存在することを特定したと発表した[186]。このような高度に存在している反応性の分子は、以前から星間物質では複雑な有機物の生成に寄与していることが知られていたため、複雑な有機物が生成される可能性がより普遍的にあることが強調された[187][188]

同年7月28日、科学者達は、タイタンで細胞膜および小胞の形成に関して生命に不可欠なアクリロニトリルまたはシアン化ビニル(C2H3CN)が発見されたと発表した[187][189][190][191]

2018年10月、研究者達は、単純な有機化合物を複雑な多環芳香族炭化水素(PAH)に変換させる低温化学経路を発表した。このような化学経路は、タイタンの低温な大気中でのPAHの存在を説明できるとされており、PAH world hypothesisと呼ばれる仮説の観点からも、我々が知っているような生命に関係する、生化学の前駆物質を生成する重要な経路になり得る[192][193]

可能な地下の居住

研究所でのシミュレーションでは、地球上で生命が始めたと考えられるものに類似した、化学進化を開始するのに十分な有機材料がタイタンに存在しているということが示唆されていた。ただこの類推は、現在観測可能な期間よりも長期間に渡る水の存在を前提としているが、いくつかの理論では、衝突により、液体の水が隔離されている凍結した層の下に保存されることが示されている[194]。また、液体のアンモニアの海が表面の真下に存在していることも理論化されている[179][195]。別のモデルでは、陸上の条件によって、極端ではあるが生命が生き残れることができるような条件で、水の氷の地殻の下、深さ200kmにアンモニア水が存在していることが示唆されている[180]。内層と上層の間の熱伝導は、地下深部の海洋を維持する上で重要となる[179]。タイタンでの微生物のような生命の検出は、大気中のメタンと窒素の調査による生命活動の痕跡に依存するだろう[180]

表面のメタンと生命

地球上の生物は水を使用して活動しているように、タイタンの液体メタンの湖にも生命が存在する可能性が示唆されている[196][10]。そのような生物は酸素の代わりに水素を吸収し、グルコースの代わりにアセチレン代謝を行い、二酸化炭素の代わりにメタンを排出する[181][196]

地球上の全ての生物(メタン生成菌を含む)は、液体の水を溶媒として使用しているが、タイタンの生物は、代わりにメタンやエタンといった液体炭化水素を溶媒として使用する可能性が考えられる[197]。水はメタンよりも溶媒としては強く、さらに水は化学反応性も高く[198]加水分解によって大きな有機分子を分解することができる[197]。そのため、炭化水素が溶媒である生物は、このようにして生体分子が破壊される危険性には直面しないであろう[197]

2005年、宇宙生物学者のChristopher McKayは、仮にメタンを生成する生命体がタイタンの表面に存在しているとすると、タイタンの対流圏の水素とアセチレンの混合比に、測定可能なほどの大きな影響を及ぼしている可能性が高いと主張した[196]

2010年、ジョンズ・ホプキンス大学のDarrel Strobelは。タイタンの大気上層内の水素分子の量が下層に比べて多いこと、速度が毎秒1028molの割合で吹く下降気流と、タイタンの表面近くで水素が消えていることを報告した。Strobelは、もしメタンを生成する生命体がいるのならば、Mckayが予測していた効果と一致することを指摘している[196][198][199]。同年、別の研究でも、タイタンの表面のアセチレンの量が少なく、Mckayによって提唱された炭化水素を消費する生物がいるという仮説と一致するという解釈がなされた[198]。生物学的仮説を再掲はしているが、彼は水素とアセチレンの発見に関して、未確認の物理的もしくは化学的プロセス(例えば炭化水素または水素を受けいれる表面触媒)や、材料の流れに関する現在のモデルの欠陥といった、他の可能性がより高いと警告した[181]

NASAは2010年6月の、調査計画に関するニュース記事で「今日まで、メタンに基づく生命体は仮説的なものであり、科学者はこの種の生命体をどこにおいても検出していない」と述べた[198]。しかし、NASAの声明は「一部の科学者が、これらの化学的サインが、タイタンの表面上に原始的でエキゾチックな形状の生物、または生物の前身がいると信じている」とも述べている[198]

2015年2月には、タイタンの条件下で、液体メタンで機能する仮想の細胞膜がモデル化された。炭素、水素、窒素を含む小分子で構成されており、リン脂質、炭素化合物、水素、酸素、リンから構成される地球上の細胞膜と同じく安定性と柔軟性を持つ。この仮説的な細胞膜はアゾトソーム(Azotosome)と呼ばれており、"azote"はフランス語で「窒素」、リポソーム(Liposome)と同じく"soma"はギリシャ語で「体」を意味している[200][201]

障害

これらの生物学的可能性にも関わらず、タイタンには生命に対して大きな障害もあり、地球との類推は不正確である。太陽からの距離が遠いため、タイタンは温度が低く、大気には二酸化炭素が欠如している。また、タイタンの表面では、水は固体としてしか存在することができない。これらの障害のために、Jonathan Lunineといった科学者達は、地球上での生命の出現に先立つ一般的な条件についての理論を調べる実験よりも、タイタンを生命が存在する可能性のある生息地とはみなしていない[202]。生命自体は存在していないかもしれないが、タイタンおよびそれに関連する有機化学の原始的な条件は、陸生生物圏の初期の歴史を理解する上で依然として大きな関心を寄せている[182]。原始的な実験としてのタイタンの使用には、宇宙探査機による観測だけでなく、実験室実験、地球上での化学的および光化学的モデリングも含まれている[184]

パンスペルミア仮説

大型の小惑星もしくは彗星が地球の表面に衝突したことにより、微生物が含まれたミクロサイズの岩石の断片が地球の重力を逃れて飛翔する可能性を示した、パンスペルミア仮説と呼ばれる仮説がある。計算では、これらがタイタンを含む多くの太陽系の天体に向かう可能性が示されている[203][204]。一方でJonathan Lunineは、タイタンの超低温の炭化水素に生息する生物は地球上の生物と化学的に全く異なる形態である必要があるため、これらの生物の祖先が他の所から来たものであるということは不可能であろうとしている[205]

未来の様子

タイタンの条件下では、遠い未来に今よりもはるかに居住可能性が高くなる可能性がある。現在から50億年の時間が経過すると太陽が赤色巨星に進化すると表面温度が上昇して、タイタンの表面に液体の水が安定して存在し、居住することが可能になるかもしれない[206]。太陽からの紫外線放射が減少するにつれて、タイタンの上層大気中の煙霧が枯渇して表面の反温室効果が弱まり、大気中のメタンによって生成された温室効果が大きな役割を果たすようになる。これらの条件は、共に居住可能な環境を作り出し、数億年間も持続する可能性がある。タイタンにあるアンモニアは化学反応の進行は遅いものの、これは地球上で単純な生物が誕生するには十分な時間である[207]

作品

出典

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参考文献

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関連項目

外部リンク