シャルナク (衛星)

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シャルナク
Siarnaq
仮符号・別名 Saturn XXIX
S/2007 S 3
視等級 (V) 20.1
分類 土星の衛星
軌道の種類 イヌイット群
発見
発見日 2000年9月23日[1]
発見者 ブレット・J・グラドマン
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 18,182,000 km[2]
離心率 (e) 0.2802[2]
公転周期 (P) 895.51 日 (2.452 年)[2]
軌道傾斜角 (i) 45.809°[2]
近日点引数 (ω) 65.929°[2]
昇交点黄経 (Ω) 47.826°[2]
平均近点角 (M) 201.288°[2]
土星の衛星
物理的性質
直径 40 km[3]
質量 3.9×1016 kg[3]
平均密度 2.3 g/cm3[3] (仮定値)
自転周期 10時間9分[4]
アルベド(反射能) 0.06[3] (仮定値)
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シャルナク (Saturn XXIX Siarnaq)は、土星の第29衛星である。順行軌道で土星を公転する不規則衛星で、イヌイット群に属する[5]

2000年9月23日に、ブレット・J・グラドマンらの観測チームにより発見された。観測にはカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡新技術望遠鏡などが用いられた[6]。発見は同年10月25日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、S/2000 S 3 という仮符号が与えられた[6][7]

その後2003年8月8日に、イヌイット神話の海の女神に因んで命名され、Saturn XXIX という確定番号が与えられた[8]シアルナクシャルナックシアルナック[9]と表記されることもある。

シャルナクは推定直径が 40 km の天体であり、土星をおよそ896日かけて一周している。イヌイット群の中では最も大きい衛星である。土星探査機カッシーニの観測によって自転周期が測定されており、10時間9分であることが判明している[4]。この自転周期は、土星を順行軌道で公転する不規則衛星の中では最も短い。

表面はわずかに赤い色をしており、赤外線スペクトルは他のイヌイット群の衛星シャルナクキビウクに非常に類似している。そのため、これらイヌイット群の衛星は共通の起源を持ち、大きな天体が破壊されることで形成された可能性がある[10][11][12]2005年にはシャルナクを含む土星の小さい衛星の観測が行われ、色指数は B-V=0.87、V-R=0.48、V-I=1.03 と測定されている[12]

シャルナクは土星と永年共鳴を起こしていることが分かっており、土星の近日点とシャルナクの近土点秤動を起こしている[13]。この共鳴では、土星の近点経度と、シャルナクの近点経度は固定された状態にある。この共鳴に関する研究は不規則衛星が土星に捕獲された過程を理解する上で重要であり、衛星の各群は単一の天体が破壊されて形成されたと考えた場合、それぞれの群での軌道要素に現在見られるばらつきを説明するためにも重要である。

出典[編集]

  1. ^ NASA (2017年12月5日). “In Depth | Siarnaq – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局. 2018年12月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月17日閲覧。
  3. ^ a b c d Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月17日閲覧。
  4. ^ a b T. Denk, S. Mottola, et al. (2011): Rotation Periods of Irregular Satellites of Saturn. EPSC/DPS conference 2011, Nantes, abstract 1452.
  5. ^ Scott S. Sheppard. “Saturn Moons”. Carnegie Science. 2019年11月2日閲覧。
  6. ^ a b Daniel W. E. Green (2000年10月25日). “IAUC 7513: S/2000 S 3, S/2000 S 4”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月19日閲覧。
  7. ^ 土星に4個の新衛星”. 国立天文台・天文ニュース (388). 国立天文台 (2000年10月26日). 2018年12月19日閲覧。
  8. ^ Daniel W. E. Green (2003年8月8日). “IAUC 8177: Sats OF (22); Sats OF JUPITER, SATURN, URANUS”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月19日閲覧。
  9. ^ 宇宙の質問箱-データ●太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2018年12月19日閲覧。
  10. ^ Gladman, Brett; Kavelaars, J. J.; Holman, Matthew; Nicholson, Philip D.; Burns, Joseph A.; Hergenrother, Carl W.; Petit, Jean-Marc; Marsden, Brian G. et al. (2001). “Discovery of 12 satellites of Saturn exhibiting orbital clustering”. Nature 412 (6843): 163–166. doi:10.1038/35084032. ISSN 0028-0836. 
  11. ^ Grav, Tommy; Holman, Matthew J.; Gladman, Brett J.; Aksnes, Kaare (2003). “Photometric survey of the irregular satellites”. Icarus 166 (1): 33–45. arXiv:astro-ph/0301016. doi:10.1016/j.icarus.2003.07.005. ISSN 00191035. 
  12. ^ a b Grav, T; Bauer, J (2007). “A deeper look at the colors of the saturnian irregular satellites”. Icarus 191 (1): 267–285. arXiv:astro-ph/0611590. doi:10.1016/j.icarus.2007.04.020. ISSN 00191035. 
  13. ^ Ćuk, Matija; Burns, Joseph A. (2004). “On the Secular Behavior of Irregular Satellites”. The Astronomical Journal 128 (5): 2518–2541. arXiv:astro-ph/0408119. doi:10.1086/424937. ISSN 0004-6256.