花崗岩

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花崗岩
 —  火成岩  —
花崗岩
花崗岩
構成物
石英カリ長石斜長石黒雲母白雲母普通角閃石
プロジェクト:地球科学Portal:地球科学
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花崗岩[1](かこうがん、: granite)とは、火成岩の一種。流紋岩に対応する成分の深成岩である。石材としては御影石(みかげいし)とも呼ばれる。

概要[編集]

地下深部で形成された深成岩のうち下記2条件を満たすものを指す。

  • 主成分が石英長石で、他に10%程度の有色鉱物黒雲母等)を含み、全体的に白っぽく見えるもの。有色鉱物の含有量が多い(約30%)ものは閃緑岩の範疇に入る。なお、花崗岩と閃緑岩の中間的な性質を持つ岩石は花崗閃緑岩 (granodiorite) と呼ばれる。
  • 成分中にナトリウムカリウムの含量が少ない非アルカリ岩質であること。アルカリ分が多くなると石英が減って角閃石が多くなり、閃長岩と呼ばれる。

花崗岩は大陸島弧などの陸地を構成する岩石の中では非常に一般的なもので、各地で見つかる。花崗岩の英語名 granite の語源は、ラテン語で種子や穀粒を意味する granum である。数mm径の結晶が寄り集まった粗い粒子構造から命名された。

花崗岩の平均密度は通常2.75g/cm3付近であるが、産地や品種によっては1.74g/cm3から2.80g/cm3に及ぶ。

花崗岩の種類[編集]

含まれる鉱物による分類[編集]

花崗岩の主要構成鉱物は、石英カリ長石斜長石黒雲母白雲母普通角閃石である。磁鉄鉱柘榴石ジルコン燐灰石のような副成分鉱物を含むこともある。まれに輝石を含む。産地によってその含有鉱物の種類や比率が様々に異なっている。含まれる有色鉱物の名前を少ないものから順に、「花崗岩」の前につけて呼ぶ。副成分鉱物の場合は「含~」とつける。

黒雲母花崗岩 (biotite granite)
黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。カリ長石が分解してカオリナイト化し桃色を呈するものを桃色花崗岩と呼ぶ。
両雲母花崗岩 (two mica granite)
黒雲母・白雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。
閃雲花崗岩 (hornblende biotite granite)
角閃石・黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。

鉱物粒子の大きさによる分類[編集]

一般に花崗岩中の鉱物粒子の大きさは数mm程度で、大きくても数cmまで。それ以上の大きさのものを巨晶花崗岩(花崗岩ペグマタイト)と呼ぶ。巨晶花崗岩は花崗岩が固結する際に最後に残った部分と考えられ、通常は微量しか含まれない珍しい鉱物が濃縮されていることが多い。また大きな鉱物粒子の間に空洞が存在し、美しい水晶(石英の結晶)や、蛍石トパーズ電気石(トルマリン)の結晶を産出することがある。このような空洞を晶洞と呼ぶ。

岩石名の先頭に「細粒」(fine-grained)、「中粒」(medium-grained)、「粗粒」(coarse-grained)、「斑状」(porphyritic) などをつけて区別することもある。

分布[編集]

山塊の多くが花崗岩から成る木曽山脈

花崗岩は造山帯か否かを問わず、大陸地殻の全域にわたって広く分布している。深成岩ゆえに地表に出ている部分よりも地下深くの方が広がっていると考えられ、大陸の表面を覆う比較的薄い堆積岩の下に横たわる基盤岩の大半を占めていると考えられている。これらの大規模なもの(100km2以上)をバソリス(batholith、底盤)、100km2以下の比較的狭い範囲のものをストック(stock、岩株)と呼んでいる。

花崗岩はおそらく完新世を除くあらゆる地質年代にわたって地殻に貫入してきた。世界的には先カンブリア時代に生成したものが多いようだが、日本では中生代に生成したものが最も広い面積を占める。日本の地表では、阿武隈高地関東北部、飛騨山脈木曽山脈美濃高原近畿地方中部、瀬戸内海から中国山地北九州などに広く分布している。

このように花崗岩は地球上ではごくありふれた存在だが、太陽系の地球以外の岩石天体にはほとんど見出されない。花崗岩の形成に水の関与が必要で、の存在する地球でのみ花崗岩が大量に作られてきたものと考えられている[2]

起源[編集]

花崗岩の起源については従来2つの学説間で論争があったが、現在では“マグマ説”が一般に支持されている。

マグマ説(火成岩説)
花崗岩は、玄武岩マグマの地殻内での結晶分化作用により形成された流紋岩質マグマ、あるいは玄武岩質マグマが周囲の壁岩(一般に堆積岩等から成る)を溶融して形成された流紋岩質マグマが地上へ出ることなくゆっくりと冷却されてできるという説。放射性元素同位体比や微量元素の含有量、また花崗岩体の規模が大きいことなどから、多くの花崗岩マグマは後者の成因によって形成されたと考えられている。
花崗岩化作用論(変成岩説)
砂岩泥岩などの堆積岩が地下深部で高温変成作用を受け、液体の状態を経ずに花崗岩が形成されたという説。

主化学組成[編集]

例として産業技術総合研究所による岩石標準試料の1つであるJG-2(岐阜県蛭川村苗木花崗岩)の組成を示す(単位は重量%)[3]

JG-2の化学組成
  含有量
SiO2 76.83
TiO2 0.044
Al2O3 12.47
Fe2O3 0.33
FeO 0.57
MnO 0.016
MgO 0.037
CaO 0.70
Na2O 3.54
K2O 4.71
P2O5 0.002
H2O+ 0.33
H2O− 0.12

花崗岩の風化[編集]

花崗岩は結晶粒子が大きくかつ鉱物結晶の熱膨張率が異なるため、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、表面がぼろぼろになりやすい(風化しやすい)。花崗岩中の主成分である石英は非常に風化しにくいため、風化が進むと構成鉱物の粗い粒子を残したままばらばらの状態になり、非常にもろく崩れやすくなる。このようにして生じた白から黄土色の粗い真砂土、あるいは単に真砂という。花崗岩地帯には真砂が広く分布し、強い降雨により多量の砂が流れ出すため、花崗岩地帯の多くが砂防地域として指定されている。また、真砂は学校の校庭の敷き砂などとして利用される。この土が河川によって海まで運ばれると、風化に強い石英主体の砂となり白い砂浜となる。瀬戸内海の白砂青松や山陰地方の砂丘は、中国山地の大量の花崗岩が元になっている。

花崗岩は固くて緻密であるが、花崗岩中の斜長石や黒雲母は比較的風化を受けやすい。斜長石が分解してできるカオリナイトの良質なものは陶土として使用される。それゆえ焼き物の街と呼ばれる場所は、花崗岩が地表に出ている地域の周辺に存在することが多い。瀬戸信楽などがその代表例である。

石材としての花崗岩[編集]

花崗岩の古い道標
「白」と「錆」:10cm角ブロック

花崗岩は緻密で硬いことから、日本では古くから石材として使用されてきた。石の鳥居石垣石橋に用いられるほか、道標三角点水準点の標石にも用いられてきた。近代の建造物の例としては国会議事堂の外装が全て日本国産の花崗岩で出来ている。

また緻密なので表面を研磨して光沢を出すことが可能で、これを「本磨き」と称して墓石などのほかパネルとして、また公共の建物や商業施設、記念建造物の床石として広範囲に利用されている。逆に、床石として滑りすぎて危険な場合、研磨した後に表面を化学薬品で処理して、滑り止め加工を施す例もある。また、「ジェットバーナー仕上げ」や「ウォータージェット」などの手法で若干荒い表面に仕上げる石材もある。石段や敷石などの場合は、研磨せず、ノミ切り、コブ出しなどの手法で、ごつごつした表面とするものもある。

高い強度と滑りやすさを要求されるカーリングの公式競技用ストーンは、全てスコットランドアルサクレッグ島で産出される花崗岩で作られている。

石材としては、通常の黒雲母花崗岩を「白」、桃色の花崗岩を「錆」と呼ぶ。近年日本で流通しているものは福建省を中心とした中国産が殆どであり、「白」の場合 602、603、桃色の場合488など、色番号を用いることがある。

別称「御影石」について[編集]

花崗岩は、特に石材としては御影石とも呼ばれる。「御影」は、兵庫県神戸市の地名(旧武庫郡御影町、現在の東灘区御影石町など)に由来し、御影の北に位置する六甲山地に花崗岩が産出したことによる。切り出した花崗岩を大阪湾に面した海岸から石船に積載し、古くから各地に出荷していた。

御影の名前は各地の産地にも転用されている。代表的な例が、福島県伊達市を中心とした「吾妻御影」、茨城県笠間市の稲田地区を中心とした「稲田御影」、同じく茨城県桜川市(旧真壁町)を中心とした「真壁御影」などである。なお墓石などに使われる「黒御影」は花崗岩ではなく閃緑岩斑れい岩であるが、黒っぽい花崗岩もある。

石材としての産地[編集]

石材としての花崗岩産地と商品名の例を挙げる[4]

  • アジア
    • 日本の旗 日本 -稲田石、 真壁小目、吾妻御影、大島石 など。
    • 中華人民共和国の旗 中国 - 白花崗、チャイナマホガニー、岑溪紅、浜河紅、南山黄 など。
    • ベトナムの旗 ベトナム
    • インドの旗 インド - ニューインペリアルレッド、サワンローズ、タイガースキン、インデアンジャパラナ、アーバングレー、銀河、グリーンファンタジー など。
  • オセアニア
  • アメリカ
  • ヨーロッパ
  • アフリカ

脚注[編集]

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  1. ^ 学術用語集 地学編』(1984年)の表記は「花こう岩」、『地質学用語集』(2004年)の表記は「花崗岩」。
  2. ^ 国立天文台・広報室 (2009年7月6日). “隕石から太陽系最古の花こう岩片を発見”. 国立天文台 アストロ・トピックス. http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000484.html 2010年2月22日閲覧。 
  3. ^ 岩石標準試料データベース(産業技術総合研究所)
  4. ^ 中華民国経済部礦物局 Bureau of mine.MOEA http://www.mine.gov.tw/Bible/f02.asp

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]