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悪魔城ドラキュラシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

悪魔城ドラキュラシリーズ(あくまじょうドラキュラシリーズ)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)より発売されているコンピュータゲームシリーズ。欧米では「Castlevania[注 1]」というタイトルで発売されており、これが悪魔城ドラキュラシリーズの英語でのシリーズ名である[注 2]。日本でも「キャッスルヴァニア」というタイトルで発売された作品もある。

ゲームジャンルはアクションで、システムは2D横視点のステージクリア型アクション、探索型アクション[注 3]、3Dアクションなどがある。ゲームシリーズの累計販売本数は2000万本を超える[3]

派生作品として、小説やゲームブック、コミック、アニメーション、パチスロ、舞台化(宝塚歌劇団ミュージカル作品が公演予定[4])なども制作されている。

シリーズ作品

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世界設定等の異なる作品や派生作品などもあわせ、以下、作品名(日本国外で発売されたタイトルは英語での題名も記する)・発売日・対応機種の順に記す。発売元や開発元が表記されていない作品は、コナミ(先述の通り持株会社化以降はコナミデジタルエンタテインメント)による開発・発売である。単独ページがない作品や、移植作などについては簡単な説明も記する。

なお、サブタイトルが無い「悪魔城ドラキュラ」のみのタイトルの作品は、最初のファミコン版以外に、MSX2版、アーケード版、スーパーファミコン版、X68000版もあるが、これらは移植作品ではなく、それぞれ新規に作られた独自作品である。

その他、開発中止作品として、1996年か1997年頃にメガドライブのスーパー32X用作品として発売予定だったリヒター・ベルモントやマリア・レナードとリヒター・ベルモントのライバルが登場する『Castlevania: The Bloodletting』があり、一部ゲームグラフィックが公開されていた[7]

また、2000年ごろドリームキャスト用に北米で発売予定だったアメリカのコナミで制作されていた3Dアクションゲーム『Castlevania: Resurrection』もあり、一部ゲームグラフィックが公開されていた。シリーズ17作目として1作目の主人公シモン・ベルモントの活躍以前の1666年が舞台で、主人公はソニア・ベルモントと1666年のドラキュラ城に現れた19世紀イギリスの吸血鬼ドラキュラ殺しであるビクター・ベルモントで、2人の主人公に焦点を当てたゲームとなる予定だった。日本のコナミとの日米コナミの開発チームの不仲の問題やドリームキャストの不振・撤退などが原因で開発中止となった[8]

タイトル未定な開発初期段階で中止になった作品としては2008年頃に発表されたPlayStation 3とXbox 360用作品(『ロード オブ シャドウ』ではない)がある。

世界観の変遷

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初期の「リアルさ、硬派な映画風演出、中世ヨーロッパのゴシック・ホラー様式の雰囲気」といったホラー映画的世界観は、シリーズが進むにつれ変化もしていき多様になった。

1993年の『血の輪廻』では、初めてアニメーションのデモシーンが挿入され、キャラクターイラストもアニメ絵となり、ゲームシステムはステージ内での探索要素(キャラ捜索・別ステージへの移動ルートなど)が加わった。その続編の1997年『月下の夜想曲』では、ゲームシステムがさらに変化し大きな転換点を迎える。RPGの要素を深め、従来のステージクリア形式から『メトロイド 』シリーズに類似したマップ探索・アイテム収集型のシステムに転換がなされた他、キャラクターデザインに小島文美が起用されてこれまでと異なる耽美的な世界観も打ち出し、ゲーム難易度的にもハードルが下がり、新登場した3Dゲーム流行当時のプレイステーションにあって旧来型2Dゲームの名作となり販売本数も好調であった。以降はストイックなステージクリア型アクションは減り、探索型アクションRPGと3Dアクションが主流になっていく。1999年の『黙示録』からは3Dフルポリゴンの作品が据え置きゲーム機用に作られるようになったが、2Dドット絵の作品も主に携帯ゲーム機用で制作されている。なお『月下の夜想曲』以後の探索型アクションシステム作品でも、ゲーム本編クリア後に本編とは別のプレイキャラクターで、マップ探索を除くRPG的要素を排除した従来型アクション特化のおまけモードが隠されている場合があり(ステージは本編と同じ)、初期の作品ほどではないものの、硬派なアクションもある。

シリーズ作品数が増えるにつれ、当初は「中世ヨーロッパ」となっていて具体的な年代設定は無かった作品内の年代設定・ストーリーを年表として書き出すと別々の作品間では矛盾もあり、作品ごとに異なる開発チームがそれぞれの独自性を発揮していった。初期の「ドラキュラは100年に1度復活する」という設定は必ずしも守られなくなったり、一部の作品のストーリーが年表上は外伝扱いに改変されたり、逆に外伝扱いだったのがメインストリームに再構築されたり、全く新しいストーリーとしてイチから作品が作られたりと多様で、設定・ストーリー等は作品ごとに後から変えられてもいる。

シリアスでダークなゴシックホラーの世界観の本シリーズであるが、『月下の夜想曲』以降ゲーム中に時折お遊び・パロディ的な要素が挿入されていることもある。基本的にゲームの本筋には関わらない形での登場であるが、サブイベントから敵やアイテムの説明文など様々である。また、PS2版『キャッスルヴァニア』以降の作品では、公式サイト等に開発スタッフ自身(主に「しずもん」というスタッフが描いている)が手がけたコミカルな4コマ漫画やイラストが掲載されていることもある。欧州開発の『ロード オブ シャドウ』では、再びシリアスながらも陰鬱で重厚な雰囲気になったがゴシックホラーというよりダークファンタジーになっている。『ロード オブ シャドウ』は、その年発売のコナミのゲームで北米で1番売れるなど世界的に好調に売れて、悪魔城ドラキュラシリーズで最も成功を収めた作品(2013年時点)となり、「悪魔城ドラキュラ」(Castlevania)が再びコナミの代表的なタイトルに返り咲いた[9][10]

関連作品

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小説・ゲームブック・漫画
作品名 著者名 発売時期 備考
悪魔城ドラキュラ 古城の死闘 竹田明 1987年3月 ISBN 4-575-76024-2。双葉文庫のファミコン冒険ゲームブックシリーズ9。
悪魔城伝説 真正バンパイアハンター 井上尚美 1990年6月 ISBN 4-575-76148-6。双葉文庫のファミコン冒険ゲームブック。『悪魔城伝説』の百年後の話で、ラルフの子孫シド・ベルモンド、サイファの子孫ズーク・ヴェルナンデス、グラントの子孫ロウ・ダナスティ、アルカードの子孫レイラの4人がドラキュラ討伐を目指す。
悪魔城ドラキュラ 悪魔の血 血の悪夢 手塚一郎 1994年2月22日 ISBN 4-89366-158-2。雑誌「ログアウト」で1992年の創刊号から連載されていた小説を、ログアウト冒険文庫アスペクトが出版。その後1995年に未完のまま連載中断し、ログアウトは休刊となった。文庫版は「1」とあるが、2巻以降は出ておらず、連載された大部分が文庫版未収録。なお、手塚はSFC版の攻略本「悪魔城ドラキュラのすべて」(1991年12月発行)も執筆しており、その中で吸血鬼関連のコラムや小説風の読み物なども書いている。
Castlevania: The Belmont Legacy マーク・アンドレイコ英語版 2005年3月30日 ISBN 1-933239-19-0アメリカン・コミックス。『ドラキュラ伝説』を元にしたパラレル作品。クリストファー・ベルモンドが主人公。全5冊。
悪魔城ドラキュラ ラメント オブ イノセンス 秋月弓
小路貴之
2008年配信 デジタルコミック。コナミの携帯電話コンテンツサイト「周刊コナミ」で毎週金曜に配信されていた。PS2版『キャッスルヴァニア』(「ラメント オブ イノセンス」は北米版のサブタイトルだった)のコミカライズであり、オリジナルキャラクターや他の人物のエピソードも描写している。
悪魔城ドラキュラ 神淵の追想曲 成田良悟 2008年10月 電撃文庫MAGAZINE2008年11月号増刊に掲載された短編小説。『蒼月の十字架』の1年後を描いている。
メダルゲームおよび遊技機
作品名 稼働時期 種類 備考
悪魔城ドラキュラ THE MEDAL 2008年9月稼働[11] メダルゲーム コナミのアーケード用のビデオスロットメダルゲーム機であるFEATUREWORLDシリーズの第3弾としてリリースされた。3ラインBET × 5ドラム式。主に『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』のキャラクターグラフィックを流用している。のちに稼働して時期が重なっていた『悪魔城ドラキュラ THE ARCADE』との連動要素もある[5]
悪魔城ドラキュラ 2009年1月稼働 パチスロ タイトルは『パチスロ悪魔城ドラキュラ』と表記されることもある。コナミグループのパチンコ・パチスロ機器メーカーKPEが開発、販売したパチスロ機種。液晶演出で主人公として「ラルフ・C・ベルモンド」、ヒロインとしてオリジナルキャラ「アンジェラ」、敵として「ドラキュラ」「死神」「メデューサ」「サキュバス」「アイザック」が登場。キャラクタービジュアルは主にPS2版作品から流用されている。BGMは歴代作品の曲が使用されている他、「trezire de spirit」などオリジナル曲も多少ある。筐体は通常版の他にアンジェラパネルもある。携帯電話でのモバイルアプリ版も同時に配信開始された。後にはスマートフォンiPadiPod touchでのiOSAndroid対応のアプリ版も配信された[12]。なお「trezire de spirit」は、2010年の音楽ゲーム『pop'n music 18 せんごく列伝』(サウンドトラックには未収録)や、2011年のメダルゲーム『GRAND CROSS CHRONICLE』(ジャックポットを獲得した場合に稀にBIG BONUS時のムービーと共に流れる)でも使用された。
悪魔城ドラキュラII 2010年7月稼働[13] パチスロ KPEが開発、販売したパチスロ機種で、パチスロ機『悪魔城ドラキュラ』の続編。オリジナル女性キャラクター「D.A.」が新たに登場。携帯電話でのモバイルアプリ版も同時に配信開始された。オリジナルBGMのひとつ「緋月の狂想曲」は、2011年の音楽ゲーム『pop'n music 19 TUNE STREET』にも収録された。
悪魔城ドラキュラIII 2012年2月稼働[14] パチスロ KPEが開発、販売したパチスロ機種。パチスロ悪魔城ドラキュラシリーズの3作目で、ファミリーコンピュータ用ソフト『悪魔城伝説』をベースにしているが、グラント・ダナスティは登場しない。携帯電話でのモバイルアプリ版も配信された。オリジナルBGMのひとつ「De-a lungul vietii」は、2012年の音楽ゲーム『pop'n music Sunny Park』にも収録された。
CRぱちんこ 悪魔城ドラキュラ 2015年10月稼働[15] パチンコ コナミグループとなったパチンコ・パチスロ機器メーカー高砂電器産業(後のコナミアミューズメント)が開発、販売したパチンコ機種。『Xクロニクル』をベースとしており、液晶演出で主人公として「リヒター・ベルモンド」、オリジナル女性キャラクター「ヴィクトリア・フロレスク」なども登場する。
悪魔城ドラキュラ Lords of Shadow 2017年7月稼働[16] パチスロ KPEが開発、販売したパチスロ機種で、『ロード オブ シャドウ』を原作とする。パチスロ悪魔城ドラキュラシリーズの4作目。「Reborn(新生)」をキーワードとして開発され、「光(オモテ)と闇(ウラ)が織り成す究極のA+ART誕生」と銘打たれている。
「フェリシア」をはじめとする新キャラクター達や、パチスロ・パチンコ版シリーズ恒例の新曲など、オリジナル要素も多い。
その他
作品名 発売(または公開)時期 媒体 備考
セガ シモンズクエスト (欧米:Castlevania II: Simon's Quest) 1989年 LCD(液晶)ゲーム機 『ドラキュラII』を元にしたLCD(液晶)ゲーム機[17]。開発はコナミではなくアメリカのタイガーエレクトロニクス社、日本での輸入販売はセガ。日本ではセガ・ゲームビジョンシリーズの1つとして発売された。
Castlevania: Symphony of the Night 1998年 LCD(液晶)ゲーム機 『月下の夜想曲』を元にしたLCDゲーム機で、タイガー社が発売した。日本未発売。
悪魔城ドラキュラX 追憶の夜想曲 2010年3月24日 ラジオドラマ 2008年後半にインターネットラジオ「コナミステーション」の「悪魔城ドラキュラ ラジオクロニクル」内で『月下の夜想曲』の後日談として配信されていたラジオドラマをドラマCD化して、コナミスタイルのみで発売された。
悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア- (欧米:CASTLEVANIA)
  • 2017年7月7日(1期)
  • 2018年10月25日(2期)
  • 2020年3月5日(3期)
  • 2021年5月14日(4期、完結)
Webアニメ 製作・配信:Netflix。海外制作のオリジナルアニメ。悪魔城ドラキュラシリーズから着想を得た中世ヨーロッパが舞台のホラーアニメシリーズ[18]
悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-: 月夜のノクターン (欧米:Castlevania: Nocturne) 2023年9月28日配信 Webアニメ 製作・配信:Netflix。『悪魔城ドラキュラ-キャッスルヴァニア-』の続編。フランス革命が舞台で、『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』、『バンパイアキラー』を下地にしていると思われるホラーアニメ。
『悪魔城ドラキュラ』 ~月下の覚醒~[4] 2025年公開予定 ミュージカル 宝塚歌劇団によるミュージカル作品で、永久輝せあ星空美咲が主演し、鈴木圭が脚本・演出を担当。花組公演。宝塚版のオリジナルストーリーを予定。

実現はしなかったが2000年代中頃から2010年代前半にアメリカでの実写映画化やアニメ化の話なども出たことがあり、これがのちにNetflixオリジナルアニメ版の製作に繋がった[19]

客演・コラボレーション

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脚注

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注釈

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  1. ^ キャッスルヴァニア、Castle=城とTransylvania=トランシルヴァニア地方を合わせた造語。
  2. ^ シリーズ初期の頃は日本国内での英語題表記は「DRACULA」であったが、のちに欧米表記に合わせ統一された。
  3. ^ メトロイド』を元祖とするマップ探索型アクションRPGで、「メトロイド」と「キャッスルヴァニア」を合わせて「メトロイドヴァニア」とも呼ばれる[1][2]

出典

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  1. ^ 電ファミニコゲーマー“ヴァニア”元プロデューサー・IGA氏が「メトロイドヴァニア」を語る──『サムスリターンズ』から受けた衝撃と新作“IGAヴァニア”に注ぎ込んだ想い【インタビュー】
  2. ^ コズミックホラーメトロイドヴァニア『Lore Finder』kickstarterキャンペーンが開始!―デモ版も公開中
  3. ^ https://venturebeat.com/2018/04/17/castlevania-grimoire-of-souls-brings-the-vampire-hunting-series-back-to-ios/
  4. ^ a b 2025年 公演ラインアップ【宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演】<2025年6月~9月・花組『悪魔城ドラキュラ』『愛, Love Revue!』>”. 宝塚歌劇団. 2024年10月30日閲覧。
  5. ^ a b KONAMI、AC「悪魔城ドラキュラ THE ARCADE」稼働開始 同作メダルゲームとの連動も可能”. game.watch.impress.co.jp (2009年2月18日). 2025年5月11日閲覧。
  6. ^ 【悪魔城ドラキュラの最新作は何か知ってる?】歴代主人公が集結した完全新作『悪魔城ドラキュラ Grimoire of Souls』が《Apple Arcade》で独占配信中”. 電撃オンライン. KADOKAWA Game Linkage (2025年4月10日). 2025年5月12日閲覧。
  7. ^ Castlevania: The Bloodletting [32X – Cancelled] - Unseen 64
  8. ^ Castlevania Resurrection [Dreamcast – Cancelled Pitch] - Unseen 64
  9. ^ Castlevania: Lords Of Shadow 2 – a titanic series overhaul edge-online.com June 6 2013
  10. ^ 『悪魔城』シリーズで最も成功を収めた作品は『Castlevania: Lords of Shadow』 - コナミDave Cox氏 INSIDE GAMES 2013年5月20日
  11. ^ 『悪魔城ドラキュラ』がメダルゲームに、本日より順次稼働開始 - 電撃オンライン”. dengekionline.com. 2025年5月11日閲覧。
  12. ^ 「パチスロ悪魔城ドラキュラ」配信開始。同名パチスロ機を再現したシミュレータ”. 4Gamer.net. Aetas (2014年12月24日). 2025年5月11日閲覧。
  13. ^ KPE、『悪魔城ドラキュラ』の後継機を発表 - グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア)”. グリーンべると (2010年5月14日). 2025年5月11日閲覧。
  14. ^ KPE、『悪魔城ドラキュラIII』を発表”. グリーンべると (2011年11月21日). 2025年5月11日閲覧。
  15. ^ 2015年 CRぱちんこ悪魔城ドラキュラ”. コナミアミューズメント. 2025年5月11日閲覧。
  16. ^ 5年ぶり新作、「BIG BOSS」筐体で/KPE「悪魔城ドラキュラ Lords of Shadow」”. 『遊技日本』. 遊技日本合同会社 (2017年4月18日). 2025年5月11日閲覧。
  17. ^ 悪魔城ドラキュラの電子ゲーム「セガ シモンズクエスト」が入荷、全4ステージ”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2023年1月29日). 2025年5月11日閲覧。
  18. ^ 「悪魔城ドラキュラ-キャッスルヴァニア- Netflixメディアセンター」より抜粋
  19. ^ “Netflixアニメ『悪魔城ドラキュラ ―キャッスルヴァニア―』プロデューサーのアディ・シャンカルにインタビュー:「善と悪ではない、グレーを描きたかった」”. Gizmodo (Gizmodo). (2017年8月8日). https://www.gizmodo.jp/2017/08/castlevania-adi-shankar-interview.html 2023年7月28日閲覧。 

外部リンク

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