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ロイ・エマーソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロイ・エマーソン
Roy Emerson
ロイ・エマーソン
基本情報
フルネーム Roy Stanley Emerson
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
出身地 同・クイーンズランド州
居住地 アメリカ合衆国・カリフォルニア州ニューポートビーチ
生年月日 (1936-11-03) 1936年11月3日(87歳)
身長 183cm
体重 79kg
利き手
バックハンド 片手打ち
殿堂入り 1982年
ツアー経歴
デビュー年 1953年
引退年 1983年
生涯通算成績 601勝221敗
シングルス 397勝156敗
ダブルス 204勝65敗
生涯獲得賞金 値なし
4大大会最高成績・シングルス
全豪 優勝 (1961・63-67)
全仏 優勝 (1963・67)
全英 優勝 (1964・65)
全米 優勝 (1961・64)
優勝回数 12(豪6・仏2・英2・米2)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 優勝 (1962・66・69)
全仏 優勝 (1960-65)
全英 優勝 (1959・61・71)
全米 優勝 (1959・60・65・66)
優勝回数 16(豪3・仏6・英3・米4)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 準優勝(1956)
全仏 準優勝(1960)
国別対抗戦最高成績
デビス杯 優勝(1959-62・64-67)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 1位(1964年)

ロイ・エマーソンRoy Emerson, 1936年11月3日 - )は、オーストラリアクイーンズランド州出身の男子テニス選手。主に1960年代に活躍し、4大大会男子シングルス通算12勝・男子ダブルス16勝を挙げ、総計「28」のグランドスラム・タイトルを獲得した名選手である。グランドスラム優勝12回は2000年にピート・サンプラスが更新するまで33年間歴代1位記録だった。フルネームは Roy Stanley Emerson (ロイ・スタンレー・エマーソン)。“Emmo”(エンモ)という愛称で呼ばれた。エマーソンは豪放洒脱な人柄で、私生活では有名な大酒飲みだったという。 

来歴

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エマーソンはオーストラリアの牧場育ちで、子供の頃は父親の農場で牛の乳搾りをしていた。1959年から男子国別対抗戦・デビスカップオーストラリア代表選手になる。1961年全豪選手権(現在の全豪オープン)と全米選手権(現在の全米オープン)で4大大会年間2冠を獲得。当時のテニス界では、トップ選手たちの大半が頂点を極めた時点でプロに転向する道を選んでいた。しかし、当時のテニス4大大会(全豪選手権、全仏選手権、ウィンブルドン選手権、全米選手権)の出場資格はアマチュア選手のみに限定されていたため、プロ選手たちは4大大会から遠ざかっていく。当時のオーストラリア・テニス界で顕著な存在だったロッド・レーバーケン・ローズウォールなどはプロに転向したが、エマーソンはアマチュア選手としてとどまった。こうして1961年から1967年までの間に、エマーソンは4大大会でシングルス「12勝」を挙げた。その間に、全豪選手権で1963年 - 1967年までの大会5連覇を達成している。

1968年にテニス界は「オープン化」という措置を取り、プロ選手たちの4大大会出場を解禁する。大会の名称も変更されて、全豪オープン全仏オープンウィンブルドン選手権全米オープンとなった。こうしてレーバーやローズウォールなど、プロに転向していた強豪選手たちが再び4大大会の舞台に戻ってくる。それ以後、エマーソンは4大大会のシングルス・タイトルを獲得できなかった。1968年以後は、テニス界の「オープン化時代」(Open Era)と呼ばれ、それ以前の時代とは明確に区別される。エマーソンの4大大会シングルス優勝はすべて「オープン化時代」以前のものであったため、ライバルたちに比べて評価が低く、長い間忘れられていた。

ロイ・エマーソンは4大大会男子ダブルスでも、全豪3勝・全仏6連覇・ウィンブルドン3勝・全米4勝を挙げ、この分野でもキャリア4冠を達成した選手である。彼の最初期のダブルス・パートナーはニール・フレーザーで、1959年ウィンブルドン全米選手権に2連勝した後、1960年全仏選手権1962年全豪選手権を制覇した。こうしてエマーソンとフレーザーは、「同一ペアで」キャリア4冠を達成した史上3組目のダブルスペアになる。フレーザーがプロテニス選手に転向した後は、フレッド・ストールと組んで1965年全仏選手権1966年全豪選手権・全米選手権の1965年1966年2年連続優勝を記録したが、ストールとのコンビではウィンブルドン優勝がない。ロッド・レーバーとは1961年全仏選手権の後、1969年全豪オープン1971年ウィンブルドンを制したが、レーバーとの組み合わせでは全米選手権を取れなかった。したがって、エマーソンにはキャリア4冠のパートナー(フレーザー)と3冠のパートナー2人(ストールとレーバー)がいたことになる。全仏選手権の男子ダブルスに6連覇した1960年から1965年までの間、1963年スペインマニュエル・サンタナと組んだこともあった。

1982年国際テニス殿堂入り。それから16年後の1998年ウィンブルドン5度目の優勝で4大大会通算「11勝」に到達したピート・サンプラスが、これまで男子歴代1位であったエマーソンの通算優勝記録「12勝を更新する」目標を掲げたことがきっかけで、長い間忘れられていたエマーソンの名前が「サンプラスの目標」として語られるようになった。サンプラスは1999年のウィンブルドンで通算12勝に並び、2000年のウィンブルドンにてついに先人の大記録を更新する。2002年全米オープン優勝を最後に現役を退いたサンプラスは、最終的に「14勝」でエマーソンを2つ上回った。(さらに7年後、ロジャー・フェデラー2009年ウィンブルドン優勝で通算15勝目を挙げ、サンプラスをも抜いて男子歴代1位記録を更新した。)

4大大会優勝

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  • 全豪選手権 男子シングルス:6勝(1961年・1963年-1967年)/男子ダブルス:3勝(1962年・1966年・1969年)
  • 全仏選手権 男子シングルス:2勝(1963年・1967年)/男子ダブルス:6勝(1960年-1965年)
  • ウィンブルドン選手権 男子シングルス:2勝(1964年&1965年)/男子ダブルス:3勝(1959年・1961年・1971年)
  • 全米選手権 男子シングルス:2勝(1961年・1964年)/男子ダブルス:4勝(1959年&1960年・1965年&1966年)
大会 対戦相手 試合結果
1961年 全豪選手権 オーストラリアの旗 ロッド・レーバー 1-6, 6-3, 7-5, 6-4
1961年 全米選手権 オーストラリアの旗 ロッド・レーバー 7-5, 6-3, 6-2
1963年 全豪選手権 オーストラリアの旗 ケン・フレッチャー 6-3, 6-3, 6-1
1963年 全仏選手権 フランスの旗 ピエール・ダーモン 3-6, 6-1, 6-4, 6-4
1964年 全豪選手権 オーストラリアの旗 フレッド・ストール 6-3, 6-4, 6-2
1964年 ウィンブルドン選手権 オーストラリアの旗 フレッド・ストール 6-4, 12-10, 4-6, 6-3
1964年 全米選手権 オーストラリアの旗 フレッド・ストール 6-4, 6-2, 6-4
1965年 全豪選手権 オーストラリアの旗 フレッド・ストール 7-9, 2-6, 6-4, 7-5, 6-1
1965年 ウィンブルドン選手権 オーストラリアの旗 フレッド・ストール 6-2, 6-4, 6-4
1966年 全豪選手権 アメリカ合衆国の旗 アーサー・アッシュ 6-4, 6-8, 6-2, 6-3
1967年 全豪選手権 アメリカ合衆国の旗 アーサー・アッシュ 6-4, 6-1, 6-4
1967年 全仏選手権 オーストラリアの旗 トニー・ローチ 6-1, 6-4, 2-6, 6-2

4大大会シングルス成績

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略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971
全豪オープン 1R 2R 2R A QF QF SF W F W W W W W A 3R A QF
全仏オープン 1R A A 3R A QF 3R QF F W QF SF QF W QF 4R A A
ウィンブルドン 2R A 3R 4R A SF QF QF 4R QF W W QF 4R 4R 4R QF 4R
全米オープン 3R A QF 4R A QF 3R W F 4R W QF SF QF 4R QF 4R
テニス4大大会男子シングルス優勝記録
順位 回数 選手名
1位 24勝 セルビアの旗 ノバク・ジョコビッチ *
2位 22勝 スペインの旗 ラファエル・ナダル *
3位 20勝 スイスの旗 ロジャー・フェデラー
4位 14勝 アメリカ合衆国の旗 ピート・サンプラス
5位 12勝 オーストラリアの旗 ロイ・エマーソン
6位タイ 11勝 オーストラリアの旗 ロッド・レーバー | スウェーデンの旗 ビョルン・ボルグ
8位 10勝 アメリカ合衆国の旗 ビル・チルデン
9位タイ 8勝 フランスの旗 マックス・デキュジス | フランスの旗 アンリ・コシェ | イギリスの旗 フレッド・ペリー | オーストラリアの旗 ケン・ローズウォール | アメリカ合衆国の旗 ジミー・コナーズ | チェコスロバキアの旗 イワン・レンドル | アメリカ合衆国の旗 アンドレ・アガシ
*は現役選手

男子ダブルスの4冠達成ペア

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外部リンク

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記録
先代
アメリカ合衆国の旗 ビル・チルデン
グランドスラム最多タイトル獲得
1967年1月30日 – 2000年6月26日
次代
アメリカ合衆国の旗 ピート・サンプラス