キリスト・アデルフィアン派

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Christadelphian Hall, Bath, England

キリスト・アデルフィアン派 (英 The Christadelphians, 仏 Les Christadelphes,クリスタデルフィアンともいう) はキリスト教系の新宗教。聖書に依拠する運動であり、ジョン・トーマス(John Thomas)の教えを信奉するメンバーから成る[1]

名称はギリシャ語(adelphoi en Christou)からとられている。意味は「キリストの友」である。キリスト・アデルフィアン派は120ヶ国にあり、およそ55,000人のメンバーがいる[1][2]

歴史[編集]

Christadelphian Chapel, Buffalo, New York

教派の創始者ジョン・トーマスはロンドンで独立教派教会の臨時牧師の家庭に生まれ、医学を学んだ。1832年アメリカへ渡り、アレグザンダー・キャンベルを信奉するキャンベル派というグループに属し、洗礼を受けた。1847年までキャンベル派と交流を持っていたが、「われわれは希望によって救われる」という見解に達して、長い信仰告白の書を出版した。トーマスを最初に支持したのはボルチモア、バッファローのキャンベル派の人々である。1848年にイギリスへ戻ると各地、特にスコットランドでの説教で成功を収めた。エディンバラでの説教で絶賛された後、ロンドンに戻り1849年に「エルピス・イスラエル-神の王国についての解説」を著した[3] 。この各地での成功は一般的にキリスト・アデルフィアン派の始まりとされている[4]

1862年に2度目のイギリス旅行をし、約15の主要都市で説教を行った。この時期に後の後継者となるロバート・ロバーツ(Robert Roberts)と出会う。その後この派はイギリスとアメリカで成長を続けた。ロバーツはアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国をまわり、1872-1873年にロバーツの「エクレシア」(集まりの意)は「バーミンガムの信仰声明(The Birmingham Amended Statement of Faith)」を発表し、これが徐々に各地のキリスト・アデルフィアン派のエクレシアに浸透していった[5]

しかし、1880年代以降アメリカでは、非修正派と修正派が分裂した。イギリス本国では300のエクレシアと2万人の信徒があり、主要な中心地になっている。他にアフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ各地などで550のエクレシア(集会)が存在する[5]

教義[編集]

教義の特徴として以下がある[4][6]

  • 神をひとつの位格とするが、三位一体の教義を拒絶する。
  • イエスは永遠ではない。受肉により存在し、神の顕現・托身である。
  • イエスは人類の罪の代理ではなく、「代表」として死んだ。
  • 霊魂消滅説の立場をとる。不滅の魂と天および地獄の従来の考えを拒絶する。
  • 地上での、天上王国の建設の為にキリストは再臨する。
  • 救いの条件は2つある。①イエスの教えに従順する、②来るべき王国への信仰告白と浸礼での洗礼。

組織[編集]

  • 「クリスチャン」という呼称を避け、「キリスト・アデルフィアンズ」(Christ adelphians、キリストの友)の語を用いる[7]
  • 厳しい行動基準があるが、近年ではテレビなどの娯楽も受け入れる様になって来ている[5]
  • 「非暴力」の立場に立ち、警察・政界・軍隊などの職業につかない[5]
  • 信徒以外との結婚は許されていない[5]
  • 中央集権的な組織がないため、それぞれのエクレシアは自主的に運営されている。しかし、基本的な信仰の基準は、「バーミンガムの信仰声明」等を基準とする。専任の説教者を立てず、ローテーションで信任された男性信徒が説教を行う[8]
  • 関連組織として学校[9]や高齢者介護施設の運営を行っている[10]
  • インドの児童養護施設の援助などの海外援助組織を運営している[11]
  • 英国の社会学者ブライアン・R・ウィルソンは1958-1959年にキリスト・アデルフィアン派を調査し「カルトの特徴無し」と分類した[12]

脚注[編集]

  1. ^ a b パートリッジ (2009),p.42
  2. ^ BBC – Religions – Christianity: Christadelphians”. 2019年6月6日閲覧。
  3. ^ John Thomas, Elpis Israel: an exposition of the Kingdom of God with reference to the time of the end and the age to come (London: 1849). Available online Archived June 24, 2009, at the Wayback Machine.
  4. ^ a b パートリッジ (2009),p.42-43
  5. ^ a b c d e パートリッジ (2009),p.43
  6. ^ Doctrines to be Rejected—an appendix to the Christadelphian Statement of Faith
  7. ^ 日本基督教協議会文書事業部・キリスト教大事典刊行委員会『キリスト教大事典』教文館、改訂新版第9版、307頁。ISBN 4-7642-4002-5
  8. ^ Hyndman Introducing the Christadelphians
  9. ^ Christadelphian Heritage College, Cooranbong and Christadelphian Heritage College Sydney, Kemps Creek などの関連学校がある。
  10. ^ Christadelphian Care Homes 公式サイト
  11. ^ Meal-a-day 公式サイト
  12. ^ Sects and Society: A Sociological Study of the Elim Tabernacle, Christian Science, and Christadelphians, (University of California Press, 1961)

参考文献[編集]

  • クリストファー・パートリッジ(編著)、井上順孝(監訳) 『現代世界宗教事典』 悠書館、2009年、42-43頁。ISBN 978-4-903487-31-1 

外部リンク[編集]