アスキー (企業)

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アスキー (企業)
正式名称 アスキー
英文名称 ASCII
前身 株式会社アスキー
種類 角川アスキー総合研究所のブランド
設立日 1977年
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アスキーASCII)は、株式会社角川アスキー総合研究所の事業ブランドまたは、かつて存在したコンピュータ関連の雑誌、書籍の制作を手掛ける日本の企業

概要

関連会社の統廃合図

1977年(昭和52年)に当時雑誌『I/O』(アイオー)の編集者であった西和彦郡司明郎塚本慶一郎(後に独立してインプレスを設立)らが独立し月刊アスキーなどの雑誌を発行するために設立した会社が、アスキー(旧法人)である。

1986年(昭和61年)に日本ソフトバンク(後のソフトバンクグループ)に対抗すべく三井物産などが出資してパソコンソフト等の卸売会社「ソフトウィング」を設立したが、1994年(平成6年)にカテナに吸収合併された。

1991年(平成3年)、半導体や衛星通信といった新規分野への出資を積極的に行う西に対して、郡司と塚本が出版を主軸とした慎重経営を主張、両者は決裂し郡司と塚本は退社した。翌年、塚本はインプレスを設立し、郡司はそれに出資した。

経営の多角化に失敗し財務が悪化して、1998年(平成10年)にCSK[1]2001年(平成13年)には投資会社ユニゾン・キャピタルなどの経済的支援を受ける。再建後は創業当初の出版業のみに事業を縮小していた。

2002年(平成14年)、当時の子会社だったアストロアーツが商号を変更しアスキーとなる。その前の株式会社アスキーはメディアリーヴスと社名変更され、主にコンピュータ関連の出版事業を引き継いだ。

角川書店グループの角川グループホールディングスの傘下にあって、他のグループ会社と違い、関連会社のエンターブレインも含めて独自の営業部が存在し、注文受託も自ら行うのが特徴だった。メディアワークスとの合併後は、独自の営業部は廃止され、販売も角川グループパブリッシングに委託される形となった。

2008年(平成20年)4月1日付で同じ角川グループ傘下のメディアワークスに吸収合併され、アスキー・メディアワークスとなった。

2010年(平成22年)10月1日に、メディアリーヴスも子会社のエンターブレインに吸収合併されたことで、旧法人も消滅した。

沿革

株式会社アスキー(初代)

株式会社アスキー(2代目)

  • 1991年(平成3年)6月24日 - 株式会社アスキーの子会社として株式会社アストロアーツを設立。
  • 2002年(平成14年)11月18日 - 株式会社アストロアーツが株式会社メディアリーヴスから営業を引き継ぎ、商号を株式会社アスキー(2代目)に変更。
  • 2008年(平成20年)4月1日 - 株式会社メディアワークスを存続会社として株式会社アスキー(2代目)を吸収合併、社名が「アスキー・メディアワークス」となった。

株式会社アスキー・メディアワークス

株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス

  • 2013年10月1日 - 株式会社KADOKAWAに吸収合併され「アスキー・メディアワークス」はブランドカンパニーの一つとなる。
  • 2014年12月 - アスキーブランドでIT技術書などを手がけてきたハイエンド書籍編集部を株式会社ドワンゴが継承し、ドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベルとして「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」を設立[2]
  • 2015年4月 - ブランドカンパニー制を廃止し、アスキー・メディアワークス事業局となる。
  • 2015年 - パソコン雑誌「週刊アスキー」が5月26日発売号にて印刷版の刊行を停止し、ネット/デジタルに完全移行

2015年発売の同年6月9日号(1030号)をもって印刷版(紙媒体版)は休刊

  • 2018年4月1日 - アスキー事業を株式会社角川アスキー総合研究所に移管。

株式会社角川アスキー総合研究所

株式会社角川アスキー総合研究所
KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
113-0024
東京都文京区西片1-17-8 KSビル2F
設立 2000年2月24日
(株式会社角川デジックス)
業種 サービス業
事業内容 デジタルプロモーション企画
クリエイティブ制作
システム開発・保守
映像制作・配信
ソーシャル広告プロモーション
カスタマーオペレーション
出版、人材派遣
代表者 福田正(代表取締役会長)
加瀬典子(代表取締役社長)
資本金 8500万円
売上高 12億円(2018年3月期)
純利益 2億1617万8000円
(2019年03月31日時点)[3]
総資産 15億1043万3000円
(2019年03月31日時点)[3]
主要株主 株式会社KADOKAWA
主要子会社 株式会社クールジャパントラベル
関係する人物 角川歴彦(元社長)
芳原世幸(元社長)
外部リンク https://www.lab-kadokawa.com/
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  • 2000年2月24日 - 株式会社角川デジックスを設立。
  • 2013年2月1日 - 株式会社アスキー・メディアワークスの一部門である角川アスキー総合研究所を分離し、株式会社角川アスキー総合研究所を設立[4]
  • 2013年7月1日 - 株式会社角川デジックスが株式会社角川アスキー総合研究所を吸収合併し、株式会社角川アスキー総合研究所に商号変更。 
  • 2018年4月1日 - 株式会社KADOKAWAからアスキー・メディアワークス事業局のアスキー事業を譲受[5]

アスキードワンゴ

2020年現在、1977年創刊の月刊アスキー誌およびそのアスキー出版の末裔と言える出版主体は、このレーベル「アスキードワンゴ」である(出版元はKADOKAWAとなっている)。旧アスキーから出版権を引き継いだ新装刊や、ドワンゴ社内の技術者とレーベル編集者との近い距離感とフットワークを活用した最新の技術書など、特色あるレーベルとなっている。発足以来、毎年数冊程度の新刊(含む新装刊)がある。

  • (再掲)2014年12月 - アスキーブランドでIT技術書などを手がけてきたハイエンド書籍編集部を株式会社ドワンゴが継承し、ドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベルとして「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」を設立[6]

メディア事業

かつて発行していた雑誌・書籍

かつて運営していたインターネットメディア

その他事業

eコマース

  • アスキー ラピッド コマース サービス - アスキーが1997年7月18日にオープンした電子商店街[13]。アスキーストアの源流として、アスキー製品の販売も行われていた。サイト移転しアスキーストアに名称を変更。
  • アスキーストア - アスキーの書籍・雑誌バックナンバーをはじめ、マイクロソフト製品をはじめとするPCソフトウェア製品、OAグッズやデジモノ類の販売を行っていたECサイト2002年に運営会社のアスキーECはオン・ザ・エッヂによる営業権取得で同社の運営となったが[14]2005年(平成17年)までは独立したサイトで運営されていた。
  • digital ASCII Try & Buy Shop[15] - 雑誌のCD-ROMとネットを融合したシリアルコード販売サイト
  • アスキーストア(2代目) - 従来からの独立サイト上の運営から、ライブドアポータルサイト)内にある「ライブドアデパート(後の買う市)」のテナントとして移転開設された。アスキー365の開設に伴い、2006年(平成18年)には閉店されて現存しない。
  • アスキーストア(3代目) - 2005年10月にアスキー・メディアリーヴス(当時)が新たにアスキー365として開設したECサイト。2008年7月週アスストアに[16]、2011年5月にアスキーストアに名称変更。週刊アスキーの読者層をターゲットに、ワイシャツなどの衣類やデジモノ・玩具(ルービックキューブなど)・雑貨類の販売に特化している。週刊アスキーにレビュー記事が連載されている。

メールマガジン

  • A-Mail.yom[17]
  • ASCII24メールサービス[18]

パソコン通信

  • アスキーネット - インターネットのニュースやメールができる唯一のパソコン通信だったが、他のプロバイダの普及により淘汰され、1997年(平成9年)終了

インターネットサービスプロバイダ

  • アスキーインターネットエクスチェンジ (AIX) - 1998年1月で終了[19]
  • アスキーインターネットフリーウェイ (AIF) - ハイパーネットのシステムを利用した無料プロバイダの趨りだった。1997年12月終了

ダウンロードサービス

  • Download ASCII - 2004年シーサーに譲渡[20]。その後Seesaa ダウンロードに名称を変更。

eラーニング

  • NET-T[21] - アスキーと日立製作所が共同開発した教材をインターネット経由で受講するシステム

主なゲームソフト

2002年(平成14年)にゲーム開発・販売から撤退[22]。ゲーム周辺機器事業はサミーが継承した。「エンターブレイン」も参照。

過去のグループ企業

事業譲受会社

  • アストロアーツ - 2002年9月に株式会社アストロアーツの営業権を譲受。KADOKAWAを発売元として天文雑誌「星ナビ」を発行。
  • アスキーソリューションズ - 2002年5月に休眠会社ユニゾン・ストラテジック・アドバイザーズが、アスキーからネットメディア事業部(パッケージソフト販売)の営業権を譲受け発足。2006年ヘラクレスに上場したが、2008年に上場準備時点からの粉飾決算が発覚。5月に上場廃止となり、7月にエー・エス・アイ株式会社に商号変更し、民事再生法の適用を申請。8月にアセンディア(現・フューチャーインスペース )に事業譲渡し、アセンディアのエー・エス・アイカンパニーになった。

関連項目

  • インプレス - 創業者の塚本慶一郎らによって1992年(平成4年)に設立。アスキーとは書籍・インターネットニュースサイト分野で競合関係にある。
  • アクセラ - 当時常務だった小島文隆らによって1996年(平成8年)に設立、ゲーム雑誌や競馬雑誌を手がけるが、事業がうまく行かず2000年(平成12年)に倒産
  • 板倉雄一郎 - ハイパーネットを起業。同社が開発したシステムを採用したアスキーインターネットフリーウェイは広告収入のみによる無料ISPとして話題となるが、1997年(平成9年)12月に自己破産。
  • Publishing TeX

脚注

  1. ^ アスキーに、CSKとセガ・エンタープライゼスが資本参加”. PC Watch (1997年12月25日). 2012年8月30日閲覧。
  2. ^ IT技術書出版ブランド「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」立ち上げのお知らせ”. 株式会社ドワンゴ. 2018年5月9日閲覧。
  3. ^ a b 株式会社角川アスキー総合研究所 第20期決算公告
  4. ^ 角川グループの新会社 株式会社角川アスキー総合研究所 設立のお知らせ”. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2018年5月9日閲覧。
  5. ^ KADOKAWA アスキー事業の移管について”. PR TIMES. 2018年5月9日閲覧。
  6. ^ IT技術書出版ブランド「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」立ち上げのお知らせ”. 株式会社ドワンゴ. 2018年5月9日閲覧。
  7. ^ ASCII. “アスキー、デジタル用語辞典のサービスを開始”. ASCII.jp. 2020年1月29日閲覧。
  8. ^ アスキーがWWWと電子メールでパソコンなどのニュースを配信するサービスを開始”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  9. ^ News:アスキーが社名変更”. itmedia. 2020年1月29日閲覧。
  10. ^ アスキー、iモードで愛車の燃費をチェックするサービス”. ケータイ Watch. 2020年1月29日閲覧。
  11. ^ アスキー、ブロードバンド向け娯楽サイト「enban.net」を開設”. internet.watch.impress.co.jp. 2020年1月29日閲覧。
  12. ^ ASCII. “アスキー、インターネットラジオ放送局“ラジ@”を開局”. ASCII.jp. 2020年1月29日閲覧。
  13. ^ アスキーが決済機構を組み込んだショッピングモールを本格運用”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  14. ^ アスキーイーシー、オン・ザ・エッヂに全ての営業権を譲渡”. 2017年7月9日閲覧。
  15. ^ アスキー、雑誌のCD-ROMとネットを融合したソフト販売サービスを開始”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  16. ^ 週刊アスキー誌面連動のネットショップ『週アスストア 』オープン『アスキー365』名称変更のお知らせ” (PDF). 株式会社アスキー・メディアワークス (2008年7月28日). 2018年2月21日閲覧。
  17. ^ アスキーが無料メールサービス「A-Mail.yom」をスタート”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  18. ^ 「ASCII24」がメールサービス”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  19. ^ アスキーがインターネット接続サービス「AIX」「AIF」を終了”. INTERNET Watch (1997年10月30日). 2012年9月4日閲覧。
  20. ^ 窓の杜 - 【NEWS】(株)アスキー、“Download ASCII”のサービス継続を発表”. forest.watch.impress.co.jp. 2020年1月29日閲覧。
  21. ^ 平成11年版 通信白書”. 総務省ホームページ. 総務省. 2020年1月29日閲覧。
  22. ^ アスキー、ゲーム制作から撤退。PSOゲームキューブ版コントローラはアスキーブランドから発売”. GAME Watch. 2020年1月29日閲覧。

外部リンク