コンテンツにスキップ

朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
北朝鮮の最高指導者から転送)
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
最高指導者
現職者
金正恩

就任日 2011年12月17日
所属機関党中央委員会
党中央委員会政治局
党中央委員会政治局常務委員会
党中央委員会書記局
党中央軍事委員会
国務委員会
担当機関党中央委員会書記局
党中央軍事委員会
庁舎朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国平壌市
朝鮮労働党中央委員会本部庁舎
指名朝鮮労働党中央委員会
任命党大会党中央委員会(総書記・中央軍事委員長)
最高人民会議(国務委員長)
任期終身(5年、任期制限なし)
根拠法令朝鮮労働党規約
朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法
創設1948年9月9日(建国)
初代金日成

朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくのさいこうしどうしゃ)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)における事実上の元首たる最高指導者である。

概要

[編集]

北朝鮮の歴代最高指導者は、執政政党である朝鮮労働党においては党首(中央委員会委員長→中央委員会総書記→総書記→第一書記→党委員長→総書記)を歴任し[注 1][1]憲法の規定により、北朝鮮は朝鮮労働党によって指導されるため、本職にある者が同国の事実上の最高指導者となる。軍においては事実上の国軍たる朝鮮人民軍の最高司令官(2019年以降は武力最高司令官)の地位を保持している。また国家機関においては、1972年制定の社会主義憲法で設置された国家主席、次いで1998年以後は国防委員会委員長が事実上の最高指導者と規定され、さらに2009年の改正で正式に国防委員会委員長(2016年以降は国務委員会委員長)が憲法上も明記されるとともに権限を拡大し、「朝鮮民主主義人民共和国の最高領導者(조선민주주의인민공화국의최고령도자)」とする規定を導入し、事実上の北朝鮮の国家元首となった。[注 2][4][5][6]

最高指導者の一覧

[編集]
  • 太字表記の役職は北朝鮮の最高ホストと見なされる。
指導者 所属政党 役職 在任期間 指導思想
001 金日成
김일성
(1912–1994
朝鮮労働党
内閣首相 1948年9月9日
- 1972年12月28日
1948年9月9日
- 1994年7月8日†
45年 + 302日)
主体思想
十大原則
朝鮮労働党中央委員会委員長
[注 3]
1949年6月30日
- 1966年10月11日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長 1950年6月26日
- 1994年7月8日
朝鮮人民軍最高司令官 1950年7月4日
- 1991年12月24日
朝鮮労働党中央委員会総書記
[注 1]
1966年10月11日
- 1994年7月8日
国家主席 1972年12月28日
- 1994年7月8日
国防委員会委員長 1972年12月28日
- 1993年4月9日
永遠の国家主席英語版 1998年9月5日
- (現職)
002 金正日
김정일
(1941/1942–2011
[注 4]
朝鮮労働党
朝鮮人民軍最高司令官 1991年12月24日
- 2011年12月17日
1994年7月8日
- 2011年12月17日†
17年 + 162日)
主体思想
先軍政治
十大原則
国防委員会委員長 1993年4月9日
- 2011年12月17日
朝鮮労働党総書記
[注 1]
1997年10月8日
- 2011年12月17日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長
永遠の総書記英語版 2012年4月11日
- 2021年1月10日(事実上)
永遠の国防委員会委員長 2012年4月13日
- (現職)
003 金正恩
김정은
(1983年/1984年 - )
[注 5]
朝鮮労働党
朝鮮人民軍最高司令官 2011年12月30日
- 2019年4月15日
2011年12月17日
- (現職)
12年 + 325日)
主体思想
金日成・金正日主義
十大原則
並進路線英語版
武力最高司令官 2019年4月15日
- (現職)
朝鮮労働党第一書記英語版 2012年4月11日
- 2016年5月9日
朝鮮労働党中央軍事委員会委員長 2012年4月11日
- (現職)
国防委員会第一委員長 2012年4月13日
- 2016年6月29日
朝鮮労働党委員長 2016年5月9日
- 2021年1月10日
国務委員会委員長英語版
[注 6]
2016年6月29日
- (現職)
朝鮮人民の最高代表者[9] 2019年4月11日
- (現職)
朝鮮労働党総書記[注 1] 2021年1月10日
- (現職)

歴代最高指導者の年表

[編集]
金正恩金正日金日成

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b c d 北朝鮮では総書記を総秘書朝鮮語: 총비서、チョンビソ)と呼ぶが、日本のマスメディアは中華人民共和国や旧ソビエト連邦の呼称と合致させるため、総書記と呼称している。
  2. ^ なお、国家を代表して外国使節の信任状および召喚状を接受するという対外的な国家元首としての権能は最高人民会議常任委員会委員長が有しており、2019年4月の憲法改正によって国務委員会委員長が国家元首と位置づけられた[2][3]後も、最高人民会議常任委員会委員長の対外的な職務に関しては変更が加えられていない。
  3. ^ 金正恩が就いていた朝鮮労働党委員長とは異なる。
  4. ^ 北朝鮮では金正日の誕生した年を1942年としているが、実際には1年前の1941年である。
  5. ^ 金正恩の誕生した年は1983年説と1984年説があるため両論併記。なお、韓国統一省は2015年に金正恩の誕生した年を「1984年」と認定した[7]
  6. ^ 英語表記は2016年から2021年までは「the Chairman of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」、2021年からは「the President of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」に変更されている[8]

出典

[編集]
  1. ^ 重村(1997年)、72ページ。
  2. ^ “北朝鮮が憲法改正、金正恩氏は国家元首に-外交活発化への意思示唆か”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2019年7月12日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-11/PUHH7Y6JIJUP01 2019年7月12日閲覧。 
  3. ^ ネナラ - 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法第6章第2節”. 朝鮮民主主義人民共和国外国文出版社. 2019年7月12日閲覧。
  4. ^ Petrov, Leonid (12 October 2009). “DPRK has quietly amended its Constitution”. Leonid Petrov's KOREA VISION. 12 September 2015閲覧。
  5. ^ North Korea Revamps Its Constitution”. thediplomat.com. DIPLOMAT MEDIA INC.. 27 April 2020閲覧。
  6. ^ “Article 100” (PDF). Socialist Constitution of the Democratic People's Republic of Korea. Amended and supplemented on April 1, Juche 102 (2013), at the Seventh Session of the Twelfth Supreme People's Assembly. Pyongyang: Foreign Languages Publishing House. (2014). p. 22. ISBN 978-9946-0-1099-1. http://www.naenara.com.kp/en/book/download.php?4+4047 
  7. ^ “金正恩氏誕生日…本当は何歳なの? 「亥年」めぐり混乱も韓国は32歳認定”. SankeiBiz. (2016年1月8日). https://www.sankeibiz.jp/smp/macro/news/160108/mcb1601082022029-s1.htm 2021年3月6日閲覧。 
  8. ^ “金正恩氏の肩書=英語表記を「プレジデント」に変更=北朝鮮”. Wow!Korea. (2021年2月17日). https://s.wowkorea.jp/news/read/288471/ 2021年2月18日閲覧。 
  9. ^ Josh Doyle (16 April 2019). “Is Kim Jong Un 'supreme representative of all the Korean people'?”. アルジャジーラ. https://www.aljazeera.com/news/2019/04/kim-jong-supreme-representative-korean-people-190416023730477.html 17 August 2020閲覧。 

参考文献

[編集]
  • 重村智計『北朝鮮データブック』(講談社〈講談社現代新書〉、1997年)

関連項目

[編集]