スーパーサイエンスハイスクール

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スーパーサイエンスハイスクールとは文部科学省が科学技術や理科数学教育を重点的に行う高校を指定する制度のことである。SSHと略記される。2002年平成14年)度に構造改革特別要求として約7億円の予算が配分され、開始された。

2007年(平成19年)度予算では約14億4443万円、2010年(平成22年)度予算では約20億6500万円、2011年(平成23年)度予算では約24億400万円が配分されており、増額傾向にある。

目的[編集]

目的は「高等学校及び中高一貫教育校における理科数学に重点を置いた高レベル教育カリキュラムの開発、大学や研究機関等との効果的な連携方策による研究推進と、将来的に有為で突出した科学技術系人財の育成に資する」とされている。

なお、第二次世界大戦末期にも同様の目的を持った「特別科学学級」という制度が存在した。

内容[編集]

  • 学習指導要領によらない教育課程を編成・実施し、理科・数学に重点を置いたカリキュラムを開発する。
  • 大学や研究機関等と連携し生徒が大学で授業を受講、大学の教員や研究者が学校で授業を行うなど、関係機関等との連携方策を研究する。そのための体験実習や合宿なども行われている。
  • 論理的思考力、創造性や独創性等を高めるための指導方法等を研究する。テーマに基づいて研究を行い、その成果を発表する活動などが行われている。
  • 科学クラブ等の活動を充実させる。また、各種のコンテストなどへの参加も活発に行われている。
  • トップクラスの研究者や技術者等との交流、先端技術との出会い、全国のスーパーサイエンスハイスクールの生徒相互の交流等を行う。

指定校数の変遷[編集]

年度ごとの指定校数は以下の通り。

  • 2002年(平成14年)度 - 26校
  • 2003年(平成15年)度 - 26校
  • 2004年(平成16年)度 - 20校
  • 2005年(平成17年)度 - 22校(2002年(平成14年)度指定校の新規指定10校含む)
  • 2006年(平成18年)度 - 31校(2003年(平成15年)度指定校の新規指定12校含む)
  • 2007年(平成19年)度 - 31校(2002年(平成14年)度~2004年(平成16年)度指定校の新規指定18校含む)
  • 2008年(平成20年)度 - 13校(2003年(平成15年)度~2004年(平成16年)度指定校の新規指定5校含む)
  • 2009年(平成21年)度 - 9校(2006年(平成18年)度指定校の新規指定2校含む)
  • 2010年(平成22年)度 - 36校
  • 2011年(平成23年)度 - 38校(2006年(平成18年)度指定校の新規指定18校含む)
  • 2012年(平成24年)度 - 73校(2007年(平成19年)度指定校の新規指定38校含む)
  • 2013年(平成25年)度 - 43校
  • 2014年(平成26年)度 - 9校
  • 2015年(平成27年)度 - 新規25校(内・開発型1校、実践型24校)、科学技術人材育成重点枠5校
  • 2016年(平成28年)度 - 新規24校(内・開発型6校、実践型18校)、科学技術人材育成重点枠10校
  • 2017年(平成29年)度 - 新規77校(内・開発型13校、実践型64校)、科学技術人材育成重点枠8校
  • 2018年(平成30年)度 - 基礎枠49校(内・開発型15校、実践型34校)、科学技術人材育成重点枠6校
  • 2019年(平成31年)度 - 基礎枠32校(内・開発型14校、実践型18校)、科学技術人材育成重点枠4校、科学技術人材育成重点枠高大接続1コンソーシアム
  • 2021年 (令和3年) 度 - 基礎枠21校(内・開発型・実践型20校、先導的改革型1校)、科学技術人材育成重点枠4校

2021年(令和3年)度現在218校が指定されている。指定校の選考においては研究内容・方法、研究計画、研究体制、評価方法・計画等が整っているかを中心に企画評価協力者(学識経験者等)が審査し、地域バランス等も考慮して行われている。

  • 開発型:従来のSSHと同様に、研究仮説を一から設定し、新規性のあるカリキュラム等の研究開発を行うもの
  • 実践型:過去にも指定を受けている学校が、これまでのカリキュラム開発を基礎として、より実践的な研究開発を行うもの
  • 科学技術人材育成重点枠は最長3年で2015年度新設、2019年度から最長5年
  • 科学技術人材育成重点枠高大接続は2019年度新設、最長5年

制度への批判[編集]

国立天文台普及室長の縣秀彦は、SSH指定校からすばる望遠鏡の見学要請を受けた際、望遠鏡のあるハワイ島のマウナ・ケア山(標高4205m)は16歳未満の登頂が禁止されている山であるにもかかわらず、一部の高校の連絡や準備が不十分であったという経験を引いて、SSHの教育活動に「科学技術系人材の育成」という本来の目的だけではなく、「学校の面目や先生の個人的な動機」が介在していると事業に疑問を呈した。またSSHは指定された一部の高校に予算を集中させる制度であるため、教育の機会均等の観点から好ましくなく、「SSHの隣の高校にも理科好きの生徒はいるのですから」と予算を全国の科学館博物館の充実に向けたほうがよいと指摘した[1]

2002年(平成14年)度指定校[編集]

指定期間は2002年(平成14年)度 - 2004年(平成16年)度までの3年間で、既に終了

現在、山形県立米沢興譲館高等学校新潟県立長岡高等学校以外の高等学校は2005年(平成17年)度に新規指定もしくは終了経過措置校に指定されている。

2003年(平成15年)度指定校[編集]

指定期間は2003年(平成15年)度 - 2005年(平成17年)度までの3年間で、既に終了

なお、山口県立岩国高等学校三重県立四日市高等学校以外の高等学校は2006年(平成18年)度に新規指定もしくは終了経過措置校に指定されている。

2004年(平成16年)度指定校[編集]

指定期間は2004年(平成16年)度 - 2006年(平成18年)度までの3年間で、既に終了

なお、山口県立山口高等学校以外の高等学校は2007年(平成19年)度に新規指定もしくは終了経過措置校に指定されている。

2005年(平成17年)度指定校[編集]

指定期間は2005年(平成17年)度 - 2009年(平成21年)度までの5年間で、既に終了(2002年(平成14年)度指定校の新規指定も含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2002年(平成14年)度指定校)[編集]

2年間の終了経過措置校(2002年(平成14年)度指定校の継続指定)[編集]

終了経過措置期間は2005年(平成17年)度、2006年(平成18年)度の2年間で、既に終了。なお、筑波大学附属駒場高等学校愛知県立岡崎高等学校高知県立高知小津高等学校西大和学園高等学校は2007年(平成19年)度に、岡山県立岡山一宮高等学校は2009年(平成21年)度に新規指定されている。

2006年(平成18年)度指定校[編集]

指定期間は2006年(平成18年)度 - 2010年(平成22年)度の5年間で、既に終了(2003年(平成15年)度指定校の新規指定を含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2003年(平成15年)度指定校)[編集]

2年間の終了経過措置校(2003年(平成15年)度指定校の継続指定)[編集]

終了経過措置期間は2006年(平成18年)度、2007年(平成19年)度の2年間で、既に終了。なお、広島大学附属高等学校は1年の終了経過措置を経て、2007年(平成19年)度に新規指定されている。また、秋田県立大館鳳鳴高等学校新潟県立新潟南高等学校福井県立高志高等学校愛知県立一宮高等学校は2008年(平成20年)度に新規指定されている。

2007年(平成19年)度指定校[編集]

指定期間は2007年(平成19年)度 - 2011年(平成23年)度まで(2002年(平成14年)度 - 2004年(平成16年)度指定校の新規指定を含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2002年(平成14年)度指定校)[編集]

新規指定校(2003年(平成15年)度指定校)[編集]

新規指定校(2004年(平成16年)度指定校)[編集]

2年間の終了経過措置校(2004年(平成16年)度指定校の継続指定)[編集]

終了経過措置期間は2007年(平成19年)度、2008年(平成20年)度の2年間で、既に終了。なお、兵庫県立神戸高等学校は2008年(平成20年)度に、福井県立藤島高等学校は2009年(平成21年)度に新規指定されている。

2008年(平成20年)度指定校[編集]

指定期間は2008年(平成20年)度 - 2012年(平成24年)度まで(2003年(平成15年)度 - 2004年(平成16年)度指定校の新規指定を含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2003年(平成15年)度指定校)[編集]

新規指定校(2004年(平成16年)度指定校)[編集]

2009年(平成21年)度指定校[編集]

指定期間は2009年(平成21年)度 - 2013年(平成25年)度まで(2002年(平成14年)度・2004年(平成16年)度指定校の新規指定を含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2002年(平成14年)度指定校)[編集]

新規指定校(2004年(平成16年)度指定校)[編集]

2010年(平成22年)度指定校[編集]

指定期間は2010年(平成22年)度 - 2014年(平成26年)度まで(2005年(平成17年)度指定校の新規指定を含む)。

新規指定校[編集]

新規指定校(2005年(平成17年)度指定校)[編集]

2011年(平成23年)度指定校[編集]

指定期間は2011年(平成23年)度 - 2015年(平成27年)度まで。

*…過去にも指定を受けている学校 ※…平成18年度指定で、平成23年度新規指定に採択された学校

2012年(平成24年)度指定校[編集]

指定期間は2012年(平成24年)度 - 2016年(平成28年)度まで。

*…過去にも指定を受けている学校 ※…平成19年度指定で、平成24年度新規指定に採択された学校

2017年(平成29年)度指定校[編集]

指定期間は2017年(平成29年)度 - 2021年(令和3年)度まで。

2018年(平成30年)度指定校[編集]

2019年(平成31年)度指定校[編集]

平成31年度基礎枠内定校 及び 科学技術人材育成重点枠内定校

基礎枠・開発型[編集]

基礎枠・実践型[編集]

科学技術人材育成重点枠(基礎)[編集]

12校応募

科学技術人材育成重点枠(高大接続)[編集]

3コンソーシアム応募

接続大学 - 千葉大学

2020年(令和2年)度指定校[編集]

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)令和2年度基礎枠 及び 科学技術人材育成重点枠 内定校

基礎枠・開発型[編集]

基礎枠・実践型[編集]

基礎枠・先導的改革型[編集]

科学技術人材育成重点枠[編集]

2021年(令和3年)度指定校[編集]

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)令和3年度基礎枠 及び 科学技術人材育成重点枠 内定校

基礎枠・開発型・実践型[編集]

38校応募・指定20校。指定期間5年。

先導的改革型[編集]

5校応募・指定1校。指定期間3年。

科学技術人材育成重点枠[編集]

9校応募・指定4校。指定期間最長5年。

2022年(令和4年)度指定校[編集]

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)令和4年度基礎枠 及び 科学技術人材育成重点枠 内定校

基礎枠・開発型・実践型[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 縣秀彦「集中よりも機会均等を」あめはれくもり 朝日新聞 2007年平成19年)7月1日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]