ぼくらの

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ぼくらの
漫画
作者 鬼頭莫宏
出版社 小学館
掲載誌 月刊IKKI
発表号 2004年1月号 - 2009年8月号
巻数 全11巻
アニメ
監督 森田宏幸
キャラクターデザイン 小西賢一
音楽 野見祐二
アニメーション制作 GONZO
製作 イズミプロジェクト
放送局 #放送局参照
放送期間 2007年4月 - 9月
話数 全24話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメライトノベル
ポータル 漫画アニメ文学

ぼくらの』は、鬼頭莫宏による日本漫画

月刊IKKI』(小学館)において2004年1月号から2009年8月号まで連載され、IKKI COMICS(小学館)にて全11巻で単行本化されている。2007年4月にテレビアニメ化され、2007年5月からは小説版『ぼくらの〜alternative〜』が全5巻で刊行された。

近未来日本を舞台に、謎の超技術で作られた巨大ロボットを操り、地球を守る為に戦う少年少女たちが主人公である。物語は1話ごとに1人の子供に焦点を当てた連作形式で構成される。極限状況に直面する子供たちは、自らの人生、家族社会とのつながり、生命の意味などを問い直してゆく。

2010年、第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

あらすじ

夏休み自然学校に参加した少年少女15人は、海岸沿いの洞窟でココペリと名乗る謎の男に出会う。子供達は「自分の作ったゲームをしないか」とココペリに誘われる。ゲームの内容は、「子供達が無敵の巨大ロボットを操縦し、地球を襲う巨大なを倒して地球を守る」というもの。兄のウシロに止められたカナを除く14人は、ただのコンピュータゲームだと思い、ココペリと契約を結ぶ。その晩、黒い巨大なロボットと敵が出現する。ロボットの中のコックピットに転送された子供達15人の前には、ココペリと、コエムシと名乗る口の悪いマスコットが待っていた。これが黒いロボット・ジアースの最初の戦いであった。戦闘を重ねるにつれ、子供達はゲームの真の意味を目の当たりにすることになる。

登場人物

ジアース (Zearth)

子供達が操縦することになる巨大ロボット。コエムシはヌイグルミと呼んでいる。昆虫甲殻類を思わせる生物的な外観を持つ。デザインが原作とアニメでは異なり、腰の辺りから腕の付け根が始まる独特の形状である原作に対し、アニメでは腕の付け根の位置が高く、より人間型に近い形状をしている。また原作では一度だけ四足歩行に変形する。身長は約500メートル。戦闘は基本的に格闘によって行われるが、全身のあらゆる箇所からレーザー[1]を発射することも出来る。また、パイロットの意志に応じて装甲や腕などを途中から切り離すことも可能。最高移動速度は陸上で1000km/h程度[2]、水中で100km/h程度。機体があまりに巨大なため、何気ない末端部の運動でも簡単に音速を超える[3]

コックピットは直径20mのドーム状空間。内壁が全周モニターとなっており、360度の視界を確保できる。フローティング構造となっているため、ジアースが転倒したりしても天地方向は動かず、また衝撃も吸収される。操縦者は生物の魂を見ることができ、コックピット内から自分が知っている人間がどこにいるかを探し当てることができる[4]。子供達が座る椅子は、各人が愛用、あるいは思い入れの深いものが複製されている。馬蹄形に並んでおり、戦闘時に操縦者の椅子が列の中央に移動する。なお、アニメ版では椅子は円形に並ぶため、戦闘時の椅子の移動はない。

ココペリとコエムシによると、敵性体と比較してもジアースは「強い」ロボットであり、少なくともココペリとその仲間達によって13戦を勝ち抜いた上で子供達に渡されていることからも裏付けられる。最大の弱点は、ジアース単体では索敵能力がパイロットの目視しかないこと[5]、出現後の移動方法が歩行や走行(上述のように時速1000kmでの歩行であるが)に限られていることであり、視界を奪われたり、アウトレンジから攻撃された際はなすすべがない。

ジアースの命名者は阿野万記(マキ)。昔読んだ父の漫画に出てくるロボットを下敷きに、地球を意味するThe EarthのTheを「(Zの方が)究極っぽいから」という理由でZに変えてZearthと命名した。また、マキ本人が父親から借りた漫画をヒントに命名したと言っている。後に国防軍によってこの名称が発表されるまでは、世間では「黒い怪獣」と呼ばれていた。その他、ウシロ編の敵性地球からは、「第5侵略体グール」と呼称されている。小説版では長い間名前が付けられず、単に《人形》と呼ばれており、後に日本政府によって「アムシペ」というコードネームを与えられた(アムシペとはアイヌ語で蟹の意)。原作のマキに相当する阿野摩子(マコ)がパイロットになった際、マコによってジアースと名付けられた。Zには、大日本帝国海軍で「皇国の興廃此の一戦に在り。各員一層奮励努力せよ」の意味で用いられたZ旗の要素など、原作よりも多くの要素が付加されている。

なお、原作では物語の冒頭でココペリが操縦した時と、子供達が操縦するようになってからでは、顔に当たる部分のデザインが変わっている。

操縦と戦闘のルール

  • 敵は1回の戦闘につき1体出現する。形態も戦い方もまちまちだが、全ての敵の内部には共通して直径およそ20メートルの球体状、花のつぼみ様の核(コックピット)があり、それを破壊すれば敵を倒すことができる(ただし、後述のように厳密な勝利条件は異なる)。
  • 戦う敵の正体は、“枝状分岐宇端末点”すなわち平行世界(パラレルワールド)の地球人。敵となる地球はなるべく近い可能性の地球同士が選ばれる(とは言え宇宙全体で見た近い可能性であり、文化などが大きく違う世界が殆ど)。
  • 戦闘の始まる日時は事前には明らかにされず、戦闘時には契約した全員が強制的にジアースのコックピットに転送される。ただし操縦者は一戦闘につき1人だけで、後のメンバーはそれを見守る事しか出来ず、通常の方法では交替もできない。ジアースと敵との戦闘は、その回の操縦者が直前までいた場所で行われる。ただし敵と子供達は全く同じ条件なので、敵地(アウェイ)で戦う場合もある。
  • 操縦と言っても、念じればその通りに動くので簡単に操作できる上、装甲は厚く装甲の上からの攻撃ではコクピット内にダメージを与えることは困難。コクピットが剥き身であったとしても核兵器を含む通常兵器では破壊できない。外装に穴が開いた場合にはそこから内部のパイロットを通常兵器で殺傷することは可能。また、コモ編、アンコ編のように装甲外からコクピット内まで貫通する攻撃手段も存在している。
  • 戦闘終了後、次に操縦する子供は本人にのみ聞こえる啓示のような形で名を呼ばれる。
  • 勝利条件は、正確には「その回の操縦を担当している敵のパイロット」を「自分達の世界の人間」が殺す事である。その際、手段の如何及び殺す人間が誰かは問われない。「他世界の人間」の手によらないで操縦者が死亡した場合は、生き残りの中から次の操縦者が選ばれる。
  • 戦闘に負けるか、決着がつく前に48時間の制限時間が過ぎると、自らの地球を含む宇宙が消滅してしまう。
  • 戦いの目的はコエムシ曰く、「宇宙の未来の可能性の淘汰」「ただの自然現象」だが、コエムシやココペリも具体的に戦いを行わせている存在のことを知っている訳ではない。マーヤによると、「あまりにも多くの可能性があっても無意味なので、可能性同士を戦わせることによって有意味な可能性だけを残す」ためとのこと。アニメ版における戦いの目的ついては#アニメ版のあらすじ参照。
  • 世界の興亡を決める最後の戦闘に関しては、最後のパイロットが、他の地球に自分達の操縦していたロボットを引き継がせ、実際に最終決戦をその地球の契約者に見せることで、戦い方を次の地球にチュートリアルすることを兼ねている。なお、このチュートリアルでの戦闘は引き継ぎ先の地球の興亡とは無関係である(アニメ版では引継ぎ戦のパイロットは死亡しない設定になっている)。稀にチュートリアル等で別の地球から訪れたゲーム参加者とその地球に元からいた人物が瓜二つ(容姿・性格など)であるというケースが存在し、その場合はコエムシによって元からその地球にいた人間は不自然にならないタイミングで隔離される。劇中ではマチが該当した。
  • その他
    • 各ロボットはそれぞれが多様なフォルムと戦術を有する。敵の核の中には、ジアース同様のドーム空間状のコックピットと椅子およびパイロット達が収納されており、ジアースのコックピットも敵の核と同様の外殻で覆われている。核は基本的に機体内部の奥深くにあるが、まれに最初からむき出しになっている場合があり、主に肉弾戦以外の特殊な戦法を持つロボットがその傾向にある。
    • 各ロボットには再生能力があり、酷い破損をしても、次の戦闘が開始されるまでには完全に再生される。ロボットの中には、再生能力を利用した飛び道具などの攻撃方法を持つ機体もある(体の一部分を敵に飛ばし、その部分を再生するなど)。
    • ジアースの能力は基本的に操縦者の生命力に比例するとされる。すなわち、パイロットの年齢が若ければ若いほど基本能力が上昇する。小説版では肉体的な若さではなく、パイロットの魂の若さであるとされる。また、パイロット個人の能力(腕力など)にも感応することがありパイロット本人の得意な行動はイメージしやすいためかジアースの動作も従う。逆に小説版のコズエ編ではパイロットのコズエが脚に障害を持っていたことから「歩行」のイメージが適切に行えず、ジアースの行動にも影響を与えた。
    • 顔に当たる部分のスリットの数はゲーム参加者の人数に対応しており、生き残っているパイロットの数だけスリットに光が灯っている。これによりそのロボットが何戦を勝ち抜いてきたかが分かる。各機体に必要な契約者の数は同じ機体を使っていてもその都度違い、引き継ぎ前に各担当のコエムシにどこからか聞こえる声で用意すべきパイロットの人数が告げられる。
    • 与えられたロボットのスリット数だけ戦闘に勝てばその世界の地球は残るが、それより多い人数で契約してもかまわない。その場合はパイロットとして選ばれなかった者は生き残ることができる。なお既に契約が完了している場合は、チュートリアルなどによって別の地球を訪れた際はその地球での契約=二重契約は認められない。
    • 病死や事故死などにより契約者の数が足りなくなった場合、別の人間が追加で契約を交わすことができる。この場合、先に契約を交わした者全てが死亡した後で、初めて追加契約者がパイロットに選ばれ、同時にスリットに光点が灯り、コックピット内に椅子が出現する(この仕組みは、マガジンと呼ばれている)。戦闘中に全ての契約者が異世界人の手によらずして死亡した場合戦闘は一時中止となり、24時間内に補充パイロットを追加して戦闘を継続できなかった場合は敗北となる。この場合、勝利した相手のパイロットもルール通り死亡する(アニメ版ではパイロットの順番が次の戦闘に持ち越しとなる)。
    • 戦闘終了後、パイロットの遺体は自宅に転送されるのが基本であるが、本人が望めば遺体を消滅させたりジアース内の隙間に保管することもできる(小説版では、過去の戦いで散ったジアース操縦者の遺体収容スペースの描写がある)。
    • 引継ぎ戦で敗北した場合、上記の通り前の地球は消滅するが、引継ぎ先の地球は消滅しない。また引継ぎ先の契約者達も死なずに素粒子セルを書き直されて復活する。その後、全戦を勝ち抜いた後に、消滅している前の地球人であるコエムシがどうなるかは不明。

出現した敵

出現した敵については、「門司邦彦」編の後に国防省によって呼称が発表されている。頭文字はアルファベット順になっている。ただしアウェイ戦の敵に関しては正式な呼称がなく、その全てが既出の敵と同型であるため、単行本にて「○○II」と記述されている。

アニメ版の敵については、原作との相違点がある場合のみ記述する。なおカッコ内の数は光点の数。

「ココペリ」編
“アラクネ (Arachne)”。スリット数13、光点数13。四本足のクモのような形状。接近戦に加え、電撃による攻撃も行う。アラクネとはギリシア語でクモの事。背中の装甲をはがされて急所を潰され、敗北した。
アニメ版
名称は同じ“アラクネ”。形状も同じだが脚が6本あるのが相違点。(12)
「和久隆/ワク」編
“バヨネット (Bayonet)”。スリット数13、光点数確認不可。巨大なの穂先の様な形状。空中を自在に飛行し体当たりによる攻撃を行う。バヨネットとは銃剣の事。素早い動きでジアースを翻弄したが、切り落とされた腕を利用したシュートで急所を潰されて敗北した。
アニメ版
“ビースト”。カマキリのような姿をしているが頭はサメに似ている。飛行能力はなく、鎌状の前脚を用いた格闘戦を得意とする。ビースト (Beast) とは英語で獣のこと。両腕でジアースを抱きかかえるようにして腕による攻撃を封殺しようとしたが、弱点である上半身と下半身のつなぎ目を狙ったキックで機体を粉砕され、急所を蹴り潰されて敗北した。(12)
「小高勝/コダマ」編
“キャンサー (Cancer)”。球体から複数の足が生えた様な不気味な形状。長い触手が武器で、相手を絡め取るなどして攻撃する。キャンサーとはラテン語でカニのこと。触手でジアースの手足を絡め取り引きずり倒そうとしたが逆にその触手を利用して投げ飛ばされ、ひっくり返って動けなくなったところをジアースの腕で滅多刺しにされて敗北した。(14)
小説版コダマ編では「トミコローツ戦記」というジアースの戦いを題材としたゲーム内の敵キャラとして登場している。
「矢村大一/ダイチ」編
“ドラム (Drum)”。スリット数14、光点数8。その名の通り、巨大なドラム缶の様な形状。体を横たえて転がり、地上にある物を押し潰す。また、体表の装甲板をヤスリのように使って敵の装甲を削り取ることもできる。コエムシ曰く、「空間に対して回転している」らしく、接地する平面がなくとも回転可能。ジアースとの戦闘では転がり回って街を破壊していたところを担ぎ上げられて海まで運ばれる。さらにその攻撃手段が仇となってやすやすと装甲板を剥がされてしまい、そのまま急所を潰されて敗北した。
アニメ版
形状は原作とほぼ同じだが、2本の脚で直立することができる。脚は横倒しになる時に収納される。また、信地旋回が可能で小回りが効く。(光点数は確認不可)
「半井摩子/ナカマ」編
“エニグマ (Enigma)”。スリット数14、光点数9。がっしりした人型の体で、太い腕を用いた格闘戦を得意とする。街の人々の避難が終わるまでの時間を待った後、ジアースに正面から殴り合いを挑んだ。エニグマとは「謎」「不可解なもの」を指すドイツ語。(確認不可)ジアースより腕が短いため、懐に飛び込むことで戦闘を有利に進めていたが、腕を自切して短くしたジアースに対応されて敗北した。
「加古功/カコ」編・「本田千鶴/チズ」編
“フィッグ (Fig)”。スリット数13、光点数8。3本の足を持つ細長いイチジクのような形状。足を折りたたんで上空に飛翔した後、標的の上に落下して破壊する。フィッグとは英語でイチジクの事。パイロット同士の諍いでまともに戦えないジアースを一方的に攻撃するが、チズが戦意を取り戻してからは手も足も出ず、最後は急所の位置を看過されて装甲ごと貫かれ敗北した。
アニメ版
“スクイド”。直立した電動ノコギリの様なボディに短い4本の椅子の様な足がついた形状をしている。ノコギリの刃で切りつける攻撃を主体とするが、レーザーによる攻撃も行う。スクイド (Squid) とはヤリイカのこと。ジアースにノコギリの部分を滅多打ちにされ戦闘能力を喪失した後、機体下部にある急所を蹴り上げられて破壊された。(10)
「門司邦彦/モジ」
“ゴンタ (Gonta)”。スリット数、光点数ともに確認不可。長い2本の腕と、それを締め付ける4つのリングで構成された巨大な万力のような姿をしている。剥き出しの急所で敵を誘い、両腕で挟み込んで押し潰す。一度はジアースを完全に拘束し、そのまま押し潰そうとしたが、最後はモジの捨て身の攻撃で急所に開けられた穴から国防軍の戦闘機の特攻を受け敗北した。名前の由来は単行本のおまけページに「N○Kの教育工作番組から」と書かれている。
アニメ版
“フォートレス”。キノコに4つの脚が生えたような形をしており、真ん中から2体に分離する(スリット部分も一緒に2つに分かれる)。分離した2つの機体は当初ベルト状のもので連結されており、ベルトの真ん中の部分にダミーの急所がついている。ベルトを引きちぎられたあとも2体が別々に行動しており、コエムシ曰く「エネルギーは空間を伝わる」とのことで、本体から離脱してもエネルギー供給は行われる模様。主な武器は鎌状の腕。フォートレス (Fortress) とは大型要塞のこと。偽の急所や、ダミー側のボディを守ろうとするなどの心理戦を仕掛けてきたが、ジアース側からも仕掛けられた心理戦に乗ってしまい、ジアースに斬りかかった本体を攻撃されて敗北した。またこの心理戦が発端となり、敵の機体にも人が乗っていることが判明した。(9)
「阿野万記/マキ」編
呼称不明(アニメ版ではガリア (Gallia))。作者は“アラクネII”と呼んでいる。形状はアラクネとほぼ同じだが(カラーリングやスリットの形状が微妙に違う)戦法は異なる。後部にある人型の部分が立ち上がり、4本の足を高速回転させて攻撃する。スリット数13、光点数10(アニメ版は5)。回転攻撃によって切り落とされたジアースの腕で地面に釘付けにされ、動けなくなったところでコアを引きずり出された後、レーザーで焼かれた。パイロットは中年の男性だった。
「切江洋介/キリエ」編
呼称不明。作者は“エニグマII”と呼んでいる。スリット数14、光点数6。人型だが、腰の部分から腕が生えている。戦闘の描写はなかったため、攻撃方法は不明。
アニメ版1
“ハインド”左右非対称のアンバランスな体形をした人型。戦闘開始直後、自らの胸部装甲を剥がして急所を取り出し、自害した。ハインド (Hind) とは牝鹿のこと。(4)
アニメ版2
“イグルー”。全体に鋭角が目立ち、腕が刃物になっている人型。前方への突進攻撃を得意とする。イグルー (Igloo) とはイヌイットが雪で作る住居のこと。得意の突進攻撃をことごとく回避され、敗北した。(2)
「古茂田孝美/コモ」編
“ハムバグ (Humbug)”。スリット数14、光点数2。一見普通の人型に見えるが、実は夥しい数の触手を隠し持っており、近づいてきた敵の内部に侵入させてパイロットを直接攻撃することができる。ジアースを敗北寸前まで追い込むものの、コモを殺害する寸前でパイロットが戦意を失って機体から降りたために動かなくなった。ハムバグとは「詐欺師」のこと。
アニメ版
名称不明。寸胴な体型の人型。溶解液を相手に浴びせて攻撃する。一般住民と協力して落とし穴を作り、ジアースが落下したところで落とし穴に溶解液を注いで倒そうとしたが、ジアースの光線を受けて転倒した隙にジアースに穴から脱出され、攻撃されて敗北した。(確認不可)
「往住愛子/アンコ」編
“アイドル (Idol)”。飛行するタイプで、正面から見ると「山」の字を上下逆にしたようなシルエットを持つ。先端から溶解液が出るを持ち、その針を相手に刺して攻撃する。この針は使い切っても再生する。また、かなりのスピードで動き、ジアースでは捕捉する事も難しい。わざとジアースの攻撃をギリギリで避けたり、まるで対戦相手を馬鹿にするかのような態度を取る。アンコに重傷を負わしたが、彼女のマイクパフォーマンスをヒントにしたフェイントに引っかかり、捕捉されて敗北した。アニメ版にもマチの地球での戦いで同じ姿をした敵が登場している。
アニメ版
名称不明。クジャクのような姿で、背中から生える無数の針で相手を貫いて攻撃する。(7)
「吉川寛治/カンジ」編
“ジャベリン (Javelin)”。通常は円筒形をしているが、大砲の形に変形することで超長距離砲撃特化戦闘が可能。砲撃形態では砲身が1000mにもなる。ゴンタと同様に、弱点は剥き出しになっている。作中では戦闘開始時に無数の針を発射し、それをマーカーとしてハワイから日本のジアースに対して砲撃を行った。関達が自身らを的にするという捨て身の戦法により、地球ごとレーザーで貫かれて倒された。ジャベリンとは、英語で投げ槍という意味である。この戦いではアメリカの要請により、日本軍によって核爆弾を敵に対して使用されたがまったく効き目が無かったため、3メガトンの威力をもってしても急所でさえ破壊できないことが分かった。
アニメ版
“キングダム”。骨格標本のような不気味な姿をした人型で、手から黒いビームを発する他格闘戦も得意とする。ジアースプログラムのコピーのため、認知工学研究所の前に現れ、急所を破壊された後、ジアースプログラムによって街の電力を取り込み、再起動した。キングダム (Kingdom) とは英語で王国のこと。(11)
「宇白可奈/カナ」編
名称不明。作者は“キャンサーII”と呼んでいる。スリット数15、光点7。キャンサーに巨大な2本の脚が生えて直立したような形状をしている。長い触手を鞭のように相手に叩きつけながら相手の装甲を剥ぎ取り、それを武器に相手を斬りつける。人が乗った無人機からばら撒かれる煙幕でジアースを錯乱させたり、戦闘機を撃墜された田中を人質に取ったりなど卑劣な戦法を仕掛けてきたが、それが仇となってカナの怒りを買い無残に敗北した。
「町洋子/マチ」編
アニメ版
“リドル (Liddle)”。ずんぐりした形の人型。無人兵器による攻撃で炎上する街の中でジアースと戦ったが、胸部装甲を剥がされて剥き出しになった急所を炎に焼かれて敗北した。(4)
「宇白順/ウシロ」編
名称不明。ジアースと同じタイプ。スリット数11、光点数3。ジアース同様に格闘戦を主体とする。ウシロは当初カナに暴力を振るっていた反動に苦しむが、その後敵を圧倒。しかし敵のコエムシの登場により敵コックピットを開け、それにより敵パイロットに逃げられてしまう。しかしウシロは、アウェーであった為その地球上の全人類を徐々に殺害するという方法を取り、自らの行為に苦しみながらも撃破した。
アニメ版
“マスタング”。前後対称の形状で、上半身を回転させて攻撃を受け流すなどトリッキーな戦法を得意とする。ジアースとの30時間以上の死闘の末、急所を破壊された。ジアースはその後ウシロの意思で分解された。マスタング (Mustang) とはアメリカの野生馬。(2)
「コエムシ」編
名称不明。おそらく、アラクネと同じタイプだと思われる。スリット数・光点数共に不明。引き継ぎ戦の相手としてコエムシと戦った。

舞台設定

近未来の日本が舞台。正確な時代は明示されないが、兵器の型式から2036年の直前である。アニメ版は2030年から2031年にかけての物語である[6]。作中の描写(史実への言及や、実在する兵器、漫画・アニメの登場など)から、20世紀までは現実世界とほとんど同じ歴史を辿った世界とのこと。

自動車航空機などに近未来的なデザインは見受けられるが、機能そのものは基本的に2012年現在のものを踏襲している。なお、このデザインの違いは別の地球だからではなく、未来であることが理由であると単行本の巻末コメントで説明されている。

21世紀初頭に勃発した日乃レポート事件(後述)により、日本は政策を大きく転進させている。外交面では親中路線を執っており、中国との間に日中安保条約が結ばれている。アメリカとは仮想敵国ないし緊張状態にある。自衛隊は国防軍へ発展的解消を遂げている。

これに伴いアジア・太平洋地域は緊張状態にあり、日本政府・国防軍はジアースの力を軍事的に利用するためにパイロット達と接触するが、人間の技術では制御できないことを知り、パイロットのサポートに当たることになる。

「日乃レポート」などの設定、独自の(架空の)素粒子論など、『なるたる』を始めとした他の作品との共通する設定基盤を持つ[7]

日乃レポート

本編よりおよそ25年前[8]に実行されたクーデター計画の名称。作者の前作『なるたる』にも極秘計画として登場する。詳細は明らかでないが内容は、日米安保条約の破棄、在日・極東米軍との交戦、改憲、自主独立路線への転換などを含んでいる。政府・自衛隊の一部により実行され成功を収めた。

軍事技術

日本は陸海空三軍からなる国防軍を所持している。兵器の制式名称に皇紀を用い、F-15Jが41式、F-2が60式というようになっている。一方で、階級名は自衛隊式である。

「天津条約」という国際条約によって無人兵器の所持が全世界的に規制されており、作中に登場する戦闘機などの兵器はほとんど全て有人兵器である。この話題は人の命の軽重を問う場面で提示されており、本作の主題と関連が見られる。なお、アニメ版においては、終盤において一時的に無人兵器運用制限を緩和する決議が取られており、ジアースおよび敵性怪獣に対して使われた。

登場兵器

88式軽戦闘機
航空国防軍の軽戦闘機であり、田中一尉などが搭乗する。有視界戦闘を重視した機体で、コックピットが機体上部にせり上がって配置されている。エンジンは双発。主翼は小型の後退翼で、大型の双垂直尾翼と上半角のついたカナードを持つ。
アメリカからの兵器輸入が不可能になると判断した日本が独自開発した機体であり、8年以上の歳月をかけて完成した。各種機能を外部のサポートリンクシステムに負担させる事によって、機体の小型化に成功している。
対空戦闘においては4機からなるフライト単位が基本であり、戦域にばらまかれた長距離滞空能力を持つ自立型空対空ミサイル「91式空対空誘導弾」40発とあわせて、一つの戦闘システムを形成する。
80式支援戦闘機
航空国防軍の支援戦闘機。実質的には純粋な対地攻撃機だが、周辺諸国に配慮して支援戦闘機というカテゴリに分類されている。
エンジンは双発で、翼型は翼端に双尾翼のついた無尾翼クリップドデルタ。コックピットは前下方の視界を確保するために機首先端に配置されている。88式軽戦と同様に機能の大部分を外部に依存しており、単体での作戦能力は持っていない。
85式支援戦闘機
海上国防軍の支援戦闘機。本機も80式支戦と同じく実質的には攻撃機である。空母への艦載能力を有している。
翼型や機体構成も80式支戦に類似している。80式支戦との大きな相違点としては、胴体部に単垂直尾翼を持つ事が挙げられる。
41式改要撃戦闘機
航空国防軍のF-15Jに近代化改修を施した機体。機銃を撤去した上で、機首にF-15S/MTDのようなカナードが追加されている。
新型機の開発コストを節約するため、かなりのロートルでありながら現役で運用され続けている。これは、外部兵装ポッドの開発技術が発展しているため、旧型機でも十分な作戦能力が与えられるためでもある。しかし、すでに対空戦闘に用いられる事は無い。
なお、型番の「41式」は、F-15Jが航空自衛隊に採用された1981年を皇紀に書き換えた皇紀2641年を示している。
60式改支援戦闘機
航空国防軍のF-2に近代化改修を施した機体。イスラエル空軍仕様のF-16C/Dの様に、大型ドーサルスパインを機体背面に、エアインテーク下部に下半角のついたカナードを追加している。
41式改と同様の理由で、いまなお現役で運用されている。なお、型番の「60式」は、F-2が航空自衛隊に採用された2000年を皇紀換算した皇紀2660年を示す物である。
76式汎用機
陸海空3軍の共通プラットフォームとして開発された多目的機。長方形の胴体を持つ串型機で、垂直尾翼は有していない。
「空の馬車馬」と評される高い汎用性を持ち、空中警戒、対潜哨戒、空中給油、電子戦、対地/対艦ミサイルや対空レーザーのプラットフォーム、輸送などの様々な任務に対応する事が可能。
80式中型輸送機
76式汎用機をベースとし、大型化させた輸送機。76式同様の串型機で、機体下部のコンテナ部分に兵員などを収容する。最大で軽戦車一台が搭載可能。
長門
海上国防軍第一艦隊旗艦。コモの父親である古茂田一佐が艦長を務めている。艦名は大日本帝国海軍の戦艦「長門」に由来すると思われる。
艦型はズムウォルト級ミサイル駆逐艦の様なタンブルホーム船型、波浪貫通型船首であり、ステルス性を意識している事がうかがえる。これは空母を除くこの時代の艦艇の基本構造であるらしく、「ジャベリン」攻撃に出動したアメリカ海軍の艦艇も同様の形状をしていた。また、上部構造物の上に塔、或いは煙突状の部位があるが、これの用途は不明。
F-22X-32
双方共に実在する機体。F-22はアメリカ空軍機、X-32はアメリカ海軍機として登場する。

この他名称不明の物で、「ジャベリン」を核攻撃した航空国防軍の攻撃機(機首の形状は88式軽戦に類似し、前進翼を持つ)や、陸上国防軍の観測ヘリ、「ガリア」(アラクネII)戦において「ガリア」を支援した平行世界の日本軍の双発戦闘機(機首は80式支戦に類似するが、前進翼と大型のカナードを持つ)や、「キャンサーII」戦で登場した平行世界の無人戦闘機(劇中では有人運用されていた)、アニメ版でジアースと「リドル」を攻撃した連合空軍の艦上UAV、民間の報道ヘリなどが登場している。

番外編

ぼくらの 特別ヘン(「鬼頭莫宏とあし☆すた」名義)
コミックス11巻初版限定版付属の冊子に収録。内容について作者は「自パロ」、「アンソロジーっぽい感じ」と語っており、作者自身は24ページ中9ページ描いて、残りはアシスタントが描いている。登場人物の何人かは本作ではじめてフルネームが記されている。
当初は、最終話が掲載された『月刊IKKI』2009年8月号にて、9月号に掲載される旨が予告されていたが、原稿の入稿後に内容面を考慮して編集部の判断によって掲載を見送られた[9]
ぼくらの 〜1年後の待ち人〜
鬼頭莫宏イラスト&バックヤード集『ぼくらの』に収録の、6ページの短編。
本編最終話にて、新たなるコエムシとして別の地球へ旅立った佐々見の帰りを待ち続ける多手。その多手に声をかけるマチの様子を描く。

影響

本作を描くきっかけは「魔法少女モノ」であり、主人公が大きな力を得た代償として周囲を危険に晒してしまうところから、操縦すると人が死ぬロボットが発想されたという[10]

物語のコンセプトはジョージ秋山の漫画『ザ・ムーン』に範をとったものであり、単行本1巻の初期の帯には秋山が推薦文を寄せていた。また、ジアースの名称も『ザ・ムーン』に肖ったものであり、作中で名付け親のマキがその旨を話している。

テレビアニメ

2007年4月から9月まで独立UHF局他で放送された。

アニメ版のあらすじ

「阿野万記」編までは原作に準じている。

政財界の権力者達は、「子供達の契約を解く鍵を探す」という建前の元に、ジアースの技術を研究して産業や軍事に利用しようとする。子供の親達は、子供を救う方向に世論を動かす為に、ジアースの情報公開を目指して協力し合う。しかしその企ても権力者の陰謀により潰され、子供達はこの地球からも孤立してゆく。ジアースのコピープログラムであるジアースプログラムの開発が進むが、実はそれすらもゲームの主催者である支配者の計画であった。プログラムの働きにより「勝ち抜いた地球」も、そのエネルギーを支配者に奪われる運命にあった。

未契約者はマチであり、彼女は別の地球から来たコエムシの妹であった。彼女により「契約者の一人だけは、次の地球へのゲームの引継ぎ者として生き延びられる」という秘密が明かされる。ゲームに疑問を感じ始めていたマチは、コエムシを射殺して自ら契約を結ぶ。そしてジアースの管理は契約者達の手に委ねられた。マチはジアースプログラムを破壊し、最後のパイロットとなったウシロは戦闘後にジアースそのものを解体することで、ゲームの連鎖は断ち切られる。一人生き残ったウシロの妹カナは、戦いの経緯を物語として伝えてゆく事を決意し、生きる戦いを始めた。

スタッフ

  • 原作 - 鬼頭莫宏
  • 監督 - 森田宏幸
  • 副監督 - 川畑えるきん
  • キャラクターデザイン - 小西賢一
  • メカニカルバイザー - 鈴木勤
  • 色彩設計 - 飯島孝枝
  • 3D監督 - 大野克尚
  • 美術監督 - 池田繁美
  • 撮影監督 - 藤田賢治
  • 編集 - 廣瀬清志
  • 音響監督 - 明田川仁
  • 音楽 - 野見祐二
  • プロデューサー - 永井理、難波秀行
  • アニメーション制作 - GONZO
  • 製作 - イズミプロジェクト

原作との違い

企画のスタートは原作の「阿野万記」編連載時であった。アニメ版監督である森田宏幸が大雑把なストーリーの続きやキャラクターの関係を原作者から聞いた上で、自由につくったとのこと[11]。アニメ版の後半はオリジナルストーリーとなり、オリジナルキャラクターを含む大人たちの行動が多く描かれ、独自の作品解釈による結末(原作とは平行世界の設定)がつけられた。ゲームのルールやキャラクターの性格などの設定にも大きく変更された所がある。また、性的な描写や残酷なエピソードが割愛されたり和らげられた箇所も多い。各話の順番も一部変更された。

3DCGを多用したリアルな映像で描かれたが、飛行するメカがなくなり、ロボットの動きもスローモーションになり、対戦相手の形態が変更されたものもあるなど、戦闘シーンは特に大きく変更されている。これに関しては原作者も監督とのインタビューにおいて、戦闘の緊迫感を欠き不満であると漏らしたが、監督は巨大なモノが戦うという事を現実的に考えての改変であると答えている。

パイロットの選定は、コックピット内の椅子がルーレット状に回転することで行なわれる。同時に操縦者は啓示を受け、身体のどこかに床と同様の紋様が現れる。この選定は、戦闘直後ではなく、時間をおいて行なわれる。ジアースへの転送は、椅子を媒介として子供たち自身の意思によっても行なわれる。コエムシは、契約した人間のパイロット登録やパイロットの順番の決定を、自由に決定する権限を持つ。ルーレットは余興に過ぎない。テレビアニメ版の契約者と光の位置関係はワク右側上から2、コダマ右側上から4または左側上から3、カコ左側上から6、チズとチズの子供左側上から4・7、ダイチ、ナカマ、モジの3人は右側上から3・5・6、マキ左側上から5、キリエ左側上から2、アンコ右側上から7、コモ右側上から1、カンジ真ん中、ウシロ左側上から1である。23話でマチ右側上から2が追加された。また、TVアニメ版は敵味方共に15スリットある。

イズミプロジェクト

アニメ版クレジットにおいて表記されている“イズミプロジェクト”とは、監督によると、本作におけるファンドの名称であるとのこと。いわゆる製作委員会方式と似てはいるが、それよりは出資・製作体制が若干小規模になっている。またGDHの説明によると有限会社と名目上なっているが、特別目的会社(SPE)として設置されており、実質的に製作委員会方式と形態は同一となっている。同様に、イズミプロジェクト名義での製作になっている作品に『パンプキン・シザーズ』がある。

主題歌

オープニングテーマ「アンインストール
作詞・作曲・歌 - 石川智晶 / 編曲 - 西田マサラ
エンディングテーマ
Little Bird[12]」(第1話 - 第12話)
作詞・作曲・歌 - 石川智晶 / 編曲 - 西田マサラ
Vermillion」(第13話 - 第24話)
作詞・作曲・歌 - 石川智晶 / 編曲 - 西田マサラ
挿入歌「ロストイノセント」(総集編)
作詞・作曲・歌 - 石川智晶 / 編曲 - 西田マサラ

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 ゲーム 川崎ヒロユキ 森田宏幸 権園小夏
朝来昭子
2 ジアース 与口奈津江 佐野隆史 林直孝 小島彰
3 秘密 西田大輔 藤森カズマ 菊池勝也 小林利充
4 強さ 山中英司 はしもとなおと 長坂寛治
5 弱さ 与口奈津江 小林孝志 飯島弘也
坂崎忠
6 情欲 名村英敏 信田ユウ 山中正博
7 川畑えるきん 夏目真悟
8 復讐 小林哲也 畠山茂樹 都竹隆治
渡部穏寛
9 家族 西田大輔 関野昌弘 佐々木美和
関野昌弘
10 仲間 藤森カズマ 岡村正弘 小島あきら
11 三原武憲 青木真理子
12 血のつながり 与口奈津江 名村英敏 菊池勝也 坂崎忠
13 地球 柳沼和良 林直孝 Shuzilow.HA
14 迷い 西田大輔 笹木信作 信田ユウ 山中正博
室井康雄
15 自滅 与口奈津江 小林孝志 夏目真悟
15.5 追想 総集編
16 正体 西田大輔 平尾隆之 畠山茂樹 谷川亮介
渡部穏寛
17 情愛 与口奈津江 山下祐 下司康弘 小島彰
佐々木美和
18 現実 藤森カズマ 粟井重紀 秦野好紹
19 西田大輔 川畑えるきん 小林孝志 Shuzilow.HA
20 宿命 大知慶一郎 関野昌宏 みくりや恭輔 佐藤道雄
雨宮英雄
21 真相 与口奈津江 笹木信作 信田ユウ 小林利充
22 道程 西田大輔 藤森カズマ 畠山茂樹 渡部穏寛
谷川亮介
23 雪景色 大知慶一郎 大橋誉志光 林直孝 夏目真悟
室井康雄
24 物語 与口奈津江 森田宏幸
川畑えるきん
朝来昭子
渡辺純子

放送局

放送地域 放送局 放送期間 放送日時 放送区分 備考
兵庫県 サンテレビ 2007年4月8日 - 9月30日 日曜 25:30 - 26:00 独立UHF局
神奈川県 tvk 2007年4月10日 - 9月25日 火曜 23:00 - 23:30
東京都 TOKYO MX 火曜 23:30 - 24:00
愛知県 テレビ愛知 2007年4月12日 - 9月27日 木曜 26:58 - 27:28 テレビ東京系列
日本全域 AT-X 2007年4月29日 - 10月7日 日曜 11:30 - 12:00 CS放送 リピート放送あり

小説版

小説版『ぼくらの〜alternative〜』は、大樹連司によるライトノベルである。表紙と挿絵は原作者の鬼頭自らが担当している。2007年5月に小学館ガガガ文庫より刊行が開始された。全5巻。

原作とは異なる平行世界の物語である。原作と類似した状況でパイロットは選ばれ、そのメンバーも多くは共通している。操るロボットは原作とほぼ同じもので、名前もジアースと名付けられる。アドバイザーとなるのは謎の少女・マーヤであり、そのアシスタントとして登場する「コエムシ」の姿や性格は原作のコエムシとは異なっている。椅子のデザイン・配置やパイロット選定方法は、原作にほぼ準拠している。

小説版の登場人物

トミコローツ

ジアースを含め、「怪獣」は日本政府によって「トミコローツ」と総称されている。これは原作者の鬼頭莫宏の作品『辰奈1905—トミコローツ戦記』からとられており、アイヌ語で「戦争をする棺桶」と言う意味の鬼頭による造語である。ジアースに与えられたアムシペの名もこの作品に登場するトミコローツから来ている。

各トミコローツはそれぞれ形状も特徴も全く異なるが、いずれも遠距離兵器(大半の機体がレーザー)を持つ点は共通である。

《教師》編
《蜘蛛》。形状、性能ともに原作のアラクネに酷似している。色は白。アラクネと同じく放電を用いる。
コズエ編
《猿人》。灰色の直立したゴリラ。原作のエニグマに似ている。レーザーと格闘戦で戦う。
カコ編
《風車》。8枚のプロペラのような部位と土台で構成されている。遠距離戦を主体とするタイプで、プロペラを回転させてエネルギーを溜め、8本のレーザーを集中させて強力な攻撃を行う。プロペラの羽は切り離して全方位からの飽和攻撃を行うことが可能。
ツバサ編
《矛盾》。名前の通り、それぞれ《矛》と《盾》のような形状をしている。2体で1体の珍しいタイプ。《盾》がレーザーで相手を牽制しつつ《矛》を守り、《矛》が突撃して装甲を突き破る。核は《盾》側にある。
ワク編、チズ編
《洋梨》。同名の拷問具に似た機体で、洋梨型の機体が4つに分かれて敵機体を挟み込み、身動きをとれなくしてから溶解液で攻撃する。戦術としては原作のゴンタに相当する。
キリエ編
《蜻蛉》。槍の本体に二対四枚の羽を有し、視認するのも困難なほどのスピードで飛び回り、相手を串刺しにする。原作のバヨネットを高性能にしたものと言える。
コダマ編
《岩亀》。小山のような胴体から4本の脚が出ている。自らの質量とそれに見合った怪力で戦う。
マコ編
《白猿》。二足歩行で、外形や形態の可変性など、様々な点でジアースによく似ている。四脚形態への変形機構を有する。
アンコ編
《灯台》。3本の足が生えた塔のような形状。機動力は低く攻撃手段も電撃のみでその威力も弱いが、それを補うように(その世界の人間たちが)ジアース側の良心や倫理観を咎めるような心理戦を仕掛ける。
コモ・カナ編1
《打筒》。積極的な行動を示さなかったため詳細は不明だが、原作のドラムに相当する。
コモ・カナ編2
《孔雀》。トミコローツの中では数少ない、レーザー(粒子ビーム)を持たないタイプ。羽に見える部分は攻撃肢と呼ばれる紐状の武器で、これがレーザーに代わる遠隔攻撃武器となり、ジアースのコックピットを直接攻撃してくる。原作のハムバグに相当する。
マリア編
《大烏》。ジアースの約2倍はある巨体を持つ鳥形。飛行タイプの中では速度が遅いが、本体から分離する「艦載機」を搭載しており、これでジアースを攻撃する。また、ミサイル生物兵器等の「同時代的」兵器も搭載している。ただし、それらの兵器は《大烏》本来の装備ではなく、彼らの世界のものを操縦室に持ち込み、外で組み立てたものである。
カンジ編
《紅蠅》。その名の通り蠅を思わせるフォルム。幻覚攻撃を使い敵パイロットを幸せな幻想の中に閉じ込めてしまう強敵だが、逆にそれを破られると後はほぼ何もできない。
ミク編
《水母》。触手を用いての直接攻撃を行う、トミコローツの中ではさして強くないタイプ。
エピローグ(ウシロ編)
《弦月》。ジアース同様人型で、巨大な塔のような印象を与える威容。胸部に三日月のような部位を備えており、接近戦タイプかと思われたが実は三日月から発射する強力な破壊光線をメインに戦う。

原作との違い(小説版)

操縦者となる順番は原作と異なっており、原作の初期パイロットたちは運命を覚悟した上で戦うことになる。また子供たちが操縦者とならなかった場合の行動が描かれたり、逆に原作では脇役であった人物をパイロットとしてその内面を描く、狂言回し・マーヤの暗躍により、世界が破滅へと向かっていく過程が描写されるなど、原作の登場人物たちのもうひとつの可能性が繰り広げられた。

原作者の作品「なるたる」に登場したキャラクターが、戦闘機のコードネームとなっている。

書誌情報

DVD

  • ぼくらの(アニメDVD、2007年7月 - 2008年3月、ビクターエンタテインメント、全8巻)

脚注

  1. ^ 作中ではレーザーと呼ばれるが、『ぼくらの』第4巻所収「ぼくらのおまけ」によると、実際はレーザーではなく質量兵器。小説版によれば粒子ビームに類似。
  2. ^ 身長1.8mの人間がそのままの体型で500mまで大きくなったとすると、少し速く歩く程度の運動でこの速度に達する。作品中では「走る」「跳ぶ」などの運動もしている。
  3. ^ アニメ版では現実感を重視し、ジアースの運動は見た目上非常に鈍重になるように描写された。
  4. ^ アニメ版では、パイロットの意識とジアースが直結しており、パイロットの見たいものが映し出されると説明されている。
  5. ^ 生命体の存在確認のみならば、地球全域に対して行える。よく見知った人物の居場所の特定は可能であるが、敵であるのか見知らぬ他の人であるのかの識別は行えない。(チズ編、カンジ編、ウシロ編など)
  6. ^ ウシロの生年が平成29年=2017年と示されたことから。
  7. ^ 「ぼくらの」オフィシャルブック ISBN 978-4-09-188399-5 記載
  8. ^ 事件当時、田中が4歳であったことから。
  9. ^ 『月刊IKKI』に掲載されなかった理由については、「マジメな作品を使ったおちゃらけに対して不愉快な思いをする読者がいる可能性があると(編集部が判断したと)いうことらしいが、聞いた話であり、本当のことかどうかはわからない。」と作者のサイトにて語られている。
  10. ^ マンガノゲンバ」、2007年11月14日放送分より
  11. ^ 『ぼくらの』第7巻所収の「アニメ版ぼくらの制作レポート」
  12. ^ 「Little Bird」は、後に原作の「吉川寛治」編で関が口ずさむ歌として、「Vermillion」は小説版のマリア編において同じく関が口ずさむ歌として使用された。

関連項目

外部リンク