AAC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

AAC
拡張子: .3gp .3g2 .aac .m2ts .m4a m4b .m4p .mov .mp4
開発者: Moving Picture Experts Group
種別: 音声ファイルフォーマット
包含先: ほとんどの音声・動画コンテナ
拡張: HE-AAC
国際標準: ISO

AAC (エーエーシーAdvanced Audio Coding先進的音響符号化 )は、ISO/IEC JTC 1Moving Picture Experts Group(MPEG)において規格化された音声圧縮方式のこと。MP3等のMPEG-1 AudioやMPEG-2 Audio BC(Backward Compatible) を超える高音質・高圧縮を目的に標準化された。MPEG-2 Audio BCとは異なり、符号化アルゴリズムにおいてMPEG-1 Audioとの互換性は無い。ファイルに格納した場合の拡張子は、.mov .mp4、m2ts .m4a、.m4b、.m4p、.3gp、.3g2または.aac。なお、放送ではADTS(Audio Data Transport Stream)と呼ばれるヘッダ形式で伝送されることが多い。サンプリング周波数は最大96kHzまでをサポートする。

目次

[編集] AACの種類

MPEG-2 AAC (ISO/IEC 13818-7) と MPEG-4 AAC (ISO/IEC 14496-3, Subpart 4) とがあり若干仕様が異なっている。しかし、アルゴリズム自体には違いは無く、ヘッダの一部分が1ビット異なるだけであり、通常の使用では区別する必要はほとんど無い。

AACにも拡張機能が使用可能であるかどうかによって幾つかの種類があるが、一般的に利用されているのはAAC-LC (AAC Low Complexity) と呼ばれる基本機能だけを用いるものである。

MPEG-4 AACバージョン3においては、約半分のビットレートで従来のAACと同等の音質を実現するHE-AAC (High-Efficiency AAC) が追加承認されている。 又、可変ビットレート (VBR) にも対応している。

AAC-LC、HE-AAC(aacPlus、AAC+SBR)、HE-AAC Version 2(aacPlus Version 2、Enhanced aacPlus、AAC+SBR+PS)

[編集] 利用状況

MPEG-2 AACは主に日本のBSデジタル放送地上デジタル波放送ISDB規格や、SD-AudioのAACフォーマット、ヨーロッパ圏のDVDなどで利用できる。(北米や日本のDVDでは、AACではなくAC-3dtsが採用されている)。

MPEG-4 AACは、米アップル社のQuickTimeiTunesをはじめ、デジタル音楽プレイヤー「iPod」やソニー・コンピュータエンタテインメントプレイステーション3(PS3)、プレイステーション・ポータブル(PSP)、ソニーウォークマンの一部機種、AAC対応の携帯電話など、多くの機器やソフトウェアがサポートしている。iTunes Storeでは配信楽曲等にAACが採用されている。また、携帯電話向け動画フォーマットである3GPP3GPP2でも採用され、着うた着うたフルHE-AAC)の配信用フォーマットに利用されている。

拡張子が.m4pの形式はiTunes Storeが採用するFairPlayというDRMが導入された形式である。AACは音楽配信などを中心にシェアを広げており、これまでAACをサポートしてこなかったソニー,松下電器KENWOOD等からも、AACに対応したデジタル音楽プレイヤーがリリースされている。また任天堂Wii写真チャンネルもショッピングチャンネルから手に入れた1.1のバ-ジョンの音楽方式もAACとなっている。

[編集] 符号化アルゴリズム

AAC(AAC-LC)の符号化処理は以下の流れで行われる。

  1. MDCTによる直交変換
    入力は2048点、もしくは256点のMDCTを用いて、周波数領域に変換される。
    変換長は、入力信号の性質によって切り替えられる。
  2. TNS
    周波数領域の信号を、時間軸のものと見なした線形予測を行う。
    周波数領域でのARモデル化は時間領域でのノイズ特性を持ち、人間の聴覚の持つ継時マスキング特性を再現するのに都合が良い。
  3. ステレオ・コーディング
    入力信号がステレオの場合は、ステレオ特有の性質を利用した符号化が行われる。
    なおステレオ・コーディングは、サブバンド毎に利用しなかったり、どちらか片方だけを利用したりすることができる。(両方同時に使用することはできない。)
    1. インテンシティ・ステレオ
      左右の信号を、単一の信号と定位情報のみに削減して符号化する。
    2. MSステレオ
      左右の信号を和/差信号とする。
  4. 量子化
    聴覚モデルで決定した許容量子化雑音エネルギーと量子化雑音エネルギーが比例するように量子化を行う。
  5. ハフマン符号
    量子化された値を固定ハフマン符号化する。符号帳は11種類の中からサブバンド毎に選択される。

[編集] コンテナ対応

[編集] 備考

AACはドルビーラボラトリーズが主導的に開発したものであり、AACロゴはドルビーラボラトリーズの登録商標である(日本国特許庁商標登録番号:第4693750号)。AACにはドルビーのほかAT&TFraunhofer IISソニーノキアの特許技術が使用されている[1]ため、ソフトウェアメーカーなどから納付されたライセンス料はこれらの企業に分配されている。

なお、MPEG-4 AACが含まれるMPEG-4 AudioのカテゴリにはNTT サイバースペース研究所が開発したTwinVQが存在するが、これはAACとは別物である。

[編集] 利用例

AACは下記に採用されており、実際に利用されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク