ISDB

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ISDBIntegrated Services Digital Broadcasting、統合ディジタル放送サービス)とは、日本放送協会(NHK)が中心となって開発され、日本の放送で使用されているデジタル放送の方式である。衛星デジタル放送用のISDB-S、地上デジタル放送用のISDB-T、地上デジタル音声放送用のISDB-TSB、デジタルケーブルテレビ用のISDB-C等がある。

NHK大阪放送局ISDB-T放送の画面

目次

[編集] 概要

ISDN略語は似ているが、複数のデータチャンネルを用いて伝送する点ではコンセプトも似ていると言える。また、複数の放送が一つの送信機から放送される点でDABといったデジタルラジオの規格や、複数チャンネルのデジタルテレビ放送方式であるATSCDVB-Tとも似ている。ISDBは未使用のTV用チャンネルを用いて運用される。このアプローチはTV放送においては他の国でも見られるが、ラジオ放送については他の国では見られたことはなかった。

[編集] 方式

  • 映像符号化方式:MPEG-2 Video(MP@HL/H14L/ML)
  • 音声符号化方式:MPEG-2 AAC
  • データ符号化方式:BML
  • スクランブル方式(限定受信方式):MULTI-2

なお、地上デジタル放送の携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス(ワンセグ)での映像符号化方式はH.264/AVCである(当初計画ではMPEG-4となっていたが特許料の安いこの方式になった)。

従来のアナログハイビジョン(MUSE方式)はフィールド/秒(fps)が60fps(30フレーム/秒)だがデジタルハイビジョンでは59.94fps(29.97フレーム/秒)である。映像モード(画面解像度)[1]は次の通り(インターレース=飛び越し走査、プログレッシブ=順次走査)。

  • (480i)480×720インターレース。ノーマル、ワイド
  • (480p)480×720プログレッシブ。ワイド
  • (720p)720×1280プログレッシブ。ワイド
  • (1080i)1080×1920/1440インターレース。ワイド

なお、放送局側の事情により、映像部分がノーマルサイズ(4:3)のものをハイビジョン用のワイド映像信号(16:9)に変換(詳細は映像のコンバートを参照)して放送する場合がある。この場合、多くのノーマルサイズテレビの視聴では上下左右に黒幕が付き額縁のように表示されてしまう(詳細は額縁放送を参照)。但し、放送局側が識別信号を事前に入れることによって、ノーマルサイズ(4:3)映像への自動変換表示を受信機側に促すことが可能。また受信機(テレビ・単体チューナー)側に機能(「サイドカット」・「ズーム」及び「パンスキャン」などの名称)が搭載されていれば、前述の識別信号の有無に因らずに同様に手動操作による変換表示が可能である。

[編集] ISDB-S

Integrated Services Digital Broadcasting - Satellite の略。BSデジタルテレビジョン放送、BSデジタル音声放送、110°CSデジタル放送で使用されている。

  • 伝送路符号化方式は、シングルキャリア、時分割多重(TDM)方式。
  • 変調方式は、TC8PSK(トレリス符号化8相位相変調)、QPSK(四位相偏移変調)、BPSK(二位相偏移変調)。
  • 1チャンネル(トランスポンダー)は48スロットから構成される。1スロットの伝送容量は標準で約1.08Mbps。
  • ハイビジョン放送では22スロット、NTSC画質(SD)では6スロットの割当で開始された。チャンネル構成の変更に伴い、ハイビジョン15~24スロット、NTSC画質(SD)9~11スロットと、事業者ごとに割当数が異なる。
  • 画面モードはハイビジョン(HD)1080i(1080×1920、または1080×1440)、720p、NTSC画質(SD)480i、480p。
  • 双方向通信のために電話端子が装備される。地上デジタル放送対応機種にあるLAN端子も使われている。
  • B-CAS
  • ARIB STD-B20「衛星デジタル放送の伝送方式」で規定[2]

[編集] ISDB-T

地上デジタル放送のUHF帯域のチャンネル(物理チャンネル)割当て、チャンネル内のセグメント配置およびマルチ編成のセグメント割当ての階層図式例:
(1) ワンセグはセグメント1個を使用、フルハイビジョン(HDTV)は12個を使い番組1本。
(2) またマルチ編成の複数番組同時放送の場合は中画質でセグメント8個と標準画質として4個を使い番組2本。
(3) さらにマルチ編成として標準画質(SDTV)でセグメント4個ずつ使う番組3本の放映が行える。

Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial の略。地上デジタルテレビジョン放送で使用されている。

  • 極超短波UHF)の周波数470MHz-770MHzの帯域幅を使用し、50のチャンネルを設け、これらを「物理チャンネル」Ch.13-Ch.62と呼ぶ。
    (なお、視聴する際にはこの物理チャンネルとは別の「リモコンチャンネル番号(リモコンキーID)」、ボタン1-12などが用いられる。例えば、東京タワーから受信する関東平野ではNHK総合はボタン「1」、チャンネル番号011~012、物理チャンネル27chである。)
  • 各物理チャンネルごとの伝送路符号化方式は、マルチキャリア、直交周波数分割多重(OFDM)方式。3つのOFDMキャリア間隔を持ち、それぞれモード1~3と区別される。
  • 変調方式は、64QAM、16QAM、QPSK、DQPSK。
  • 1チャンネルの周波数帯域(6MHz)は13の帯域(約5.57MHz)とガードバンドに分割されている。分割された帯域をセグメントと呼ぶ。ISDB-Sのスロットは時間領域での分割単位であるのに対して、セグメントは周波数領域での分割単位と考えると理解しやすい。
  • 1セグメントは約429kHzで、4つの変調方式のうち任意の3種類のいずれかをそれぞれのセグメントで指定できる。
  • 地上デジタルテレビジョン放送では13セグメント使用されているが、将来的には拡大できる。双方向通信は電話端子とLAN端子が装備される。
  • 携帯端末向け放送は中央の1セグメントで行われる(通称:ワンセグ)。
  • ハイビジョン(HDTV)の送信は中央の1つを除く12セグメントを使用。現行の地上デジタル放送の送信パラメータ(モード3、ガードインターバル長は126マイクロ秒、搬送波の変調方式は64QAM、畳み込み符号化率(符号長と情報長の比)は3/4)で計算した場合、伝送情報量は12セグメントで16.851Mbpsとなる。なお、NTSC画質(SD)での送信では3セグメント~12セグメントの範囲を事情に合わせて可変的に運用する。
  • 画面モードはハイビジョン(HD)1080i(1080×1440)、NTSC画質(SD)480i、480p、ワンセグ320×240(最大)。
  • B-CAS
  • ARIB STD-B31「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」で規定[3]

[編集] SBTVD

SBTVD (Sistema Brasileiro de Televisão Digital) 、別名SBTVD-T (Sistema Brasileiro de Televisão Digital Terrestre) 、ISDB-TBブラジルで採用されている方式で、ISDB-Tを基礎としつつも動画圧縮技術にはH.264を用いる等の改良が加えられた。今後ISDB-Tに変わり南米各国での採用を目指しており、他国への提案もSBTVDを元に行われる見通しである。2009年4月ペルーでも採用が決定した[4]

ブラジルは地上アナログ放送にはPAL-M方式を用いている。2003年の段階で一旦は独自方式の開発を決定したが、そのための資金や人的・時間的資源が不十分であることから2005年にそれを断念。2006年4月13日、ブラジル政府のアモリン外相、コスタ通信相、フルラン開発商工相ら閣僚による使節団と、麻生太郎外務大臣(当時)の間でデジタル放送に関する覚書が調印され、2006年6月29日、SBTVD方式の採用を正式に決定した[5]

2007年12月3日のサンパウロでの商業放送開始を皮切りに、2009年12月31日には各州都で、2013年12月31日には全市町村での放送を開始する。アナログ停波は2016年6月29日[6]

なおSBTVDという名称にはブラジルの国名が含まれるため、国際化された名称に改称する予定である[6]

採用国 [7]
ブラジルの旗 ブラジル
ペルーの旗 ペルー
試験放送実施 [7]
ベネズエラの旗 ベネズエラ
アルゼンチンの旗 アルゼンチン(2008年9月、デジタル放送の方式としてSBTVDの採用を検討しているとの発表があった。)
エクアドルの旗 エクアドル
ボリビアの旗 ボリビア
チリの旗 チリ
エルサルバドルの旗 エルサルバドル
パラグアイの旗 パラグアイ

[編集] ISDB-T1-seg

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「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」(ワンセグ)で使用されている。

ワンセグ#技術・仕様」を参照

[編集] ISDB-TSB

ISDB - Terrestrial for Sound Broadcastingの略。地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)で使用されている。

ISDB-Tの移動体向け放送(1セグメント放送)と基本的に同じであり、1セグメント、もしくは3セグメントを利用する。

  • 1セグメントは430kHz 移動体に適した変調方式を用いた場合の伝送量は280kbps
  • 音声圧縮方式はMPEG-2 AACを採用。

[編集] ISDB-C

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ISDB for Cableの略。デジタルケーブルテレビ向けの規格。日本CATV技術協会が中心となって策定された。 デジタル放送の再送信の際に変調方式を変えないパススルー方式と、64QAMもしくは256QAMに変換するトランスモジュレーション方式の2種がある。 パススルーとトランスモジュレーションの違いは、ケーブルテレビ#伝送方式を参照。

[編集] ISDB-Tmm

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Integrated Services Digital Broadcasting Terrestrial for mobile multimediaの略。モバイルマルチメディア放送の規格。ISDB-T・ISDB-TSBにプッシュキャスト(蓄積型放送)機能を追加し、また動的にセグメント配分・使用セグメント数を変えることで帯域を有効活用することができる。プッシュキャストではコンテンツ配信も可能で、有料配信サービスも検討されている。マルチメディア放送企画LLC合同会社(MMBP)により規格策定・実証実験が行われており、2012年のサービス開始を目指している。同様の機能を持つMediaFLOを念頭において開発されている。

[編集] 限定受信・再生・コピーワンス

[編集] ISDB-T・ISDB-S

WOWOWやスター・チャンネル、CS110°などは契約者のみ受信できるように暗号化されている(無料番組は契約者以外でも受信できる)。

ARIB STD-B25「デジタル放送におけるアクセス制御方式」で規定[8]

地上波・衛星放送においては、WOWOWは放送開始当初から(2003年11月から全面導入)、その他の民放BS・地上波とNHKは2004年4月5日以降、著作権保護を強化するためのコピー制御として録画管理、再生管理、放送内容の暗号化をするコピーワンスが有効になっている。

そのため、DVDレコーダなどを使用して番組をDVDに記録する場合、記録型DVD向けの著作権保護技術「CPRM」に対応したDVD-R、DVD-RAM、DVD-RWを対応機種で使う場合を除いて記録はできない(DVDレコーダーによって特定の種類のDVDには録画・ムーブが不可等の制限もある)。

またムーブと呼ばれる機能がある機種ではHDDからDVDにダビングした場合HDD側は消去され、この機能が無い機種ではダビングそのものが出来ない。一方、VHSなどのアナログ機器(DVD・VHSレコーダー内蔵のVHS等を除く)は影響を受けないので録画可能である。

ただしアナログ信号・機器においてもCGMS-Aによりコピー制御の信号は除去されずに重畳・記録されるため、コピー制御対応機器に対してそのようなアナログ信号・媒体を入力とした場合にもコピー制御の影響を受けることはある。

コピーワンスではB-CASカードを差し込むことにより暗号が解除されるため、正規の受信機以外(コピーワンスの無い受信機では暗号解除できない)による受信を防いでいる。

「1回限りのコピーでは厳しすぎる」との批判を反映して2008年7月4日からダビング10が導入された。

ただし、メディアに記録した映像データをPCなどにリッピングした場合、実質コピーガードは働かない。

[編集] NHK

BSデジタル放送では同梱されていたハガキでNHKに個人情報を知らせなかった場合、最初の受信から約1月後にNHKに電話するように促すメッセージが深夜などを除き表示される。コピーワンス導入以前はB-CASが差し込まれていない場合、B-CASを差し込まれていない事を注意するメッセージが表示された。これは規格上、受信機側で消せないものとなっている。

[編集] ISDB-TSB

地上デジタルラジオにおいては、放送開始当初からコピーワンスが有効になっている。 また運用規定で、録音した機器以外で再生することはできないように定められている。 なおヘッドホン出力端子やアナログのライン出力端子から出力した音声には、コピーガードは働かない。

[編集] 録画機器

デジタルテレビジョン放送においては、ハイビジョン画質での録画ではデジタル放送をそのまま受信するため文字情報なども併せて録画される。デジタルチューナーが内蔵されていない機器とはチューナー(内蔵テレビ)のi.LINKで接続する。

  • D-VHS
  • HDD(デジタル放送対応 i.LINK
  • Blu-ray Disc
  • デジタルチューナー内蔵DVDレコーダー(ハイビジョン画質はHDD、AVCRECのみ)
  • LAN接続されたパソコン用HDD(東芝32/37LZ150、REGZA-Z1000・Z2000シリーズ等の一部、録画した機器以外では再生できない)

[編集] 対応パソコン

当初はメーカー製PCにとどまっていた[9]が、Dpa(デジタル放送推進協会)が「PC用デジタル放送チューナのガイドライン」を策定した事により、2008年からバッファローアイ・オー・データ機器等のパソコン周辺機器メーカーからチューナー単体が発売されている。パソコンでの限定受信システムも参照。ワンセグ受信チューナーはUSBやPCカードタイプが多くのメーカーから発売されている。

[編集] 参考資料

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ 画面モードは、通常は「解像度」として解説されている場合が多い。またこの記事中では全て「縦×横」で数値表現しているが、他の解説文章では横×縦を前提に記述しているものが一般的となっている。通常は縦長のディスプレイ・モニターは稀で横長形が一般的なので、特に解説文での断りが無くても、その表記が「縦×横」なのか「横×縦」なのかの区別は容易であると言える。
  2. ^ 電波産業会「ARIB STD-B20」
  3. ^ 電波産業会「ARIB STD-B31」
  4. ^ "ペルーにおける地上デジタルテレビ放送の日本・ブラジル方式採用の決定". 総務省 (2009-04-24). 2009-04-28 閲覧。
  5. ^ ブラジルにおける日本方式を基礎としたデジタルテレビ規格の採用、総務省、2006年6月29日
  6. ^ a b 国際通信経済研究所-RITE【研究員から】
  7. ^ a b "The Launching Country". DiBEG. 2009年7月9日 閲覧。
  8. ^ 電波産業会「ARIB STD-B25」
  9. ^ 迫りくるコンシューマPCの“2006年問題”~PCが抱える地上デジタル対応への課題

[編集] 外部リンク