ダビング10
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ダビング10(ダビングてん)とは日本のデジタルテレビ放送の著作権保護のためのしくみの1つで、2008年7月4日から地上波デジタル放送、及び衛星デジタルテレビ放送での運用が開始された。総務省の情報通信審議会で提案されたデジタル放送の私的利用に関する運用ルールに対して電子情報技術産業協会(JEITA)が定めた統一呼称である。
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[編集] 概要
デジタルテレビ放送をデジタル方式で録画しコピーした際、アナログ方式に比べて画質の劣化が無いためにコピーを際限なく許せば映画などのDVD販売等に影響する事が予想されたため、日本ではデジタルテレビ放送の開始時はコピー・ワンス規定を採用してきた。コピー・ワンスは、放送局が放送しデジタル録画したものをコピーする場合に、ムーブ(Move:移動)1回のみしかできないルールとなっている。これではムーブに失敗した場合に録画内容が失われてしまうことがある。このコピー・ワンス緩和の暫定措置[1]として、ダビング10の運用ルールが開始された。
[編集] ことばの定義
ダビング10の機能表示や言葉の使い方はコピー9回+ムーブ1回(ダビング10)、ダビング10(コピー9回+ムーブ1回)、またはダビング10とすることが推奨されている[2]。
[編集] 予定延期と運用開始
2007年12月20日に正式に公表された後、デジタル放送推進協会(Dpa)から地上デジタルテレビジョン放送では2008年6月2日4時からダビング10に対応した放送が運用される予定と告知されたが延期となり(後述)[3]、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送とも改め2008年7月4日4時から運用開始した。ただし、BSデジタル放送のうち、WOWOWとスター・チャンネルはダビング10を行わない。これは、映画会社等との著作権の取り決めにより放送に制約があるため。同様にCSデジタル放送も有料チャンネルは同様の理由により原則ダビング10は行わないが、報道系チャンネルなど一部有料チャンネルはダビング10を行う。[4]。
[編集] コピー回数の制限による制御
デジタルチューナーを搭載するHDDレコーダーなどハードディスクを内蔵する録画機が対象で地上デジタルテレビジョン放送を録画後、DVDなどに「9回のコピー」と「1回のムーブ」を可能にする運用ルールである。ダビング10の説明における「9回のコピー」とは、録画物(1世代目)から10世代目までの9世代に渡る作成(あるいはコピー・ワンスの場合と同様に録画物である1世代目の作成を1度目のコピーと捉える場合は9世代目までの作成)が出来るといったものではなく、録画物である1世代目からの2世代目の作成(コピー)を9回に制限し、3世代目以降の作成(孫コピー)は一切禁止であることを意味している。
コピー回数の制限は「録画機内蔵のDVDやメモリーカードへのコピー」と「i.LINKなどのデジタル接続での他の機器へのコピー」に対して行われ、10回目は自動的にムーブ(移動)されるか、あるいはムーブ以外は不許可になる。また、コピー回数が9回に達していない場合でも一旦ムーブしたものは、それ以後のコピーや移動が一切禁止となる。なおダビング10ではHDDレコーダーからD端子、コンポジット端子、S端子などのアナログ映像出力を経由して行うコピーについてはダビング10で制御される回数としてカウントされない(アナログ接続での出力を利用した場合9回以上のコピーが可能となる)が、世代管理についてはデジタル出力の場合と同様の制限を受け、どの段階(1世代目の録画前/1世代目と2世代目の間/2世代目と3世代目の間)にアナログ映像接続を利用した場合でも、録画物をコピーした先のDVDやHDD等の映像(2世代目)からさらに次の世代を作成(コピー)することはできない(画像安定装置等を使用する場合を除く)[5]。なお、この運用ルールが適用されるのは、放送局がダビング10の制御信号入りの番組を放送していて、それをダビング10に対応した録画機で録画する場合のみで、録画機側のみが未対応の場合は自動的に従来のコピーワンス信号として制御される。
旧式のDVDレコーダーなどダビング10に対応していない録画機では機器外部への信号出力を含めてこれまでどおりコピー・ワンスの運用となるため、ハードディスク装置(HDD)に録画した番組を2枚のDVDにコピーして1枚を視聴用、もう1枚をバックアップ用と使い分けることはできない(旧式の製品についても画像安定装置等を使用する場合はこの限りではない)。
[編集] 販売済録画機種での対応
本規格の規定以前に販売されたハードディスク内蔵録画機はコピー・ワンスには対応していてもダビング10に対応していないが、メーカーや機種によってはソフトウェアのアップデートで対応している。以下の製品で対応すると公表されている。
- ソニー - スゴ録最終モデルと第2世代以降のBDレコーダー[6]
- パナソニック - 2006年秋モデル以降の「DIGA」[7]、HDD内蔵CATVデジタルSTB[8][9]
- シャープ - 2007年春モデル以降[10]
- ダビング10対応機種(2008年7/8月のファームアップと予告あるもの)
- Blu-Ray/HD DVD(地デジ対応機種)
- DVD/HDD録画機(地デジ対応機種)
- ソニー - RDZ-D900A/800/700
- 松下電器産業(現:パナソニック)- DMR-XW320/300/200V/120/100/51/50/41V/40V/31/30 DMR-XP22V/21V/20V/12/11/10
- シャープ - DV-ACW90/85/82/80/75/72/60/55/52 DV-AC82/75/72/55/52 DV-ACV52
- 三菱電機 - DVR-DW200/100 DVR-DV745/735
- 日立製作所 - DV-DH500H DV-DH500VH/250VH
- 東芝 - RD-X7 RD-S601/502/302/301 RD-W301 RD-E302/301
- パイオニア - DVR-WD70
- 日本ビクター - DR-HX500/250
DXアンテナ DVHR-D250 DVHR250E4 DHR-40D
- HDD内蔵テレビ(地デジ対応機種)
- 日立製作所 - WOOO(時期未定) UT42/UT37/UT32-WP770B/W P50-XR02、P50/P42-HR02 P60/P50/L37-XR01、P42/P37/L32-HR01 P42/P37/L32-HR100CS
- 東芝 - REGZA(時期未定)Z3500/Z2000/Z1000シリーズ H3300/H3000/H2000/H1000シリーズ、32H3200/37H3100
- ワンセグ対応携帯電話
- パソコン搭載チューナー
- I-O DATA
- ワンセグチューナー SEG CLIP GV-SC300・GV-SC400以降の機種(但し機器によってはアプリケーションのバージョンアップが必要)
- 地デジチューナー 全機種 (但しアプリケーションのバージョンアップが必要)
- BUFFALO
- ワンセグチューナー ちょいテレ DH-KONE/U2V・DH-KONE/U2DSシリーズ等の外部メモリームーブ対応機種(但し機器によってはアプリケーションのバージョンアップが必要。)
- 地デジチューナー 全機種 (但しアプリケーションのバージョンアップが必要)
- ロジテック
- ワンセグチューナー DiALIVE Wセグ LDT-1S303U・LDT-1S301U・LDT-1S30X4U(但しダビング10に対応するにはLDT-1S301Uのみアプリケーションの有償アップデータを適用後に更にバージョンアップが必要。有償アップデートはSDメモリーカードへのムーブに対応し、<らくデジビューVer 1.0.5.0>を適用後はダビング10・PSPへのダビングにも対応する。)
- I-O DATA
[編集] ソフトウェアのアップデートの確認
ダビング10実施以前に購入した機器は、対応機器であればメーカ毎に順次ソフトウェアのアップデートが行われる。アップデートは地上デジタル・BSデジタルの放送波を利用したダウンロードとインターネット経由によるダウンロードがある。前者の場合は、機器の電源コンセントを差したまま機器の電源をスタンバイ状態にしておくことで、放送波から送られるアップデート用のデータを受信してアップデートが行われるもので、ほとんどの機器で対応しているが、データを送信する日付・時間帯(主に深夜)に電源をスタンバイ状態にしておく必要がある(実施日時はメーカーのホームページで掲載されている)。後者はインターネット経由でアップデートを行うもので、任意の時間にアップデートを行うことが出来るが、インターネットに接続できる機種に限られる。
ソフトウェアのアップデートが完了すると、機器の「放送メール」 に「ダウンロードに成功しました。2008/06/30 17:40:40 - 18:09:00」などと年月日と時間帯が表示される。[11] このようなソフトウェアのアップデートでの「放送メール」は放送局から送られるメールそのものではなく、アップデートの最終動作としてアップデートソフトウエア自身が作成するものである。この放送メールが作成されて、はじめてアップデートの成功と言える。また、機器によって多少の違いはあるが、録画した放送の一覧表示で「ダビング可能回数10-2」などと表示されるが、これはダビング10以前には無かった表示であり、このことからも確認はできる。なお、地デジで言う「放送メール」は呼称の通り、相互にやり取りをする電子メールなどとは異なり、電波を媒体として放送局から一方的に送られてくる「お知らせ」や連絡事項と捉えたほうが判りやすい。
[編集] ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立
ダビング10のめどが立たなくなったきっかけは、著作権者への私的録音録画補償金制度をめぐる議論からである。補償金制度は著作権法に基づき、デジタルの録音・録画機器の価格に著作権料の上乗せをするものである。
2008年5月8日、文化庁の文化審議会でダビング10の実行にともない制度の対象をハードディスク内蔵型DVD録画機に拡大する案を示す。これは、著作権団体側の「回数が増える以上、適切な対価を支払うべきだ」(椎名和夫・日本芸能実演家団体協議会常任理事)との主張を受けたものである。著作権団体側にとっては補償金の対象の拡大は、補償金総額の減少に歯止めをかけるという利点もある。これに対し、メーカー側は「補償金制度の際限ない拡大につながる」「制限が残る以上、補償金を支払う必要はない」と反発している。これはデジタル放送にこの様な制限を設けているのは日本だけで、この様な制限を設けているのは著作権者団体へのメーカー側の特別扱いである。海外よりも遥かに特別扱いされているにもかかわらず著作権者団体側がさらに過大な要求を突きつけてきたことに対しメーカー側の関係者の間では「日本の著作権者団体を特別扱いしてあげたらかえって図に乗ってきた」と反発する意見も出てきており、「いっそのこと外国と同じく一切の複製防止機能搭載をやめ、補償金額は裁判で争うべきだ」という意見によるものであるとも考えられる。[要出典]また補償金は価格に転嫁しにくく、自社で負担せざるを得ない。なお、ソニーは文化庁案に反発するメーカー側で唯一柔軟な姿勢を示している。これはソニーのグループ内に映画・音楽事業があり、著作権者としての立場もあるからである(日本ビクターも当時子会社(現在はグループ内)にレコード会社持っていたが、ソニーのように著作権者としての立場で反発はしていない)。
さらに放送局は総務省、著作権問題は文部科学省、メーカーは経済産業省が担当しておりこの3省内での調節が十分になされなかったことも原因の1つとなっている。
[編集] ダビング10の動作例
| 出力先 | 主な保護方式 | 出力時のCCIステータス |
|---|---|---|
| アナログ映像(D端子など) | CGMS-A マクロヴィジョン | COG APS値継承 但し、接続機器によってはCCIが消失もしくは作動せず |
| HDMI | HDCP | 視聴のみ可 視聴機器にのみ出力限定 |
| DVI | HDCP | 視聴のみ可 視聴機器にのみ出力限定 |
| アナログRGB | なし | なし |
| 光デジタル音声 | SCMS | COG |
| Bluetooth(音声) | SCMS-T | COG |
| アナログ音声 | なし | なし |
| IEEE 1394 | DTCP | NMC(通常出力) Move-mode(コピー) |
| IP | DTCP | NMC(通常出力) Move-mode(コピー) |
| 内蔵リムーバブルメディア | 種々 | 記録先でNMC |
- 参考資料
平成19年8月1日
デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
資料2
21世紀におけるインターネット政策の在り方
<平成13年諮問第3号 第4次中間答申>
地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割
<平成16年諮問第8号 第4次中間答申>
〜デジタル・コンテンツの流通の促進に向けて〜(案)49ページより
[編集] コピー・ワンスとダビング10の信号
2008年2月7日にDpaから公開された放送運用規定の改訂案では主に以下の2点が主要な要目であり、現在運用されている規定となっている。
- コピー制御信号(CCI)のうちの録画の扱いを決める2ビットの制御フラグ(digital_recording_control_data)をダビング10でもコピー・ワンスと「同じ1世代のみコピー可」とした。
- ダビング10のための新たな1ビットの制御フラグ(copy_restriction_mode)をCCIに加えて「0」はNGであり、ダビング10での録画を不許可とし「1」ではOKとしてダビング10での録画を許可する。このフラグを含まない放送信号は「1=OK」(ダビング10での録画を許可)として扱うものとした。
上記の規定によってWOWOWのような有料放送を扱うためにダビング10での録画を不許可としたい放送局だけがダビング10のための放送機材への設備改修を行い、他の多くの無料放送での放送局は設備改修を行なわなくて済む事となった。ダビング10対応に改修しないデジタルテレビ放送局からのテレビ電波をダビング10対応の録画機器で受信すれば9回までダビングが可能になる。また、テレビ録画を行なう受信機側でもコピー制御信号の新たな1ビットの読み取りだけでダビング10へ対応が可能になっている[12]。
[編集] 参考文献
- 毎日新聞 2008年6月19日 「ダビング10 7月5日軸に調整 総務省検討委で開始合意」[1]
- 読売新聞 2008年6月11日 11頁(経済面) 「ダビング10 めど立たず ~補償金論争 埋まらぬ溝~」より(「ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立」の大部分を占める)[2]
[編集] 脚注・出典
- ^ 「四方一両損」を目指した議論は何故、ねじれたのか(2/4)
「JEITAはコピーワンス緩和合意を破棄するのか」権利者団体が公開質問状 - ^ ダビング10(ダビングテンと呼ぶ)
- ^ 6月2日の「ダビング10」延期が確定
- ^ 「ダビング10」、7月導入=保証金問題切り離しで合意-情報専門委
- ^ テレビ録画界の“憲法改正”!? 「ダビング10」で録画ライフはこう変わる
- ^ ブルーレイディスクレコーダー、DVDレコーダーの「ダビング10」への対応についてのお知らせ
- ^ 新ルール「ダビング10」に関するお知らせ
- ^ 松下、HDD内蔵STBを「ダビング10」対応など大幅に機能アップ
- ^ HDD内蔵CATVデジタルセットトップボックスの「ダビング10」対応バージョンアップについて
- ^ シャープ社製ブルーレイディスクレコーダー/ハイビジョンレコーダーの「ダビング10」対応について
- ^ 放送メールとは、パナソニックの場合。東芝製REGZAでは「本機に関するお知らせ」と名称が異なる
- ^ 山田剛良著 「日経エレクトロニクス」p.38 「ダビング10」 日経BP社 2008年6月2日号
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 「ダビング10」に関するARIB技術資料改定案をDpa技術委員会で策定
- AV Watch 「ダビング10」対応状況リンク集
- 経済産業省と文部科学省による「ダビング10の早期実施に向けた環境整備」に係るJEITAの見解について(PDFファイル)
- Dpa:「ダビング10」対応ダウンロード開始につき、電源コンセントを抜かないでください

