デジタルチューナー

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デジタルチューナー

デジタルチューナーDigital tuner)とは各種デジタル放送を受信する装置である。

概要[編集]

地上デジタルテレビチューナーは地上デジタルテレビ放送を受信する装置。ほとんどの機種がBSデジタルおよび110度CSデジタル放送のチューナーも合わせて内蔵している[1]。なお、複数のデジタル放送を受信できる機器ではケーブルテレビのSTBも含めて機器仕様上はそれぞれ000~999までのチャンネル設定が可能になっている。この場合、チャンネル番号指定によるダイレクト選局の場合は異なる放送種別間でチャンネル番号が同じになる可能性(例えば地上波の101chとBSの101ch)がある。その場合の指定方法は機器側の仕様による(例:放送種別を最初に必ず指定する方法、あるいは、かぶった場合は設定されている選択候補リストを表示して選ばせる形式など)。

CSデジタルテレビチューナーはスカパー!用のチューナー。110度CSデジタルとは様式が全く異なる。BS放送との混合配線はできない。そのうち、スカパー!SDチューナーとスカパーHDチューナーがあり、スカパー!SDチューナーは2010年に取り扱いを終了した機種。単体のみの販売だったが、かつてはスカパーチューナー内蔵テレビが三洋電機などから生産されていた。またスカパーチューナー内蔵のHDDレコーダーのスカパーオリジナルモデルのスカパー!DVR(ソニー製)が、スカパー公式サイトからレンタルおよび販売されていた。ただしダブル録画はできない、番組表からの録画しかできないなどの制約がある。スカパー!HDチューナーは2008年にレンタルおよび販売を開始し、2011年にはスカパー!HDチューナー内蔵のBDレコーダーも発売された。2012年6月現在、ソニー製(在庫のみ)および前述のBDレコーダー、HUMAX製のCS-HD300、パナソニック製のスカパーオリジナルモデルでスカパー!ダイレクトからの購入およびレンタルで入手できる。

海外衛星テレビ・ラジオ(日本国内外を問わず、すべての衛星。ただし、有料放送チャンネルは視聴不可)が受信できるデジタルチューナー(DVB方式)もあるが、日本国内ではインターネットなどの通信販売でしか購入できない。

地上デジタル放送開始以前は、BSデジタル単体やBSデジタルおよび110度CSデジタル放送の2放送のみに対応したチューナーも販売されていた。シャープでは、同社製のBS・110度CSデジタル放送チューナーのみを内蔵したテレビに対し、専用のチューナーユニット(AN-DU1)を販売した。

従来型アナログテレビ(4:3型)と接続する場合に備え、デジタルチューナーは全機種「画面モード設定」または「接続テレビ種類設定」機能を搭載。16:9型ワイドテレビに繋いだ場合はテレビ設定を「ワイド」に、4:3テレビに繋いだ場合は「ノーマル」に設定する(4:3型の場合、16:9画面は上下に黒帯が入るレターボックスモードで表示されれば正常。なお2000年以降製造の4:3テレビはD端子およびS端子より入力された16:9映像をレターボックスモードへ自動変換する「オートワイド」機能を搭載しているので、この場合チューナー側テレビ設定は「ワイド」でも差し支えない。ただしコンポジット接続の場合はオートワイド機能が動作しないので、チューナー側でテレビ設定を「ノーマル」に合わせないと画面がレターボックスにならず縦長になる)。さらにS端子・D端子搭載モデルの場合は接続するテレビおよび端子の種類に合わせたD端子・S端子設定機能もある(設定を間違えると画面が正常に映らない場合あり。特にD端子接続の場合は設定を間違えるとデジタルチューナー映像が映らない。特にD2以下の端子に繋いだ場合、そのままでは乱れた画像になるのでチューナーに搭載されているもう一系統のAV出力端子とテレビ受像機AV入力相互間をコンポジットまたはS接続して画面を該当入力へ切り替えてから、画質を「D1」または「D2」へ合わせる必要がある。D3以上の端子に繋いだ場合は画質設定不要)。

CATV経由でデジタル放送を視聴する場合、デジタルチューナー(内蔵テレビ・内蔵録画機も含む)は「CATVパススルー対応モデル」を用いれば、(個別アンテナ同様)アンテナ線を受信機に繋ぐだけでデジタル放送をそのまま視聴可能(パススルー非対応モデルの場合は加入CATV局より供給されるSTB経由で視聴)。

受信機には「B-CASカード」(スカパーチューナーは専用「ICカード」)が付属されており、使用時はこのカードを受信機のスロットへ常時挿入しておかないとデジタル放送は視聴できない(加えてスカパーの場合、ICカード挿入と同時にカードスロットのフタを必ず閉めておかないと全てのデジタル放送視聴不可。またカードを抜き差し時は必ず受信機の電源プラグを抜かないとエラー表示が出る)。万一カードを紛失した場合はカスタマーセンターへ連絡し、所定の再発行手数料を負担する。

特徴的な機種[編集]

  • 日立製作所から発売している「IV-R1000」は、それに加えiVDRを使った録画・再生機能も備えている。
  • 2006年8月にユニデンが地デジのみのチューナーを発売した。

低所得世帯への地デジ化支援策[編集]

総務省では(「所得税及び住民税非課税」・「NHK受信料全額免除」・「生活保護受給」・「東日本大震災により半壊以上の住宅被害」のいずれかに該当し)経済的に自力での地デジ化が困難な各世帯に対し(従来型アナログテレビ受像機で地デジを視聴可能な)簡易型地デジチューナーを1世帯に付き1台無償で配布・設置する地デジ化支援を行い、「アイ・オー・データ機器」・「ピクセラ」・「バッファロー」3社製いずれかのチューナーが配布されてきた(支援実施委託会社はNTT-ME。いずれも地デジ専用でBS・110度CSデジタルチューナーは非搭載。ハイビジョン番組は標準画質)。この地デジ化支援策は2012年3月31日を以て終了したが、(東日本大震災で甚大な津波被害を受けた)岩手・宮城・福島3県については(アナログテレビ放送が完全終了した)同年4月1日以降も低所得世帯および震災被災世帯への地デジ化支援(簡易チューナー無償配布・設置)を継続している。

EPG(電子番組表)[編集]

通常はGガイドなどのEPG番組表を搭載(上位モデルは複数チャンネルを1週間先まで表示。普及・廉価モデルは現在視聴中のチャンネルを1日分のみ表示)。なお地上デジタルテレビ放送ではデータ放送受信機能の実装は規格上オプション機能となっているため、廉価なチューナーではEPGを備えないものがある。

従来のアナログ放送になかった機能として“チャンネルを変えたときには当該チャンネル番号のみならず、現在放送中の当該チャンネル局ロゴおよび番組名も表示される”のが特徴(番組名および局ロゴを出さずチャンネル番号のみが出るようにすることもできる)。デジタル放送では圧縮技術により、一組の物理チャンネルで複数の異なった番組を放送可能(ただしこれを実施しているのは今のところNHKのみ)。3桁チャンネル番号の末尾が「1」のチャンネルが当該局の「代表チャンネル」となる(「101」など)。また地デジの場合、同じリモコンキーIDで異なる複数の物理チャンネルが受信できたときは当該ポジションに枝番が付加されるので(「011-1」など)、枝番局を見たい場合はメニュー操作で「枝番選局」を選ぶ(リモコンの数字ボタンには代表チャンネルのみ登録)。

番組表データはリモコンで電源を切っている間に自動更新されるため、電源プラグを抜いた状態が1週間以上続くと番組表データは空になる(途中で電源を入れたり停電があった場合はデータ更新作業が中断)。なお現在視聴中チャンネルの番組表データは電源入時でも手動更新可。

2010年以降製造のデジタルチューナー内蔵テレビ受像機&録画機には「音声読み上げ機能」が搭載されており、現在視聴中のチャンネル、番組表カーソルで選んだ番組、録画(予約)した番組をそれぞれ音声で読み上げる。なお単体デジタルチューナー廉価モデルは音声読み上げ機能非搭載。

アナログAV出力1系統のみの廉価モデルを従来型アナログ録画機に繋いで録画する場合、録画中に(録画機に繋いだ)チューナー操作をするとチューナーのオンスクリーン表示がそのまま録画される。さらにデジタルチューナー単体機は全てシングルチューナーなので録画中はチャンネルの変更不可(上位モデルはチャンネルロック機能を搭載しているが、廉価モデルは予約録画及びチャンネルロック機能非搭載なので録画中にチャンネルを変えると録画されるチャンネルも変わり、加えて録画中に録画機に繋いだチューナーの電源を切ると目的の番組を録画できなくなる)。なお現代はHDMI出力搭載のBDレコーダーによる録画が主流となっており、単体デジタルチューナーを従来型アナログ録画機に繋いでの録画はほとんど行われなくなっている(HDMI接続のほうが操作が簡単でアナログ接続より高画質・高音質となり、さらにHDMI接続したデジタルテレビ番組表からもBDレコーダーへ予約が可能)。

入出力機能[編集]

双方向番組や視聴料金・加入者情報を局側とやりとりするためには、電話線やLANでの接続が必要(ただし2010年以降モデルはスカパー用を除き電話回線端子を廃止しLAN端子のみ搭載)。外部機器の録画制御のためにIrシステムを搭載しているものもある(専用ケーブルと録画機器メーカー設定が必要)。上位モデルはアナログAV出力を2系統搭載しているのでテレビ受像機と録画機への同時接続が可能だが、廉価モデルはアナログAV出力が1系統のみのためテレビ受像機と録画機への同時接続ができず予約録画機能も非搭載(著作権法により保護された録画禁止番組はビデオデッキやセレクター経由で繋ぐとコピーガードにより正常に視聴できなくなる場合があるので、この場合はチューナーとテレビ受像機を直接繋ぐ)。録画機能を併せ持つ機種(レコーダー)には、スカパー!チューナー連動制御端子を備えたものもある(LAN端子がスカパーHD連動端子を兼ねるモデルもある)。

上位モデルはD端子・S端子・Irシステム端子・光デジタル出力端子・(チャンネル番号などを表示する)本体ディスプレイ・モジュラー端子・LAN端子を(録画機能付モデルの一部はHDMI端子も)搭載しているが、廉価(特に地デジ専用)モデルはアナログ音声とコンポジット映像出力のみの搭載で、チャンネル番号などを表示する本体ディスプレイ・モジュラー&LAN端子は非搭載。

光デジタル出力端子搭載モデルは出力方式を設定する項目があり、接続機器に応じて「自動」・「AAC」・「PCM」のいずれかに合わせる必要がある。またデジタル放送の高音質をそのままの状態(48kHz)で出力しているので、接続するデジタルオーディオ機器はサンプリングレートコンバータ搭載モデルに限られる。

デジタル3波モデルでは衛星アンテナに電源を供給する必要があり、初期設定に「衛星アンテナ電源の入・切」を選ぶ項目がある(衛星アンテナ線を直接繋いだ場合は「入」、宅内共同受信設備のためアンテナ電源をブースターから供給する場合は「切」にそれぞれ合わせる)。

従来型アナログテレビ受像機にデジタルチューナー(内蔵録画機も含む)を繋ぐ形でデジタル放送を視聴する場合、受像機には「コンポジット映像」・「アナログ音声」両入力端子を最低1系統搭載している必要がある(デジタルチューナーは従来のビデオデッキと異なりRFアダプター端子やRF出力機能非搭載なので、AV端子がなく地上アナログアンテナ入力のみ搭載の旧式=主に1980年以前製造のテレビ受像機にはデジタルチューナーを繋げない)。

データ放送[編集]

ほとんどのデジタルチューナー(内蔵テレビ受像機および内蔵録画機)にはデータ放送を表示する「d」ボタンと青・緑・赤・黄の4色ボタンがリモコンに搭載されており、これらボタンを押せばデータ放送表示やそれに付随する操作(番組表や検索機能も含む)ができる。なお廉価モデルはデータ放送非対応となっている機種が多い。またスカパーHDはデータ放送非実施なので、スカパー用チューナーに「d」ボタンはない。

音声切り替え[編集]

二ヶ国語放送の音声切り替えは二重音声方式(アナログ放送での副音声付放送に相当するもので、それぞれの音声はモノラル)とマルチ音声信号方式によるデュアルステレオ(通常はそれぞれステレオ音声による二ヶ国語としてのものが多いが、方式としては3種類以上のステレオが可能)の場合があり、両者はそれぞれ信号の仕組みが異なるので切り替えの操作手順も異なる。また二重音声の切り替えでは機種の違いでチャンネル変更や番組の終了、電源の再投入で切り替え状態が保存されるものがあるがマルチ音声信号方式の場合は切り替え状態は保存されずに必ず強制的に第1音声に戻る。これはマルチ音声信号方式では音声の信号数が多い番組から少ない番組に切り替わったときを考慮する必要があるため。

リモコン[編集]

ほとんどのデジタルチューナーリモコンは日本国内主要メーカーのテレビ受像機基本操作(主に「電源入/切」・「消音」・「入力切替」・「音量調節」のみ)が可能。このためリモコンにはテレビ受像機メーカー設定機能が搭載されている(メーカーによってはリモコン種別を複数搭載。日本国内大手メーカーの受像機は現在テレビ生産より撤退したメーカーも含めほとんど操作可能だが、日本国外メーカー・一部日本国内メーカー・大手メーカーでも年式の古い=1989年以前製造の一部機種には非対応)。

上位モデルのリモコンは選局のみならず(アクトビラなどの検索時における)文字入力機能も搭載しており、文字入力機能搭載モデルは数字ボタンにアルファベット・ひらがな・記号も並記されている(廉価モデルは選局のみで文字入力・ネット機能非搭載)。上位モデルは「お好み選局」機能を搭載。リモコンの「お好み選局」ボタンを押すと登録されている局が各局ロゴアイコンで一覧表示され、十字キーと決定ボタンを用いて見たい局を選ぶ。さらに「お好み選局」フォルダには自分の見たい局を(代表チャンネル以外のサブチャンネルも含め)自由に登録でき、不要チャンネルの削除も可能。なお廉価モデルの選局方法はボタン一発選局・3桁入力・順送り選局のみ。

デジタル3波モデルは放送切替ボタンを「地上」・「BS」・「CS」の3種類に分けて搭載。メーカーによっては今どの種類の放送を視聴しているかを(「地上」・「BS」・「CS」各ボタンに内蔵の)赤色LED点滅により示すモデルもある(数字ボタンを押したときも含む)。デジタル放送は字幕表示機能が全機種標準装備されており、耳の不自由な人でも使いやすくする工夫がなされている(リモコンには「字幕」ボタンを搭載)。数字ボタンは(地上・BS・110度CS用チューナーの場合)従来のアナログ受信機同様1~12までの数字が並んでいるが、3桁入力選局および英数入力時は「10」ボタンが「0」ボタンとして、「11」と「12」ボタンは記号入力ボタンとして機能する(11は「*」を、12は「♯」を入力)。なおスカパー用チューナーリモコンの数字ボタンはテンキー選局を前提とした配列なので、1~12ではなく「1~0+記号」となっている(数字ボタンによる一発選局機能は非搭載)。

上位モデルには同一メーカーチューナーを同じ場所で使う場合、メインチューナー操作時に別の同一メーカーチューナーが(メインチューナーリモコンに反応して)誤動作しないよう「リモコンモード」を設定可能な機種がある。この場合、本体・リモコン双方が同一モードになっていないとリモコンによる対象機種操作は不可(メイン機とサブ機とでリモコンモードを別々に設定する事により操作対象以外の他機種誤動作を防ぐ)。

日本のデジタルチューナーメーカー(主に地上・BS・110度CSデジタル)[編集]

現在生産中[編集]

内蔵HDDあるいは別売りUSB-HDDへの録画機能搭載モデルもある。
地デジのみ搭載、デジタル3波チューナーフル搭載、地デジとBSのみ搭載の3系統を発売(付属B-CASカードはデジタル3波チューナー用が赤、地デジ専用は青)。

生産撤退[編集]

完全デジタル化された2011年7月24日以降は(録画機能を持たない)単体地デジチューナーを生産縮小もしくは撤退とするメーカーが相次いでいる(岩手・宮城・福島3県は2012年3月31日にアナログテレビ放送終了)。現在下記メーカーはスカパーHD用チューナーとCATV用STBのみを生産。

脚注[編集]

  1. ^ パーソナルコンピュータ、およびパーソナルコンピュータ用のチューナーには地デジのみ受信するものもある。

関連項目[編集]