デジタル・シアター・システムズ
デジタル・シアター・システムズ(Digital Theater Systems)(略称DTS、一般にはディー・ティー・エスと読まれる)は、アメリカ合衆国の企業DTS, Inc.が提供する音声のデジタル圧縮記録、再生方式。
同社のロゴマークに倣ってdtsと小文字表記されることもある。
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[編集] 沿革
映画館(2011年まで)、LD、DVDビデオ、BDビデオ、プレイステーション3用ゲームソフトの音声トラックとして用いられている。ドルビーデジタルに比べ音質が優れており、再生システムの信頼性が高い。これらの点が評価され、第68回(1995年(平成7年)度)アカデミー賞の科学・技術部門賞を受賞している(同年の同賞は、ドルビーラボラトリーズのドルビーデジタル、ソニーのSDDSも受賞している)。
DTSの開発は、MCAユニバーサル・スタジオ(現:ユニバーサル・ピクチャーズ)とそれを取巻く映画の技術陣が共同で行い、スティーヴン・スピルバーグとMCAユニバーサル・スタジオに当時在籍していたテリー・ベアードが一緒に1990年にデジタル・シアター・システムズ(DTS)社を設立。
初のDTS導入映画は『ジュラシック・パーク』(1993年)である。日本の邦画では、『四月物語』(1998年3月)が最初に導入された。
2008年5月、Datasat Communicationsがオーナーを務める、Beaufort California社にDTSの映画部門が売却され、2009年3月、Datasat Digital Entertainment(以降DATASAT)と会社名を変更した。
[編集] 技術概要
DVDビデオの一部製品には、オプション音声としてDTS音声を収録している(標準はドルビーデジタル・リニアPCM)。記録されているDTSトラックは、サンプリング周波数は、48kHz、ビット深度は、24bitの分解能をもつディスクリートチャンネルが、データ圧縮されており、通常は6トラック分収録されている。圧縮率は、トラックの数やサンプリング周波数、ビット深度などの様々な要因によって変わる。圧縮の方式は、「Coherent Acoustics(コヒーレント・アコースティックス)」という名称で呼ばれる
圧縮率について多くの文献では、1/4であると書かれているが、これは、当時映画館で使われていた、DTSデジタルサウンドの圧縮方式である、APT社の「X100」と言われる圧縮率であり、実際には異なる
例えばリニアPCM5.1chサラウンド(48kHz/24bit)で収録する場合、ビットレートは6.912Mbpsとなるが、DTS5.1chサラウンド(48kHz/24bit)では、圧縮率は1/4.5となり、1.5Mbps(1536kbps)に圧縮されているというわけである。DVDではその半分のハーフレートの768kbpsの製品も多い。 これらを総称して「DTSデジタルサラウンド」と呼びBDビデオ規格等では、「コア」とか「DTSのコア音声」等と呼ばれ、基本的なDTSの圧縮フォーマットとしている。
BDビデオ規格では、DTSデジタルサラウンドデコード(コア音声)機能が必須機能として盛り込まれた。そのため、すべてのブルーレイディスクプレイヤーでDTS記録されたBDビデオ、DVDビデオ、CDを楽しむことが出来る。
5.1チャンネル分の転送レートが音楽CDとほぼ同等のため、音楽CDのフォーマットにDTSのマルチチャンネル音声を収録したDTS-CDという物が存在する。CDのレッドブックに規定された正式規格ではない為、DTS社は「5.1 Music Disc」と呼んでいる。デジタル出力を持つCDプレーヤーとDTSデコーダーを備えたAVアンプ等があれば再生可能。北米を中心に多くのソフトが発売されているが、CDプレーヤー単独で再生できない上、より高音質でサラウンドに対応したスーパーオーディオCDやDVDオーディオが登場したこともあり、あまり普及していない。
[編集] DVD-Videoの再生における注意点
DVD-Videoにおいてドルビーデジタルは標準採用されているため、プレイヤーに必ず再生機能が付いているが、DTSはオプション音声のため、初期DVDプレーヤーやAVアンプあるいはポータブルDVDプレイヤー・PCソフトのメディアプレイヤーには未対応としたものもある。このためDTS音声を収録したDVD-Videoには、併せてドルビーデジタル音声またはリニアPCMが必ず収録されており、オプションメニューから音声をDTSに選択する必要がある。
[編集] 主な技術・製品
[編集] 基本規格
- DTSデジタルサラウンド
- 家庭用AVシステムにおいてDTSと呼ぶときには、一般にこれを指すことが多い。標準的には5.1chサラウンド(48kHz/24bit)として使われる。BDビデオ規格ではドルビーと並んで必須機能となったため、すべてのブルーレイディスクプレイヤーにDTSデコーダーが搭載されている。BDビデオ規格では、コア音声と呼ばれる事がある。(#技術概要参照)。
- 以下で説明しているDTS-ES、DTS 96/24、DTS-HDハイレゾリューションオーディオおよびDTS-HDマスターオーディオ方式は、すべてDTSデジタルサラウンド形式のデータを内包させることが出来る。そのため、DTS-HDマスターオーディオ7.1chサラウンドで記録された映画も、DTSデジタルサラウンド5.1chサラウンド対応AVアンプで楽しむことが出来る。
[編集] 拡張規格
- DTS-ES(エクステンデッド・サラウンド)
- 5.1chサラウンドにサラウンドセンターを加えた6.1chサラウンド。元々は映画用に開発されたが後に家庭用AVシステムも搭載した。すべてのチャンネルが独立して記録される「DTS-ES Discrete 6.1」と、後部の3chを2chに合成して記録し、再生時に3chに戻される「DTS-ES Matrix 6.1」がある。DTSと互換性があり、DTS-ES非対応システムでは5.1chサラウンドで再生される。競合フォーマットではドルビーデジタルEXに相当。
- DTS 96/24
- 96kHz/24ビットに高音質化されたDTS。ごく一部のDVDビデオで採用されている。非対応システムでも48kHz/24ビットで再生可能。
- DTS-HDマスターオーディオ(DTS-HD Master Audio)
- 次世代DVD規格(Blu-ray Disc・HD DVD)でオプションとして採用された音声規格。可逆圧縮(ロスレス)音声を収録する。フォーマット自体は2048チャンネルまで対応しているが、次世代DVD規格では最大7.1chサラウンドとなる。チャンネル数にもよるが最高で192kHz/24ビットの音質を収録できる。従来のDTS形式の音声を一緒に収録しており、非対応システムではDTS部分が再生される。ドルビーTrueHDと競合する。ブルーレイディスクで最大転送レートは24.5Mbps(可変)。
- DTS-HDハイレゾリューションオーディオ(DTS-HD High Resolution Audio)
- マスターオーディオと同じくBDビデオとHD DVDでオプション採用されている。基本的な仕様はマスターオーディオと共通するが、こちらは非可逆圧縮(ロッシー)音声。96kHz/24ビットで最大7.1chサラウンドに対応。ドルビーデジタルプラスと競合する[1]。 最大転送レートは6Mbps(不変)[2]。
- DTS Express
- ブルーレイディスクにおけるBD-JやBD-Liveにおいてセカンダリー・オーディオとして活用されるフォーマット。セカンダリー・オーディオは、BDソフトに収録される他に、インターネットからのダウンロードも可能。DTS Expressは、どのフォーマットで作成されたプライマリー・オーディオとも、ダイナミック・レンジを持たせながらミックスし再生する事が可能。
[編集] パソコン向けサラウンド技術
- DTS Connect
- ステレオ (2.0ch) のソースを5.1ch〜7.1chサラウンドに拡張する。主にPC用で採用されているが、対応のPCゲームではS/PDIFで接続しても5.1chサラウンド再生されるものの、競合フォーマットであるドルビーデジタルライブと比べて採用されているソフトがゼロに等しい。
- DTS Interactive
- DTS InteractiveはDTS Connectと同様5.1chのディスクリート音声信号をDTSにリアルタイムエンコードして、そのストリームを光ケーブル(SPDIF経由)1本でサラウンドシステムに送信する機能。元々はPS2向けに開発し、エンコード処理はソフトウェアで行っていたがPS2の処理負担が多かった為、センター、サブウーファーを省いた4ch分しか出力できなかった。ほとんどのPS2のソフトはドルビープロロジックⅡに対応するソフトが多かった為、これに対応するソフトはごくわずかしかなかった。
[編集] マトリックスデコード再生技術
- DTS Neo:6
- DTS Neo:6はDTS Connnectと同様にステレオソースを5.1ch、6.1ch~7.1chサラウンドに拡張する。主にAVアンプ等に搭載される。競合フォーマットではドルビープロロジックⅡに相当。
- DTS Neo:X
- DTS Neo:Xはステレオ (2.0ch) 、5.1ch〜7.1chサラウンドのソースを最大11.1chサラウンドまで拡張。競合フォーマットではドルビープロロジックⅡzに相当だが、DTS Neo:Xの11.1ch再生環境は、これにフロント側のフロントワイド2ch、フロントハイト2chを加えて構成される。
[編集] バーチャル技術
- DTS Surround Sensation
- 2つのスピーカー、ヘッドフォンで高品位な3次元サラウンドを実現する技術。音源は2chでも5.1chでも、DTS Surround Sensation搭載AV機器で再生すれば、3次元サラウンドで楽しむ事が可能。
[編集] 記録用音声技術
- DTS 5.1 Producer
- 5.1chサラウンドを比較的容易に記録できるフォーマット。動画編集ソフトウェアに採用されている。
[編集] 映画のサラウンド記録再生方式
- DTSデジタルサウンド(別名称/DATASATデジタルサウンド)
- サウンドトラックに記録されるデジタル録音形式。センター、左、右、リア左、リア右、サブウーファーの5.1chサラウンド音声をエンコード処理してCD-ROMで記録。フィルムには、アナログサウンドトラックの横に、タイムコードという同期用の信号を記録し映写機に取り付けられたタイムコード・リーダーで、フィルムに記録されたタイムコードを読みとり、CD-ROMからの信号を5.1チャンネルに再現する方式。1995年ごろまでは、映画の始まる前に流れるデモトレーラーにより「The Digital Experience」というキャッチフレーズで知られていた。
- DTSは2008年、DATASAT Communicationsの関係会社に映画部門を売却した。(#沿革参照)映画用DTSは、同様の仕様でDATASAT社に引き継がれたが、名称はDTS社の商標である為、継続的に使用できなくなり「DATASATデジタルサウンド」と名称を変更し、ロゴも2011年公開の映画より順次DTSロゴからDATASATロゴへ切替えている。
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詳細は「DATASAT」を参照
- DTSステレオ
- サウンドトラックに記録されるアナログ録音形式。センター、左、右、リアの4.0chサラウンドをフィルムにマトリクスエンコードをして2.0chステレオで記録する方式。映画用DTSデジタルサウンド音声のみ収録された映画に同時記録され、それらの設備がない映画館でも上映できるようになっている。ドルビーステレオとの競合規格だが、ドルビーステレオよりもライセンス使用料が安い。最近の廉価な日本映画の中にはデジタル5.1ch録音はせずに、このDTSステレオのみで収録された映画が増えている。劇場での再生時にはドルビーステレオのシステムを利用することが多い。
- 基本、映画用フォーマットだが、この音声を使用した映画がパッケージメディアになった際にも使用され、AVアンプのドルビーサラウンドモードやDTS Neo:6モード等で再生し、楽しむ事もできる。
[編集] 関連記事
[編集] 外部リンク
- Digital Theater Systems,Inc (英語) - 米国デジタル・シアター・システムズ社
- DTS JAPAN (日本語) - DTSジャパン
- ffdshow-tryouts
[編集] 参考資料
- ^ DTS-HD Audioの概要 - dts Japan(PDF形式)
- ^ HDオーディオ対応AVセンター総括特集:HDオーディオとは?HiVi WEB