藤原正彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

藤原 正彦(ふじわら まさひこ、1943年7月9日 - )は、日本数学者。専門は数論、特に不定方程式論。お茶の水女子大学名誉教授。『国家の品格』などを著したエッセイストとしても知られる。

妻は、お茶の水女子大学で発達心理学を専攻し、カウンセラー・心理学講師・翻訳家として活動する藤原美子気象学者藤原咲平は大伯父、美容家メイ牛山は大叔母にあたる。

目次

[編集] 来歴・人物

戦後いずれも作家となった新田次郎藤原てい夫妻の次男として、満州国の首都新京に生まれる。ソ連軍の満州国侵攻に伴い汽車で新京を脱出したが、朝鮮北部で汽車が停車したため、日本への帰還の北朝鮮から福岡市までの残り区間は母と子3人(兄、本人、妹)による1年以上のソ連軍からの苦難の逃避行となった。母・藤原ていのベストセラー『流れる星は生きている』の中でも活写されたこの経験は、本人のエッセイの中でも様々な形で繰り返し言及されており、老いた母を伴っての満州再訪記が『祖国とは国語』(2003年)に収録されている。

小学生の一時期、長野県諏訪市にある祖母宅に1人移り住む。このときの自然体験は、後に自身の美意識の土台となっている。このころ図工の先生であった安野光雅から絵と、数学の面白さも教わる。

アメリカ留学記『若き数学者のアメリカ』(1977年)が話題となり、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。以後エッセイストとして活動。身辺雑記からイギリス滞在記や科学エッセイ、数学者の評伝に至るまで対象は広い。

『父の旅 私の旅』(1987年)は、亡父・新田次郎の絶筆となった未完の小説『孤愁 サウダーデ』の主人公モラエスの故郷であるポルトガルを、一人レンタカーを駆って一周する紀行文である。これは、先年亡くなった亡父が、その取材旅行で訪れた時に残した詳細なメモ等を元に、同じコースを辿り、同じ人に会おうとしたものである。その中で、ポルトガル人にとっての「サウダーデ」の意味を問い続け、自らにとっての「サウダーデ」を求めようとするものでもある。

エッセイではしばしば「武士道」や「祖国愛(ナショナリズムではなくパトリオティズム)」、「情緒」の大切さを諧謔を交えて説いてきたが、口述を編集者がまとめた『国家の品格』(2005年11月、新潮新書)は200万部を超えるベストセラーとなり、翌2006年の新語・流行語大賞に選ばれるなど大きな話題となった。同書では数学者の立場から、「論理より情緒」「英語より国語」「民主主義より武士道」と説いている。 2009年に上映された映画「劔岳 点の記」は父・新田次郎の原作である。著作権を持っていた正彦と実兄の正広は木村大作監督の山岳映画に対するこだわりから二つ返事で了承したという[1]

2009年3月をもってお茶の水女子大学教授を退職。講演活動を行いつつ数本の連載を抱える。『週刊新潮』に「管見妄語」を連載、2010年9月に『大いなる暗愚』(新潮社)として出版した。

[編集] エピソード

小学校からの英語教育必修化に批判的で「一に国語、二に国語、三四がなくて五に算数。あとは十以下」であると述べ、国語教育の充実を推奨。「読書をもっと強制的にでもさせなければならない」「教育の目的は自ら本に手を伸ばす子を育てること」と主張している。教育学者齋藤孝明治大学教授は「祖国とは国語」の解説で「ああ、この人(藤原)に文部科学大臣になってもらいたい」と記している。なお、この齋藤の言葉は「祖国とは国語」の帯の惹句にもなっている。

「若き数学者のアメリカ」には、当時のストリーキングの熱に煽られ、一人でアパートの陰から全裸で路上に飛び出したこと、「遙かなるケンブリッジ」には大学で数学の研究に没頭して家庭を顧みないでいる間、次男が学校でいじめを受けたことを知り「Stand up and fight」「武士道精神で闘え」と、殴られたら殴り返すよう次男を叱責したが、夫人から「非現実的な解決手段だ」とたしなめられ、最終的には藤原自身が学校に乗り込み、校長に直談判したこと、などのエピソードが綴られている。

NHK教育視点・論点に「公と私」というタイトルで出演した。その中で、失われつつある現代人の個に嘆きつつも、現代人はファッションだけは個性的で、女子大生のへそ出しのスタイルを「特に嫌いな訳ではない」とも語った。

歌手の奈良光枝となでしこジャパン(サッカー女子)の宮間あやの熱烈なファンである。

[編集] 略歴

[編集] 受賞歴

[編集] 著書

[編集] 単著

[編集] 共著

[編集] 編著

  • 山本夏彦 『「夏彦の写真コラム」傑作選』1(1979-1991)、新潮社〈新潮文庫〉、2004年3月。ISBN 4-10-135017-5

[編集] 訳書

  • アーノルド・L・リーバー 『月の魔力 バイオタイドと人間の感情』 藤原美子共訳、東京書籍、1984年7月。 - 原題How The Moon Affects You
  • ジョン・L・キャスティ 『ケンブリッジ・クインテット』 藤原美子共訳、新潮社〈Crest books〉、1998年9月。ISBN 4-10-590005-6 - 原題The Cambridge Quintet
  • オイゲン・ヘリゲル 『無我と無私 禅の考え方に学ぶ』 藤原美子訳、藤原正彦監訳、ランダムハウス講談社、2006年11月。ISBN 4-270-00164-X - 原題Zen in the art of archery

[編集] 監修

[編集] 脚注

[ヘルプ]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語