SICKS

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SICKS
THE YELLOW MONKEYスタジオ・アルバム
リリース
録音 1996年8月〜11月
REAL WRORLD STUDIOS
AIR STUDIOS
RECORDING STUDIOS TOKYUFUN
DELTA STUDIO
ジャンル ロック
時間
レーベル ファンハウス(SICKS)
Ariola Japan(COMPLETE SICKS)
プロデュース 吉井和哉
チャート最高順位
  • 週間1位(SICKS・オリコン
  • 週間6位(COMPLETE SICKS・オリコン)
  • 1997年度年間31位(SICKS・オリコン)
ゴールドディスク
  • トリプルプラチナ
  • THE YELLOW MONKEY 年表
    TRIAD YEARS act I
    (1996年)
    SICKS
    (1997年)
    TRIAD YEARS act II
    (1997年)
    『SICKS』収録のシングル
    1. 楽園
      リリース: 1996年11月25日
    テンプレートを表示

    SICKS』(シックス)は日本のロックバンドTHE YELLOW MONKEYの6枚目のオリジナルアルバム。1997年1月22日ファンハウスよりリリースされた。「COMPLETE SICKS」(コンプリート シックス)についても本項にて併記する。

    解説[編集]

    • 前作に次いでオリコン初登場1位を獲得。また、これが奇しくもオリコンアルバムチャートで通算600回目の1位獲得作品であった。約80万枚を売り上げ[1][2]、オリジナルアルバムでは自身最大のヒットを記録した。
    • レコード会社を日本コロムビア(TRIADレーベル)からファンハウス(現・アリオラジャパン)へ移籍後第一弾となるアルバム。このアルバムから吉井和哉の単独プロデュースとなった。『smile』『FOUR SEASONS』の意識的にポップを目指したアプローチから一転、初期の妖しげなサウンドに回帰している。レコーディングは前作に続きロンドンで行われた。
    • 吉井は本作の制作にあたり「1日3曲録音をノルマ」とし、300曲作成したものからさらに80曲に絞り、その曲の中から厳選したものが本作収録曲である[3]。吉井は当時の状況を振り返り、「好きなようにやった。楽曲の構成も従来の型を破れた」「自分の中で、音楽がものすごく噴出してるのがわかった」と語っている[4]
    • タイトルの『SICKS』は、6枚目の「SIX」と「ロック(6)」、病気の「SICK」の3つを組み合わせた造語。大阪にて「JAM」のキャンペーン中に吉井が思いついたものである[3]
    • イギリスでもリリースされ、イギリス盤にはボーナストラックとして「LOVE LOVE SHOW」のイングリッシュ・バージョンが収録されていた。
    • 発売からちょうど13年目の2010年1月22日に、結成20周年記念企画の一環として、吉井和哉監修のもと、新たにCDとDVDとスペシャル・ブックレットを加えた『COMPLETE SICKS』をリリース。完全生産限定盤。発売元はアリオラジャパン
    • 『COMPLETE SICKS』は、発売日を『SICKS』と同じ1月22日に合わせたため、通例より二日遅い金曜日の発売となったが、同日付のオリコンデイリーチャートで1位を獲得。ウィークリーチャートでも6位にランクインした。
    • さらに、2013年12月4日に、リマスター盤Blu-spec CD2にて再発売された。

    反応と評価[編集]

    吉井本人が最高傑作と自負する作品であり、「『SICKS』は他のバンドにはない音であり、他の邦楽にもない音である」と語る[4]。また、他メンバーが作曲をした「TVのシンガー」「創生児」「HOTEL宇宙船」を絶賛しており、『どの曲もSICKSの匂いがする曲』と評価している[5]。メンバー選曲のベスト盤『MOTHER OF ALL THE BEST』にも本作から最多の7曲が収録されており、他メンバー作曲の3曲もすべて収録された。

    日本コロムビアのディレクターである宗清裕之は、「『SICKS』がなかったらただのポップなバンドとして消費されてたかもしれない。あの時期があったからこそ、THE YELLOW MONKEYは長く愛されるバンドになったんだと思う」と語っている。また、「当初はダークな雰囲気、不健康な感じも含めて『今まで押さえつけられてたけど、俺たちの魅力はここなんだ』っていうか。しっぺ返しを食らった感じあった」とし、「このアルバムは売れないと思っていたが、実際に売れて驚いた」という旨を語っている[6]

    THE YELLOW MONKEYのカメラマンを務めた高橋栄樹は、「初期のダークな感じがスケールアップして戻ってきた、っていうイメージだったというか。本来はこういう人たちなんだなと思う」と語っている[6]

    本作がリリースされる約1か月半前に、自身初の非公認ベストアルバム『TRIAD YEARS actI〜THE VERY BEST OF THE YELLOW MONKEY』がリリースされることが決定し、吉井は「ベストに負けないアルバムを作ろうという話を毎晩メンバーとしていた」と語っている[5]。『SICKS』の売り上げはオリジナルアルバムでは自己最多を記録したものの、惜しくもミリオンには届かなかった。吉井は「JAM」「SPARK」などのヒット曲を含むベストアルバムがミリオンを達成したことを踏まえ、「ヒット曲が1曲しか入っていないアルバムは100万人買わないんだなということもよくわかった。『この次覚えてろよ』という気持ち」と語っている[7]ほか、後年のインタビューでは「『SICKS』の実際のセールスは妥当だったと思う。100万枚を目指していたが、近いところまで行ったし、凄い納得した1年だった」と振り返っている[8]。同じくギターの菊地は「望んでいた枚数より下回ったが、大衆向けではないアルバムがこれだけ売れたことは自信になった」と語っている[8]

    収録曲[編集]

    • 『COMPLETE SICKS』ではリマスタリングされていて、DISC2は渡英前に日本で録音されたデモ音源(収録曲・曲順は2枚共通)を収録。
    1. RAINBOW MAN (7:42)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      吉井が当時ハマっていた「愛の戦士レインボーマン」がモチーフになっている。コーラスの「死ね、死ね」は同作の敵組織「死ね死ね団」に由来する。また、ライブのオープニングSEとして同作の挿入歌である「死ね死ね団のテーマ」を使用していた。番組の内容通りインド風のアレンジがされており、曲調が何度も変わる曲である。バンド・アレンジの最中に曲構成が何度も変わり、サビが完成したのは終盤だったという[7]
      総合格闘家前田吉朗が入場曲として使用している。
    2. I CAN BE SHIT, MAMA (4:32)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      タイトルは「アッカンベーしたまま」を捩ったもの。
    3. 楽園 (4:45)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      先行シングル曲。
    4. TVのシンガー (4:22)
      (作詞:吉井和哉 / 作曲:菊地英昭 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      歌詞の内容はアーティストである自らを皮肉ったものであり、3rdアルバム『jaguar hard pain』収録の『ROCK STAR』とは対称的なものとなっている。『THIS IS FOR YOU〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』で9mm Parabellum Bulletカバーした。
    5. 紫の空 (5:43)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      アリーナツアー「FIX THE SICKS」では、曲中で吉井が酒を飲むパフォーマンスを披露した。
    6. 薬局へ行こうよ (1:36)
      (作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      インスト曲。メンバーがそれぞれアドリブで演奏しており、吉井の鼻歌や、犬の鳴き真似などが入っている[4]。アルバム作成の初期段階からアイデアが出ており、吉井は「アルバムの中で外れちゃいけない1曲」、ベースの廣瀬は「周りの楽曲の引き立て役」と語っている[7]
    7. 天国旅行 (8:27)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      「FOR SEASON-野生の証明」のツアー中に初披露され、アルバム発売前の「メカラ ウロコ・7」でも披露された。吉井にとって「JAM」と並ぶほど特別な強い思い入れがあると語り、「裏JAM」と呼んでいるという[4]。1番ではドラムを止めてサビに入るなど、過去にはやらなかったアレンジを試み、吉井自身「すごい自信になった曲ができた」と自負する[4]2010年3月に出版された三浦しをんの『天国旅行』はこの曲のタイトルからつけられ、本書の巻頭には歌詞が引用されている。2013年に行われた『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』のファン投票で5位を獲得した。
      イントロは吉井が弾いている。初披露時は音源には収録されなかったアルペジオのギターソロが追加されていた。2016年の再結成後に横浜アリーナで行われた「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 -YOKOHAMA SPECIAL-」ではこの初披露当時と同様の吉井のギターソロから披露された。
    8. 創生児 (5:08)
      (作詞:吉井和哉 / 作曲:吉井和哉・菊地英昭 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      作曲者である菊地の「精神分裂症の歌にしてほしい」という要望から歌詞が作られ、吉井(及び人)の二面性について歌っている[7]。吉井が1人2役を演じて歌っており、後半は左右にボーカルが分かれる。曲中には2つのヴォーカルが同時に別々の歌詞を歌っている箇所がある。
    9. HOTEL宇宙船 (4:44)
      (作詞:吉井和哉 / 作曲:吉井和哉・廣瀬洋一 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      エロティックな歌詞のアップテンポなナンバー。アウトロでは再生速度を落とし、次曲に繋げている。
    10. 花吹雪 (4:35)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      前曲から音が繋がっている。非常に音が小さいが、イントロで吉井の台詞が入っている。初レコーディングの際に一度ボツになっており、仮タイトルは「首の皮一枚」だった[7]。2013年に行われた『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』のファン投票で、アルバム曲の中では最高となる3位を獲得した。
    11. 淡い心だって言ってたよ (6:06)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      アコースティック・ギターを使用したスローテンポのナンバー。
    12. 見てないようで見てる (4:35)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      11thシングル「楽園」のカップリング曲。吉井曰く「渋谷駅周辺の喫茶店で、斜め向かいに座った女性をチラ見しながら作った」[9]
      ライブではコール&レスポンスが行われる。
    13. 人生の終わり(FOR GRANDMOTHER) (12:53)
      (作詞・作曲:吉井和哉 / 編曲:THE YELLOW MONKEY)
      副題の通り、吉井が祖母に捧げたバラード曲。吉井がU2の「ワン」に憧れて作った曲で、仮タイトルは「スタンド・バイ・U2」[7]。作成段階で「血が泣いてるんだよ」という歌詞のみが先にできていた[4]。『COMPRETE SICKS』Disc2のデモ音源でもこの箇所のみ歌詞がついている。歌はテイク・ワンのものが採用されている[4]。曲の終了後に1分程度の無音部を挟んで、隠しトラックとしてピアノの演奏とともにハミングの楽曲が約4分間収録されている。

    DVD (COMPLETE SICKS)[編集]

    • fragments of the SICKS
      日本でのデモ・レコーディング、ロンドンレコーディングドキュメント。
    • Interviews (with KAZUYA YOSHII/RICHARD DIGBY SMITH/SHUJI YAMAGUCHI/MIKIO ARIGA)

    参加ミュージシャン[編集]

    参考文献・出典[編集]

    1. ^ 『THE YELLOW MONKEY/BURN』ロッキング・オン、2000年、389頁。ISBN 4-947599-85-5
    2. ^ 「COMPLETE BURN」(ロッキング・オン
    3. ^ a b ROCKIN'ON JAPAN 1997年2月号
    4. ^ a b c d e f g 「吉井和哉自伝 失われた愛を求めて」(ロッキング・オン
    5. ^ a b 『COMPLETE SICKS』DVD Interviews
    6. ^ a b 徹底座談会で明かされる真実とそれぞれの1曲
    7. ^ a b c d e f ROCKIN'ON JAPAN 1997年11月号
    8. ^ a b ROCKIN'ON JAPAN 1998年4月号
    9. ^ 『COMPLETE SICKS』ライナーノーツ