日本の近世文学史

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日本の近世文学史(にほんのきんせぶんがくし)では、江戸時代日本文学の歴史を述べる。

概略

日本の近世文学は江戸中期の享保年間(1716年 - 1735年)を境目に大きく前後半に区分される。江戸前期はそれまでの文化的中心地であった上方を中心とした文芸が栄え、江戸中後期には都市の発達に伴い江戸を中心に町人文化・出版文化が成立し、江戸を中心とする文芸が栄えた。その結果、多種多様な作品が、版本写本を問わず、現代まで残されている。

前期

お伽草子の流れを汲む仮名草子井原西鶴らによる浮世草子、遊里を題材とした洒落本が出版されて広く読まれた。松永貞徳らにより栄えた俳諧は、後に松尾芭蕉が現れ表現として大成させた。16世紀に入って急速に成長した浄瑠璃の世界では、人形を加えた人形浄瑠璃用に近松門左衛門戯曲を書き人気を博した。

後期

上田秋成雨月物語』や曲亭馬琴南総里見八犬伝』に代表される読本、通俗的教訓と滑稽を売りにした談義本滑稽本、男女を主人公として恋愛を描く人情本、庶民向けの娯楽として赤本・青本などの草双紙が出版されて広く読まれた。俳諧では与謝蕪村小林一茶らが活躍した。人形浄瑠璃に押されていた歌舞伎は、鶴屋南北河竹黙阿弥等の戯曲を得て、人気の回復に成功した。

上記のほか、俳諧の句集、紀行文実録本狂歌・狂詩、類書(百科事典)などが存在する。

文学の周辺

形骸化した歌学を批判する形で、儒教の一派の古学の影響を受けた国学が現れ、賀茂真淵本居宣長らが活躍した。

また、滑稽話の元祖として安楽庵策伝の『醒睡笑』が著され、さらに江戸と上方で現在の落語の原形となる話芸が流行する。その他、三味線音楽など江戸期に特徴的な音曲が流行したり、葛飾北斎らにより浮世絵が描かれて町人に愛玩されたり、歌舞伎浄瑠璃が町人の娯楽となったりと、様々な芸術が庶民に愛された。特に、浮世絵は、遠くフランスの印象派にも大きな影響を与えたことが知られている。

近世文学の主な作品一覧

北越雪譜』二編 巻一(鈴木牧之著、天保12年(1841年)刊)

近世文学研究者

近世文学を専門とする主な研究者とその専門分野を挙げる。

関連項目