野口武彦

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野口 武彦(のぐち たけひこ、1937年6月28日 - )は、東京出身の文芸評論家、国文学者、神戸大学名誉教授。

経歴[編集]

1956年東京都立戸山高等学校を経て、1962年早稲田大学第一文学部を卒業。早大時代は全国学生自治会連絡会議(全自連)のリーダーであった[1]。その後東京大学文学部卒業、東大大学院博士課程中退。神戸大学文学部助教授、教授、2002年定年退官、名誉教授。ハーバード大学客員研究員、プリンストン大学客員教授を務める。1973年、『谷崎潤一郎論』で亀井勝一郎賞、1980年、『江戸の歴史家』でサントリー学芸賞、1986年、『「源氏物語」を江戸から読む』で芸術選奨文部大臣賞、1992年、『江戸の兵学思想』で和辻哲郎文化賞、2003年、『幕末気分』で読売文学賞受賞。

専攻は近世の儒学だが、31歳で『三島由紀夫の世界』を上梓し、ついで『石川淳論』を出すなど、文芸評論家として華々しく活躍、ついで『洪水の後』など小説を書き、小説の単行本は三冊にのぼる。さらに大江健三郎谷崎潤一郎を論じるが、1971年に最初の論文集『江戸文学の詩と真実』を刊行、その後も、近世の文学、思想と近代文学について執筆活動を続ける。1990年代以降は、近世の歴史事象を一般向けに書く仕事が多い。

『「源氏物語」を江戸から読む』で、村田春海の著として論じた「源語提要」は、五井蘭洲の著であることを中村幸彦が既に指摘しており[2]、また『忠臣蔵』では、言葉の使い方がおかしいと、高島俊男から指摘されている[3]

著書[編集]

  • 三島由紀夫の世界』講談社 1968
  • 石川淳論』筑摩書房、1969
  • 『洪水の後』(小説集)河出書房新社 1969
  • 『吠え声・叫び声・沈黙 大江健三郎の世界』新潮社 1971
  • 『江戸文学の詩と真実』中央公論社〈中公叢書〉、1971、新版1978
  • 谷崎潤一郎論』中央公論社 1973
  • 『収穫の年』(小説集)河出書房新社 1973
  • 『日本の旅人 頼山陽 歴史への帰還者』淡交社 1974
  • 徳川光圀 朝日評伝選』朝日新聞社 1976
  • 『旗は紅に燃えて』新潮社 1977
  • 『花の詩学』朝日新聞社 1978
  • 『江戸文林切絵図』冬樹社 1979
  • 『江戸の歴史家 歴史という名の毒』筑摩書房 1979、ちくま学芸文庫 1993
  • 『「悪」と江戸文学』朝日新聞社朝日選書 1980
  • 『日本語の世界13 小説の日本語』中央公論社 1980
  • 『作家の方法』筑摩書房、1981
  • 『江戸人の昼と夜』筑摩書房 1984。「江戸人の精神絵図」講談社学術文庫 2011
  • 『江戸百鬼夜行』ぺりかん社 1985
  • 『三島由紀夫と北一輝福村出版 1985
  • 『近代小説の言語空間』福武書店 1985
  • 『『源氏物語』を江戸から読む』講談社 1985、講談社学術文庫 1995
  • 『王道と革命の間 日本思想と孟子問題』筑摩書房 1986
  • 『江戸わかもの考 歴史のなかの若者たち3』三省堂 1986
  • 『文化記号としての文体』ぺりかん社 1987
  • 『江戸人の歴史意識』朝日選書 1987
  • 『近代日本の恋愛小説』大阪書籍(朝日カルチャーブックス) 1987
  • 『江戸がからになる日-石川淳論第2』筑摩書房、1988
  • 『秋成幻戯』青土社 1989
  • 『日本文明史 第6巻 太平の構図 文明の成熟』角川書店 1990
  • 『江戸の幾何空間』福村出版 1991
  • 『江戸の兵学思想』中央公論社 1991、中公文庫 1999
  • 『近代文学の結晶体』新典社 1991
  • 『江戸と悪 『八犬伝』と馬琴の世界』角川書店 1992
  • 『日本近代批評のアングル』青土社 1992
  • 『江戸思想史の地形』ぺりかん社 1993
  • 荻生徂徠 江戸のドン・キホーテ』中公新書 1993
  • 『日本思想史入門』筑摩書房〈ちくまライブラリー〉 1993
  • 『三人称の発見まで』筑摩書房 1994
  • 忠臣蔵 赤穂事件・史実の肉声』ちくま新書 1994、ちくま学芸文庫(増補版) 2007
  • 『一語の辞典 小説』三省堂 1996
  • 『安政江戸地震 災害と政治権力』ちくま新書、1997、ちくま学芸文庫 2004
  • 『江戸のヨブ――われらが同時代・幕末』中央公論新社、1999
  • 『幕末パノラマ館』新人物往来社、2000
  • 『幕府歩兵隊―幕末を駆けぬけた兵士集団』中公新書、2002
  • 『近代日本の詩と史実』中央公論新社〈中公叢書〉、2002
  • 『幕末気分』講談社、2002、講談社文庫 2005
  • 『幕末伝説』講談社、2003
  • 『蜀山残雨―大田南畝と江戸文明』新潮社、2003
  • 新選組の遠景』集英社 2004
  • 『幕末の毒舌家』中央公論新社 2005
  • 『大江戸曲者列伝 太平の巻、幕末の巻』新潮新書 2006
  • 『長州戦争 幕府瓦解への岐路』中公新書 2006
  • 『江戸は燃えているか』文藝春秋 2006
  • 『幕末バトル・ロワイヤル』新潮新書 2007
  • 井伊直弼の首 幕末バトル・ロワイヤル』新潮新書、2008
  • 『幕末不戦派軍記』講談社 2008、草思社文庫(増補版) 2014
  • 『天誅と新選組 幕末バトル・ロワイヤル』新潮新書 2009
  • 『江戸の風格』日本経済新聞出版社 2009
  • 鳥羽伏見の戦い 幕府の命運を決した四日間』中公新書、2010
  • 『巨人伝説 井伊直弼と長野主膳』講談社 2010
  • 『慶喜の捨て身 幕末バトル・ロワイヤル』新潮新書 2011
  • 勝海舟の腹芸 明治めちゃくちゃ物語』新潮新書 2012
  • 『慶喜のカリスマ』講談社 2013
  • 『維新の後始末 明治めちゃくちゃ物語』新潮新書 2013
  • 『幕末明治不平士族ものがたり』草思社 2013、草思社文庫 2018
  • 『忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人』講談社 2013
  • 『異形の維新史』草思社 2013、草思社文庫 2018
  • 『「今昔物語」いまむかし』文藝春秋 2014
  • 『花の忠臣蔵』講談社 2016
  • 元禄六花撰』講談社 2018 

校注[編集]

訳書[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 平岡正明『人之初』p.112
  2. ^ 小谷野敦「『源語堤要』の著者について」『文芸研究』2003
  3. ^ 高島『お言葉ですが・・・』「義士討ち入りの日付」